輸送、物流、サプライチェーン:米国サプライチェーンの混雑は「2」を維持する一方、週間指数は前週比5%上昇し、局地的な輸送圧力が続く
ゴールドマン・サックスの週間混雑評価は2026年8月24日時点で「2」を維持し、全体的な状況はパンデミック前に近い流動性を保った。ただし、東海岸で接岸待ちの船舶数は増加し、鉄道サービス指標はまちまちとなり、東アジアから米国西海岸への運賃は前週比約9%上昇した。
要約
ゴールドマン・サックスの週間混雑評価は2026年8月24日時点で「2」を維持し、全体的な状況はパンデミック前に近い流動性を保った。ただし、東海岸で接岸待ちの船舶数は増加し、鉄道サービス指標はまちまちとなり、東アジアから米国西海岸への運賃は前週比約9%上昇した。
- 週間総合混雑指数は前週比5%上昇したが、混雑評価は連続して「2」を維持した。
- 現在の混雑は過去最高評価の「10」を大幅に下回り、概ねパンデミック前のベースライン近辺にある。
- 接岸待ちのコンテナ船数は西海岸で1隻を維持した一方、東海岸では2隻から3隻へ増加した。
- 西海岸のClass I鉄道のインターモーダル取扱量成長率は前年比5%から4%へ鈍化した一方、鉄道サービス指標はまちまちだった。
- 東アジアから米国西海岸への海上運賃は約$7,420/FEUに上昇し、前週比約9%、前年比283%増となった。
- 6月には輸送および倉庫能力が縮小する一方、倉庫稼働率とサプライヤー納入時間による圧力は高まった。
レポート解説
概要
本レポートは、高頻度の週間指標と遅行する月次指標を用いて、米国サプライチェーンの流動性を追跡している。2026年8月24日終了週には混雑指数が前週比で緩やかに上昇したが、混雑評価は「2」を維持し、2021年12月から2022年1月のピークを大幅に下回り、パンデミック前のベースラインに近い水準にとどまった。局地的な圧力は主に、東海岸の船舶滞留、海上運賃、鉄道滞留時間、および6月の輸送・倉庫能力指標に現れた。
主要見解
第一に、本レポートの全体的な結論は、直近週に小幅な反転がみられたものの、米国サプライチェーンは比較的流動的な状態を維持しているというものである。8月24日終了週にゴールドマン・サックスの週間総合混雑指数は前週比5%上昇した一方、混雑評価は「2」を維持した。8月の月初来平均週間混雑評価も「2」だった。この水準は、2021年12月から2022年1月の混雑ピーク時に記録した「10」を大きく下回り、概ね2020年2月のパンデミック前ベースラインに近い。週間・月次変数の両方を組み込んだ総合指数は6月に平均「110」となり、混雑評価「2」に対応するものの、すでに「1」に近づいている。サプライチェーン圧力が広範に緩和し続ける場合、レポートは指数が2026年中により一貫して「1」のレンジに収まる可能性があるとみている。 港湾の状況は西海岸と東海岸で乖離した。米国西海岸で接岸・荷揚げ待ちのコンテナ船数は1隻で、前週から変わらなかった。一方、東海岸・湾岸の船舶滞留は2隻から3隻に増加した。西海岸の指標には、ロサンゼルス港およびロングビーチ港から40マイル以内に停泊する船舶に加え、さらに沖合で待機しながら減速航行する船舶も含まれる。衛星データに基づく東海岸の指標には、米国港湾から140マイル以内に位置し、少なくとも3日間そこにとどまり、西経100度より東に位置するコンテナ船が含まれる。これらのデータは、全体的な港湾待ち行列は限定的にとどまる一方、直近の追加的な圧力は東海岸に集中していることを示す。 インターモーダル鉄道の取扱量は前年比で成長を続けたが、運行効率指標は乖離した。西海岸のClass I鉄道であるBNSFとUNPの平均インターモーダル取扱量成長率は、前週の前年比5%から4%へ小幅に低下し、8月平均の成長率は約5%だった。BNSFのインターモーダル取扱量成長率は前年比2.3%から0.5%へ鈍化した一方、UNPは7.2%から8.0%へ加速した。ターミナル滞留時間は両社で増加し、UNPは20.0時間から20.2時間へ、BNSFは22.2時間から22.6時間へ上昇した。列車速度では、BNSFの前年比成長率は0.7%から0.3%へ鈍化し、UNPは前年比0.7%の低下を続けた。したがって、貨物量は底堅いものの、滞留時間と速度は一貫して改善していない。 コンテナシャーシの回転は、混雑ピーク時と比べて依然として大幅に良好である。直近週の20フィートコンテナシャーシの路上滞留時間は4.0日で前週から変化せず、40/45フィートシャーシの滞留時間も5.9日で変わらなかった。レポートは、8月のシャーシ滞留時間がサプライチェーンで最も混雑していた時期を大幅に下回ることを強調しており、陸上設備の回転が広範なボトルネックになっていないことを示す。旧Pool of Poolsの取り決め解消後、第32週からレポートはロサンゼルス港が提供する週間シャーシ滞留時間データへ切り替えた。 海上運賃は直近の週間データにおける最も明確な圧力点である。東アジアから米国西海岸へのコンテナ運賃は約$7,420/FEUで、前週の約$6,830から約9%上昇し、前年比成長率は前週の222%から283%へ拡大した。物理的な混雑評価は低水準にとどまるものの、運賃の大幅な前年比上昇は、輸送コストと港湾待ち行列が完全には連動していないことを示す。また、小売業者、消費財企業、インフレ関連の価格設定が直面するサプライチェーンのコストシグナルを個別に注視する価値があることも示している。 遅行する月次指標は、5月よりも6月に広範な圧力があったことを示している。サンペドロ湾の加重平均コンテナ滞留時間は約2.6日から約2.9日へ上昇した。鉄道コンテナ滞留時間は5.2日から5.4日へ上昇したが、2022年のピークである約16日をなお大幅に下回る。ロサンゼルス、ロングビーチ、オークランドという西海岸の主要3港における積載輸入コンテナ量は6月に前年比12%増となり、貨物量が増加したにもかかわらず、全体の滞留水準が極端な混雑に戻るには程遠いことを示している。 陸上輸送および倉庫能力の指標はより逼迫した。LMI輸送能力指数は5月の31.7から6月の30.8へ低下し、輸送能力がより速いペースで縮小したことを示す。倉庫能力指数は47.5で、縮小圏にあり5月を下回った。倉庫稼働率指数は62.9から69.4へ上昇し、稼働率の伸びが加速したことを示す。製造業サプライヤー納入PMIは42.6であり、50未満の数値は前月比で納入時間が長期化したことを示す一方、同指標は前年比14.5%上昇した。これらの指標を総合すると、全体的な混雑評価は低いものの、一部の輸送・倉庫資源で利用可能な能力が逼迫していることを示唆する。 道路貨物の雇用も、能力基盤がパンデミック前より弱い状態にとどまることを示している。6月のトラック輸送雇用はパンデミック前のピークを4.4%下回り、前年比成長率は過去6カ月平均でマイナス1.5%、5月には前月比0.1%低下した。中国から米国までのドアツードア輸送時間の最新値は10月時点で47日であり、9月の46日と概ね安定し、混雑ピーク時に記録された80日超を大幅に下回る。データ提供者からの更新が限られるため、レポートは指数更新時に翌年11月から4月まで輸送時間が不変と仮定しており、この指標は最新の変化を遅れて反映する。 レポートは、今後の重要変数は関税と地政学的紛争が貨物需要、出荷タイミング、そして世界貿易が正常化する能力にどのように影響するかだとみている。週間指数は通常、約1カ月遅行する月次総合指数に先行し、レポートはその後の月次更新が最近の週間トレンドを検証すると予想している。圧力が緩和し続ければ評価は「1」へ移行し得るが、現在の運賃、能力、および一部の滞留時間データは、低下軌道が必ずしも完全に滑らかではないことを示している。
分析フレームワーク
ゴールドマン・サックスはまず、船舶滞留、インターモーダル鉄道の取扱量・速度、ターミナルおよびシャーシの滞留時間、海上運賃を含む高頻度の週間データを用いて直近の方向性を評価し、その後、港湾滞留時間、輸入コンテナ量、ドアツードア輸送時間、道路貨物雇用、LMIの能力・稼働率、PMIサプライヤー納入時間を含む月次データを用いてより広範に確認する。各指標の変化は2020年2月3日のパンデミック前ベースラインに対して算出され、ボトルネックに最も直接関連する指標により大きなウェイトを付与し、最終的に1から10の混雑評価へマッピングされる。週間版は毎週更新され、約1カ月先行する方向性指標として機能し、週間・月次を組み合わせた版は毎月更新される。
手法メモ
GSサプライチェーン混雑スケール
レポートは、港湾待ち行列、輸送時間、各種滞留時間、鉄道取扱量、鉄道速度などの指標について2020年2月3日のベースラインからの変化を加重集計し、その結果を1から10の混雑評価へマッピングする。評価が高いほど、サプライチェーンのボトルネックが深刻であることを示す。
週間高頻度指標は月次総合指標に先行する
レポートは、サプライチェーンにおける方向性の変化を特定するため、毎週更新される高頻度総合指数を用いる。その後、約1カ月遅行する、より包括的な月次総合指数によって確認する。
港湾—鉄道—シャーシ—倉庫—最終配送の連鎖
レポートは、海上船舶の到着、港湾滞留時間、インターモーダル鉄道、シャーシ回転、倉庫能力、サプライヤー納入時間を同時に追跡し、局地的なボトルネックが輸送・物流ネットワークを通じて小売業者、消費財企業、および価格圧力へどのように波及するかを評価する。
主要データ
- 週間混雑指数前週比+5%2026年8月24日終了週に前週比で緩やかに上昇
- 週間混雑評価2前週から不変で、過去最高の10を大幅に下回る
- 6月の週間・月次総合指数110混雑評価2に対応するが、評価1に近い
- 西海岸で接岸待ちのコンテナ船1隻前週比不変
- 東海岸・湾岸で接岸待ちのコンテナ船3隻前週は2隻
- 西海岸Class I鉄道の平均インターモーダル取扱量成長率前年比+4%前週は+5%;8月平均は約+5%
- BNSFおよびUNPのインターモーダル取扱量成長率前年比+0.5% / 前年比+8.0%前週はそれぞれ+2.3%および+7.2%
- UNPおよびBNSFのターミナル滞留時間20.2時間 / 22.6時間前週はそれぞれ20.0時間および22.2時間
- 20フィートおよび40/45フィートシャーシの路上滞留時間4.0日 / 5.9日いずれも前週から不変で、混雑ピークを大幅に下回る
- 東アジアから米国西海岸への運賃約$7,420/FEU前週比約+9%、前年比+283%;前週は約$6,830、前年比+222%
- サンペドロ湾の加重平均コンテナ滞留時間約2.9日6月データ、5月の約2.6日との比較
- 鉄道コンテナ滞留時間5.4日5月は5.2日で、2022年の約16日というピークをなお大幅に下回る
- 西海岸主要3港の積載輸入コンテナ量前年比+12%ロサンゼルス港、ロングビーチ港、オークランド港の6月合計
- LMI輸送能力指数30.85月の31.7を下回り、能力の縮小が加速したことを示す
- LMI倉庫能力・稼働率指数47.5 / 69.46月には倉庫能力が縮小する一方、稼働率は5月の62.9から69.4へ上昇
- 製造業サプライヤー納入PMI42.66月に50を下回り、納入時間の長期化を示す;前年比+14.5%
- トラック輸送雇用パンデミック前ピークを4.4%下回る前年比成長率は過去6カ月平均で-1.5%;5月は前月比-0.1%
- 中国から米国までのドアツードア輸送時間47日10月データ。9月の46日と比べ、混雑ピーク時に記録された80日超を大幅に下回る
影響と示唆
レポートは、全体的なサプライチェーン流動性は広範なボトルネックが再発していないことを意味する一方、海上運賃の上昇、輸送・倉庫能力の縮小、一部の滞留時間の増加は、小売業者、消費財企業、インフレ関連の価格設定に引き続き影響し得るとみている。週間指標の上昇はその後の月次データによる確認を要し、全体的な混雑評価が低いという理由だけで輸送網における局地的な圧力を見過ごすべきではない。
リスク
- 関税の変化は貨物需要と出荷タイミングを変化させ、サプライチェーン正常化への道筋に影響する可能性がある。
- 地政学的紛争は世界貿易と輸送の流れを混乱させ、サプライチェーン圧力を再び高める可能性がある。
注目点
- 週間混雑指数が「2」のレンジからより一貫して「1」のレンジへ移行できるかを監視する。
- その後の月次総合指数が最近の週間指標の方向性を確認するかを注視する。
- 東西両海岸における接岸待ち船舶、海上運賃、鉄道滞留時間、鉄道速度の変化を追跡する。
- LMIの輸送・倉庫能力、倉庫稼働率、PMIサプライヤー納入時間を監視する。
- 関税と地政学的紛争が貨物需要、出荷タイミング、世界貿易の正常化に及ぼす影響を引き続き評価する。