運輸・物流:サプライチェーン混雑指数は前週比4%低下、ボトルネック水準は低位の「2」を維持
米国のサプライチェーンは概ねパンデミック前に近い流動性を維持しており、港湾での沖待ち船舶数、鉄道、シャーシおよび関連指標は総じて安定している。ただし、中国から米国西海岸への運賃上昇と月次倉庫指標の変化は注視を要する。
要約
米国のサプライチェーンは概ねパンデミック前に近い流動性を維持しており、港湾での沖待ち船舶数、鉄道、シャーシおよび関連指標は総じて安定している。ただし、中国から米国西海岸への運賃上昇と月次倉庫指標の変化は注視を要する。
- 週間総合混雑指数は前週比4%低下し、ボトルネック水準は「2」を維持した。これは2021年後半から2022年初頭に見られたピークを大幅に下回る。
- 西海岸の沖待ちコンテナ船は1隻で横ばいだった一方、東海岸および湾岸の沖待ち船舶は5隻から2隻へ減少した。
- 西海岸のClass I鉄道インターモーダル取扱量の伸びは前年比6%から5%へやや鈍化し、鉄道サービス指標はまちまちだった。
- 中国/東アジアから米国西海岸へのコンテナ運賃は約$6,830/FEUで、前週比11%、前年比222%上昇した。
レポート解説
概要
ゴールドマン・サックスの週間米国サプライチェーン混雑指数は、2026年8月17日終了週に前週比4%低下し、週間ボトルネック水準は「2」を維持した。この水準はパンデミック前のサプライチェーン流動性に近く、パンデミック期の混雑ピークである「10」を大幅に下回る。
主要見解
高頻度のサプライチェーン混雑圧力は引き続き中程度である。沖待ち船舶数は少なく、鉄道インターモーダル取扱量は前年比で引き続き拡大し、鉄道およびコンテナの滞留時間はピーク時を大幅に下回っている。一方、海上運賃は大きく上昇しており、6月の一部の遅行月次指標では倉庫能力の縮小と倉庫利用拡大の加速が示されている。これは、貨物需要、関税、地政学的事象が物流活動のペースをなお変化させうることを示している。
分析フレームワーク
レポートは2020年2月3日のパンデミック前ベースラインを用い、週次および月次の物流指標を集計して、1から10のサプライチェーン混雑尺度を構築している。週次指数は先行する高頻度シグナルを提供し、月次総合指数はより幅広い変数を用いてトレンドを確認する。
手法メモ
物流ボトルネックの複合評価
沖待ち船舶数、鉄道インターモーダル取扱量および速度、鉄道・コンテナ滞留時間、海上運賃、港湾取扱量、サプライヤー納入時間などの変数を用い、完全な混雑から完全な円滑性までのサプライチェーン状況を測定する。
先行・確認メカニズム
週次指数はより速報性が高く、およそ1カ月のラグを伴って月次総合指数の方向性を示すことを意図している。月次指数は、混雑トレンドを確認するためにより多くの変数を取り入れる。
相対変化スコアリング
各指標は2020年2月3日時点のパンデミック前の状態に対して評価され、ボトルネックにより直接的に関連する変数にはより大きなウェイトが付与される。
資産マッピングと比較
投資テーゼから固有資産への構造化マッピング(強み、弱み、同業、リスク)。
- 港湾・ターミナル運営会社サプライチェーンの流動性および実入り輸入コンテナ量から直接恩恵を受ける、または影響を受ける主体
- 強み
- 沖待ち船舶数の少なさと港湾混雑の中程度の水準は、取扱量と運営効率を支える。
- 弱み
- 混雑の低さは、緊急対応手数料や混雑関連収入の機会が限られることも意味しうる。
- 比較
- 西海岸主要3港の実入り輸入コンテナ取扱量は6月に前年比12%増加した一方、沖待ち船舶数は低水準を維持した。
- リスク
- 関税、貿易フローの変化、地政学的事象は、貨物量および寄港タイミングに急激な変動をもたらす可能性がある。
- 鉄道インターモーダル事業者貨物流動およびネットワーク効率の主要な受益者
- 強み
- 西海岸のインターモーダル取扱量は依然として前年比5%増であり、底堅い貨物流動を示している。
- 弱み
- BNSFとUNPは速度およびターミナル滞留指標で乖離を示しており、業務改善が一様でないことを示している。
- 比較
- BNSFのインターモーダル取扱量は前年比2.3%増、UNPは前年比7.2%増だった。
- リスク
- 貨物需要の弱まり、能力配分の不均衡、サービス速度の低下は、価格設定と効率に影響を及ぼす可能性がある。
- 海運および貨物フォワーディング関連資産運賃および太平洋横断貨物需要との相関が高い
- 強み
- 中国/東アジアから米国西海岸への運賃は前週比・前年比ともに大幅に上昇しており、スポット運賃へのエクスポージャーを持つ参加者に恩恵をもたらす。
- 弱み
- 運賃上昇はまだ広範な港湾混雑に反映されておらず、その持続性への不確実性を生んでいる。
- 比較
- 運賃は約$6,830/FEUで、前週比11%、前年比222%上昇した。
- リスク
- 需要減少、能力配備、通商政策、地政学的変化はいずれも急激な運賃変動を引き起こしうる。
- 小売・消費財企業サプライチェーンの流動性は在庫補充、配送サイクル、コストに影響する
- 強み
- 低い混雑水準と短い滞留時間は、欠品および遅延リスクの軽減に寄与する。
- 弱み
- 海上運賃の上昇は、輸入調達および物流コストを増加させる可能性がある。
- 比較
- 全体の混雑水準は「2」だったが、太平洋横断運賃は顕著に上昇した。
- リスク
- 関税変更、運賃上昇の長期化、世界貿易の混乱は、売上総利益率を圧迫する可能性がある。
主要データ
- 週間総合混雑指数前週比4%低下、ボトルネック水準は「2」2026年8月17日終了週の全体状況は、パンデミック時のピークを下回り、パンデミック前の流動性に近かった。
- 西海岸の沖待ちコンテナ船1隻前週から変わらず。
- 東海岸および湾岸の沖待ちコンテナ船2隻前週の5隻から減少。
- 西海岸Class I鉄道インターモーダル取扱量前年比5%増前週は前年比6%増。BNSFは前年比2.3%増、UNPは前年比7.2%増。
- 鉄道ターミナル滞留時間UNPは20.0時間、BNSFは22.2時間UNPは前週比0.1時間増加した一方、BNSFは前週比0.5時間低下した。
- 20フィートシャーシのストリート滞留時間4.0日2026年の第32週は、第26週の4.3日を下回った。
- 中国/東アジアから米国西海岸への運賃約$6,830/FEU前週比11%、前年比222%上昇。
- サンペドロ湾コンテナ加重平均滞留時間2.9日2026年6月は、5月の2.6日を上回った。
- 西海岸主要3港における実入り輸入コンテナ取扱量前年比12%増2026年6月時点で、ロサンゼルス港、ロングビーチ港、オークランド港を対象とする。
- LMI輸送能力指数30.82026年6月は5月の31.7を下回り、輸送能力の縮小が加速していることを示す。
- LMI倉庫利用指数69.42026年6月は5月の62.9を上回り、倉庫利用の拡大が加速していることを示す。
影響と示唆
低い混雑水準は、小売企業、消費財企業、輸送ネットワークにとって比較的安定した在庫補充と配送効率を支え、物流ボトルネックによるコストおよびインフレ圧力を軽減する。運賃の急上昇が広範な混雑にはつながっていないことから、現時点では価格圧力と実際のネットワーク閉塞を区別すべきである。サプライチェーン圧力が引き続き緩和すれば、指数は2026年により安定して「1」に近い水準を維持する可能性がある。
リスク
- 関税政策の変更は、貨物需要および輸入時期を前倒し、遅延、または再構成する可能性がある。
- 地政学的紛争は、世界の貿易航路、能力配分、運賃を混乱させる可能性がある。
- 海上運賃の急上昇が継続すれば、輸入コストおよび商品価格に転嫁される可能性がある。
- 月次データにはラグがあり、週次指標はその後の月次総合指数について確実なシグナルを提供するものではない。
- 一部のシャーシ滞留データはデータソース変更のため数週間にわたり変更されていない仮定を用いており、短期比較の精度を低下させる可能性がある。
注目点
- 週間混雑指数が「2」からさらに「1」で安定するか。
- 東海岸および西海岸の沖待ち船舶数が再び増加するか。
- 中国/東アジアから米国西海岸への運賃上昇が持続し、他の貿易航路にも波及するか。
- BNSFおよびUNPのインターモーダル取扱量、列車速度、ターミナル滞留時間が足並みをそろえて改善するか。
- 港湾コンテナ滞留時間、倉庫能力、倉庫利用に関するその後の月次値。
- 関税政策および地政学的事象が貨物量、在庫補充、航路計画に及ぼす影響。