Global I/O Tech Hardware & Semis:AIサプライチェーン需要は堅調だが、メモリーインフレが消費者向けデバイスの減速を深める
UBSのアジア太平洋テックツアーは、サーバー、パッケージング、部品需要の加速を背景に、AI、メモリー、半導体製造装置に対する強気見通しを補強した。同時に、メモリー供給の逼迫によるデバイスコスト上昇を理由に、2027年のPCおよびスマートフォン予想を引き下げた。
要約
UBSのアジア太平洋テックツアーは、サーバー、パッケージング、部品需要の加速を背景に、AI、メモリー、半導体製造装置に対する強気見通しを補強した。同時に、メモリー供給の逼迫によるデバイスコスト上昇を理由に、2027年のPCおよびスマートフォン予想を引き下げた。
- UBSは2026EのNVIDIAラック予想を77,500から80,000へ引き上げ、2027Eは95,000に据え置いた。
- アクセラレータ台数は2026Eに32%、2027Eに40%成長すると予想され、メモリー、ファウンドリー、基板、MLCC、電源ICでAIサプライチェーンのボトルネックが続く。
- UBSは2027Eの世界PC台数予想を+2%から-4%へ、スマートフォン台数予想を+2%から-3%へ引き下げた。
- CoWoS能力は2026E末の160,000 wafers per monthから2027E末の270,000 wafers per monthへ増加すると予想される。
- UBSはDelta Electronics、D.I Corp、King YuanをAPAC Tech Most Preferredリストに追加した。
レポート解説
概要
アジア太平洋テックツアーで40社と面談した結果に基づき、UBSはファウンドリー、メモリー、先端パッケージング、電源、テスト、半導体製造装置にわたるAIインフラ需要が構造的に強いと論じる。主な相殺要因は消費電子であり、メモリー価格上昇と割当制約が2027年にかけてPCおよびスマートフォンの台数需要を弱めている。
主要見解
UBSは、広く論じられているAI減速の証拠を上流サプライチェーンで確認していない。ファウンドリーおよびメモリー供給企業は数年間にわたる強い需要を見込み、ハイパースケーラーは2027年のサーバーDDR5とエンタープライズSSDの要求を増やしている。UBSは2026EのNVIDIAラック予想を77,500から80,000へ引き上げ、2027Eは95,000に維持した。データセンターの準備状況とハイパースケーラーまたはネオクラウドの設備投資予算次第では、2027年にさらに20,000-30,000ラックの上振れ余地がある。2027年の基本ケースは約20%のラック台数成長と、Blackwell比約70%高いUS$7-8 millionのRubinラックASPを組み合わせ、NVIDIAの2027年売上が倍増する可能性を支える。Rubinは11月から量産拡大が見込まれ、AMD Heliosは2Q27に高い台数の転換点を迎える見通しである。 AI構築は需要よりも部品による制約を強めている。UBSはアクセラレータ総台数が2026Eに前年比32%増の17.5 million、2027Eに40%増の24.9 millionとなり、総ダイ数はさらに速く、それぞれ44%と65%増の28.3 million、46.6 millionになると予想する。制約はHBM、先端ファウンドリー、高性能PCB・基板、MLCC、AI電源ICに及ぶ。AI電源は特に重要な構造テーマであり、UBSは2030EのAI電源市場をUS$91.1 billion、2025-30年CAGRを69%と推計する。ラック電力の上昇に伴い専用電源サイドカーと400/800VDCへの移行を見込むが、GPUプラットフォームのタイミングが主要な変動要因である。 AI需要は従来型サーバーも支える。UBSは総サーバー出荷を2026Eの23.8 million、2027Eの27.7 millionと予想し、従来型サーバーはそれぞれ前年比21%と15%増の22.6 million、26.0 millionと見込む。メモリー供給の制約は一部の短期的な構築を遅らせうるが、受注残は強く、AMDとIntelの新プラットフォームが2027年上期の再加速を支える見通しである。レポートは、エージェントAIによる計算需要の増加がBMCチップ、サーバーDRAMモジュール、メモリーインターフェースの需要を高めると指摘する。 メモリーはテクノロジー循環の中心的な伝達要因である。UBSはSamsungのブレンド3Q26E DRAM ASPが前期比27%、SK Hynixが23%上昇し、その後4Q26Eにはそれぞれ10%と7%上昇すると予想する。2027EのブレンドHBM ASPはSK Hynixで62%、Samsungで93%の成長を予測する。ハイパースケーラーのDDR5とエンタープライズSSD需要は利用可能な供給を上回り、UBSはエンタープライズSSDの非制約下ビット需要が2027Eに前年比100%増、制約下では約40%増となる可能性を見込む。2026Eには90%超の成長後である。HBM供給は中国のAIアクセラレータ市場の制約であり、UBSは現地HBMの立ち上がり時期、量産歩留まり、輸出規制に不確実性があるとする。 同じメモリーインフレが、UBSの消費者向けデバイス見通しをより慎重にしている。2026EのPC台数11%減は維持する一方、2027E予想を+2%成長から-4%へ引き下げ、231 million台とした。レポートは、2025年半ば以降のDRAM契約価格766%上昇、NAND価格471%上昇、CPU価格の二桁上昇が、購入可能性とPC需要を圧迫すると指摘する。UBSは2026EのPC台数を241 millionと予想するが、ASPの14%上昇により業界売上は1.4%増のUS$202 billionとなる。ノートPC ODMの2026E年間出荷も109.7 million、前年比15%減へ引き下げ、3Q26Eは25.1 million台、前期比17%減・前年比26%減へ下方修正した。 UBSは世界スマートフォン台数についても、2027Eを従来の+2%から-3%へ引き下げた。2026Eは-10%、2028Eは+2%を予想する。iPhoneサプライチェーンは相対的に底堅く、2026年の生産は約240-260 million台で、2027年も成長する初期兆候がある。一方、Android需要はメモリーインフレにより強く影響を受ける。Samsungは自社メモリー供給の恩恵を受ける見込みで、XiaomiとTranssionは値上げと供給契約を通じたコスト管理を試みている。 半導体製造装置の見通しは顕著に強気である。Tokyo ElectronはCY2026 WFE予想US$150 billion、CY2027 US$190 billionを維持し、上振れ可能性とCY2028の追加成長を見込む。UBSは6月以降の受注増、TSMCとIntelの先端ロジック需要の強さ、SamsungとSK Hynixが6カ月ごとにクリーンルームの1フェーズを埋める可能性を指摘する。中国のWFE需要もメモリー・ロジック拡張に支えられ、UBSはCXMTとYMTCの合計WFE支出を2026EにUS$14.0 billion、2027EにUS$22.5 billionと予想する。装置部品供給は短期的な制約だが、Nauraは最も厳しい時期を4Q26、1Q27以降の緩和を見込む。 先端パッケージング、テスト、関連部品もAIの複雑化の恩恵を受ける。UBSはCoWoS能力を2026E末の160,000 wafers per monthから2027E末の270,000 wafers per monthと予想する。追加の外注競争の可能性にもかかわらず、ASEのLEAP売上は2027EにUS$7.5 billionを超えると見込む。チップレット、より高いHBM統合、ウェハーレベルプロービングの増加がテスト需要を支え、AdvantestはCY2026 SoCテスターTAMの中央値をUS$9.1 billionからUS$11.0 billionへ引き上げた。受動部品では、MurataはAIサーバーMLCC売上がFY27に前年比倍増しFY28に再度倍増すると予想し、FY27/28に¥80 billionを投資してMLCC能力を30-35%増やす計画である。 UBSの選好エクスポージャーはメモリー、半導体製造装置、MLCCに集中する。同社はDelta Electronics、D.I Corp、King YuanをAPAC Tech Most Preferredに追加し、GUC、Hansol Chem、Wiwynnを除外した。Hua HongをLeast Preferredから外し、Realtekを追加した。レポートの総括は、AI主導の需要と供給ボトルネックが一部のインフラ・半導体サプライチェーン企業を支える一方、消費者向けハードウェアはより厳しい台数環境に直面するというものである。
分析フレームワーク
UBSはアジア太平洋のテクノロジー企業40社との面談から得たフィードバックを、サプライチェーン調査、企業データ、予測モデルと統合している。最終市場別に需要を評価し、供給網を通じた能力・部品のボトルネックを追跡し、台数、価格、ASP、能力、設備投資の前提を改定した上で、選好・非選好のセクターエクスポージャーを特定している。
手法メモ
AIインフラ、メモリー、装置、消費者向けデバイスにわたる需給分析。
レポートは需要要求を利用可能な能力・部品供給と比較し、価格、出荷制約、AIインフラとPC・スマートフォンの相対的な見通しを説明する。
ハイパースケーラー需要からファウンドリー、メモリー、パッケージング、テスト、電源、部品企業へのAIサプライチェーン伝達。
UBSはサプライヤーのフィードバックを用いて、アクセラレータ・サーバー需要の増加をHBM、DDR5、SSD、CoWoS、PCB、MLCC、電源システム、製造装置の下流需要へ結び付ける。
台数需要とASPおよびコンテンツ価値成長を分けて分析する。
レポートは、ラック台数、デバイス台数、ラックASP、メモリーASP、サーバー・ラック当たりの部品コンテンツ増加を通じて売上への影響を説明する。
資産マッピングと比較
投資テーゼから固有資産への構造化マッピング(強み、弱み、同業、リスク)。
- Delta Electronics (2308.TW)Most Preferred、AIサーバー電源の受益者
- 強み
- AI GPU・ASICプラットフォームの投入を背景に、サーバー電源事業は2026年に70%超の成長が見込まれる。
- 弱み
- 短期の売上は電源ICとコンデンサのリードタイムに制約される。
- 比較
- UBSはDeltaがLite-Onを上回る一方、売上規模が大きいため供給制約をより受けると述べる。
- リスク
- 能力が追い付くまで、需給ギャップが出荷を制限する可能性がある。
- Samsung Electronics (005930.KS) and SK Hynix (000660.KS)Most Preferred、メモリーサイクルの受益者
- 強み
- DRAM・HBM価格の上昇、強いサーバーDDR5・エンタープライズSSD需要、高水準の設備投資計画が見通しを支える。
- 比較
- UBSは2027EのブレンドHBM ASP成長をSamsungで93%、SK Hynixで62%と予想する。
- リスク
- メモリーサイクルの前提はAIおよびハイパースケーラー需要の持続に依存する。
- TSMC (2330.TW)Most Preferred、先端AI/HPCファウンドリーの受益者
- 強み
- UBSは2029-30年までのAI/HPC需要の堅調な可視性と、先端ノード装置への強い需要を見込む。
- 比較
- 先端能力の逼迫は、一部需要を成熟ファウンドリーへも振り向けている。
- リスク
- データセンター建設の準備状況が短期需要のタイミングに影響しうる。
- Tokyo Electron (8035.T)Most Preferred、半導体製造装置の受益者
- 強み
- 同社は受注増、2028年までの可視性、DRAM、中国、先端ロジック全般の需要を見ている。
- 弱み
- 装置サプライチェーンが拡張の主な制約である。
- 比較
- UBSは日本、米国、韓国、中国の装置サプライヤー全般でWFEの強さを強調する。
- リスク
- 実行はサプライヤーが部品・サブシステム能力を拡張できるかに左右される。
- ASE (3711.TW)Most Preferred、先端パッケージングの受益者
- 強み
- フルプロセスCoWoSとプロービング外注の拡大により、UBSはLEAP売上が2027EにUS$7.5 billionを超えると見込む。
- 比較
- 追加のOSATウェハー・オン・サブストレート外注パートナーは競争を高める可能性がある。
- リスク
- TSMCの追加外注は競争上の位置付けを弱める可能性がある。
- MediaTek (2454.TW)Most Preferred、クラウドASICの受益者
- 強み
- Google TPU v8tは2026年にUS$2 billion超、2027年にUS$12-16 billionの売上寄与が見込まれる。
- 弱み
- スマートフォン需要は引き続きメモリーコストの圧力を受ける。
- 比較
- UBSはクラウドASICがスマートフォン事業より重要性を増しているとみる。
- リスク
- 将来のGoogle ASICサプライヤー構成がコンテンツとシェアに影響しうる。
- Murata Manufacturing (JP6981)Most Preferred、AIサーバーMLCCの受益者
- 強み
- UBSはAIサーバーMLCC売上がFY27に前年比倍増し、FY28に再び倍増すると予想し、能力投資も加速する。
- 弱み
- 汎用品と高性能MLCCの製品ミックスは変動しうる。
- 比較
- MurataとSEMCOはいずれもMLCCの価格環境改善の可能性を示している。
- リスク
- 需要前提はAIサーバーインフラ拡張の継続に依存する。
- Realtek (2379.TW)Least Preferred、消費者向け半導体エクスポージャー
- 強み
- UBSは、値上げとネットワーキング、サーバー、自動車への取り組みにより、売上が懸念より底堅くなる可能性を指摘する。
- 弱み
- 消費者向けおよびPC需要は2026年後半に弱まっている。
- 比較
- レポートは強いネットワーキング・自動車分野と、弱いPC・消費者向け半導体を対比する。
- リスク
- メモリーインフレの継続が消費者向けデバイス需要をさらに圧迫する可能性がある。
主要データ
- NVIDIAラック予想80,000 in 2026E; 95,000 in 2027E2026Eは77,500から引き上げ、2027Eは維持。
- AIアクセラレータ台数成長+32% in 2026E to 17.5 million; +40% in 2027E to 24.9 millionUBSは総ダイ数がより速く、+44%および+65%成長すると予想する。
- AI電源市場US$91.1 billion in 2030EUBSは2025-30年のCAGRを69%と予想する。
- PC台数見通し-11% YoY in 2026E; -4% YoY in 2027E to 231 million units2027Eは従来の+2%成長から引き下げ。
- スマートフォン台数見通し-10% YoY in 2026E; -3% YoY in 2027E; +2% YoY in 2028E2027Eは従来の+2%成長から引き下げ。
- CoWoS能力270,000 wafers per month by end-2027E2026E末の160,000 wafers per monthに対し増加。
- Tokyo Electron WFE予想US$150 billion in CY2026; US$190 billion in CY2027同社は上振れの可能性を認め、CY2028も成長年になると見込む。
影響と示唆
UBSは、メモリー、半導体製造装置、先端パッケージング、テスト、電源、MLCC、基板、PCBを中心に、AIインフラの受益分野で最も強いセクター支援を見込む。メモリー逼迫は供給企業の価格には追い風である一方、消費者向けデバイスの台数には逆風であり、アジア太平洋テックハードウェア内で見通しを分化させる。
リスク
- 半導体業界は景気循環に敏感であり、上振れ・下振れのリスクはマクロ要因に関係する。
- 半導体製造装置企業は、製品タイミング、性能、設計、流通により市場シェアを急速に失うリスクがある。
- 携帯電話サプライチェーン企業は、マクロおよび在庫循環のリスクに加え、継続的な製品革新と研究開発投資を要する競争の激しい環境にある。
- AIインフラの成長は、メモリー、先端ファウンドリー、パッケージング、PCB、MLCC、電源部品の供給により制約されうる。
注目点
- ハイパースケーラーが2027年のAIサーバー、DDR5、エンタープライズSSDの需要要求を引き続き増やすか。
- データセンターの準備状況とハイパースケーラーまたはネオクラウドの設備投資予算。これらは2027年NVIDIAラック予想の潜在的な上振れを左右する。
- HBMの供給、中国における現地HBMの認定・歩留まり進展、輸出規制が国内AIアクセラレータに与える影響。
- 2027年のPCおよびスマートフォン需要に影響するメモリー価格インフレと割当動向。
- CoWoS能力拡張、WFE受注モメンタム、装置サプライチェーンの制約。