Japan CCL and semiconductor substrate materials demand:8月のCCL輸出はABF需要の底堅さを示す一方、BT基板需要の軟化懸念も示唆
日本の8月CCL輸出額は前年比30%増となった一方、7月の過去最高水準から前月比24%減少した。Goldman SachsはAI関連ABF基板の需要は強いとみる一方、スマートフォン関連を含むBT基板需要の軟化を警戒している。
要約
日本の8月CCL輸出額は前年比30%増となった一方、7月の過去最高水準から前月比24%減少した。Goldman SachsはAI関連ABF基板の需要は強いとみる一方、スマートフォン関連を含むBT基板需要の軟化を警戒している。
- 8月のCCL輸出量は前年比2%減、前月比15%減。
- 輸出額は前年比30%増となったが、前月比では24%減少。
- 輸出額の前月比減少率が輸出量を上回り、高付加価値製品ミックスの悪化を示唆する。
- BT材料へのエクスポージャーを踏まえ、三菱ガス化学の下期販売量の動向が重要な注目点。
- Resonacは強いABF材料需要の恩恵を引き続き受けるとみられる。
レポート解説
概要
Goldman Sachsは、半導体基板需要のシグナルを探るため、2026年8月の日本のCCL貿易データを検証している。AI関連コンピューティング向けABF材料の需要は堅調と判断する一方、月次貿易データの悪化をBT基板および三菱ガス化学の下期販売量に対する潜在的な警戒材料とみている。
主要見解
日本の2026年8月のCCL輸出データは強弱が混在した。輸出量は前年比2%減、前月比15%減だった一方、輸出額は前年比30%増となったが前月比24%減少した。Goldman Sachsは、7月の輸出額が前月比20%増で過去最高に達していたため、8月の反落には通常の要因もあると指摘する。それでも減少幅は予想より軟調な印象を残した。 輸出量が前年比でほぼ横ばいである一方、輸出額が30%増加したことから、報告書は平均販売価格が有利な製品ミックスと過去の値上げに引き続き支えられたと推測している。しかし7月から8月にかけては輸出額の減少が輸出量より大きく、高付加価値製品の寄与を含む製品ミックスが前月比で悪化した可能性を示す。 同社は、弱さの中心はBT基板にあるとみている。BT基板向けCCL需要は相対的に軟調だったと推定し、スマートフォン関連需要は一時の強さの後にピークを迎えつつある可能性があると述べる。メモリー価格の上昇でデバイスコストが上がり、最終市場需要を圧迫し始めている可能性がある。三菱ガス化学は半導体パッケージ基板向けBT材料で高いシェアを持つため、Goldman Sachsは8月の弱さがBT基板需要のより広範な減速と同社の下期販売量成長の鈍化を示すか注視すべきとしている。 対照的に、GPU、ASIC、CPU向けを中心とするABF基板の需要は堅調にみえる。報告書によれば、ResonacはABF基板材料へのエクスポージャーがより大きいが、輸出統計は基礎需要トレンドを限定的にしか示さない。下館工場から日本の大手パッケージ基板メーカーへの出荷や、台湾事業から主要台湾基板メーカーへの出荷など、相当な出荷が輸出データに含まれないためである。それでもGoldman Sachsのチャネルチェックでは、AIサーバーGPU、ASIC、CPUの需要はいずれも非常に強く、ResonacがABF材料需要の恩恵を受け続けるとの見方を支えている。
分析フレームワーク
報告書は日本の財務省によるCCL貿易統計を用い、輸出量と輸出額を前年比・前月比で比較し、その差から価格設定と製品ミックスを判断している。BTとABFという基板用途別に需要を分け、チャネルチェックで貿易データの分析を補完する一方、Resonacの一部出荷は輸出統計に反映されない点も指摘している。
手法メモ
BTおよびABF基板材料について、最終市場と用途別の需要を分析する手法。
Goldman SachsはCCL輸出動向をスマートフォンおよびAI関連コンピューティングの需要と結び付け、BT基板需要の軟化とABF基板需要の堅調さを区別している。
輸出量と輸出額を比較し、平均販売価格と製品ミックスの影響を推定する手法。
報告書は、輸出量が前年比でほぼ横ばいの一方で輸出額が30%増えたことを、製品ミックスと値上げの寄与と解釈している。同時に、輸出額の月次減少がより大きいことを高付加価値ミックスの弱まりのシグナルとみている。
EV/GCIとCROCI/WACCの相関に基づくバリュエーション手法。
2社の目標株価は、EV/GCIと予想CROCI/WACCの関係から導かれる素材セクターのキャッシュリターン倍率を基に、セクター平均に対する企業固有のディスカウントまたはプレミアムを適用している。
資産マッピングと比較
投資テーゼから固有資産への構造化マッピング(強み、弱み、同業、リスク)。
- Mitsubishi Gas Chemical (4182.T)半導体パッケージ基板向けBT材料で高い市場シェアを持つため、同社の下期販売量成長はBT需要のより広範な減速に敏感である。
- 強み
- 半導体パッケージ基板向けBT材料で高い市場シェアを持つ。
- 弱み
- スマートフォン関連を含むBT基板需要の軟化の可能性。
- 比較
- ABF基板材料へのエクスポージャーがより大きいResonacに対し、同社はBT材料へのエクスポージャーが大きい。
- リスク
- 半導体材料市場の需要見通し、メタノールの価格環境、為替変動。
- Resonac Holdings (4004.T)ABF基板材料へのエクスポージャーがより大きく、AIサーバーGPU、ASIC、CPUの強い需要から恩恵を受ける位置にある。
- 強み
- チャネルチェックによれば、ABF基板材料の基礎需要は強い。
- 弱み
- 相当な出荷が輸出統計に含まれないため、輸出統計から得られる需要の示唆は限定的である。
- 比較
- BT材料で高い市場シェアを持つ三菱ガス化学に対し、同社はABF材料へのエクスポージャーが大きい。
- リスク
- 半導体需要の減速、円高、黒鉛電極収益の低下。
主要データ
- 2026年8月のCCL輸出量-2% YoY; -15% MoM重量ベースの輸出量は減少した。
- 2026年8月のCCL輸出額+30% YoY; -24% MoM輸出額は前年比で増加したが、7月の過去最高水準後に大幅に減少した。
- 2026年7月のCCL輸出額+20% MoM前月の増加により輸出額は過去最高に達した。
- 三菱ガス化学の目標株価¥4,70012カ月目標株価、Neutral評価。
- Resonacの目標株価¥25,06012カ月目標株価、Buy評価。
影響と示唆
報告書は半導体材料へのエクスポージャーを区別している。BT基板需要の減速は三菱ガス化学の下期販売量見通しを圧迫し得る一方、AIサーバー関連のABF需要の底堅さはResonacを支える。重要な出荷が輸出統計に含まれないため、貿易データはResonacにとって不完全な指標である。
リスク
- 三菱ガス化学のリスクには、半導体材料需要の見通し、メタノール価格環境、為替変動が含まれる。
- Resonacのリスクには、半導体需要の減速、円高、黒鉛電極収益の低下が含まれる。
注目点
- 8月の弱さがBT基板需要のより広範な減速に発展するか。
- 三菱ガス化学の下期販売量成長の軌道。
- AIサーバーGPU、ASIC、CPU向けABF材料需要が持続するか。
- メモリー価格上昇がデバイスコストを押し上げる中でのスマートフォン関連需要。