Hansol Chemical(014680.KS):半導体材料の成長がQD材料の弱さを相殺する見込み;Goldman SachsはHansol Chemicalの買い評価を維持
Hansol Chemicalの第2四半期営業利益は、主にQD材料事業の継続的な低迷によりGoldman Sachsの予想を下回ったが、市場コンセンサスとはおおむね一致した。Goldman Sachsは、メモリーおよびファウンドリー顧客からの需要が半導体材料事業の成長を牽引すると見込んで買い評価を維持する一方、12カ月目標株価をW370,000からW360,000に引き下げた。
要約
Hansol Chemicalの第2四半期営業利益は、主にQD材料事業の継続的な低迷によりGoldman Sachsの予想を下回ったが、市場コンセンサスとはおおむね一致した。Goldman Sachsは、メモリーおよびファウンドリー顧客からの需要が半導体材料事業の成長を牽引すると見込んで買い評価を維持する一方、12カ月目標株価をW370,000からW360,000に引き下げた。
- 2Q26の売上高はW248bn、営業利益はW50bnであった。営業利益はBloombergコンセンサス予想のW51bnに近かったが、Goldman Sachs予想のW53bnを下回った。
- 過酸化水素の売上高は前年比で2桁成長を維持しており、Goldman Sachsは2026年と2027年の売上高成長率をそれぞれ19%、15%と予想している。
- 前駆体競争が激化するなか、Goldman Sachsは2026年の前駆体売上高予想を7%引き下げたが、2027年にはなお20%成長を見込んでいる。
- 電池材料は、ESS需要、新規顧客、EV市場の回復を背景に、2026年に7%、2027年に31%成長すると予想される。
- LCDテレビ需要の低迷および主要顧客のLCD事業縮小により、QD材料売上高は2026年に前年比30%減少すると予想される。
- 2026E~2028EのEPS予想はそれぞれ4%、5%、1%引き下げられ、目標株価はW360,000に引き下げられた。
レポート解説
概要
本レポートは、Hansol Chemicalの2Q26業績、各材料事業の成長見通し、および利益予想の変更を評価している。Goldman Sachsは、QDディスプレイ材料が引き続き逆風となる一方、半導体材料および電池材料の成長がより重要な利益ドライバーになると考えている。このため、利益予想と目標株価を引き下げつつも、買い評価を維持している。
主要見解
Hansol Chemicalは2Q26に売上高W248bn、営業利益W50bnを計上した。営業利益はBloombergコンセンサス予想のW51bnとおおむね一致したが、Goldman Sachs予想のW53bnを下回った。Goldman Sachsは、この乖離は主にQD材料事業の継続的な低迷によるものと考えている。LCDテレビ需要の弱さや顧客によるLCD事業縮小という逆風にもかかわらず、Goldman Sachsは、メモリーおよびファウンドリー顧客の需要に支えられた半導体材料の成長が同社の営業利益の着実な拡大を支え、最終的にはディスプレイ材料の弱さの影響を十分に上回って相殺できると引き続き考えている。 半導体材料では、過酸化水素の売上高はGoldman Sachsの予想とおおむね一致し、堅調な前年比2桁成長を達成した。Goldman Sachsは、2H26におけるSK Hynix M15XおよびSamsung P4の立ち上がりが数量成長を牽引し、Samsung P5およびSK Hynix Yongin 1が2027年のさらなる増分成長の機会をもたらすと見込んでいる。これに対応する過酸化水素売上高の成長率予想は、2026年および2027年にそれぞれ19%、15%である。同社は韓国の半導体グレードH2O2市場で支配的なシェアを有しており、これは半導体材料成長に関する中長期的に前向きな見通しの重要な基盤となっている。 前駆体事業の2Q26売上高はGoldman Sachsの予想をやや下回り、レポートはこれを競争激化によるものとしている。前駆体は1H26に力強い前年比成長を維持したものの、Goldman Sachsは競争激化が2H26にも継続して成長ペースを鈍化させると予想しており、2026年の前駆体売上高予想を7%引き下げた。それでも同社は前駆体製品ポートフォリオを拡大し続けており、主要なメモリーおよびファウンドリー顧客からの中長期需要は堅調に推移している。Goldman Sachsは、前駆体売上高が2027年に前年比20%成長すると見込んでいる。 電池材料にはバインダー、バッテリーテープ、シリコン負極材が含まれ、2Q26の売上高はおおむね予想通りだった。Goldman Sachsは、この事業の売上高が2026年に7%成長すると見込んでいる。ESS需要の増加、新規ESS顧客の追加、EV市場の回復により、売上高成長率は2027年に31%へ加速すると予想される。これは、比較的穏やかな短期成長の後、電池材料が翌年により意味のある増分成長源となり得ることを示唆している。 ディスプレイ材料は現在の主な足かせである。2Q26のQD材料売上高はGoldman Sachsの予想を大幅に下回り、低調な傾向が続いた。レポートは、LCDテレビ需要の低迷や主要顧客のテレビ戦略調整およびLCD事業縮小などを要因としている。これらを踏まえ、Goldman SachsはQD材料売上高が2026年に前年比30%減少すると予想しており、ディスプレイ材料が短期的に他事業の成長を相殺できる水準まで回復する可能性は低いとしている。 これらの変更を反映し、Goldman Sachsは2026E、2027E、2028Eの売上高予想を従来のW990.4bn、W1,104.0bn、W1,182.2bnから、それぞれW975.0bn、W1,091.0bn、W1,199.0bnへ修正した。対応するEBITDA予想はW256.7bn、W315.5bn、W353.8bnである。売上高は2026年から2028年にかけてそれぞれ10.3%、11.9%、9.9%成長し、EBITDAはそれぞれ22.1%、22.9%、12.1%成長すると予想される。EBITマージンは2026年の19.3%から、2027年には22.9%、2028年には23.6%へ上昇すると予想されている。Goldman Sachsはまた、2026E、2027E、2028EのEPS予想をそれぞれ4%、5%、1%引き下げ、従来のW15,207、W18,856、W20,413からW14,626、W17,955、W20,278とした。 バリュエーションについて、Goldman Sachsは各事業の成長性、利益率、競争力学の違いを反映するため、EV/EBITDAに基づくSOTPバリュエーションを用いている。テック材料事業は13.0xのEV/EBITDAを用いて1株当たりW282,000と評価しており、従来のW291,000および12.8xから変更した。EV電池材料事業は20.0xのEV/EBITDAを維持して1株当たりW80,000、製紙・環境事業は5.0xのEV/EBITDAを維持して1株当たりW4,000と評価している。最新の利益予想と同業他社のバリュエーション倍率に基づき、Goldman Sachsは12カ月目標株価をW370,000からW360,000へ引き下げた。レポート記載の現在株価W201,000に対して、これは79.1%の上昇余地を意味する。当時、株式は12カ月先予想P/Eの11.5xで取引されており、Goldman Sachsは買い評価を維持している。 レポートで明示された主なリスクは、顧客集中と原油・LNG価格上昇によるコスト圧力である。事業レベルでは、前駆体競争が引き続き激化するリスク、およびLCD需要の弱さと主要顧客の事業縮小によりQD材料の減少が大幅なまま続くリスクも投資家は注視すべきである。
分析フレームワーク
Goldman Sachsはまず、2Q26の売上高と営業利益を自社予想およびBloombergコンセンサス予想と比較し、QD材料を利益乖離の主因として特定している。次に、過酸化水素、前駆体、電池材料、QD材料について、需要、顧客の設備立ち上がり、競争、最終市場の変化を分析し、それに応じてセグメント売上高および会社利益予想を更新している。最後に、各事業の異なる成長性、利益率、競争特性に基づくSOTPバリュエーションを実施し、セグメント別EV/EBITDA倍率を用いて12カ月目標株価を導出している。
手法メモ
実績とGoldman Sachs予想および市場コンセンサスの比較
レポートは、2Q26営業利益W50bnをGoldman Sachs予想のW53bnおよびBloombergコンセンサス予想のW51bnと比較し、同行自身の予想に対する未達と市場予想とのおおむねの一致を区別した上で、その乖離をQD材料事業に帰している。
個別事業ラインを別々に評価し合算すること
Goldman Sachsは、異なる成長率、利益率、競争環境を反映するため、テック材料、EV電池材料、製紙・環境事業の1株当たり価値をそれぞれ推定し、これらの価値を用いて同社の目標株価を導出している。
EV/EBITDA倍率を用いたセグメント評価
レポートは、テック材料、EV電池材料、製紙・環境事業にそれぞれ13.0x、20.0x、5.0xのEV/EBITDA倍率を適用し、更新後の利益予想および最新の同業他社倍率と組み合わせてセグメント価値を決定している。
資産マッピングと比較
投資テーゼから固有資産への構造化マッピング(強み、弱み、同業、リスク)。
- Hansol Chemical (014680.KS)レポートは、同社がメモリーおよびファウンドリー顧客からの需要、半導体設備の立ち上がり、電池材料の成長から恩恵を受ける一方、QD材料の弱さと一部前駆体製品における競争激化という逆風に直面すると考えている。
- 強み
- 韓国の半導体グレードH2O2市場における支配的シェア;半導体材料に対する堅調な顧客需要;前駆体製品ポートフォリオの継続的な拡大;および新規ESS顧客とEV市場回復による電池材料の成長機会。
- 弱み
- QD材料事業はLCDテレビ需要の弱さと主要顧客のLCD事業縮小の影響を受けており、前駆体は最近、より激しい競争に直面している。
- 比較
- テック材料セグメントのバリュエーション倍率は、最新の同業他社倍率に基づき13.0x EV/EBITDAへ調整された。
- リスク
- 顧客集中、原油・LNG価格上昇によるコスト圧力、前駆体競争、およびQD材料需要の継続的な弱さ。
主要データ
- 2Q26売上高W248bn会社が報告した四半期売上高
- 2Q26営業利益W50bnBloombergコンセンサス予想のW51bnに近く、Goldman Sachs予想のW53bnを下回った
- 過酸化水素売上高成長率予想2026E +19%; 2027E +15%顧客の設備立ち上がりが数量成長を牽引すると予想される
- 2026年前駆体売上高予想の修正-7%競争激化により引き下げ
- 2027年前駆体売上高成長率予想+20% YoY製品ポートフォリオの拡大とメモリーおよびファウンドリー顧客からの需要に基づく
- 電池材料売上高成長率予想2026E +7%; 2027E +31%ESS需要、新規顧客、EV市場の回復が2027年の成長加速を牽引すると予想される
- 2026年QD材料売上高予想-30% YoYLCDテレビ需要の低迷および主要顧客のLCD事業縮小の影響
- 売上高予想2026E W975.0bn; 2027E W1,091.0bn; 2028E W1,199.0bn従来予想はそれぞれW990.4bn、W1,104.0bn、W1,182.2bn
- EBITDA予想2026E W256.7bn; 2027E W315.5bn; 2028E W353.8bnそれぞれ前年比22.1%、22.9%、12.1%の成長に対応
- EPS予想2026E W14,626; 2027E W17,955; 2028E W20,278それぞれ4%、5%、1%引き下げ;従来予想はW15,207、W18,856、W20,413
- テック材料セグメント価値W282,000/share13.0x EV/EBITDAに基づく;従来はW291,000/shareおよび12.8x
- EV電池材料セグメント価値W80,000/share20.0x EV/EBITDAに基づく;従来から変更なし
- 製紙・環境事業セグメント価値W4,000/share5.0x EV/EBITDAに基づく;従来から変更なし
- 12カ月目標株価W360,000W370,000から引き下げ
- 現在株価と上昇余地W201,000; 79.1%レポートに記載された現在株価と目標株価までの上昇余地
- 12カ月先予想P/E11.5xレポートのチャートに示された取引バリュエーション
影響と示唆
Goldman Sachsは、QD材料の短期的な減少が一部の売上高・利益期待を低下させると考えているが、過酸化水素、前駆体、電池材料には、顧客の設備拡張、製品ポートフォリオの拡大、最終需要の回復といった成長ドライバーが残っている。半導体材料の構造的成長は全体の営業利益拡大を支えると予想される。したがって、利益予想と目標株価は引き下げられたものの、レポートの買い判断は変わらない。
リスク
- 顧客集中により、単一顧客の需要または戦略の変化が会社業績に与える影響が増幅される可能性がある。
- 原油・LNG価格の上昇がコスト圧力を高める可能性がある。
- 前駆体競争の激化により、2H26も成長鈍化が続く可能性がある。
- LCDテレビ需要の低迷と主要顧客のLCD事業縮小により、QD材料売上高が引き続き圧迫される可能性がある。
注目点
- 2H26におけるSK Hynix M15XおよびSamsung P4の設備立ち上がりが過酸化水素の販売数量を牽引できるかを注視する。
- Samsung P5およびSK Hynix Yongin 1が2027年に過酸化水素の増分需要を生み出せるかを注視する。
- 前駆体競争の激しさ、製品ポートフォリオ拡大、および2027年の売上高成長率20%予想の達成状況を注視する。
- ESS需要、新規ESS顧客獲得、EV市場回復が2027年の電池材料成長に寄与する度合いを注視する。
- LCDテレビ需要および主要顧客のLCD事業縮小がQD材料売上高に与えるその後の影響を注視する。