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レポート解説Hilo Research

Asia Edge economies macroeconomic developments レポート解説

J.P. Morganは、ベトナムでインフレ鈍化と幅広い活動加速がみられると指摘する。パキスタンのインフレ率は一桁台に戻ったものの粘着性が残り、モンゴルの対外黒字は燃料輸入の変動と所得赤字拡大に直面している。

機関JPMorgan
日付20260810
業界macro

要約

J.P. Morganは、ベトナムでインフレ鈍化と幅広い活動加速がみられると指摘する。パキスタンのインフレ率は一桁台に戻ったものの粘着性が残り、モンゴルの対外黒字は燃料輸入の変動と所得赤字拡大に直面している。

Asia Edgeベトナムパキスタンモンゴルインフレ成長経常収支金融政策
  • ベトナムの7月CPIは前年比4.45%へ鈍化し、活動指標は加速した。
  • J.P. Morganはベトナムの2026年GDP成長率予想7.8%を維持し、リスクは上振れ方向とみる。
  • パキスタンの7月インフレ率は9.2%へ低下したが、レポートは目標復帰を2027年後半と見込む。
  • モンゴルは1H26にUS$0.2bnの経常収支黒字を記録したが、年間黒字予想は引き下げられた。

レポート解説

概要

この週次Asia Edge更新は、ベトナム、パキスタン、モンゴルにおける最近のマクロ経済動向を検証する。中心的なメッセージは一様ではない。ベトナムではインフレ鈍化と活動加速がみられる一方、パキスタンのインフレ見通しとモンゴルの対外収支には重要な注意点が残る。

主要見解

ベトナムの7月の総合CPIインフレ率は前年比4.45%となり、6月の4.7%から低下して2月以来の低水準となった。結果はコンセンサスとJ.P. Morganの4.6%予想をわずかに下回り、中銀の4.5%目標とおおむね整合した。食品インフレ率が4.9%から4.6%へ、輸送インフレ率が5.3%から3.7%へ低下したことが主因である。国際原油価格の低下と燃料製品の減税が9月末まで延長されたことを背景に、ガソリンとディーゼルの平均価格はそれぞれ3.0%と3.9%下落した。インフレ・モメンタムは前期比年率換算で8.6%から4.9%へ鈍化した一方、コアインフレ率は4.5%から4.6%へ小幅上昇した。J.P. Morganは8月のインフレ率を4.6%と見込み、2026年平均4.6%、2027年平均3.2%の予想を維持している。 ベトナムの7月の活動データは幅広い加速を示した。小売売上高の伸びは前年比16.2%から16.7%へ上昇し、実質ベースでは11.8%増となった。製造業生産は6月の15.5%から19.1%へ加速した。電子機器・コンピューター生産は45.7%、機械・設備は20.3%増加し、化学と精製を除く大半の製造業でも前年比二桁前半の伸びを記録した。製造業PMIは7月に52.9へ上昇し、価格関連項目の鈍化と新規受注の堅調さが確認された。レポートは、この強さをテクノロジーサイクルと、インフラ制約の緩和および民間投資の呼び込みを狙う大規模な政府投資に帰している。2026年のGDP成長率予想7.8%を維持し、リスクは上振れ方向とするが、銀行中心で投資資金を国内信用に大きく依存する経済では、マクロプルーデンス緩和が中期的なマクロ金融リスクを高め得るため、マクロ経済運営が重要だと指摘する。 パキスタンの総合インフレ率は7月に6月の11.1%から9.2%へ低下し、コンセンサス予想9.3%とJ.P. Morganの修正後予想10%をともに下回った。3月以来初めて一桁台に戻った。住宅・公益料金インフレ率が、ガス価格に関する有利なベース効果と電力料金低下を受けて15.5%から7.1%へ鈍化したこと、さらに燃料価格下落を受けて輸送インフレ率が25.7%から15.1%へ低下したことが主因である。ただし、食品インフレ率は9.4%から10.6%へ上昇し、小麦と小麦粉のインフレ率は供給不足の報告と輸入増加の中、それぞれ77.8%と67.6%に達した。J.P. Morganは、粘着的なコア価格と食品価格圧力を理由に、FY2026/27の平均インフレ率予想9.4%を維持する。インフレが5–7%の目標に戻るのは2027年後半と見込む。政策金利11.5%の下で十分に引き締め的なスタンスを維持するには最終的に追加利上げが必要と考えるが、最近のハト派的な発言を踏まえ、当面はState Bank of Pakistanが据え置くと予想している。 モンゴルの経常収支は、5月のUS$358mnの赤字から6月にはUS$255mnの黒字へ戻り、1H26の収支はUS$0.2bnの黒字となった。これは2009年以来で2度目の上期黒字であり、1H23の結果とおおむね一致した。銅と石炭の輸出拡大により年初来の商品収支黒字は2023年の約2倍のペースとなったが、FDIに関する投資所得支払いの増加が第一次所得赤字を拡大させ、その強さを一部相殺した。これを受け、J.P. Morganは年間経常収支黒字予想を2026年は従来の2.7%からGDP比1.5%へ、2027年は2.4%から1.2%へ引き下げた。これは鉱業の勢いの弱まりではなく、第一次所得赤字の継続を見込むことによる。主力燃料の在庫が1か月分未満に低下した後、在庫再構築のため7月から8月にかけて燃料輸入が増えた可能性があり、月次の経常収支は短期的に変動し得る。もっとも、燃料輸入を韓国と中国へ多様化しているため、最近の燃料不足が第3四半期の実質成長に与える広範な影響は限定的と見込んでいる。

分析フレームワーク

各国について最新のインフレ、活動、貿易、対外収支のデータを確認し、前回値および予想と比較する。次に主要な構成要因を特定し、マクロ予想と政策への含意を更新または維持している。

手法メモ

  • その他その他

    インフレ構成要因とマクロデータの分解

    レポートは総合インフレを食品、輸送、住宅、公益料金、燃料価格の影響に分解し、その変化をインフレ予想と金融政策への含意に結び付けている。

  • 業界・産業分析フレームワーク需給フレームワーク

    輸出、所得支払い、輸入による対外収支の評価

    モンゴルについて、強い石炭・銅輸出、FDI関連の所得流出増加、一時的な燃料輸入需要を通じて経常収支を説明している。

主要データ

  • ベトナム7月の総合CPIインフレ率4.45% yoy6月の4.7%から低下し、2月以来の低水準。
  • ベトナム7月の製造業生産19.1% yoy6月の15.5%から上昇。
  • ベトナムの2026年GDP成長率予想7.8%上振れリスクを伴い、予想を維持。
  • パキスタン7月の総合インフレ率9.2%6月の11.1%から低下し、コンセンサス予想9.3%を下回った。
  • パキスタンの政策金利11.5%レポートは当面、中銀が据え置くと予想。
  • モンゴル1H26の経常収支US$0.2bn surplus6月はUS$255mnの黒字で、5月はUS$358mnの赤字。
  • モンゴルの2026年経常収支黒字予想1.5% of GDP2.7%から下方修正。
  • モンゴルの2027年経常収支黒字予想1.2% of GDP2.4%から下方修正。

影響と示唆

レポートは、ベトナムではインフレ鈍化と需要加速の組み合わせが成長見通しを支える一方、信用に関連するマクロ金融リスクを指摘する。パキスタンでは総合インフレの低下だけでは根強い食品・コア価格圧力は解消されない。モンゴルでは鉱業輸出が支えとなる一方、所得流出と燃料輸入需要が対外見通しを制約する。

リスク

  • ベトナムのマクロプルーデンス緩和は、投資が国内信用に大きく依存する中で、中期的なマクロ金融リスクを高める可能性がある。
  • パキスタンは、コアインフレの粘着性と、小麦・小麦粉の供給不足を含む食品価格圧力に直面している。
  • モンゴルでは燃料輸入の増加により月次経常収支が一時的に悪化する可能性があり、燃料不足も短期的な逆風となる。

注目点

  • ベトナムの8月インフレ、燃料価格の影響、通貨安定・信用供給・成長の均衡。
  • パキスタンの食品価格圧力、5–7%のインフレ目標への復帰時期、State Bank of Pakistanの政策決定。
  • モンゴルの燃料在庫・輸入、経常収支の変動、FDI関連の第一次所得流出の継続。
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