Kingsoft Cloud(KC) レポート解説
レポートは、急成長するAIクラウド、顧客前払い、Xiaomiおよび外部AI顧客からの需要が、Kingsoft Cloudの売上高拡大と投資回収を支えると論じている。Goldman SachsはBuy評価、12カ月US$18の目標株価としている。
要約
レポートは、急成長するAIクラウド、顧客前払い、Xiaomiおよび外部AI顧客からの需要が、Kingsoft Cloudの売上高拡大と投資回収を支えると論じている。Goldman SachsはBuy評価、12カ月US$18の目標株価としている。
- 2Q26のAIクラウド売上高は前年比82%増のRmb1.3bnで、総売上高の43%を占めた。
- 経営陣は2026年にRmb15bnの設備投資を計画し、AI IaaSの売上高回収期間を3.5年と見積もる。前払いとレンタルによりキャッシュフロー回収はより短い。
- 経営陣は2026年に約35%のEBITDA利益率、GAAP EBITの継続的な黒字、2027年の調整後純利益黒字化を目標とする。
- Goldman SachsはWACC 10.3%と永久成長率3%のDCFを用いてKCをUS$18と評価している。
レポート解説
概要
このカンファレンス要点レポートは、Kingsoft CloudのAI主導のクラウド成長、設備投資計画、収益性への道筋を扱う。Goldman Sachsは、KCがXiaomiのAI投資およびAI・インターネット顧客からの幅広い需要の恩恵を受けるとみて、Buy評価とUS$18の目標株価を維持している。
主要見解
中心的な成長ドライバーはAIクラウドである。2Q26の総売上高は前年比31%増で、AIクラウドが主導した。AIクラウド売上高は前年比82%増のRmb1.3bnとなり、パブリッククラウド売上高の56%、総売上高の43%を占めた。このうちMaaSはRmb120mnで、AIクラウド売上高の9%に相当する。対照的に、エンタープライズクラウド売上高は前年比1%減で、一部は会計変更により一部の継続収入がパブリッククラウドへ分類されたためである。XiaomiおよびKingsoft関連売上高は前年比28%増で、売上高の26%を占め、経営陣は3Q26に成長が加速すると予想している。AIラボ、インターネット企業、具現化AI、スマートドライビング、フィンテック企業を含む上位5社の非エコシステム顧客売上高は51%増加した。 MaaSはAIクラウド構成の中で重要な高利益率要素として位置付けられている。KCは230社の顧客に120のモデルを提供しており、主に汎インターネットの主要顧客向けで、用途はAIコーディングが80%、AIワークフローが20%である。レポートは、粗利益率が10%のクローズドソースモデルのAPI再販と、収益分配を伴わないオープンモデルのホスティングによる、より高利益率のトークン販売を区別している。経営陣はMaaSがコンピューティングパワーの調達における柔軟性を高めるとみており、KCとAIラボの推論最適化能力の差は限定的だと考えている。 利益率の改善は、ミックスと契約の経済性の両方に左右される。経営陣は、粗利益率が2Q26比で安定または緩やかに改善すると予想している。MaaSは売上高の変動にもかかわらず最も高い粗利益率を持ち、減価償却費の低下と価格上昇の恩恵を受ける従来型パブリッククラウドが続く。AIコンピューティングは主に主要顧客との長期契約で構成されるため利益率が低いが、小規模顧客では理論上40–50%の粗利益率が見込まれる。CDNは引き続き最も低い粗利益率の事業である。主な変動要因は、主要顧客と中小企業の顧客構成、契約期間、直接設備投資の70–80%をカバーし得る顧客前払いである。経営陣は、AIクラウドのEBITDA利益率上昇を背景に、2026年のEBITDA利益率が約35%に達すると見込む。GAAP EBITは、粗利益率の上昇、営業費用の厳格な管理、信用損失の戻入れにより2Q26に初めて黒字化し、経営陣は黒字維持を目指す。さらに2027年には調整後純利益の黒字化を目標とする。残存価値を見込まない4–5年の減価償却方針により、2H23の最初のAI設備投資分の減価償却費は2H27から顕著に低下する見込みである。 投資判断は、経営陣が計画する能力拡張とその回収期間にも基づく。KCの2026年ベースケースの設備投資予算は、直接調達およびコンピューティングパワーのレンタルを含めRmb15bnであり、1H26のRmb6.2bn、2025年のRmb8.2bn、2024年のRmb4bn超と比較される。1H26の値上げ後、コンピューティングパワー価格はより安定し、経営陣によれば顧客のコミットメントが早まっている。AI IaaSの売上高ベースの回収期間は現在3.5年で、顧客前払いとリースしたコンピューティングパワーを考慮すればキャッシュフローベースではより短い。中国でサーバーコストが上昇するなか、KCはMaaSよりもAIラボおよびクラウドサービスプロバイダーによるAIトレーニング需要を優先し、土地・電力コストが高いにもかかわらず、エコシステム顧客の需要に対応してASEANで低コストのコンピューティングパワー供給を探している。 エンタープライズクラウドについて、経営陣は従来顧客のIT予算がAIへ配分されつつあるとみている。KCは、人材代替に関わるAIワークフローで追加予算を獲得する可能性を見込むが、この機会はまだ初期段階にある。KCはハイブリッド導入能力を強みとする一方、営業および導入人材が実行上の重要資源であると指摘している。 Goldman SachsはKCを中国の有力クラウドサービスプロバイダーと位置付け、中国クラウド同業の中でAI売上高寄与率が最も高く、2025年に31%だったとする。Xiaomiについては2025–28Eの売上高CAGRが46%になると予測し、そのAI投資の拡大と物理的エコシステムとのAI統合からKCが恩恵を受けるとみている。レポートはまた、他のインターネット企業およびAI企業からのAIトレーニング需要が継続していると指摘する。Goldman SachsはBuy評価で、WACC 10.3%および永久成長率3%のDCFを用いて12カ月US$18の目標株価を設定している。
分析フレームワーク
本レポートは、Asia Leaders Conferenceにおける経営陣コメント、2Q26の事業データ、セグメント別売上高・利益率分析、顧客および契約構成の議論、ならびに設備投資回収の前提を組み合わせている。Goldman Sachsはその後、明示した割引率と永久成長率の前提を用いるDCF評価でレーティングを裏付けている。
手法メモ
割引キャッシュフロー評価
Goldman Sachsは、WACC 10.3%と永久成長率3%を用いて予想キャッシュフローを割り引き、12カ月US$18の目標株価を算出している。
セグメント別および顧客別の売上高構成分析
レポートはAIクラウド、MaaS、エンタープライズクラウド、エコシステム顧客、非エコシステム顧客を分け、成長の源泉と粗利益率への影響を説明している。
資産マッピングと比較
投資テーゼから固有資産への構造化マッピング(強み、弱み、同業、リスク)。
- Kingsoft Cloud (KC)主要カバレッジ対象のクラウドサービス企業であり、AIクラウド需要、Xiaomiの投資、ならびにより広範なAIトレーニング需要の恩恵を受けるとレポートはみている。
- 強み
- 2Q26のAIクラウド売上高は前年比82%増、MaaSの粗利益率は最も高く、経営陣はハイブリッド導入能力と顧客前払いが設備投資を支えるとみている。
- 弱み
- 2Q26のエンタープライズクラウド売上高は前年比1%減で、その一部は会計上の再分類によるもの。CDNの粗利益率は最も低い。
- 比較
- Goldman Sachsは、KCが中国のクラウドサービス同業の中でAIの売上高寄与率が最も高く、2025年に31%だったとしている。
- リスク
- サプライチェーンおよび高性能チップの調達、同業他社との競争、主要顧客のAI投資の下振れ、設備投資資金の制約、株式希薄化。
主要データ
- 2Q26総売上高成長率+31% yoy成長はAIクラウドが主導した。
- 2Q26 AIクラウド売上高Rmb1.3bn; +82% yoyAIクラウドはパブリッククラウド売上高の56%、総売上高の43%を占めた。
- 2Q26 MaaS売上高Rmb120mnAIクラウド売上高の9%に相当する。
- XiaomiおよびKingsoft関連売上高成長率+28% yoyこのセグメントは2Q26売上高の26%を占め、経営陣は3Q26の成長加速を予想している。
- 上位5社の非エコシステム顧客売上高成長率+51% yoy顧客にはAIラボ、インターネット企業、具現化AI、スマートドライビング、フィンテック企業が含まれる。
- 2026年EBITDA利益率目標c.35%経営陣はこの目標をAIクラウドのEBITDA利益率上昇によるものとしている。
- 2026年設備投資予算Rmb15bn直接調達とコンピューティングパワーのレンタルを含む。1H26のRmb6.2bn、2025年のRmb8.2bn、2024年のRmb4bn超との比較。
- AI IaaSの売上高回収期間3.5 years経営陣は顧客前払いとリースしたコンピューティングパワーを考慮すると、キャッシュフロー回収期間はより短いとしている。
- Goldman Sachsの売上高予想Rmb9,558.6mn in 2025; Rmb12,816.4mn in 2026E; Rmb16,428.7mn in 2027E; Rmb19,988.6mn in 2028Eレポートに示された売上高予想の推移。
- Goldman SachsのEBITDA予想Rmb2,328.1mn in 2025; Rmb4,541.0mn in 2026E; Rmb6,443.4mn in 2027E; Rmb8,367.7mn in 2028Eレポートに示されたEBITDA予想の推移。
影響と示唆
レポートは、高利益率のMaaSおよびパブリッククラウドの拡大に伴い、AIクラウドがKCの売上高成長を押し上げ、収益性を支えると論じている。一方、前払いとレンタルは能力投資の経済性を改善する。XiaomiのAI投資と外部AIトレーニング需要を主な売上高可視性の源泉とするが、実行は能力、顧客構成、導入能力に依存する。
リスク
- サプライチェーンの混乱または高性能チップを確保できないことが拡張を制約する可能性がある。
- 同業他社からの競争圧力の高まりが見通しを弱める可能性がある。
- Xiaomiを含む主要顧客のAI投資が予想を下回る可能性がある。
- KCが設備投資を支える十分な資金を確保できない可能性がある。
- 希薄化を伴う資金調達活動が株主に圧力を及ぼす可能性がある。
注目点
- AIクラウドが引き続き成長を牽引するか、またXiaomiおよびKingsoft関連売上高の成長が3Q26に加速するか。
- 粗利益率の維持または改善、2026年に約35%のEBITDA利益率を達成する進捗、ならびにGAAP EBITの黒字維持。
- Rmb15bnの2026年設備投資計画、顧客前払い、および示されたAI IaaS回収期間の実行状況。
- AIラボ、クラウドサービスプロバイダー、その他のインターネットおよびAI顧客からの需要、ならびにコンピューティングパワーの供給とコスト。