China automotive market レポート解説
JPMorganは、中国の乗用車小売販売が前年比24%減となり、ICEとNEVの双方が減少したと報告した。レポートは冬季のICE需要の季節性と、自動車輸出の消費税還付に関する政策変更を注視するよう促している。
要約
JPMorganは、中国の乗用車小売販売が前年比24%減となり、ICEとNEVの双方が減少したと報告した。レポートは冬季のICE需要の季節性と、自動車輸出の消費税還付に関する政策変更を注視するよう促している。
- 乗用車小売販売は前年比24%減の155.4万台となった。
- ICE販売は前年比41%減、NEV販売は前年比10%減となり、BEV成長は前年比1%まで鈍化した。
- NEV普及率は65.2%に達した。
- 自動車輸出は3カ月連続で100万台を超えたが、乗用車とNEVの輸出は前月比で減少した。
- JPMorganは、現在13%の自動車輸出に対する消費税全額還付が段階的に引き下げられる可能性があるとみている。
レポート解説
概要
本業界アップデートは、中国の8月の自動車需要と輸出動向を検証している。JPMorganは乗用車販売の広範な弱さを確認し、通常の冬季ICE需要回復の不確実性を指摘するとともに、輸出税還付の変更可能性を新たな政策リスクとして挙げている。
主要見解
中国の8月の乗用車小売販売は前年比24%減の155.4万台となった。ICE車販売は引き続き最も弱く、前年比41%減の54.9万台だった。一方、NEV販売は前年比10%減の100.5万台となり、減少幅が拡大した。NEV普及率は65.2%で7月からわずかに上昇したが、それまで前年比成長を維持していたBEV販売は69.8万台で、前年比成長率は1%にとどまった。このため、レポートは需要減速がICE車だけでなくBEVにも及んでいるとみている。 同機関は、ICE需要が慣例どおり冬季に回復するかに注目している。日本OEMを含む海外自動車メーカーは通常、この季節性パターンの恩恵を受ける。Toyota、Honda、Nissanの中国小売販売は8月にそれぞれ前年比23%、50%、52%減となったが、3社とも前月比では販売が回復し、底入れの兆しを示した。JPMorganは、高いガソリン価格により、今年の季節性パターンが過去の通常とは異なる可能性があると警告している。 中国の自動車輸出は3カ月連続で100万台を超えたが、勢いは7月のピークから鈍化した。乗用車輸出は前月比4%減の89万台、NEV輸出は前月比5%減の51万台で、両者は輸出の約60%を占めた。レポートは、欧州、豪州、ASEANにおける海外価格競争の激化を政府の懸念と結び付けており、9月1日のコンプライアンス指針では、自動車メーカーに太陽光パネル業界と同じ過ちを繰り返さないよう警告した。太陽光パネルと電池セルにおける過去の変更を踏まえ、JPMorganは、自動車輸出に対する現在13%の消費税全額還付が警告の数カ月後に引き下げられる可能性があり、9%から5%、最終的に0%へ段階的に進む可能性があるとみている。垂直統合型の自動車メーカーは、生産段階で納付する消費税が相対的に低いため、輸出コストへの影響は小さい可能性があるとしている。
分析フレームワーク
レポートは中国の月次小売・輸出台数を追跡し、ICE、NEV、BEVの需要を分け、前年比および前月比の変化を比較したうえで、海外OEMの季節性パターンを評価している。その後、太陽光パネルと電池セルにおける過去の輸出税還付変更を類推材料として、潜在的な自動車輸出政策の結果を評価している。
手法メモ
月次販売台数とパワートレイン別需要の追跡
レポートは乗用車需要をICE車、NEV、BEVに分け、販売成長率と普及率を用いて需要が弱まっている領域を特定している。
輸出税還付が自動車メーカーのコストに及ぼす影響
レポートは輸出税還付の引き下げが輸出コストをどのように高めるかを検討し、垂直統合型の自動車メーカーは生産段階の消費税が低いため影響が相対的に小さい可能性があると指摘している。
資産マッピングと比較
投資テーゼから固有資産への構造化マッピング(強み、弱み、同業、リスク)。
- Toyota Motor中国小売販売は8月に前年比23%減となったが、前月比では販売が回復した。
- 強み
- 前月比での販売回復が底入れの兆しを示した。
- 弱み
- 中国小売販売が前年比で減少した。
- 比較
- HondaおよびNissanとともに追跡された主要な日本OEM3社の一社。
- リスク
- 高いガソリン価格により、冬季ICE需要の回復が通常の季節性パターンから乖離する可能性がある。
- Honda Motor中国小売販売は8月に前年比50%減となったが、前月比では販売が回復した。
- 強み
- 前月比での販売回復が底入れの兆しを示した。
- 弱み
- 中国小売販売が前年比で減少した。
- 比較
- 前年比の減少率はToyotaより大きく、Nissanより小さかった。
- リスク
- 高いガソリン価格により、冬季ICE需要の回復が通常の季節性パターンから乖離する可能性がある。
- Nissan Motor中国小売販売は8月に前年比52%減となったが、前月比では販売が回復した。
- 強み
- 前月比での販売回復が底入れの兆しを示した。
- 弱み
- 中国小売販売が前年比で減少した。
- 比較
- Toyota、Honda、Nissanの中で前年比の減少率が最も大きかった。
- リスク
- 高いガソリン価格により、冬季ICE需要の回復が通常の季節性パターンから乖離する可能性がある。
主要データ
- 中国乗用車小売販売1,554,000 units8月に前年比24%減。
- ICE車小売販売549,000 units8月に前年比41%減。
- NEV小売販売1,005,000 units8月に前年比10%減。
- NEV普及率65.2%7月からわずかに上昇。
- BEV小売販売698,000 units前年比1%増で、成長が鈍化。
- 乗用車輸出890,000 units8月に前月比4%減。
- NEV輸出510,000 units8月に前月比5%減。
- 現在の自動車輸出消費税還付13%JPMorganは9%、5%、最終的に0%への段階的な引き下げの可能性をみている。
影響と示唆
レポートは、中国の自動車需要がパワートレイン全般で弱まっており、通常の冬季ICE需要回復には不確実性があることを示している。輸出税還付の引き下げは輸出コストを押し上げる可能性があるが、垂直統合型の自動車メーカーは相対的に影響を受けにくい可能性がある。
リスク
- 高いガソリン価格により、ICE車需要が通常は冬季に回復するという季節性が崩れる可能性がある。
- 中国が自動車輸出に対する消費税還付を引き下げ、輸出コストを押し上げる可能性がある。
- 海外での激しい価格競争により、中国の自動車輸出業者への政策圧力が高まる可能性がある。
注目点
- ICE車販売が冬季に通常の季節性どおり回復するか。
- BEV需要が8月に前年比成長率1%まで鈍化した後、安定するか。
- 9月1日の海外自動車市場競争に関する指針を受けた政策措置、特に輸出消費税還付の変更。
- 8月の前月比減少後、自動車輸出台数が7月のピークから回復するか。