Global semiconductor and semiconductor production equipment sector レポート解説
レポートはWFE成長率予想を2026年31%、2027年38%、2028年17%へ引き上げ、主にDRAMとTSMCの投資が牽引するとみる。同社は、DRAM・TSMCへのエクスポージャー、十分な供給能力、値上げによるマージン改善余地を持つ半導体装置サプライヤーを選好している。
要約
レポートはWFE成長率予想を2026年31%、2027年38%、2028年17%へ引き上げ、主にDRAMとTSMCの投資が牽引するとみる。同社は、DRAM・TSMCへのエクスポージャー、十分な供給能力、値上げによるマージン改善余地を持つ半導体装置サプライヤーを選好している。
- 世界WFE市場は2026年に$163 billion、2027年に$225 billion、2028年に$263 billionに達すると予想される。
- 米国上位4社のCSP投資は2025–28年に58% CAGRで増加すると予想される。
- DRAMと先端ファウンドリー能力は少なくとも2028年まで供給不足が続くと予想される。
- KLAC、ASML、Tokyo Electron、Advantestは各市場における選好銘柄として挙げられている。
レポート解説
概要
J.P. Morganの世界半導体装置アップデートは、AI主導のクラウド、メモリー、ファウンドリー、先端パッケージング投資の強まりを受けてWFE見通しを引き上げた。同社はこの設備投資サイクルが2028年まで力強く続くと予想し、顧客構成、生産能力、価格決定力を主要な銘柄選択要因としている。
主要見解
J.P. Morganは、ボトムアップの世界ウェハ製造装置予想を、2026年31%前年比成長、$163 billionへ、従来の28%から引き上げた。2027年は38%、$225 billionで従来の29%から、2028年は17%、$263 billionで従来の16%から引き上げた。これは2025–28年の28% CAGRを意味する。上方修正は主にDRAMとTSMCによるものだが、NANDとロジックの前提も引き上げている。AI需要に対応するCSP投資の加速が中核であり、米国上位4社のCSP投資は2025–28年に58% CAGRで増加すると予想される。これが先端能力への投資と、技術的に複雑な装置の需要を押し上げる。 レポートは、装置需要が単なる広範な循環回復ではなく、供給逼迫に支えられるとみる。HBMは通常製品の3–4倍のダイ能力を消費し、構成比も上昇するため、能力増加にもかかわらずDRAM供給は少なくとも2028年まで需要を下回ると予想する。2027年の供給は需要の70–80%にとどまり、2028年の需給均衡には追加で300,000 WSPMが必要だが、それは実現困難とみる。2026–28年のメモリーTAMは4–8%引き上げ、2027年のHBM価格予想は前年比42%へ引き上げた。20–25%の前払いと50–70%の数量カバーを伴う長期契約は、メモリーメーカーの強い交渉力の証左とされる。 TSMCはもう一つの主要な需要エンジンである。AIアクセラレーターとエージェンティックAI CPU需要を背景に、N2、N3、N5の稼働率は2028年まで100%超を維持すると予想する。TSMCの2026年、2027年、2028年の設備投資予想を、それぞれ$62 billion、$81 billion、$90 billionへ、従来の$56 billion、$65 billion、$72 billionから引き上げた。N5以下の先端能力は2026–28年に24% CAGRで拡大するとみる。CoWoS能力予想は2026年末、2027年末、2028年末で115,000、190,000、225,000 wafers per monthへ引き上げられ、OSATのCoWoS類似能力も15,000、50,000、85,000 wafers per monthへ拡大すると予想する。先端パッケージングの成長は、NVIDIA、AMD、Google、AWSなどの2027–28年のAI製品立ち上がりと結び付けられている。 銘柄選択では、DRAM・TSMC向け売上比率が高く、部品調達・製造能力が十分で、値上げによりマージン改善を実現できるサプライヤーを選好する。価値ベース価格体系は維持される一方、Tokyo Electronなどはコスト上昇を価格へ反映し始めている。2027年以降は、クリーンルームの立ち上げ・増産と価格改定が一段と重要な成長要因になるとみる。 米国半導体製造装置ではKLAを最有力とする。年初来でLam ResearchとApplied Materialsに劣後している一方、2027年にはWFE成長がファウンドリー・ロジックへ移り、KLAに有利になるとみるためである。新ノードのテープアウトで需要が強いプロセス制御装置や、歩留まり・コスト重視で増えるIntelの設備投資は、2027年売上の市場コンセンサスを上回る余地を生む可能性がある。欧州ではASMLを最有力とする。長いリードタイムで成長の多くが2027–28年に集中し、Samsungによる2028年のHigh-NA EUV量産採用の可能性がDRAMサイクル以外の成長要因となる。100%のEUVシェアにより重要な受益者になると予想する。 日本では、前工程でTokyo Electron、後工程テストでAdvantestを引き続き選好する。Tokyo ElectronはTSMC・DRAMへの高いエクスポージャー、2027年夏までに完了予定のMiyagi Production Innovation Centerでの能力拡張、2026年度下期、主に第4四半期からの価格改定効果が理由である。AdvantestはGPU、ASIC、CPUへの強い関与と、半導体の複雑化・付加価値上昇によるテスト重要性の高まりを背景に、FY2025–28で47%の営業利益CAGRが見込まれる。 レポートは、中国の装置、ファウンドリー、パッケージング、サーバーにもAIの影響が広がると指摘する。中国ファブの設備投資予想を2026年に10%、2027年に9%引き上げ、2028年を$54.7 billionと新たに見積もり、2025–28年7% CAGRを示す。国内の先端ロジック・メモリー投資は12% CAGR、装置の現地化率は2025年の約25%から40%へ、国内ベンダーTAMは25% CAGRへ拡大すると予想する。AIアクセラレーター需要は2025–28年に50% CAGRで成長し、メモリーコスト上昇でPC需要が脆弱でもサーバー需要を支えるとみる。HBM・SOCAMM仕様の低下は供給制約への対応であり、AI需要鈍化の兆候ではないが、メモリーの需要破壊懸念は追加的なバリュエーション上昇を抑える可能性がある。
分析フレームワーク
J.P. Morganは、半導体メーカーの設備投資計画と推定装置比率からボトムアップでWFE予想を構築する。AI関連CSP設備投資からチップ需要への連鎖を追い、メモリー・ファウンドリーの能力、稼働率、価格、パッケージング、最終市場出荷の前提を評価して、支出構成の恩恵を受ける装置サプライヤーを特定している。
手法メモ
ボトムアップの半導体装置、メモリー、能力の需給分析
レポートは予想需要をウェハ能力、稼働率、装置支出と比較し、DRAM、ファウンドリー、WFE需要が強い状態を維持し得る理由を説明する。
AI CSP設備投資からチップメーカー、装置サプライヤーへの伝達
クラウド投資の増加がAIチップ、先端ファウンドリー、メモリー、先端パッケージング、最終的には半導体装置への需要をどう高めるかをたどる。
数量、構成、価格改定による装置需要とサプライヤーマージンへの影響
レポートは、装置数量の増加と顧客構成の変化を、サプライヤーのマージンを改善し得る価格行動と区別している。
資産マッピングと比較
投資テーゼから固有資産への構造化マッピング(強み、弱み、同業、リスク)。
- KLA Corporation (KLAC)米国半導体製造装置の最有力銘柄であり、2027年のWFE支出がファウンドリー・ロジックへ移行する恩恵を受けると見込まれる。
- 強み
- 十分に評価されていないファウンドリー・ロジックへのエクスポージャーと、Intelの設備投資増加に伴う2027年売上コンセンサス上振れの可能性。
- 弱み
- 直近のメモリー主導のWFE回復による恩恵は同業他社より小さかった。
- 比較
- 株価は年初来で約50%上昇、Lam Researchは約85%、Applied Materialsは約82%、SOXは約68%上昇。
- リスク
- 予想されるファウンドリー・ロジック支出への移行が実現しない可能性。
- ASML (ASML)欧州SPEの最有力銘柄であり、2027–28年のWFE成長の主要受益者と見込まれる。
- 強み
- EUVで100%のシェアを持ち、Samsungによる2028年のHigh-NA EUV量産採用が成長要因となり得る。
- 弱み
- リードタイムが長く、出荷時期は2027年・2028年度により偏る。
- 比較
- FY2026に62.5%上昇し、AEXの16%上昇を上回ったが、米国同業他社には劣後。
- リスク
- 予想される出荷時期とHigh-NA EUV採用は変わる可能性がある。
- Tokyo Electron (8035)日本の前工程半導体装置サプライヤーの選好銘柄。
- 強み
- TSMC・DRAMへの高いエクスポージャー、計画された能力拡張、価格改定による利益。
- リスク
- 恩恵はTSMC・DRAM需要の継続、供給の実行、価格改定の実現に依存する。
- Advantest (6857)日本の後工程半導体テストの選好サプライヤー。
- 強み
- GPU、ASIC、CPUへの強いエクスポージャー。J.P. MorganはFY2025–28の営業利益CAGRを47%と予想。
- リスク
- 成長は半導体の複雑化とAIテスト需要の継続的拡大に依存する。
主要データ
- 2026年の世界WFE市場成長率31% YoY; $163 billion28% YoYから引き上げ。
- 2027年の世界WFE市場成長率38% YoY; $225 billion29% YoYから引き上げ。
- 2028年の世界WFE市場成長率17% YoY; $263 billion16% YoYから引き上げ。
- 2025–28年の世界WFE CAGR28%J.P. Morganの改定後予想。
- 2025–28年の米国上位4社CSP投資CAGR58%J.P. Morganアナリスト予想の集計に基づく。
- TSMCの2026/2027/2028年設備投資予想$62 billion / $81 billion / $90 billion$56 billion / $65 billion / $72 billionから引き上げ。
- 2027年のDRAM供給の需要比70–80%同社は不足が悪化した後、2028年に幾分緩和すると予想する。
- AdvantestのFY2025–28営業利益CAGR47%GPU、ASIC、CPUテスト需要に支えられる。
影響と示唆
レポートは、AI関連のメモリー、先端ファウンドリー、先端パッケージング投資により、複数年の装置上昇サイクルが生じるとみる。DRAM・TSMCへのエクスポージャー、需要を満たす運営能力、説得力ある値上げまたはマージン拡大余地を持つサプライヤーが最も恩恵を受け、サプライヤーと最終市場の差異が相対パフォーマンスを左右するとしている。
リスク
- メモリー価格と部品コストの上昇は、価格弾力性を通じてPC需要を弱める可能性がある。
- HBM・SOCAMM仕様の低下による需要破壊懸念は、メモリーバリュエーションの一段の上昇を抑える可能性がある。
- レポートは、CSPのAI投資の持続性と資金調達が引き続き市場の懸念であると指摘する。
- 強い需要にもかかわらず、装置サプライヤーは部品調達や生産能力に制約される可能性がある。
注目点
- 2027年までのCSP設備投資の推移と、債券・株式市場を通じた資金調達が続くか。
- DRAMの需給バランス、HBM価格、2028年までの能力追加ペース。
- TSMCのN2、N3、N5の稼働率、設備投資の実行、2027年の値上げの可能性。
- CoWoS・OSATの先端パッケージング能力の立ち上がりと、2027–28年の新たなAI製品投入。
- 装置サプライヤーの顧客構成、部品の入手可能性、価格改定の実現状況。