MLCC market and electronic components sector:8月のMLCC輸出は季節要因で減少したが、AI主導の需要とASP上昇によりJPMorganは前向きな見方を維持
JPMorganは、8月の前月比減少を休暇と7月の力強い成長後の反動による一時的なものとみており、MLCCの成長トレンドに変化はないと考えている。台湾向け輸出とASPは特に強い一方、欧州と米国の自動車関連需要は横ばいから弱含みである。
要約
JPMorganは、8月の前月比減少を休暇と7月の力強い成長後の反動による一時的なものとみており、MLCCの成長トレンドに変化はないと考えている。台湾向け輸出とASPは特に強い一方、欧州と米国の自動車関連需要は横ばいから弱含みである。
- MLCCの総輸出額はUS$461.2 millionで、前年比15.5%増、前月比12.3%減だった。
- 総ASPはUS$0.52に達し、前年比23.0%増、前月比4.9%増だった。
- IT関連輸出額は前年比24.4%増、台湾向け輸出額は前年比43.8%増で、同地域のASPは前年比56.0%上昇した。
- 自動車関連輸出額は前年比13.2%減で、欧州は緩やかな下降トレンドを示した。
- JPMorganはMurata Manufacturing、Taiyo Yuden、TDKに対する前向きな見方を維持し、Murata ManufacturingとTaiyo Yudenを最有力銘柄としている。
レポート解説
概要
本貿易統計アップデートは、日本の用途別・仕向け地別輸出を通じて2026年8月のMLCC需要を評価している。JPMorganは、前月比の減少は盂蘭盆会と7月の力強い成長後の反動によるもので、前年比成長、販売価格の上昇、台湾のAI関連需要が引き続き業界見通しを支えると結論付けている。
主要見解
日本の8月のMLCC輸出は前月比で弱含んだが、JPMorganはこれを基調的な成長トレンドの変化とはみていない。総輸出数量は88.198 billion unitsで前年比6.1%減、前月比16.5%減、輸出額はUS$461.2 millionで前年比15.5%増、前月比12.3%減だった。レポートによると、過去10年間の通常の8月の季節性では、輸出数量は前月比4.0%増、輸出額は同4.8%増となるため、8月の結果は異例に弱い。これは盂蘭盆会などの夏季休暇と、7月の急増後の反動によるものと説明している。前月比では減少したものの、輸出額は前年比で二桁成長を維持し、円建て・米ドル建ての双方でトレンドとして上昇を続けている。ASPはUS$0.52で前年比23.0%増、前月比4.9%増となり、輸出額の成長トレンドが維持されているとの見方を支えている。 IT関連の仕向け地が主な強さの源泉である。中国、香港、台湾、韓国、ベトナム、フィリピン、インドを合わせた輸出額はUS$354.4 millionで、前月比10.1%減にもかかわらず前年比24.4%増、ASPはUS$0.48で前年比34.0%増、前月比7.2%増だった。8月の前月比減少は過去の季節性を下回ったが、JPMorganはトレンドラインが引き続き力強い成長軌道を示すとみている。台湾は特に際立ち、輸出額は前年比43.8%増のUS$85.9 million、ASPはUS$0.64で前年比56.0%増、前月比14.3%増だった。7月と8月の台湾向け輸出は過去最高水準に達し、レポートはこれをAI関連需要の強さの確認と解釈している。香港の輸出額は前年比42.1%増、中国は13.1%増、韓国は9.5%増、ベトナムは21.0%増だったが、インドを除きすべて前月比で減少した。インドの輸出額は前月比1.9%増だった。 自動車関連の輸出は対照的な状況を示している。主にドイツとオランダからなる欧州および米国向けの輸出数量は8.853 billion unitsで、前年比3.1%減、前月比15.2%減だった。輸出額はUS$64.5 millionで前年比13.2%減、前月比14.8%減、ASPはUS$0.73で前年比10.4%減、前月比ではほぼ横ばいだった。数量と金額はいずれも、通常は前月比増加となる過去の8月パターンを下回った。JPMorganは、米国向け輸出の基調はおおむね横ばい、欧州は緩やかな下降トレンドにあるとみており、自動車需要の広範な回復ではなく、地域間の小幅な乖離を示している。 レポートは海外貿易データを企業の生産・需要指標にも結びつけている。韓国の輸出はSEMCOの韓国内工場の動向を主に反映する可能性があり、中国の輸入はMLCC全体需要の重要な指標、台湾の輸入はIT・AI関連需要を測る手掛かりとされる。さらに、タイ、マレーシア、シンガポールの貿易統計は、Murata Manufacturingのタイ・シンガポール工場およびTaiyo Yudenのマレーシア工場の生産動向を確認する参考になり得る。7月から8月の平均米ドル建て輸出額は4月から6月の平均を約12%上回り、JPMorganは7月から9月の売上高が前四半期比で力強く増加し続けたと推定している。さらに、海外MLCCメーカーの価格交渉の進展により、日本のMLCCメーカーも値上げを始める可能性が高まると主張している。これに基づき、Murata Manufacturing、Taiyo Yuden、TDKに対する前向きな見方を維持し、Murata ManufacturingとTaiyo Yudenを最有力銘柄としている。
分析フレームワーク
JPMorganは日本および海外のMLCC貿易統計を用い、IT・自動車用途別、仕向け地別に需要を分解している。輸出数量、輸出額、ASPの前月比・前年比の変化を10年の季節性と比較し、地域別の貿易フローからAI需要、自動車需要、一部メーカーの生産活動を推定している。
手法メモ
用途・仕向け地別のMLCC輸出数量、輸出額、平均販売価格を用いた貿易データ分析。
レポートは数量、米ドル建て輸出額、ASPの変化を分け、需要の強さが出荷数量、価格、またはその両方によるものかを判断している。特に台湾のASP上昇が、前向きな需要判断の中心的な証拠となっている。
地域別MLCC輸出入フローを最終需要と製造活動の指標として活用。
JPMorganは、IT比重の高いアジアの仕向け地、自動車比重の高い欧州・米国、特定の海外貿易フローを用いて、MLCCサプライチェーン全体の需要状況と生産トレンドを推定している。
資産マッピングと比較
投資テーゼから固有資産への構造化マッピング(強み、弱み、同業、リスク)。
- Murata Manufacturing (6981)継続するMLCC需要と潜在的な値上げの恩恵を受けるとされる最有力銘柄かつ日本のMLCCメーカー。
- 強み
- JPMorganは強いIT・AI関連需要とASP上昇を挙げ、タイとシンガポールの貿易データをMurataの生産状況を確認する有用な参考としている。
- 比較
- Taiyo YudenとともにJPMorganが選好する日本のMLCC銘柄。レポートはMurata、Taiyo Yuden、TDKに対する前向きな見方を維持している。
- リスク
- 特に欧州で弱い自動車関連需要へのエクスポージャー。
- Taiyo Yuden (6976)継続するMLCC需要と潜在的な値上げの恩恵を受けるとされる最有力銘柄かつ日本のMLCCメーカー。
- 強み
- JPMorganは強いIT・AI関連需要を挙げ、マレーシアの貿易データをTaiyo Yudenの生産状況を確認する有用な参考としている。
- 比較
- Murata ManufacturingとともにJPMorganの最有力銘柄であり、レポートはTDKに対しても前向きな見方を維持している。
- リスク
- 特に欧州で弱い自動車関連需要へのエクスポージャー。
- TDK (6762)JPMorganが前向きな見方を維持する日本のMLCCメーカー。
- 強み
- MLCC輸出額の継続的な成長と、日本メーカーによる値上げの可能性上昇から恩恵を受ける可能性。
- 比較
- JPMorganはTDK、Murata Manufacturing、Taiyo Yudenに対して前向きな見方を維持しているが、MurataとTaiyo Yudenを最有力銘柄としている。
- リスク
- 特に欧州で弱い自動車関連需要へのエクスポージャー。
主要データ
- 2026年8月のMLCC総輸出数量88.198 billion units前年比6.1%減、前月比16.5%減。
- 2026年8月のMLCC総輸出額US$461.2 million前年比15.5%増、前月比12.3%減。
- 2026年8月のMLCC総ASPUS$0.52前年比23.0%増、前月比4.9%増。
- IT関連MLCC輸出額US$354.4 million前年比24.4%増、前月比10.1%減。
- 台湾向けMLCC輸出額US$85.9 million前年比43.8%増、前月比8.6%減。
- 台湾向けMLCC ASPUS$0.64前年比56.0%増、前月比14.3%増。
- 自動車関連MLCC輸出額US$64.5 million前年比13.2%減、前月比14.8%減。
- 7月から8月の平均輸出額の4月から6月平均比About +12%米ドル建て。JPMorganによる7月から9月の売上高の前四半期比での力強い成長見通しを支える。
影響と示唆
レポートは、AI関連IT需要とMLCCの価格改善が8月の一時的な輸出減少を上回ると主張している。日本のMLCCメーカーによる値上げの可能性は追加的な支援材料とみる一方、欧州の自動車関連需要の弱さが相対的な軟調領域として残る。
注目点
- AI関連IT需要の指標として、台湾向けMLCC輸出とASPが高水準を維持するか。
- 海外メーカーの価格交渉が日本のMLCCメーカーの値上げにつながるか。
- 欧州向け輸出トレンドが、概ね横ばいの米国自動車トレンドに対して弱含みを続けるか。
- 需要・生産状況の指標としての中国、韓国、タイ、マレーシア、シンガポールの地域別MLCC貿易フロー。