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レポート解説Hilo Research

Global equity regional allocation: non-US equities and emerging markets versus developed markets レポート解説

レポートは、地政学リスクと債券利回りへの懸念にもかかわらず、世界の活動改善と利益モメンタムの広がりが年末までの株価上昇を支えると論じる。EM対DMのOverweightを維持し、非米国株が米国株を2年連続でアウトパフォームすると見込む。

機関JPMorgan
日付20260907
業界multi-industry/asset allocation

要約

レポートは、地政学リスクと債券利回りへの懸念にもかかわらず、世界の活動改善と利益モメンタムの広がりが年末までの株価上昇を支えると論じる。EM対DMのOverweightを維持し、非米国株が米国株を2年連続でアウトパフォームすると見込む。

資産配分:equitiesはOverweight、bondsはNeutral、cashはUnderweight。地域配分:EMとEurozoneはOverweight、DMはUnderweight。
世界株非米国株新興国市場EM vs DM利益予想修正市場の裾野拡大USD景気敏感株半導体
  • レポートによると、世界株は年初来でUSD建てトータルリターンが15%上昇した。
  • MSCI AC World ex USは年初来で米国を4.3%アウトパフォームし、2025年には15%超アウトパフォームした。
  • J.P. Morganは、2026年のMSCI AC World ex USのEPS成長率を36%、米国を32%と予想している。
  • EMは年初来でDMを11.0%アウトパフォームし、2025年初以降の累計では約17%アウトパフォームしている。
  • EMはフォワードP/E約10xで取引され、DMの約18xに対して45%のディスカウントとなっている。
  • 地域配分はEMとEurozoneをOverweight、DMをUnderweight、US、Japan、UKをNeutralとする。

レポート解説

概要

この世界株ストラテジー・レポートは、年末に向けた前向きな株式見通しを維持する一方、米国主導でAIにけん引された集中相場から重点を移している。J.P. Morganは、活動の強まり、より広い利益成長、潜在的なUSD安、そして割安かつ軽いポジショニングのEM株が非米国市場を支えると見込む一方、地政学的エスカレーション、インフレ、政策引き締めを主要な脅威として認識している。

主要見解

J.P. Morganは年末に向けて世界株に強気を維持している。その主因はリスクがないことではなく、堅調な活動環境にある。地政学リスク、インフレ懸念、債券市場の売りにもかかわらず、世界株は史上最高値近辺を維持している。同社は、世界の中国除く製造業生産の改善、米国の非テクノロジー設備投資・建設投資など、非テクノロジー活動の回復を強調する。US ISM manufacturingは4年ぶり高水準に達し、Eurozone manufacturing PMIはIran conflictによる下振れ後に上昇基調へ戻り、Eurozone economic surprise indexも数年ぶり高水準に上昇した。こうした活動の強まりは、健全なQ1およびQ2の決算シーズン、セクター横断的な利益達成の広がり、全主要地域でプラスに転じた週次EPS修正につながっている。このためJ.P. Morganは、株式のさらなる上昇と下半期の新高値を見込む。 同社は、インフレ期待がアンカーされている限り、債券利回り上昇や緩やかな中央銀行の引き締めがこの建設的な株式見通しを崩すとはみていない。現在の環境を2022年と比較すると、当時はAtlanta Fedの賃金上昇率が6%超で上昇を続け、供給制約と相まって積極的な引き締めを招いた。一方、現在の賃金上昇率は数四半期にわたり低下し、4%近辺となっている。直近の雇用統計は堅調な採用を示す一方、時給の前年比伸び率はCovid以降で最低だった。J.P. Morganは、現在のインフレ圧力の大部分は短期的な原油価格の動きに結び付いていると考え、原油価格が現水準近辺で推移すれば、ベース効果の剥落により米国とEurozoneのヘッドラインCPIは前期比で低下し始めると予想する。タームプレミアムはおおむね正常化し、実質金利は過去数年のレンジ内にあり、現水準の利回りは株式バリュエーションにとって管理可能とみる。ただし、米国10年債利回りが5.5%以上に達すると、歴史的により大幅なマルチプル圧縮を通じ、利回りと株式バリュエーションの関係が著しく制約的になり得ると指摘する。 主要な地域判断は、米国に対する非米国市場のアウトパフォーム継続である。MSCI AC World ex USは、USD建てトータルリターンで2025年に米国を15%超アウトパフォームし、今年も4.3%先行している。J.P. Morganは、市場参加の裾野が年末に向けて広がり、Iran conflictが劇的に再エスカレートしなければ、この傾向が続くと予想する。根拠は地域間の利益・成長格差の縮小である。過去3年間は米国の利益が世界のその他地域を上回ったが、2026年のMSCI AC World ex USの利益成長率は36%、米国は32%と予想されている。同社のエコノミストは、今年の世界除く米国の実質GDP成長率を2.8%、米国を2.1%と見込む。レポートは、AIが下半期の株式リターンをこれまでほど支配しないことも、市場参加拡大の触媒とみる。直近の低点では、MSCI AC World構成銘柄のうち過去3か月で指数をアウトパフォームしたのは約25%にすぎなかった。市場の裾野拡大は、世界のその他地域と景気敏感セクターに有利となるはずである。European Cyclicalsは年初来でDefensivesを約7%上回り、US CyclicalsもDefensivesを約10%上回っている。 J.P. Morganは、テクノロジー株は絶対水準では良好に推移しても、以前ほどリターンを主導しないと予想する。Mag-7は今年、株式市場全体を大きくアンダーパフォームしている。同社はテクノロジーのモメンタム解消はおおむね終了し、短期的なリスク削減は行き過ぎた可能性があり、継続的な利益達成がポジション再構築を支えるとみる。半導体株は明確なリーダーになるというより安定化が見込まれ、EMのテクノロジー・エクスポージャーを踏まえるとEM取引を支援する。在欧州では、Mining、Capital Goods、SemiconductorsをOverweightとする。Miningは建設的なChina impulseと弱気のUSD見通し、Capital Goodsは設備投資と電化、SemiconductorsはChina/EMの上向きと予想される安定化から恩恵を受ける。MediaとSoftwareは、戦術的な反発の可能性がある一方で、継続するAI関連の混乱を理由にUnderweightとしている。 レポートは、USD安も世界株、とりわけ非米国株を支えるとみる。USDは地政学的エスカレーションの間に安全資産として機能したが、J.P. Morganは割安ではなく、再び下落する可能性があると判断する。USDのポジショニングは伸び切っており、インフレ環境が改善するなかでFedは市場が織り込むほどタカ派的ではなくなる可能性があるとみる。歴史的にUSD安は株式市場、特に非米国株を支えてきた。USD安とEM FX高は、EM対DMの見通しにとっても重要な要因である。 J.P. Morganは、長期にわたる慎重姿勢の後に昨年EMを引き上げて以来、EM対DMのOverweight判断を維持している。EMは今年、最良時にはDMを20%上回り、現在もトータルリターンで11%先行している。これは2025年の12.8%のアウトパフォームに近く、2025年初以降の累計アウトパフォームは約17%である。同社は、Iran conflictによる混乱やメモリー取引のボラティリティにもかかわらず、EMの活動・利益指標が改善しているため、この見通しは維持されると考える。EM対DMのforecast revision indexは上昇傾向にあり、MSCI EMの週次EPS修正はプラスに転じ、EMの利益成長率は2026年に前年比72%、2027年に23%と予想されている。ポジショニングはなお低い。EMはMSCI ACWI時価総額の約11%を占める一方、世界のAUMに占める割合は約6%にとどまる。EM株の資金フローはQ2の流出後に最近回復しており、2025年の純流入は$29.2bnで2021年以来の高水準、2026年にはすでに約$75bnが記録されている。 バリュエーションもEMを支える大きな要因である。J.P. Morganは、EMがフォワードP/E約10x、DMが約18xで取引されており、45%の記録的なディスカウントがあると述べる。このディスカウントは、景気循環とインフレを調整した後でも異例に大きい。したがって、配分の正常化、より強い資金流入、半導体セクターの安定化が、EMの相対リターンをさらに補強する余地があるとみる。レポートは短期的なボラティリティ・リスクを認めつつ、EMストラテジストは、AI capex and adoption、security/resilience spending、バランスの取れた世界マクロ環境を背景に、Asian equitiesにとって有利な中期的軌道を見込んでいるとする。Korean corporate buybacksが前例のない水準に達する見込みであることも、地域の追加的な支援材料として挙げる。 ポートフォリオ推奨はこの見方を反映する。J.P. Morganは、equitiesをベンチマーク60%に対して65%、bondsをベンチマーク30%に対して30%、cashをベンチマーク10%に対して5%配分する。世界の地域別株式では、EMをベンチマーク12.1%に対して14.0%、Eurozoneをベンチマーク8.7%に対して11.0%、DMをベンチマーク87.9%に対して86.0%とする。US、Japan、UKはNeutralである。米国については、ポジショニングの混雑、割高なバリュエーション、AIのコモディティ化リスクを相対的なリスクとみる。Japanはファンダメンタルズ、改革、自社株買い、賃金上昇が支援する一方、大幅上昇後のバリュエーションはより割高とする。UKは割安でディフェンシブだが、短期的な成長触媒を欠くとみている。

分析フレームワーク

J.P. Morganは、マクロ活動指標、インフレと賃金動向、債券利回り、EPS修正、地域別利益予測、市場の裾野、ポジショニング、ファンドフロー、FX、相対バリュエーションを結び付けて配分見通しを形成している。現在の状況を2022年と比較し、地域別株価指数の相対パフォーマンスを評価するとともに、利益成長格差、GDP予測、フォワードP/Eディスカウント、フローデータを通じて地域判断を検証している。

手法メモ

  • バリュエーション手法PER・PEG評価

    フォワードP/Eの相対バリュエーション

    レポートは、EMのフォワードP/E約10xとDMの約18xを比較し、結果として生じる45%のディスカウントを記録的低水準であり、EMの相対パフォーマンスを支える主要因と位置付けている。

  • 業界・産業分析フレームワーク数量・価格分解

    利益の裾野と、景気敏感株対ディフェンシブ株のパフォーマンス分析

    レポートは、EPS修正、セクター・パフォーマンス、景気敏感株のディフェンシブ株に対する相対パフォーマンスを追跡し、活動改善がテクノロジー以外にも利益達成を広げているかを評価している。

  • イベントドリブン・行動ファイナンス資金フロー・ポジショニング分析

    ポジショニングとファンドフロー分析

    J.P. Morganは、EMの時価総額に対する低い配分とEM資金フローの回復を用い、配分の正常化に伴う需要が地域を支える可能性を論じている。

資産マッピングと比較

投資テーゼから固有資産への構造化マッピング(強み、弱み、同業、リスク)。

  • Global equities
    ベンチマーク60%に対して65%のOverweight配分
    強み
    活動指標の改善、利益達成の広がり、全地域でのプラスのEPS修正。
    弱み
    地政学リスク、インフレ懸念、債券利回り上昇が引き続き逆風。
    比較
    株式はcashより選好され、bondsはNeutral。
    リスク
    重大な地政学的エスカレーション、インフレ期待の脱アンカー、または制約的な利回り水準が見通しを弱める可能性がある。
  • Emerging market equities
    developed marketsに対してOverweight
    強み
    予想修正の改善、2026年の72%の予想EPS成長、低いポジショニング、フロー改善、記録的な相対バリュエーション・ディスカウント。
    弱み
    Iran conflictとメモリー取引の混乱による短期的なボラティリティ。
    比較
    EMはフォワードP/E約10xで、DMの約18xより低く、年初来でDMを11%アウトパフォームしている。
    リスク
    USD高、EM FX安、またはテクノロジーのボラティリティ再燃が相対リターンを損なう可能性がある。
  • Eurozone equities
    Overweight
    強み
    クレジット・インパルスの改善、より強い経済サプライズ・データ、期待される利益回復。
    弱み
    見通しは、下半期を通じて紛争が継続しないことに依存する。
    比較
    MSCIベンチマーク・ウェイト8.7%に対して11.0%を配分。
    リスク
    地政学的エスカレーションの進行が、想定される利益回復を損なう可能性がある。
  • Developed market equities
    EMに対してUnderweight
    弱み
    相対バリュエーションはEMよりかなり高く、レポートは相対的な利益・ポジショニング動向も不利とみる。
    比較
    MSCIベンチマーク・ウェイト87.9%に対して86.0%を配分。
  • Mining, Capital Goods and Semiconductors
    欧州セクター判断ではOverweight
    強み
    Miningは建設的なChina impulseと弱気のUSD見通し、Capital Goodsは設備投資と電化、Semiconductorsは予想される安定化とChina/EMの上向きに支えられる。
    弱み
    Semiconductorsは、以前のAIのように下半期リターンを支配するとは見込まれていない。
    比較
    UnderweightのMediaとSoftwareより選好。
    リスク
    Chinaの活動がMiningの主要な変数であり、テクノロジーのモメンタムと利益達成はSemiconductorsにとって重要である。

主要データ

  • 世界株のパフォーマンス15% YTD total return in USDJ.P. Morganが示した世界株のパフォーマンス。
  • 非米国市場対米国市場のパフォーマンス4.3% YTD outperformanceUSD建てトータルリターンでのMSCI AC World ex USとMSCI USの差。非米国市場は2025年に15.4%アウトパフォームした。
  • 2026年の利益成長36% for MSCI AC World ex US vs 32% for the US予想される前年比EPS成長率。
  • 世界除く米国対米国のGDP成長2.8% vs 2.1%J.P. Morganエコノミストによる今年の予測。
  • EM対DMのパフォーマンス11.0% YTD; approximately 17% cumulatively since the start of 2025レポートが示したUSD建てトータルリターンのアウトパフォーム。
  • EMの利益成長72% in 2026 and 23% in 2027MSCI EMについて示された前年比利益成長予測。
  • EMのバリュエーション10x forward P/E vs approximately 18x for DM45%のディスカウントで、歴史的中央値を大きく上回るとされる。
  • EMの配分と資金フロー11% of MSCI ACWI market capitalization vs around 6% of global AUM; $29.2bn inflows in 2025 and around $75bn in 2026構造的な低配分ポジショニングと資金フロー改善の証拠。

影響と示唆

レポートの配分メッセージは、株式に前向きな姿勢を維持しつつ、AI主導の市場集中ではなく、より広範な非米国・景気敏感市場の参加を重視することにある。EMとEurozoneをDMに対して選好し、半導体の安定化がEMを支え、USD安と利益の裾野拡大が重要な支援材料になるとみている。

リスク

  • Iran conflictの劇的な再エスカレートは、非米国市場およびより広範な株式アウトパフォームの見通しを損なう可能性がある。
  • インフレ期待の脱アンカーは、建設的な株式見通しを弱める可能性がある。
  • インフレ悪化と地政学的不確実性の高まりのなかでのFed利上げは、下振れシナリオとして示されている。
  • 米国10年債利回りが5.5%以上となれば、より大幅なマルチプル圧縮を通じて実質的なバリュエーション圧力が生じる可能性がある。
  • メモリー・セクターのボラティリティやUSDまたはEM FXの変動を含む短期的逆風が、EM取引のボラティリティを招く可能性がある。

注目点

  • US ISMやEurozone manufacturing PMIを含む世界の活動指標が引き続き強まるか。
  • 週次EPS修正、および利益達成がテクノロジーを超えて広がり続けるか。
  • インフレ期待、賃金上昇、原油価格の影響、中央銀行による引き締めの程度。
  • 米国10年債利回り、特に5.5%に近づくか、または上回るか。
  • Iran conflictの進展と、それが原油、リスク選好、地域別パフォーマンスに与える影響。
  • USDの方向、EM通貨の強さ、EM株の資金フロー、投資家のEM配分。
  • モメンタム解消後に半導体の利益が安定化するか。
浙江ICP第2022035445-5号
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