SMIC(0981.HK):価格設定と製品ミックスの改善がコスト圧力を相殺、SMICの中立評価を維持
SMICの第2四半期売上高と粗利益率はいずれも会社ガイダンスを上回った。AI周辺チップ需要と価格改善が第3四半期の一段のマージン拡大を支えるが、バリュエーションとコスト圧力が上値を抑える。
要約
SMICの第2四半期売上高と粗利益率はいずれも会社ガイダンスを上回った。AI周辺チップ需要と価格改善が第3四半期の一段のマージン拡大を支えるが、バリュエーションとコスト圧力が上値を抑える。
- 2Q26の売上高はUSD3.006bnで、前四半期比20.0%増、前年同期比36.1%増。
- 2Q26の粗利益率は25.3%で、1Q26から5.2ポイント上昇し、会社の20%-22%のガイダンスレンジを上回った。
- 同社は3Q26について、売上高が前四半期比2%-4%増、粗利益率が26%-28%になるとガイダンスを示した。
- AI関連周辺チップ、BCD/アナログ、特殊メモリの需給逼迫が選択的な価格設定を支える一方、スマートフォンや民生用電子機器など弱含む分野では価格調整を先送りしている。
- Nomuraは、2026Fの1株当たり簿価の3.5倍に基づき、中立評価および目標株価HKD75.00を維持する。
レポート解説
概要
SMICの第2四半期売上高と粗利益率はいずれも会社ガイダンスを大幅に上回った。出荷増、選択的な値上げ、顧客による前倒し発注が牽引した。Nomuraは、AI関連周辺チップの需要、海外生産能力からの代替効果、現地生産需要が、成熟ノードプロセスの需給と価格設定を改善させており、減価償却費および電力料金上昇による短期的なコスト圧力を十分に相殺するとみている。
主要見解
同社は一律の値上げを実施しておらず、特にAI周辺機器、BCD/アナログ、特殊メモリにおいて供給不足に直面するプラットフォームおよび顧客と新価格を交渉している。8インチウェハの価格改善は12インチウェハより強い可能性がある。新たな価格施策が継続的に反映され、設備稼働率が高水準を維持するなか、第3四半期の粗利益率にはなお上昇余地がある。同社はスマートフォン、民生用電子機器、一部の産業・自動車用途の価格設定については引き続き慎重である。
分析フレームワーク
実際の第2四半期業績と経営陣ガイダンスに基づき、本分析はNomuraの決算発表前予想および市場予想と比較し、ウェハ出荷量、平均販売価格、設備稼働率、コスト、下流アプリケーション構成を用いて業績トレンドを評価する。バリュエーションには2026Fの株価純資産倍率手法を用いる。
手法メモ
目標株価は2026Fの1株当たり簿価の3.5倍に基づく。
このバリュエーション倍率は、SMICの過去の取引レンジである0.7倍-4.0倍の上限近辺にあり、世界の半導体企業におけるP/Bと自己資本利益率の関係を参照している。
粗利益率のトレンドは、出荷量、平均販売価格、設備稼働率、コストの変化を通じて評価される。
第2四半期の出荷増と平均販売価格上昇が、売上高および粗利益率の改善をともに牽引した。高い生産負荷は単位コストの希薄化に寄与する。
資産マッピングと比較
投資テーゼから固有資産への構造化マッピング(強み、弱み、同業、リスク)。
- SMIC (0981.HK)カバレッジ対象企業
- 強み
- AI周辺チップ、BCD/アナログ、特殊メモリの需要は比較的強い。高い設備稼働率はコスト希薄化に寄与し、中国における現地生産と海外生産能力の代替が受注機会を生み出す。
- 弱み
- スマートフォンや民生用電子機器を含む一部の最終市場需要は依然弱く、新規生産能力と増加する減価償却費が引き続きマージンを圧迫する。
- 比較
- 目標株価は2026F P/Bの3.5倍を用いており、同社の過去のP/Bレンジである0.7倍-4.0倍の上限近辺にある。レポートによれば、株式は約3.3倍の2026F P/Bで取引されている。
- リスク
- 予想を下回る最終市場需要、予想を下回る価格交渉、減価償却費およびエネルギーコストの上昇、生産能力拡張ペースの変化、業界競争。
主要データ
- 2Q26売上高USD3,006mn前四半期比20.0%増、前年同期比36.1%増。
- 2Q26粗利益率25.3%1Q26の20.1%から5.2ポイント上昇。
- 2Q26ウェハ出荷量2,869千枚(8インチ換算)前四半期比14.4%増。
- 2Q26平均販売価格前四半期比5.7%上昇価格施策の反映と製品ミックスがともに寄与。
- 2Q26設備稼働率93.7%1Q26は93.1%。
- 3Q26売上高ガイダンス前四半期比2%-4%増同社は平均販売価格が安定的に推移すると予想している。
- 3Q26粗利益率ガイダンス26%-28%高い稼働率が減価償却費および夏季電力料金の圧力を相殺すると見込まれる。
- 2026年減価償却費予想USD5bn近辺同社は前年比で約30%の増加を見込んでいる。
影響と示唆
短期的な利益改善の中核的な牽引役は、製品ミックス最適化だけではなく価格設定である。AI周辺チップ、コンピューティング、BCD/アナログ、特殊メモリの供給不足が続けば、成熟ノードプロセスにおける交渉力と収益の耐性は維持される可能性がある。ただし、第3四半期の売上成長はすでに鈍化しており、民生用電子機器およびスマートフォン需要の回復、ならびに在庫積み増しのペースが、より広範な値上げを実現できるかを左右する。
リスク
- スマートフォン、民生用電子機器、産業・自動車市場からの需要回復が予想を下回ること。
- 顧客の前倒し発注後に在庫調整が生じ、出荷量が低下すること。
- 前年比の減価償却費増加および夏季電力料金の上昇が、高稼働率によるコスト希薄化を上回ること。
- 需給逼迫が特定のプラットフォームに限定され、価格改善が予想を下回ること。
- 成熟ノードにおける競争激化、または生産能力拡張が需要を上回ること。
注目点
- 3Q26の売上高成長率が前四半期比2%-4%のガイダンスレンジ内に収まるか。
- 3Q26の粗利益率が26%-28%に達するか、および新たな価格施策の反映度合い。
- AI周辺機器、コンピューティング、BCD/アナログ、特殊メモリにおける受注と価格設定の持続可能性。
- 顧客の在庫調整完了と、スマートフォンおよび民生用電子機器向け在庫積み増しの進展。
- 設備稼働率が高水準を維持できるか、ならびに減価償却費と電力コストがマージンに与える実際の影響。
- 同社によるAI周辺機器売上高のその後の単独開示。