Kingsoft Cloud Holdings (Kingsoft Cloud)(KC.US):Kingsoft CloudのAIコンピュート需要とマージン改善を確認、目標株価を16米ドルへ引き上げ
モルガン・スタンレーは、継続するコンピュート不足、AIクラウドおよびMaaSの成長、厳格な費用管理により、Kingsoft Cloudの売上成長が加速し、下期の収益性が改善するとみている。同レポートはオーバーウェイト評価を再表明し、目標株価を15米ドルから16米ドルへ引き上げた。
要約
モルガン・スタンレーは、継続するコンピュート不足、AIクラウドおよびMaaSの成長、厳格な費用管理により、Kingsoft Cloudの売上成長が加速し、下期の収益性が改善するとみている。同レポートはオーバーウェイト評価を再表明し、目標株価を15米ドルから16米ドルへ引き上げた。
- 2026年の売上成長ガイダンスは30%-40%で据え置かれ、レンジ中間値達成の可能性が高く、下期の成長加速を示唆する。
- 同社は通年の調整後営業利益率をプラスにできると確信しており、通年の調整後EBITDAマージンを約35%と見込んでいる。
- モルガン・スタンレーは2026年のAI売上成長率を109%と予想しており、総額150億元のサーバー投資は計画通り進行している。
- MaaSプラットフォームは120モデルを統合し、230社の顧客にサービスを提供しており、全事業セグメントで最も高い粗利益率を有する。
- 2026年から2028年のEBITDA予想はそれぞれ2.5%、4.9%、10.1%引き上げられた。
- 目標株価は7%引き上げられて16.00米ドルとなり、レポート記載の29%の上昇余地に相当する。
レポート解説
概要
本レポートは、Kingsoft Cloudの決算カンファレンスコールおよびノンディール・ロードショーからの主要な要点をまとめ、2026年のガイダンス、AIコンピュート、MaaS、エンタープライズクラウドに焦点を当てている。モルガン・スタンレーは、AI需要、逼迫したコンピュート供給、費用規律が売上および利益見通しを共同で支えるとみており、オーバーウェイト評価を再表明し、目標株価を引き上げた。
主要見解
同社は2026年の売上およびマージン見通しを再確認した。通年売上成長ガイダンスは30%-40%で据え置かれ、経営陣はレンジ中間値を達成する可能性が高いとみており、2026年下期には売上成長の加速が必要となることを示唆している。通年の粗利益率ガイダンスは約15%で、四半期ごとの粗利益率は横ばいまたは緩やかに上昇すると予想され、AIクラウドとMaaSの双方が粗利益率改善を牽引する。収益を生み出し続けられる完全償却済みGPUは、2027年下期から追加的な減価償却面での恩恵をもたらす見通しである。同社は通年の調整後営業利益率がプラスに転じることに強い確信を持ち、2026年第2四半期の4%から概ね安定または上昇すると予想している。絶対額ベースの費用と費用比率はいずれも管理されている。通年の調整後EBITDAマージンのガイダンスは約35%で、総額150億元の投資計画は予定通り進行し、第3四半期も順調に始まった。 AIコンピュートは引き続き主要な成長テーマである。現在の需給状況に基づき、同社は少なくともあと1年間はコンピュート需要が供給を上回り続けるとみており、顧客は値上げを比較的良好に受け入れている。コンピュート価格が非常に高い環境下で、Kingsoft Cloudはフルライフサイクル契約を締結し、多額の前払金を提供できるハイパースケール顧客へのリソース配分を優先している。この戦略は短期的なマージンの一部を犠牲にする一方、長期的な売上可視性とキャッシュフローを高める。同社はまた、アセットライトで高マージンのマネージドクラウド事業の開発を開始しており、AIクラウドはストレージなど従来型クラウドサービスへの需要も牽引する。モルガン・スタンレーは、旺盛なコンピュート需要と150億元のサーバー投資を主因に、2026年のAI売上成長率を109%と予想している。予想表では、パブリッククラウド売上は2025年の66.33億元から、2026年99.35億元、2027年148.41億元、2028年208.17億元へ増加する。 MaaS事業は120モデルを統合し、230社の顧客にサービスを提供している。顧客は現在、主にウェブプログラミングのユースケースで国内モデルのトークンサービスを利用している。MaaSは同社事業の中で最も高い粗利益率を有する。レポートは、モデルプロバイダーに対するKingsoft Cloudの優位性は、ミッションクリティカルな企業プロセスに必要なより高いサービスレベル契約を提供できる能力にあるとみる。主要クラウドプロバイダーに対する優位性は、異なるAIモデルに対する中立性とモデルプロバイダーとの密接なつながりである。同社のモデル推論最適化能力は元のモデルプロバイダーの水準に近づいており、MaaSの海外展開も検討している。 エンタープライズクラウドの業績は比較的弱く、ハードウェア価格の急上昇により一部顧客が意思決定を先送りしているため、通年では低から中程度の一桁成長にとどまると予想される。これがモルガン・スタンレーが短期的な売上見通しをわずかに引き下げた主因でもある。同社は社内でフォワードデプロイメントエンジニア(FDE)を育成している。レポートは、このモデルが中国の大手国有企業および政府顧客のAI導入ニーズに適しており、一部のプロジェクト型売上をより継続的な売上へ転換できる可能性があるとみる。予想表では、エンタープライズクラウド売上は2025年の29.25億元から、2026年30.42億元、2027年31.94億元、2028年33.22億元へ増加し、パブリッククラウドの成長を大きく下回る。 モデル改定については、2026年第2四半期の決算後、モルガン・スタンレーは2026年の売上予想を0.9%引き下げ、2027年および2028年の予想をそれぞれ0.7%、3.1%引き上げた。短期的な引き下げは主にエンタープライズクラウドの見通しを反映している。粗利益率見通しの改善とより厳格な費用管理により、2026年から2028年のEBITDA予想はそれぞれ2.5%、4.9%、10.1%引き上げられ、総営業費用の前提は9.2%-10.7%引き下げられた。その結果、2026年の正規化1株当たり損失予想は26%縮小した。比較ベースが非常に低いため、2027年および2028年の正規化EPS予想はそれぞれ764%、84%引き上げられた。レポートの財務予想では、純売上高は2025年の95.59億元から、2026年129.77億元、2027年180.35億元、2028年241.39億元へ増加する。EBITDAは17.07億元から、それぞれ48.50億元、90.82億元、143.21億元へ上昇する。別の主要ドライバー表では、EBITDAマージンは2025年の24.4%から、2026年39.8%、2027年52.3%、2028年60.8%へ上昇しており、約35%の通年調整後EBITDAマージンガイダンスとは異なる報告基準を反映している。 バリュエーションは引き続き2027年予想EV/EBITDAを使用する。ベースケースでは5.5倍を適用し、目標株価16.00米ドルに対応する。このマルチプルは米国のネオクラウド企業の平均13倍および中央値10倍を下回っており、Kingsoft Cloudの低い総資産利益率とサプライチェーンの利用可能性に関する大きな不確実性を反映している。モルガン・スタンレーは、企業間で減価償却方針が異なり、EBITには限界があるため、EBITDAの方が企業間比較に適しているとして選択した。目標株価は主に2027年EBITDA予想の上方修正を受け、15.00米ドルから16.00米ドルへ7%引き上げられた。強気ケースは、ハイエンドGPU需要の強まり、より速いEBITDA成長、XiaomiのMimoモデルにおける前向きな進展を前提として、27.00米ドルおよび2027年予想EV/EBITDAの7.0倍を維持する。弱気ケースも、中国におけるAI開発の鈍化を主な前提として、4.00米ドルおよび4.0倍を維持する。レポートはまた、アクティブ機関投資家保有比率が53.7%、ヘッジファンド関連の業界ロング/ショート比率が2.1倍、ネットエクスポージャーが33.6%であるとしている。
分析フレームワーク
モルガン・スタンレーはまず、カンファレンスコールおよびノンディール・ロードショーの情報を用いて、経営陣の売上、粗利益率、営業利益率、EBITDAマージン、投資ガイダンスを検証し、その後、AIコンピュート、MaaS、エンタープライズクラウドの需要、競争優位性、収益モデルを個別に分析した。続いて、最新の事業評価を2026年から2028年の売上、費用、EBITDA、EPS予想に反映し、最後に2027年予想EV/EBITDAおよび強気・ベース・弱気シナリオを用いて目標株価とリスク・リワード評価を更新した。
手法メモ
2027年予想EV/EBITDAバリュエーション
レポートは企業価値をEBITDAで除した指標でバリュエーションを評価し、ベースケースでは5.5倍を適用する。この指標は、異なる減価償却方針および限定的なEBITが企業間比較に与える影響を軽減する。
強気・ベース・弱気シナリオによるバリュエーション
レポートは、GPU需要、モデル開発、中国AI成長に関する前提の違いに応じたバリュエーションレンジを示すため、2027年予想EV/EBITDAの7.0倍、5.5倍、4.0倍を適用し、それぞれ27米ドル、16米ドル、4米ドルに対応させている。
AIコンピュートの需給分析
レポートは、コンピュート供給不足、顧客による値上げの受容、GPU調達、リソース配分戦略に基づいて、AIクラウド売上、契約の可視性、マージン変化を評価している。
売上成長、粗利益率、費用管理からEBITDAおよびEPSへの波及
レポートは、AI事業構成比の上昇、粗利益率改善、営業費用前提の引き下げを組み合わせ、EBITDAおよび正規化EPS予想の上方修正が売上予想の改定を大幅に上回る理由を説明している。
モルガン・スタンレーModelWare予測フレームワーク
別途記載がない限り、レポートの財務指標および予想はモルガン・スタンレーのModelWareフレームワークに基づき、最新の四半期決算と経営陣ガイダンスを2026年から2028年のモデル改定に反映している。
資産マッピングと比較
投資テーゼから固有資産への構造化マッピング(強み、弱み、同業、リスク)。
- Kingsoft Cloud Holdings (Kingsoft Cloud, KC.US)レポートは、同社がハイエンドGPUおよびAIコンピュートへの需要、継続的な供給不足、AIクラウドおよびMaaS事業の拡大から恩恵を受けるとみている。
- 強み
- ハイパースケール顧客とのフルライフサイクル契約締結および多額の前払金獲得能力。MaaSは高いSLA、モデル中立性、幅広いモデル接続性、元のモデルプロバイダーに近い推論最適化能力を提供する。厳格な費用管理。
- 弱み
- エンタープライズクラウドは低から中程度の一桁成長にとどまると予想され、ハードウェア価格上昇により顧客が意思決定を先送りしている。長期契約顧客へのコンピュートリソース優先配分は、一部の短期的なマージンを犠牲にする。
- 比較
- ベースケースのバリュエーションは2027年予想EV/EBITDAの5.5倍であり、米国のネオクラウド企業の平均13倍および中央値10倍を下回る。これは低い総資産利益率とより大きなサプライチェーン不確実性を反映する。
- リスク
- 供給制約が調達不足を招く可能性があり、金利上昇は資金調達コストに影響を及ぼす可能性がある。中国AIモデルの開発が予想より遅い場合、需要およびバリュエーションが弱まる可能性がある。
主要データ
- 2026年売上成長ガイダンス30%-40%据え置き。レンジ中間値を達成する可能性が高く、下期の売上成長加速を示唆する。
- 2026年通年粗利益率ガイダンス約15%AIクラウドとMaaSの双方の寄与により、四半期粗利益率は安定または上昇すると見込まれる。
- 2026年第2四半期の調整後営業利益率4%同社はその後も概ね安定または上昇すると予想しており、通年でプラス化できると確信している。
- 2026年調整後EBITDAマージンガイダンス約35%経営陣が通年の収益性ガイダンスを再表明した。
- 総投資計画150億元計画通り進行しており、第3四半期は順調なスタートとなった。
- 2026年AI売上成長予想109%旺盛なコンピュート需要とサーバー投資が牽引する。
- MaaSプラットフォーム規模120モデルおよび230顧客MaaSは同社事業の中で最も高い粗利益率を有する。
- 売上予想改定2026年 -0.9%; 2027年 +0.7%; 2028年 +3.1%短期的な引き下げは主にエンタープライズクラウドサービスの見通し悪化を反映する。
- EBITDA予想改定2026年 +2.5%; 2027年 +4.9%; 2028年 +10.1%粗利益率見通しの改善と厳格な費用管理を反映する。
- 営業費用前提の改定9.2%-10.7%引き下げEBITDAおよびEPS予想の改善を牽引する。
- 正規化利益予想改定2026年の1株当たり損失は26%縮小、2027年EPSは764%上方修正、2028年EPSは84%上方修正2027年および2028年の大幅な上方修正は、非常に低い比較ベースを一部反映している。
- 純売上高予想2025-2028年: 95.59億元、129.77億元、180.35億元、241.39億元モルガン・スタンレーのモデル予想。
- EBITDA予想2025-2028年: 17.07億元、48.50億元、90.82億元、143.21億元モルガン・スタンレーのモデル予想。
- 目標株価改定15.00米ドルから16.00米ドルへ引き上げ主に2027年EBITDA予想の上方修正を受け、7%引き上げられた。
- リスク・リワードシナリオ強気 27.00米ドル、ベース 16.00米ドル、弱気 4.00米ドルそれぞれ2027年予想EV/EBITDAの7.0倍、5.5倍、4.0倍を適用。
- 市場価格指標終値12.37米ドル、52週間レンジ8.35米ドル-18.52米ドル2026年8月19日時点の終値。レポートは目標株価まで29%の上昇余地としている。
影響と示唆
レポートは、AIコンピュート不足と顧客による値上げの受容によりKingsoft Cloudが堅調な売上成長を維持できるとみている。一方、フルライフサイクル契約と前払金は、一部の短期的なマージンを犠牲にして、長期的な売上可視性とキャッシュフローを改善できる。MaaS、アセットライトなマネージドクラウド、従来型ストレージサービスへの需要は事業構成と粗利益率を改善し、費用管理によりEBITDAおよびEPSは売上より速く改善するはずである。 エンタープライズクラウドは、ハードウェア価格上昇が顧客の意思決定を遅らせているため、短期的には成長の足かせであり続ける。FDEモデルがプロジェクト型事業を継続収益へ転換できれば、売上の質を改善する可能性がある。したがってモルガン・スタンレーは中長期の利益予想とベースケースの目標株価を引き上げたが、総資産利益率およびサプライチェーンの不確実性を反映するため、米国のネオクラウド企業に対して引き続き大幅なバリュエーション・ディスカウントを適用している。
リスク
- 供給側の制約によりGPUおよび関連機器の調達が不足し、コンピュート展開と売上実現に影響する可能性がある。
- 予想を上回る金利上昇により資金調達コストが増加し、投資収益が悪化する可能性がある。
- 中国AIモデルの開発が予想より遅い場合、コンピュート需要を圧迫する可能性がある。弱気ケースでは中国のAI開発減速を明示的に前提としている。
- 低い総資産利益率とサプライチェーンの利用可能性に関する不確実性が、引き続きバリュエーションマルチプルを制約する可能性がある。
注目点
- 2026年下期に売上が加速し、通年成長率が30%-40%ガイダンスレンジの中間値に近づけるかを注視する。
- 四半期粗利益率、調整後営業利益率、および約35%の通年調整後EBITDAマージンを達成できるかを注視する。
- 150億元の投資計画、GPU調達の進捗、および同社の想定通りコンピュート不足が少なくとも1年間継続するかを注視する。
- MaaSの顧客数およびモデル数、海外展開、XiaomiのMimoモデルの進捗を注視する。
- ハードウェア価格上昇によるエンタープライズクラウド顧客の意思決定遅延と、事業を継続収益へ転換するFDEモデルの有効性を注視する。
- 金利変動が資金調達コストおよび投資収益に与える影響を注視する。