Global battery energy storage (ESS) market レポート解説
7月の中国 ESS 出荷量は 105.5GWh と前年比 88%増となり、2026年累計の 613.3GWh は Bernstein の世界出荷量予想の 60%に達した。ドイツは堅調を維持する一方、米国の導入量は大きく減少し、Bernstein は引き続き CATL をこのテーマへの最良の参加手段とみている。
要約
7月の中国 ESS 出荷量は 105.5GWh と前年比 88%増となり、2026年累計の 613.3GWh は Bernstein の世界出荷量予想の 60%に達した。ドイツは堅調を維持する一方、米国の導入量は大きく減少し、Bernstein は引き続き CATL をこのテーマへの最良の参加手段とみている。
- 中国の7月 ESS 出荷量は過去最高の 105.5GWh で、前年比 88%増、前月比 5%増。
- 中国の稼働率は 96%に達し、前年同期の 74%を上回り、短期的な市場逼迫を示した。
- 中国の入札量は 55.8GWh で前年比 9%減少した一方、落札量は 54.1GWh で前年比 89%増加した。
- ドイツの7月導入量は 1.1GWh、前年比 79%増で、大規模蓄電が主導した。
- 米国の7月導入量は 2.8GWh、前年比 47%減で、2026年累計は前年比 1%減。
- Bernstein は世界 ESS 電池需要を2026年に 1,023GWh、前年比 86%増と予測し、2030年には 2,109GWh に達するとみている。
レポート解説
概要
Bernstein の月次 Global ESS Tracker は、主に中国をけん引役として蓄電の導入が非常に力強い状態にあると示している。過去最高の出荷量と高い稼働率は市場逼迫を示唆する。レポートは下期に成長が鈍化すると予想する一方、追跡データ上の需要は世界予想を上回っており、CATL をこのテーマへの優先的なエクスポージャーとしている。
主要見解
中国は世界のエネルギー貯蔵システム需要の中心的なけん引役であり続けた。7月の ESS 出荷量は過去最高の 105.5GWh となり、前年比 88%増、前月比 5%増だった。国内出荷量は 101.8GWh で初めて単月 100GWh を超え、海外出荷量は約3倍の 3.7GWh まで増加した。中国の2026年累計出荷量は 613.3GWh、前年比 96%増で、Bernstein の世界出荷量予想の 60%に相当する。レポートは、このペースが続けば電池需要予想の上振れを意味するとしている。 レポートはこの強さを、電池コストの低下と、蓄電の経済性を高めるより支援的な政策環境に結び付けている。供給の拡大は需要より遅い。中国の7月 ESS 製造能力は 109.0GWh で、前年比 54%増、前月比 5%増にとどまり、出荷量の伸びを下回った。その結果、業界稼働率は 96%の高水準を維持し、2025年同期の 74%を上回った。Bernstein はこの乖離を、需要が能力に追い付くにつれて短期的な市場環境が逼迫している証拠と解釈している。 先行需要指標はまちまちだったが、全体としては建設的だった。中国の7月入札量は前年比 9%減の 55.8GWh で、主な理由は2025年7月の特に高い比較基準である。ただし、年初来の入札量は 430.6GWh、前年比 168%増に達した。落札電池量は前年比 89%増の 54.1GWh で、2026年これまでの最高月間水準となった。レポートは下期に ESS 成長が鈍化すると予想する一方、入札比較が厳しいにもかかわらず落札量は堅調に推移したと指摘している。 中国以外では地域別の動きが分かれた。米国の7月 ESS 導入量は前年比 47%減の 2.8GWh で、前月の急増後に減少し、2026年累計導入量は 25.1GWh、前年比 1%減となった。対照的に、ドイツは7月に 1.1GWh を導入し、前年比 79%増となった。大規模蓄電は約 0.65GWh を占め、前年比 900%増だった。産業用蓄電は前年比 7%減の 45MWh、住宅用蓄電は前年比 26%減の 0.36GWh だった。ドイツの年初来導入量は 5.5GWh、前年比 49%増に達した。 電池メーカーでは、CATL が7月 ESS リチウムイオン電池出荷量 22.3GWh、前年比 72%増、2026年累計出荷シェア 21.6%で首位を維持した。CATL の7月 ESS 能力は 22.5GWh、前年比 42%増で、稼働率は 98%だった。Hithium と EVE は7月にそれぞれ 9.8GWh を出荷し、年初来シェアはそれぞれ 9.3%と 9.2%だった。CALB は 6.5GWh を出荷し年初来シェアは 6.4%、BYD の出荷量は 5.8GWh、年初来シェアは 6.9%だった。CORNEX、Great Power、Ganfeng は特に急速な数量成長を記録した。Bernstein は、主要メーカーの成長率が市場成長率を下回ったことは能力制約と整合的だと指摘している。 Bernstein は、経済性の改善による浸透率上昇とグリッド安定性における蓄電の役割を反映し、年初以降 ESS の見通しをより前向きにしている。世界 ESS 電池需要の予想は2026年に 1,023GWh、前年比 86%増で、2025年の 550GWh に続く水準である。長期予想は2030年に 2,109GWh で、その後4年間の CAGR は 20%としている。レポートは、追跡しているデータの成長が2026年予想を明確に上回っており、CATL が引き続きこのテーマへの優先的な参加手段だと結論付けている。
分析フレームワーク
Bernstein は複数の情報源から月次の導入量、出荷量、生産量データを集計し、データベースを1か月の遅れで更新している。中国、米国、ドイツの需要、製造能力、稼働率、入札、落札データを比較し、さらにメーカーの市場シェアと成長率を世界 ESS 需要見通しと照らして評価している。
手法メモ
ESS の出荷量、製造能力、稼働率、入札、落札の比較。
レポートは、需要成長と能力成長の比較、および稼働率を用いて、中国の ESS 市場が逼迫しているかを判断している。
蓄電の経済性、電池需要、電池メーカーの出荷量の関係。
レポートは、電池コスト低下と支援的な政策をより強い蓄電導入に結び付け、さらに電池メーカーの需要と出荷成果につなげている。
資産マッピングと比較
投資テーゼから固有資産への構造化マッピング(強み、弱み、同業、リスク)。
- CATL (300750.CH; 3750.HK)Bernstein は CATL を ESS テーマへの最良の参加手段としている。
- 強み
- 7月 ESS 出荷量は 22.3GWh、前年比 72%増。2026年累計市場シェアは 21.6%、ESS 稼働率は 98%。
- 弱み
- 出荷成長率は市場全体の成長率を下回り、レポートはこれを能力制約と関連付けている。
- 比較
- Hithium と EVE を上回って市場を主導し、両社の7月出荷量は各 9.8GWh。
- リスク
- 能力制約により、ESS 市場全体に対する成長が制限される可能性がある。
- BYD中国 ESS 出荷に参加するカバー対象の電池メーカー。
- 強み
- 2026年累計 ESS 出荷市場シェアは 6.9%。
- 弱み
- 7月 ESS 出荷量は 5.8GWh で、前年比成長率は 5%にとどまった。
- 比較
- 7月出荷量では CATL、Hithium、EVE より小さい。
主要データ
- 中国7月 ESS 出荷量105.5GWh前年比 88%増、前月比 5%増。月間の過去最高水準。
- 中国2026年累計 ESS 出荷量613.3GWh前年比 96%増で、Bernstein の世界出荷量予想の 60%に相当。
- 中国 ESS 稼働率96%2025年同期の 74%から上昇。
- 中国7月 ESS 入札量55.8GWh前年比 9%減。主に2025年7月の高い比較基準による。
- 中国7月落札量54.1GWh前年比 89%増で、年初来の最高月間水準。
- 米国7月 ESS 導入量2.8GWh前年比 47%減。2026年累計導入量は 25.1GWh、前年比 1%減。
- ドイツ7月 ESS 導入量1.1GWh前年比 79%増。大規模蓄電は前年比 900%増で約 0.65GWh。
- CATL 7月 ESS 出荷量22.3GWh前年比 72%増。CATL の2026年累計出荷シェアは 21.6%。
- 世界 ESS 電池需要予想1,023GWh in 2026前年比 86%増で、2030年予想は 2,109GWh、今後4年間の CAGR は 20%。
影響と示唆
レポートは、中国の過去最高出荷量、高稼働率、堅調な落札量が ESS 需要の能力成長超過を示し、電池需要上振れの見方を支持するとしている。また、海外では大規模なドイツ導入が加速する一方、米国の7月導入量は弱かったという対照的な動きを強調している。Bernstein は、CATL の規模、首位シェア、高稼働率を、このテーマにおける最も強い上場企業エクスポージャーとみている。
注目点
- 中国の高い出荷ペースが持続し、Bernstein の電池需要予想を上振れさせるか。
- 7月に前年比 9%減少した後、中国の入札量が回復するか。
- 中国 ESS の高稼働率が持続するか、また能力制約が主要メーカーの出荷成長を制限するか。
- 7月に前年比 47%減少した後の米国 ESS 導入量の動向。
- 7月の強い導入成長を主導したドイツの大規模蓄電導入。