日本の半導体製造装置およびウェハ製造装置:ゴールドマン・サックスはWFE見通しを大幅に引き上げるが、旺盛な受注が利益に転換するかは生産能力、納入、価格決定力に左右される
本レポートは世界WFE市場予想をCY26のUS$150.3bn、CY27のUS$217.5bn、CY28のUS$280.9bnへ引き上げ、CY27には成長がさらに加速すると見込む。業界需要は総じて良好だが、日本の装置メーカーの収益レバレッジは、生産能力のボトルネック、部材リードタイム、コスト転嫁能力により分化する。
要約
本レポートは世界WFE市場予想をCY26のUS$150.3bn、CY27のUS$217.5bn、CY28のUS$280.9bnへ引き上げ、CY27には成長がさらに加速すると見込む。業界需要は総じて良好だが、日本の装置メーカーの収益レバレッジは、生産能力のボトルネック、部材リードタイム、コスト転嫁能力により分化する。
- CY26-CY28の世界WFE予想はそれぞれUS$150.3bn、US$217.5bn、US$280.9bnで、前年比成長率は36%、45%、29%に相当する。
- AI需要は中核用途からより幅広い半導体カテゴリーへ拡大しており、特にDRAMとロジック/ファウンドリーで予想の引き上げが大きい。
- 中国のWFE設備投資は引き続き堅調であり、本レポートはCY26-CY28を通じて中国市場が二桁成長を継続すると予想している。
- 受注残高は自動的に実現利益へ転換されるわけではない。生産能力の拡張力、部材調達・製造リードタイム、コスト上昇局面での価格決定力が主要な差別化要因になりつつある。
- 本レポートは日本のSPE企業に対する全レーティングを維持し、レーザーテック、ディスコ、東京エレクトロン、荏原に引き続き前向きである。
- 受注は強いものの、アルバックと東京精密は生産能力のボトルネックにより、短期的な業績予想引き上げ余地が限定的とみられる。
レポート解説
概要
本レポートは日本の半導体製造装置業界に焦点を当てる。ゴールドマン・サックスは、世界の装置ベンダーにおける受注残高の拡大、半導体メーカーの設備投資意欲の高まり、AI需要のより多くのチップカテゴリーへの広がりを背景に、CY26-CY28のウェハ製造装置市場予想を大幅に引き上げている。また、次の局面における重要課題は単なる受注の強さではなく、装置メーカーが十分な生産能力をもって期限どおりに納入し、値上げによって部材コストを相殺することで、売上成長を利益率改善へ転換できるかどうかであると強調している。
主要見解
ゴールドマン・サックスは世界WFE(前工程ウェハ製造装置)市場予想を大幅に引き上げた。CY26はUS$150.3bn、前年比36%増、CY27はUS$217.5bn、同45%増、CY28はUS$280.9bn、同29%増と見込む。予想引き上げは、半導体メーカーの投資意欲の高まりが装置ベンダーの受注残高を大幅に拡大させたことに基づく。AI需要の拡大も、少数の中核製品に限られず、より広範な半導体需要を牽引しており、特にDRAMおよびロジック/ファウンドリーで予想引き上げが顕著である。中国の設備投資も堅調である。ゴールドマン・サックスの中国チームは、中国WFE市場がCY26-CY28を通じて二桁成長を維持すると見込む。一部の日本の装置メーカーでは売上に占める中国売上比率が徐々に低下すると予想されるものの、絶対額ベースの売上は引き続き拡大し得る。 受注が幅広く強まるなか、本レポートは、個別企業の収益軌道を決定する要因が、供給と利益実現に関する3つの能力へ移行しているとみる。第一に生産能力を柔軟に拡張できるか、第二に製造および部材調達のリードタイムが出荷を制約するか、第三に部材コスト上昇時に価格決定力とコスト転嫁能力を有するかである。受注動向が似通う企業でも、これら3つの能力の差により結果は大きく異なり得る。アルバックと東京精密には特に懸念がある。両社とも受注は強いが、生産ボトルネックにより、ゴールドマン・サックスはそれぞれFY6/28、FY3/28より前に業績予想がさらに引き上げられる可能性は低いとみている。 個別株のレーティング枠組みは変更していない。ゴールドマン・サックスはまず、技術変化、独自技術、市場シェア拡大を通じて企業が業界平均を上回る売上成長を達成できるかを評価し、その後、力強い売上成長が着実な利益率改善へ転換するかを判断する。この2つの基準に基づき、本レポートは4社に対する最も前向きな見方を維持する。レーザーテックはACTISの対象市場拡大の恩恵を受け、ディスコは先端パッケージングにおける対象市場拡大の恩恵を受け、東京エレクトロンは値上げにより収益性を高めると期待され、荏原はCMP市場の成長と市場シェア拡大の可能性の恩恵を受ける。全日本SPE企業に対する投資判断は変更していない。 ディスコについて、ゴールドマン・サックスは主に中国におけるOSAT企業の継続的な生産能力拡張、WFE成長による後工程の設備投資、消耗品需要の増加を反映し、FY3/28およびFY3/29の営業利益予想をそれぞれ7%、19%引き上げる。FY3/27予想は、販管費前提の見直しにより小幅に引き下げる。同社は最近の引き合いおよび受注に関する開示が限定的であり、中長期的な利益拡大に対する市場期待の重石となっていたが、1Q3/27末の契約負債は¥73bnに達し、前四半期比46%増となった。本レポートはこれを、将来の売上へ転換する引き合いおよび受注の拡大を示す証拠とみる。目標株価は¥100,000から¥105,000へ引き上げ、買いを維持する。 荏原について、本レポートは精密機械・電子事業の製品ミックスを理由にFY12/26の営業利益予想を小幅に引き下げる一方、新たなWFE見通しに基づきFY12/27およびFY12/28予想をそれぞれ6%、9%引き上げる。ゴールドマン・サックスは引き続きCMP装置の成長がWFE市場を上回ると予想する。また、エネルギー事業の収益性改善と受注回復に加え、精密機械・電子事業の力強い利益拡大が、市場コンセンサスを上回る全社利益成長を牽引する可能性があるとみる。目標株価は¥7,900を維持するが、FY12/27バリュエーションに用いる株主資本コストは、同業他社の現在の株価を踏まえ4.2%から4.5%へ調整する。買いを維持する。 KOKUSAI ELECTRICについて、FY3/27-FY3/29の営業利益予想をそれぞれ1%、10%、30%引き上げる。本レポートは、砺波工場の既存スペースのクリーンルームへの転換やシフト追加を含め、旺盛な受注に対応する十分な短期的生産能力の柔軟性があるとみており、FY3/28まで力強い利益成長が継続すると予想する。ただし、ゴールドマン・サックスは他の前工程装置同業と比較してもバリュエーションに魅力がないと考え、中立を維持する一方、目標株価を¥10,000から¥10,500へ引き上げる。 アルバックについて、新たなWFE予想を織り込むものの、原材料調達リードタイムの長期化が生産能力制約を生んでいること、値上げの効果と研究開発費の増加も考慮する必要があることから、ゴールドマン・サックスはFY6/27-FY6/29の営業利益予想を微調整するにとどめる。本レポートはこの上昇サイクルにおけるアルバックの利益上振れ余地を競合他社より小さいと評価し、業界平均EV/EBITDAに対するバリュエーション・ディスカウントを55%から60%へ拡大する。12カ月目標株価は¥8,000から¥7,200へ引き下げ、売りを維持する。 アドバンテストについて、WFE市場拡大に伴うSoCおよびメモリ・テスター販売の成長を踏まえ、ゴールドマン・サックスはFY3/27-FY3/29の営業利益予想をそれぞれ0%、7%、15%引き上げる。同社は生産能力拡張を加速しており、FY3/28まで力強い利益成長が続くと予想される。しかし、デバイス当たりのテスト時間に大きな変化は見られないため、本レポートはFY3/28以降のアドバンテストの利益成長がカバレッジ企業の中で大きく際立つ可能性は低いとみる。目標株価は¥40,000から¥43,000へ引き上げ、中立を維持する。 レーザーテックについて、ゴールドマン・サックスは主にDRAMおよびロジック用途向けのMATRICSとACTISの売上予想を引き上げ、FY6/27-FY6/29の営業利益予想をそれぞれ1%、2%、9%引き上げる。ACTISの対象市場は実質的に拡大しており、ACTIS A200HiTに加えてA300の用途も拡大している。同社の通期受注ガイダンスは¥300bn-¥400bnである一方、ゴールドマン・サックスは4Q6/26だけで受注が¥100bn近くに達したと推定する。したがってFY6/27受注はガイダンス上限を上回る可能性が非常に高いと考え、¥425.6bnを予想する。目標株価は¥70,000を維持し、買いを再表明するとともに、同銘柄をアジア太平洋コンビクション・リストに維持する。 東京精密について、主に中国におけるOSAT企業の継続投資と、WFE成長に起因する後工程生産能力拡張の可能性を受け、FY3/28およびFY3/29の営業利益予想をそれぞれ3%、6%引き上げる。ただし、プローブステーション受注と受注残高は高水準であるにもかかわらず、2027年末ごろの稼働開始が見込まれる新飯能工場が完成するまで、生産能力増強余地は非常に限られる。したがってゴールドマン・サックスは、FY3/28まで利益拡大が制約されると引き続きみる。目標株価は¥16,000から¥16,500へ引き上げ、売りを維持する。 SCREEN HDについて、FY3/27-FY3/29の営業利益予想をそれぞれ1%、8%、22%引き上げる。本レポートは、同社に明確な生産能力制約はなく、FY3/28まで実需に沿って売上を拡大し続けられるとみる。ただし、同社の利益構造は新興中国顧客向けの高利益率事業から特に恩恵を受けている。中国売上比率は徐々に低下すると予想されるため、さらなる利益率拡大は引き続き制約される。目標株価は¥12,500から¥12,800へ引き上げ、売りを維持する。 HOYAについて、本レポートは、FY3/29に大規模設備投資が実施される前でも、既存の生産能力の柔軟性はHDDおよびEUVマスクブランクス需要の成長に対応するのに十分であるとみる。このため、FY3/27-FY3/29の経常利益予想をそれぞれ1%、3%、5%引き上げる。中核事業である情報技術とライフケアの両方で収益性は着実に拡大しており、ゴールドマン・サックスは営業利益およびEPSが市場コンセンサスを上回ると予想する。目標株価は¥35,000から¥36,000へ引き上げ、買いを維持する。 東京エレクトロンについて、新たなWFE見通しに加え、経営陣による積極的な値上げに伴う利益率改善が予想より早く実現する可能性を織り込み、ゴールドマン・サックスはFY3/27-FY3/29の営業利益予想をそれぞれ4%、9%、26%引き上げる。同社は旺盛な需要に対応するなかで、同業他社ほど納入リードタイムが大幅に長期化しておらず、本レポートはこれを値上げが円滑に進んでいる兆候とみる。経営陣は当初、FY3/28末までに売上総利益率50%以上を達成する計画だったが、ゴールドマン・サックスはこの目標が4Q3/27にも達成される可能性があると考える。目標株価は¥86,000から¥90,000へ引き上げ、買いを維持する。
分析フレームワーク
本レポートはまず、装置ベンダーの受注残高、半導体メーカーの設備投資、AI需要の裾野拡大を基に世界および中国のWFE市場予想を更新し、その後、業界需要を各社の売上高および営業利益予想に結び付ける。個別株レベルでは、生産能力、部材・製造リードタイム、価格決定力を順に評価する。また、技術変化、独自技術、市場シェア拡大が業界を上回る売上成長を生み出せるか、売上成長が利益率改善に転換できるかも検証する。最後に、修正後の利益予想、同業他社バリュエーション、企業固有のバリュエーション・プレミアムまたはディスカウントに基づいて目標株価を調整しつつ、既存のレーティング枠組みを維持する。
手法メモ
WFE需要、受注残高、装置ベンダーの供給能力の分析
本レポートはまず半導体メーカーの設備投資によって生じる装置需要を予想し、その後、装置ベンダーの生産能力とリードタイムがその需要を満たせるかを評価することで、受注がいつ売上・利益へ転換できるかを判断する。
AIおよびチップ需要からウェハ製造・装置投資への伝達
本レポートは、DRAM、ロジック、ファウンドリーなどのチップカテゴリーへのAI需要の裾野拡大を、メーカーの設備投資、WFE市場成長、日本の装置企業の受注および業績に結び付けている。
売上成長および値上げによる利益率変動
本レポートは装置数量と売上成長だけでなく、値上げが部材コストを相殺できるか、また価格設定が売上総利益率と営業利益にどのように寄与するかを個別に分析する。
世界SPE業界平均EV/EBITDA倍率および企業固有の相対的プレミアムまたはディスカウント
本レポートは世界SPE業界のおよそ18倍のEV/EBITDAと特定年度の利益予想を基礎とし、各社の成長性、収益性、制約に応じて相対的なプレミアムまたはディスカウントを適用する。例えば、アルバックの業界ディスカウントは55%から60%へ拡大される。
P/Bと予想ROEの関係に基づくバリュエーション
荏原の目標株価はP/Bと予想FY12/27 ROEの関係に基づいて決定され、株主資本コストは4.2%から4.5%へ調整される。
資産マッピングと比較
投資テーゼから固有資産への構造化マッピング(強み、弱み、同業、リスク)。
- ディスコ(6146.T)先端パッケージング、中国を主とするOSAT企業の生産能力拡張、後工程装置投資、消耗品成長が業績予想引き上げを牽引する。
- 強み
- 先端パッケージングでの対象市場拡大;1Q3/27末の契約負債は¥73bnで、前四半期比46%増。
- 弱み
- 引き合いおよび受注に関する最近の開示が不十分であり、FY3/27の販管費前提が上昇。
- 比較
- ゴールドマン・サックスの日本SPEカバレッジにおける主要な買い推奨4銘柄の一つ。
- リスク
- AI関連需要の減速または市場シェア喪失、中国需要の弱化または輸出規制の強化、対米ドルでの急速な円高、半導体設備投資の低迷。
- 荏原(6361.T)CMP装置の成長、市場シェア拡大の可能性、エネルギー事業の収益性回復が市場コンセンサスを上回る利益成長を支える。
- 強み
- CMP装置の成長はWFE市場を上回る見込みであり、精密機械・電子事業で力強い利益拡大が見込まれる。
- 弱み
- 精密機械・電子事業のFY12/26製品ミックスに対する圧力があり、エネルギー事業は以前に一時的な収益性低下を経験した。
- 比較
- ゴールドマン・サックスの主要な買い推奨4銘柄の一つで、目標株価は¥7,900に維持。
- リスク
- 中国CMP装置ベンダーの競争力上昇、新半導体デバイス技術の採用鈍化、原油またはLNG価格、精製・石化マージンの低下。
- KOKUSAI ELECTRIC(6525.T)新たなWFE見通しと、転用可能なクリーンルーム空間や追加シフトなどの生産能力対策が、FY3/28までの利益成長を支える。
- 強み
- 砺波工場にはクリーンルームへ転換できるスペースがあり、十分な短期的生産能力の柔軟性を提供する。
- 弱み
- 他の前工程SPE同業と比べてバリュエーションの魅力が依然として低い。
- 比較
- 利益予想は大幅に引き上げられるが、中立を維持。
- リスク
- 主要顧客の投資変化、競合の戦略変更による競争環境の変化、輸出規制のさらなる調整。
- アルバック(6728.T)WFE需要改善の恩恵は、材料調達リードタイムと生産能力によって制約される。
- 強み
- 受注環境は強く、生産能力の柔軟性がさらに改善すれば上振れ余地がある。
- 弱み
- 限られた生産能力、長期化した材料調達サイクル、研究開発費の増加により、競合他社より利益上振れ余地が小さい。
- 比較
- 業界平均EV/EBITDAに対するバリュエーション・ディスカウントを55%から60%へ拡大し、目標株価を¥7,200へ引き下げ、売りを維持。
- リスク
- 生産ボトルネックおよび部材調達リードタイムが、引き続き受注転換と利益率改善を制約する可能性がある。
- アドバンテスト(6857.T)WFE市場の拡大に伴ってSoCおよびメモリ・テスターの販売が増加し、早期の生産能力拡張がFY3/28までの利益成長を支える。
- 強み
- 生産能力拡張が加速されている。
- 弱み
- デバイス当たりのテスト時間に大きな変化はなく、FY3/28以降の利益成長はカバレッジ同業を大きく上回ることが難しい可能性がある。
- 比較
- 利益予想と目標株価は引き上げられるが、中立を維持。
- レーザーテック(6920.T)DRAMおよびロジックにおけるACTISとMATRICSの用途拡大が、受注・利益成長を支える。
- 強み
- ACTISの対象市場は拡大しており、A300およびACTIS A200HiTの用途が増加;FY6/27受注予想は¥425.6bn。
- 弱み
- 決算発表後に株価は最近軟調だったが、本レポートはそのことを理由にファンダメンタルズ評価を変更していない。
- 比較
- 買い評価でアジア太平洋コンビクション・リストに採用、12カ月目標株価は¥70,000を維持。
- 東京精密(7729.T)中国OSAT投資および後工程生産能力拡張需要が受注を生むが、生産能力制約が利益実現を抑制する。
- 強み
- プローブステーションの受注は強く、受注残高は高水準を維持している。
- 弱み
- 2027年末ごろに稼働開始が見込まれる新飯能工場まで、生産能力を増やす余地は限られる。
- 比較
- 利益予想と目標株価は小幅に引き上げられるが、売りを維持。
- リスク
- 新工場稼働開始前の生産能力ボトルネックが、FY3/28までの利益拡大を制約する可能性がある。
- SCREEN HD(7735.T)同社は実需に沿って売上を拡大できるが、中国売上ミックスの変化が利益率の上振れを制限する。
- 強み
- 明確な生産能力制約は見られず、FY3/27-FY3/29の営業利益予想はそれぞれ1%、8%、22%引き上げられる。
- 弱み
- 新興中国顧客向け事業は高利益率であり、今後の中国売上比率低下が利益率拡大を弱める可能性がある。
- 比較
- 利益予想と目標株価は引き上げられるが、売りを維持。
- リスク
- 中国売上ミックスの変化により、売上成長が十分に利益率改善へ転換されない可能性がある。
- HOYA(7741.T)HDDおよびEUVマスクブランクス需要の成長に加え、情報技術およびライフケア事業の拡大がコンセンサスを上回る利益を支える。
- 強み
- FY3/29の大規模設備投資前から十分な生産能力の柔軟性を有し、両中核事業の収益性が着実に拡大している。
- 比較
- 目標株価は¥35,000から¥36,000へ引き上げられ、買いを維持。
- 東京エレクトロン(8035.T)旺盛な需要と積極的な値上げが相まって、売上および利益率の上方修正を牽引する。
- 強み
- 需要に対応する中で納入リードタイムは同業ほど大幅に長期化しておらず、値上げは円滑に実施され、売上総利益率目標は前倒しで達成される可能性がある。
- 比較
- 主要な買い推奨4銘柄の一つであり、目標株価は¥86,000から¥90,000へ引き上げ。
- リスク
- 本レポートの想定より値上げまたは利益率改善の効果が遅れて実現した場合、予想される業績上方修正は実現しない可能性がある。
主要データ
- 世界WFE市場予想—CY26US$150.3bn前年比36%増で、予想を大幅に引き上げ
- 世界WFE市場予想—CY27US$217.5bn前年比45%増で、成長はさらに加速する見込み
- 世界WFE市場予想—CY28US$280.9bn前年比29%増
- 中国WFE成長見通しCY26-CY28を通じて二桁成長を継続設備投資は堅調を維持
- ディスコの契約負債¥73bn1Q3/27末時点で前四半期比46%増、引き合いおよび受注拡大の証拠とみられる
- レーザーテックFY6/27受注予想¥425.6bn会社の通期受注ガイダンスである¥300bn-¥400bnの範囲を上回る
- 東京精密の新飯能工場2027年末ごろの稼働開始を予定稼働開始前は生産能力の上振れ余地が限定的と予想される
- 東京エレクトロンの売上総利益率目標少なくとも50%経営陣の目標はFY3/28末だが、ゴールドマン・サックスは4Q3/27にも達成される可能性があるとみる
- アルバックのバリュエーション・ディスカウント60%業界平均EV/EBITDAに対するディスカウントを55%から拡大
- レポート価格基準日2026年8月21日終値目標株価と現在株価の変動率を計算するために使用
影響と示唆
本レポートは、WFE業界全体の需要上昇トレンドが強まったと考えるが、業界の追い風がすべての装置ベンダーに比例して恩恵をもたらすわけではないとしている。迅速に拡張可能な生産能力、より短く安定した納入リードタイム、より強い価格決定力を持つ企業は、受注を業界平均を上回る売上および利益率成長へ転換しやすい。生産能力または調達のボトルネックに制約される企業、あるいは利益率拡大に不利な事業ミックスを持つ企業は、受注が強くても業績予想引き上げ余地が限定される可能性がある。したがって、業界評価は需要・受注だけへの注目から、受注転換の質と増分利益へと移行している。
リスク
- 装置ベンダーが適時に生産能力を拡張できない場合、旺盛な受注は期待どおりに売上・利益へ転換されない可能性がある。
- 部材調達リードタイムの長期化と部材コスト上昇は、納入を遅らせ利益率を圧迫する可能性がある。
- 中国需要の減速または輸出規制の強化が、装置需要および企業売上に影響する可能性がある。
- 半導体設備投資が減速局面に入れば、WFE需要は弱まる。
- 対米ドルでの急速な円高は、一部の日本の装置ベンダーに悪影響を及ぼす可能性がある。
- 中国国内CMP装置ベンダー間の競争力上昇が、荏原の成長または市場シェアに影響する可能性がある。
- 主要顧客の投資計画および競合の戦略変化が、KOKUSAI ELECTRICの収益軌道を変える可能性がある。
注目点
- 世界WFE市場がCY26-CY28にUS$150.3bn、US$217.5bn、US$280.9bnという予想を達成できるかを注視する。
- 中国のWFE投資がCY26-CY28を通じて二桁成長を継続するか、また中国売上比率が低下する中で日本の装置ベンダーが絶対額ベースの売上を継続的に拡大できるかを評価する。
- 各装置ベンダーの生産能力拡張力、および製造・部材調達リードタイム短縮能力を比較する。
- 部材コスト上昇下での値上げの実施状況と、それが売上総利益率および営業利益率に転換されるかを注視する。
- レーザーテックのFY6/27受注が¥400bnのガイダンス上限を上回り、ゴールドマン・サックスの¥425.6bn予想に近づけるかを追跡する。
- 東京精密の新飯能工場が2027年末ごろに計画どおり稼働開始するかを注視する。
- 東京エレクトロンの売上総利益率50%以上の目標が、4Q3/27にも達成されるかを評価する。
- 各社の売上成長が業界平均を上回れるか、また売上成長が利益率改善を牽引できるかを継続的に比較する。