Emerging-market equity allocation and market outlook:MSCI EMは1.3%上昇し、北アジアのテクノロジーが主導。ブラジル選挙を巡るポジショニングと米国金利の急上昇が短期見通しを左右する。
Goldman Sachsは、利益予想の上方修正と相対的に低いバリュエーションを背景に、選別された新興国株式と景気循環型セクターに建設的な見方を維持している。レポートは、10月4日のブラジル大統領選第1回投票と5%を上回る米10年債利回りを主要な短期市場要因としている。
要約
Goldman Sachsは、利益予想の上方修正と相対的に低いバリュエーションを背景に、選別された新興国株式と景気循環型セクターに建設的な見方を維持している。レポートは、10月4日のブラジル大統領選第1回投票と5%を上回る米10年債利回りを主要な短期市場要因としている。
- MSCI EMは前週比1.3%上昇し、韓国(+4%)と台湾(+2%)が主導した。
- MXEFの予想PERは9.9xで、10年平均を2.1標準偏差下回る。
- ブラジル株は10月4日の選挙を前に、8月中旬比でなお10%以上高い。
- 米10年債利回りは1カ月で50ベーシスポイント上昇して5.18%となり、2.4標準偏差の大幅な動きだった。
- Goldman Sachsは台湾、韓国、ブラジル、南アフリカ、ハンガリー、ギリシャを引き続きオーバーウェイトとしている。
レポート解説
概要
この新興国戦略週報は、市場パフォーマンス、利益、バリュエーション、資金フロー、配分選好を検証する。Goldman Sachsは、利益と相対バリュエーションが選別されたEMに対する建設的な見方を支えるとする一方、米国利回りの急上昇とブラジル選挙が市場変動要因となる点を強調している。
主要見解
MSCI EMは前週比1.3%上昇し、AI関連の北アジアが主導した。韓国は4%、台湾は2%上昇した。一方、米国債利回りの上昇を受け、金利感応度の高いインドネシアは4%下落、南アフリカは2%下落した。レポートは年初来のEMリターンを利益主導と位置付ける。EMの2026年EPS予想は前週比0.1%上方修正され、広範な図表では韓国主導で過去1カ月の2026/2027年EPS修正が改善したことが示される。MXEFの予想PERは9.9xで、10年平均より2.1標準偏差低い。Goldman Sachsは、セクター調整後でもEMバリュエーションは米国株を下回ると指摘する。 資金フローは全体としてプラスで、EM株にはUS$1.5 billionの外国機関投資家資金が流入した。台湾はUS$1.7 billion、インドはUS$0.4 billionの流入となる一方、韓国ではUS$0.5 billionの流出となった。レポートは、グローバル投信がなおEMを大幅にアンダーウェイトしている一方、GEMファンドでは年初に過去20年で最速の年間買いペースとなった後、直近では流出が見られるとする。市場の広がりは狭く、上昇はAI・テクノロジー分野に集中しているが、広がりの兆しもある。また、200日移動平均線を上回る銘柄の比率は5年平均を下回る。 ブラジルは10月4日の第1回投票を前に主要な戦術的焦点となっている。ブラジル株は8月中旬から10%超上昇を維持し、US$1.8 billionの安定した外国資金流入を伴うが、金利感応度の高いセグメントは年初来でなお下落している。過去の選挙サイクルでは、MSCI Brazilは第1回投票から第2回投票までの間に、BRL建てで4-7%、米ドル建てで6-9%上昇した。2022年サイクルでは、BRL建て約10%、米ドル建て15%の上昇後に反落した。中央値ベースでは、エネルギーと金利感応セクター、すなわち公益、金融、一般消費財が両投票の間で主導した。ただし第2回投票後は、選挙結果により大きなパフォーマンス格差が生じた。2006年と2018年の右派寄り候補の勝利は力強い上昇、左派寄り候補が勝利した2022年は売りにつながった。 レポートによれば、世論調査の差が縮小したことで選挙関連ボラティリティは上昇したが、投資家のポジショニングは引き続き株式上昇余地を見込むものとなっている。EWZのブラジルETFでは純設定が続き、EWZとBovespaのコールオプション建玉も高水準にある。ブラジルの金利感応度もGoldman Sachsの論点の中核である。ブラジル株はEM市場で現地金利との負相関が最も高く、歴史的には金利低下が株式高、特に国内向け・金利感応株の強さと結びついてきた。過去の利下げ局面では、金利感応株と国内エクスポージャーの高い株は平均で指数を約2-3倍上回った。 第2の戦術的焦点は米国利回りの急上昇である。米10年債利回りは週中に5.18%まで上昇し、その後やや低下したものの5%を上回った。過去1カ月の50ベーシスポイント上昇は、2年間の月次変動に基づく2.4標準偏差の動きだった。Goldman Sachsは、利回り上昇の速度と水準の双方がEMに影響するとみる。歴史的に月間で2標準偏差以上の急上昇はEM株の重荷となり、米10年債利回りが約4.5-5%を超えると相関はよりネガティブだった。ただし、グローバルおよび米国の成長環境が堅調であれば、EM株は金利上昇局面でもより底堅く推移する傾向がある。 配分では、Goldman Sachsは分散を重視し、テクノロジー比率の高い台湾と韓国、ならびにブラジル、南アフリカ、ハンガリー、ギリシャの個別要因が強い機会をオーバーウェイトとしている。セクターでは景気循環型を重視し、テックハードウェア・半導体、銀行、資本財、金属・鉱業をオーバーウェイトとする。セクター表では、テックハードウェア・半導体の利益成長見通しが特に強く、CY2026E EPS成長率は241%、CY2027Eは48%、NTM PERは8.7xである。自動車・部品、ヘルスケア、運輸、ソフトウェア・サービスはアンダーウェイトとしている。
分析フレームワーク
レポートは、週次のパフォーマンス・資金フローのモニタリング、利益予想修正、予想バリュエーション比較、過去のイベント分析、クロスマーケット配分分析を組み合わせている。ブラジルは過去の選挙サイクルのリターン、セクター主導、外国資金フロー、オプションのポジショニングを通じて評価し、米国利回りショックは変動幅、過去の利回り・株式相関、成長環境から評価する。
手法メモ
予想PER、PEGレシオ、10年バリュエーションZスコア
レポートは予想利益倍率と過去のバリュエーション乖離を用いて、EMおよびセクターのバリュエーションを比較し、相対的な市場価格を評価している。
過去のブラジル選挙サイクルのパフォーマンスとセクター格差
Goldman Sachsは、現在のブラジル選挙サイクルの潜在的影響を枠付けるため、投票ラウンド間と選挙結果後の市場行動を比較している。
利回り感応度と株式リターン相関の分析
レポートは、米国および現地利回りの変動速度と水準が、歴史的にEMおよびブラジル株のパフォーマンスとどう関係してきたかを評価している。
資産マッピングと比較
投資テーゼから固有資産への構造化マッピング(強み、弱み、同業、リスク)。
- MSCI EMパフォーマンス、利益、バリュエーション、資金フロー、市場の広がりを評価する中核の新興国株式ベンチマーク。
- 強み
- 利益予想修正が改善し、バリュエーションは過去および米国株に対して相対的に低い。
- 弱み
- 市場の広がりはなお狭く、パフォーマンスはAI・テクノロジー分野に集中している。
- 比較
- セクター調整後でも米国株に対してディスカウントで取引されている。
- リスク
- 米国利回りの急上昇は歴史的にEM株パフォーマンスの重荷となってきた。
- Brazil equities / MSCI Brazil / EWZ選挙と現地金利感応度を巡る戦術的市場焦点。
- 強み
- 8月中旬以降10%超上昇し、外国資金流入、ETFの設定、過去の一部の選挙前期間での有利なパフォーマンスがある。
- 弱み
- 直近の上昇にもかかわらず、金利感応株は年初来で下落している。
- 比較
- ブラジルはEM市場で現地金利との負相関が最も高い。
- リスク
- 選挙結果は歴史的に、決選投票後の大幅なパフォーマンス格差と反落をもたらしてきた。
- Taiwan and Koreaオーバーウェイトとするテクノロジー比率の高いEM市場。
- 強み
- 週次のEM上昇を主導し、韓国は直近のEM利益予想上方修正をけん引した。
- 弱み
- 週次の外国機関投資家フローでは韓国からの流出が示された。
- 比較
- Goldman Sachsの市場配分では、両市場とも広範なEMベンチマークより選好されている。
- リスク
- テクノロジー主導の市場集中と米国利回り上昇がパフォーマンスを圧迫する可能性がある。
主要データ
- MSCI EMの週次リターン+1.3%前週比。韓国は4%、台湾は2%上昇。
- MXEF予想PER9.9x10年平均を2.1標準偏差下回る。
- EM 2026E EPS予想修正+0.1%前週比。
- EM外国機関投資家フローUS$1.5bn週次流入。台湾がUS$1.7bn、インドがUS$0.4bnで主導。
- 8月中旬以降のブラジル株パフォーマンス10%+小幅な週次調整にもかかわらず維持。US$1.8bnの外国資金流入に支えられた。
- 米10年国債利回り5.18%1カ月で50ベーシスポイント上昇し、2.4標準偏差の動きとなった後、小幅に低下。
影響と示唆
Goldman Sachsの配分スタンスは、利益モメンタムと相対バリュエーションに支えられた、選別されたテクノロジー比率の高い北アジア市場と景気循環型セクターを選好する。ブラジルはイベント主導の機会と現地金利感応テーマを提供するが、選挙結果が市場格差を大きく変え得ると報告書は強調する。米10年債利回りが高止まりまたは急上昇すれば、成長環境が強固でない限り、EM株に幅広いリスクとなる。
リスク
- 米10年債利回りが4.5-5%を超えて急上昇または高止まりすることは、歴史的にEM株とのよりネガティブな相関および低いリターンと結び付いている。
- 接戦のブラジル選挙によりボラティリティが高まっており、過去のリターンは決選投票後に結果によって大きく異なった。
- EM市場の広がりはなお狭く、200日移動平均線を上回る株式の比率は5年平均を下回る。
注目点
- 10月4日のブラジル大統領選第1回投票、世論調査の動向、EWZおよびBovespaコールオプションのポジショニング。
- 米10年国債利回りの水準と変動速度、特に5%超を維持するかどうか。
- グローバルおよび米国の成長が、より高い利回りがEM株に与える影響を相殺できるほど堅調かどうか。
- 台湾、インド、韓国、ブラジルへの外国機関投資家フロー。
- EM利益予想のさらなる修正と、AI主導の上昇が広がる証拠。