レポート解説
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レポート解説Hilo Research

新興国金利:新興国金利は概ね適正評価されており、高利回り市場での金利低下取引により大きな価値がある

BRLやHUFなどの高利回り市場でカーブのフロントエンドまたはベリーの金利を受け、THBなどの低利回りアジア市場での支払いによって資金を調達することを推奨する。加えて、財政状況の乖離に基づくカーブ・スティープニングおよびフラットニング取引を実施する。

機関Goldman Sachs
日付2026-08-14
業界新興国金利

要約

BRLやHUFなどの高利回り市場でカーブのフロントエンドまたはベリーの金利を受け、THBなどの低利回りアジア市場での支払いによって資金を調達することを推奨する。加えて、財政状況の乖離に基づくカーブ・スティープニングおよびフラットニング取引を実施する。

新興国金利に対する選別的に建設的な見方を維持する。高利回り市場での受けを選好し、低利回りのアジア金利の一部は回避または支払いを推奨する。
新興国金利現地通貨建て金利金利スワップインフレリスク財政リスク米国金利の波及カーブ取引
  • 新興国の現地通貨建て金利は全体として、モデルで測定したマクロ要因に対して概ねフェアバリューにある。
  • 高利回りのラテンアメリカおよびCEEMEA市場で織り込まれたインフレプレミアムは一般にモデル推計を上回っており、BRLおよびHUFのフロントエンドからベリーでは金利低下の価値がある。
  • THB、CNYおよび一部の低利回り市場の金利は低く、エネルギーショック後のインフレリスクはまだ十分に織り込まれていない可能性がある。
  • 米国金利の上昇は主要な共通リスクである。MXNは米国金利への感応度が最も高く、フロントエンドおよびベリーには慎重さが必要である。
  • 財政状況が悪化しているILS、RON、PLNはカーブ・スティープナーに適しており、財政再建が進行中または改善が見込まれるZAR、INR、COPはフラットナーに適している。

レポート解説

概要

Goldman Sachsは、18の新興国における2年、5年、10年の金利を評価するため、現地通貨建て新興国金利のフェアバリュー枠組みを更新した。レポートによると、パンデミック後の新興国金利と先進国金利のスプレッドは、過去20年で比較的低い水準まで縮小している。インフレおよび財政ファンダメンタルズの改善がこの収斂を支えているが、米国金利の高止まりは依然として重大な上振れリスクである。

主要見解

全体として、新興国金利の価格付けはマクロ要因と概ね整合しているが、市場間のばらつきは大きい。高利回りのラテンアメリカおよびCEEMEA市場ではインフレリスクプレミアムが過大評価されており、大半の金利は高く見えるため、フロントエンドまたはカーブのベリーでの受けを支持する。一部の低利回りアジア市場ではインフレリスクが過小評価され、金利が低い可能性がある。ロングエンドは主に財政見通しに左右される。財政状況が改善する市場では長期金利に低下余地が残る一方、財政状況が悪化する市場ではカーブがスティープ化すべきである。

分析フレームワーク

レポートは、各年限で直接観測される金利を用いるパネル・フェアバリューモデルを構築している。これは、まずカーブをレベル、傾き、曲率に分解し、その後にマクロ変数を当てはめるネルソン・シーゲル手法に代わるものである。モデルは短期の循環的ギャップ変数と長期の構造的期待変数を組み合わせ、インフレ、成長、財政状況、米国金利の波及が各年限の金利に及ぼす影響を説明する。

手法メモ

  • 金利フェアバリューモデルパネル回帰モデル

    直接観測される金利を従属変数とする、市場横断・年限横断のマクロ価格付け枠組み

    18の新興国にわたる現地通貨建て金利を直接モデル化し、インフレ、成長、財政、米国金利の変数を用いてフェアバリューとその乖離を推計する。

  • イールドカーブモデルNelson-Siegel

    イールドカーブのレベル、傾き、曲率への分解

    過去のベンチマーク枠組みとして使用される。新モデルは説明力において概ね堅牢に整合している一方、マクロ要因のより直感的な寄与分析を提供する。

  • マクロ循環指標HPフィルター

    需給ギャップの推計

    実質GDPのトレンドからの循環的乖離を通じて需給ギャップを測定し、成長リスクが金利に与える影響の特定に用いる。

  • イベントショック分析ローカル・プロジェクション

    成長ショック下での金利パフォーマンスの推計

    2年物金利スワップを用い、標準偏差1のマイナスの需給ギャップショックにスケーリングして、高利回り市場と低利回り市場の相対パフォーマンスを評価する。

資産マッピングと比較

投資テーゼから固有資産への構造化マッピング(強み、弱み、同業、リスク)。

  • BRL現地通貨建て金利スワップ
    フロントエンドまたはベリーで金利を受ける
    強み
    市場が織り込むインフレプレミアムはモデル推計を大幅に上回っており、金利はフェアバリュー対比で高い。
    弱み
    高いフロントエンド金利は財政制約を反映しており、金利低下余地は財政の持続可能性に依存する。
    比較
    低利回りアジア市場と比べ、成長減速局面での金利パフォーマンスを捉えやすい位置にある。
    リスク
    選挙関連のボラティリティ、再度のインフレ上昇、財政悪化。
  • HUF現地通貨建て金利スワップ
    フロントエンドおよびベリーの金利を受ける
    強み
    長期インフレ目標を2%と仮定した場合、フロントエンドおよびベリーの金利はフェアバリュー対比で高い。
    弱み
    この取引は金融政策枠組みの調整が確認されることに依存する。
    比較
    BRLと同様に、レポートが選好する高利回りの金利受け市場の一つである。
    リスク
    MNBがより低いインフレ目標を発表しないこと、インフレ期待のアンカー維持が困難となること。
  • THB現地通貨建て金利スワップ
    高利回り市場での金利受けポジションの資金調達のため金利を支払う
    強み
    相対価値取引の資金調達レッグとして機能し得る。
    弱み
    エネルギーショック後の短期インフレ期待の上昇に対するフロントエンド金利の反応が不十分であり、バリュエーションは低い。
    比較
    上昇したBRLおよびHUF金利に対する相対価値ヘッジを提供する。
    リスク
    インフレリスクの一層の顕在化が金利を押し上げること。
  • MXN現地通貨建て金利スワップ
    フロントエンドおよびベリーには慎重に対応する
    強み
    比較的流動性が高く、モデルは米国金利への高い感応度を示している。
    弱み
    フロントエンドおよびベリーはフェアバリュー対比で低い。
    比較
    大半の新興国よりも米国金利の変動に脆弱である。
    リスク
    米国金利の一段の上昇と、国境を越えた金利伝達の強まり。
  • PLN現地通貨建て金利カーブ
    2年–10年カーブ・スティープナー
    強み
    財政悪化に起因するタームプレミアム上昇を表現できる。
    弱み
    フロントエンドはより穏やかなインフレリスクに支えられており、この取引はロングエンドのリスク再評価に依存する。
    比較
    ZARやINRなど財政状況が改善する市場でのフラットニング取引とは対照的である。
    リスク
    予想を上回る速い財政再建、または大幅な成長悪化。
  • ZAR現地通貨建て金利カーブ
    フロントエンドを受け、カーブ・フラットニングを選好する
    強み
    より穏やかなインフレ前提と財政パフォーマンスの改善が、金利低下を支える。
    弱み
    価値の実現には、インフレ期待が新たな目標へ収斂することが必要である。
    比較
    ロングエンドのファンダメンタルズは、財政状況が悪化する市場よりも支援的である。
    リスク
    インフレ目標の信認低下、または財政改善の中断。

主要データ

  • 対象市場数18モデルは18の新興国における現地通貨建て金利市場を対象とする。
  • 短期インフレギャップ感応度約70ベーシスポイント短期インフレ期待が長期水準を1パーセントポイント上回るごとに、新興国のフロントエンド金利は平均して約70ベーシスポイント上昇する。
  • 財政赤字感応度約20ベーシスポイント予想財政赤字が1パーセントポイント増加するごとに、5Y5Y金利は約20ベーシスポイント上昇する。
  • BRLインフレプレミアムの乖離約300ベーシスポイント市場が織り込むインフレプレミアムはモデルが示唆する水準を約300ベーシスポイント上回っており、中期的な金利受けの見方を支持する。
  • HUF長期インフレ前提2%モデルは、ハンガリーの長期インフレ目標および期待がコンセンサスの2.7%ではなく2%へ収斂すると仮定する。
  • ZAR長期インフレ前提3%モデルは、南アフリカの長期インフレ期待がコンセンサスの3.5%ではなく3%の目標へ収斂すると仮定する。

影響と示唆

戦略的には、BRLおよびHUFのフロントエンドまたはベリーでの金利受けを選好し、THBなど低利回りアジア市場での支払いにより資金を調達する。COPのロングエンドは引き続き魅力的だが、選挙後の反発が割安度をすでに一部吸収している。ZARのフロントエンドは高く、継続的な財政改善がロングエンドを押し下げる可能性がある。財政状況の乖離に関しては、ILS、RON、PLNのスティープナー、およびZAR、INR、さらに改善の可能性があるCOPのフラットナーを推奨する。米国金利の大きな波及を受けるMXNおよびCLPのフロントエンドには慎重さが必要である。

リスク

  • エネルギーショックによりインフレ期待が上昇を続け、現地インフレ鈍化による金利への支援が弱まる。
  • 米国金利がさらに上昇し、市場間ベータを通じて新興国、特にMXNおよびラテンアメリカ市場へ波及する。
  • 成長リスクがまだ十分に反映されていない。成長が大幅に悪化した場合、市場パフォーマンスはインフレと政策余地の相対的変化に左右される。
  • 財政見通しの乖離が拡大し、ブラジルやポーランドなど財政が悪化する市場はロングエンドの追加的なリスクプレミアムに直面する可能性がある。
  • BRLの選挙不確実性、およびHUFとZARにおける未達のインフレ目標調整は、いずれもバリュエーション正常化を妨げる可能性がある。
  • モデルはCNY、MYR、IDRを含む一部アジア市場で説明力が低く、関連するフェアバリュー評価への信頼度を低下させる。

注目点

  • エネルギー価格と、それが短期・長期インフレ期待へ伝わる度合い。
  • 米国SOFRおよび米国債利回りの変動、特にMXNおよびラテンアメリカ金利への波及。
  • BRLの選挙動向および財政政策シグナル。
  • MNBがインフレ目標を引き下げるか、またハンガリーの長期インフレ期待が2%へ収斂するか。
  • SARBの3%インフレ目標への移行後の期待のアンカー状況、および南アフリカの財政パフォーマンス。
  • インド、南アフリカ、コロンビアにおける財政再建の進展、ならびにポーランドとブラジルの財政赤字動向。
  • 新興国の成長が、ディスインフレ的な需給ギャップを生じさせるほど弱まるか。

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