Lens Technology:2Qの収益性が回復;iPhoneのアップグレードと新規事業が成長を支援;BofAはLens TechnologyのH株を選好
Lens Technologyは2Qに黒字へ復帰し、予想を上回った。BofAは2026年利益予想を6%引き上げ、iPhoneの仕様アップグレードと多角化した新規事業が中期成長を支えるとみている。主にバリュエーションの差を理由に、H株は買い、A株はアンダーパフォームの評価を維持した。
要約
Lens Technologyは2Qに黒字へ復帰し、予想を上回った。BofAは2026年利益予想を6%引き上げ、iPhoneの仕様アップグレードと多角化した新規事業が中期成長を支えるとみている。主にバリュエーションの差を理由に、H株は買い、A株はアンダーパフォームの評価を維持した。
- 2Qの利益は黒字化してRMB726 millionに達し、主に粗利益率の改善と費用管理が寄与した。
- 上期売上高はRMB28.9 billionで、前年同期比12%減となり、BofAおよびコンセンサス予想を下回った一方、粗利益率14.7%は両予想を上回った。
- 2026年利益予想は6%引き上げられ、2026年EPSはRMB0.82からRMB0.88へ増額された。
- 折りたたみディスプレイUTG、Proモデル向け3Dガラス、チタン合金ミッドフレームのアップグレードは、デバイス当たりの搭載価値を高め、構造部品の利益率を改善すると見込まれる。
- AIサーバー機械部品および液冷、ロボット、航空宇宙、TGVは認証または小ロット段階にあり、短期的な寄与は限定的である。
- H株の目標株価はHKD24からHKD27へ引き上げられ、買い評価を維持;A株の目標株価はRMB27からRMB30へ引き上げられたが、アンダーパフォーム評価を維持した。
レポート解説
概要
本レポートは、Lens Technologyの2Qにおける収益性回復、iPhone仕様アップグレードによる中核事業機会、AIサーバー、ロボット、TGVなどの新規事業の進捗を評価している。BofAは2026年利益予想およびH株/A株の目標株価を引き上げたが、バリュエーション差に基づき引き続きH株を選好している。
主要見解
Lens Technologyは2Qに黒字へ復帰し、純利益はRMB726 millionに達して予想を上回った。主に粗利益率の改善と費用管理の恩恵によるものである。上期売上高はRMB28.9 billionで、前期比30%増、前年同期比12%減となり、BofA予想を4%、コンセンサスを8%下回った。一方、粗利益率は14.7%で、BofA予想およびコンセンサスをそれぞれ0.4ポイント、0.3ポイント上回った。営業利益はRMB881 millionで、前期比75%減、前年同期比9%増となり、BofA予想を41%上回ったが、コンセンサスを19%下回った。従って本レポートは、売上高がまだ予想を完全には満たしていないものの、同社の収益性は改善軌道に戻ったとみている。 中核のコンシューマーエレクトロニクス事業における主要な成長仮説は、2026—2027年のiPhone仕様アップグレードに由来する。本レポートは、同社がUTG超薄型ガラスの独占供給業者であることから、2026年後半の折りたたみモデル投入の恩恵を受けると予想している。Proシリーズは2027年に3Dガラスへアップグレードする可能性がある。一方、ミッドフレームの仕様アップグレード再開を受け、同社はチタン合金筐体で引き続きシェアを拡大すると見込まれる。これらの変化は、Lens Technologyのデバイス当たり搭載価値を高め、構造部品事業の利益率を改善すると予想される。本レポートは同社を、スマートフォンの仕様アップグレードサイクル、特に折りたたみディスプレイのアップグレードの主要な受益者と位置付けている。 同社はまた、ヒューマノイドロボット、AIサーバー機械部品および液冷、航空宇宙、Intelと共同開発したTGV貫通ガラスビア事業へ拡大することで、従来型スマートフォンおよびPCへの依存を低減している。経営陣によれば、同社はAIサーバー機械部品について360,000ラック、液冷について500,000ラックの生産能力を準備済みであり、現在顧客認証中である。TGVは2026年に小ロット出荷を開始し、2027年に大規模生産に入る見込みである。本レポートはこうした多角化投資を認めつつ、新規事業の短期的な寄与は依然小さく、その成長価値は認証、案件獲得、量産立ち上げの進捗に左右されると強調している。 同社の既存事業基盤はコンシューマーエレクトロニクス、スマートビークル、ロボット、AIグラス、XRヘッドセット、その他の新興スマートデバイスにまたがり、ガラスおよび機械構造部品と関連モジュールから完成品組立までを手掛ける。Apple、Xiaomi、Teslaが同社の上位3顧客である。中国の主要生産拠点に加え、同社はベトナム、タイ、メキシコで施設を拡張している。BofAは、この顧客・製品・生産能力の基盤により、同社はスマートフォンの仕様アップグレードと、車載、スマートグラス、ロボットにおける非ハンドセットの機会を取り込めると考えている。 2Q業績を織り込み、BofAは2026年利益予想を6%引き上げ、2027—2028年予想を微調整した。2026年EPSをRMB0.82からRMB0.88へ引き上げ、2026年EBITDAをRMB10.5125 billionからRMB10.5375 billionへ引き上げた一方、2027年EBITDAをRMB12.3223 billionからRMB12.2110 billionへ、2028年EBITDAをRMB14.0418 billionからRMB13.9174 billionへ引き下げた。BofAの2026年利益予想はおおむねコンセンサス並みである一方、2027—2028年予想はコンセンサスを4%—8%下回る。同社モデルは2026—2028年の利益CAGRを32%と予想し、調整後純利益はそれぞれRMB4.614 billion、RMB6.456 billion、RMB7.997 billion、EPSはRMB0.88、RMB1.23、RMB1.52で、前年比成長率は15.2%、39.9%、23.9%としている。同期間の売上高はRMB77.843 billion、RMB91.462 billion、RMB105.248 billionと予想され、営業利益率は6.4%から7.1%、7.8%へ上昇する見通しである。 キャッシュフロー予想では、2026年の営業キャッシュフローはRMB7.190 billion、設備投資はRMB6.5 billion、フリーキャッシュフローはRMB690 millionにとどまる。フリーキャッシュフローは2027年にRMB5.686 billion、2028年にRMB7.767 billionへ回復すると予想される。純有利子負債は2026年のRMB1.693 billionから、2027年にはRMB1.455 billionのネットキャッシュに転じ、2028年にはRMB5.671 billionのネットキャッシュへ拡大する見込みである。予想ROEは2026年の8.2%から2027年10.9%、2028年12.6%へ上昇し、インタレスト・カバレッジは22.8xから29.7x、37.1xへ上昇する。 バリュエーションはH株とA株のレーティング乖離の中心である。H株は現在、1年先予想P/E約18xで取引され、過去平均を下回る一方、A株は約33xで取引され、過去平均を上回る。本レポートは、中核事業の拡大と新規事業の多角化を理由に、H株の目標株価をHKD24からHKD27へ引き上げ、買いを維持している。表紙の改定注記では、HKD27の目標株価は2026年後半から2027年前半に対する据え置きの予想P/E25xに基づくとしている。しかし、バリュエーション根拠のページでは、同じ期間について予想P/E20xに基づくとしており、これはH株の過去平均取引P/E21xをやや下回る水準である一方、iPhoneのアップグレード、新規事業機会、Android端末需要に対する市場懸念も反映している。BofAは、H株バリュエーションに30%のプレミアムを適用してA株の目標株価をRMB27からRMB30へ引き上げた。このプレミアムはH株上場以降のA株のH株に対する平均株価プレミアムに基づく。目標株価を引き上げたにもかかわらず、BofAは2027E P/E約30xが要求の高い水準とみなし、A株のアンダーパフォームを維持している。
分析フレームワーク
BofAはまず、2Qおよび上期の売上高、粗利益率、営業利益を自社予想および市場コンセンサスと比較し、収益性回復の度合いを評価する。次に、iPhoneの製品仕様、供給シェア、デバイス当たり搭載価値を通じて中核事業の成長を説明し、その後、生産能力、認証、量産スケジュールに基づいて新規事業を評価する。最後に、2026—2028年の利益・キャッシュフローモデルを更新し、H株については予想P/E、A株については過去のA株/H株プレミアムを用いて目標株価とレーティングを決定する。
手法メモ
予想P/Eバリュエーション
本レポートは、予想EPSと目標P/E倍率を組み合わせてH株の目標株価を決定し、現在の1年先予想P/Eを過去平均およびプラスマイナス1標準偏差のレンジと比較してH株/A株のバリュエーション水準を評価している。
過去平均A株/H株プレミアム法
A株の目標株価はH株バリュエーションに30%のプレミアムを加えたものであり、H株上場以降のA株のH株に対する平均株価プレミアムから導出されている。
BofA iQmethod標準指標フレームワーク
本レポートは、資本利益率、ROE、営業利益率、キャッシュ実現比率、純有利子負債対自己資本比率、インタレスト・カバレッジを含む、事業業績、利益の質、バリュエーションを網羅する標準化指標と、アナリストモデルによる過去および予想の財務三表データを用いて同社を評価している。
仕様アップグレード、市場シェア、デバイス当たり搭載価値の分析
本レポートは、折りたたみディスプレイUTG、3Dガラス、チタン合金ミッドフレームのアップグレードを、供給シェア、デバイス当たり搭載価値、利益率の変化に分解し、中核構造部品事業の成長経路を説明している。
資産マッピングと比較
投資テーゼから固有資産への構造化マッピング(強み、弱み、同業、リスク)。
- Lens Technology H株(06613.HK)本レポートは、H株が中核事業の拡大、iPhone仕様アップグレード、新規事業の多角化から恩恵を受けるとみており、買い評価を維持している。
- 強み
- 1年先予想P/E約18xは過去平均を下回る;同社の折りたたみディスプレイUTG供給ポジション、3Dガラスのアップグレード、新規事業基盤が成長を支える。
- 弱み
- 新規事業の短期的寄与は小さく、Androidスマートフォン需要は依然として市場の懸念材料である。
- 比較
- A株と比較してH株はバリュエーションが低く、そのため本レポートが選好する上場証券である。
- リスク
- スマートフォンおよびスマートビークルの需要、プロジェクト立ち上げ、新規事業の受注、米中地政学、関税政策はいずれも予想を下回る可能性がある。
- Lens Technology A株(300433.SZ)同社ファンダメンタルズの改善はA株にも当てはまるが、本レポートは要求の高いバリュエーションを理由にアンダーパフォーム評価を維持している。
- 強み
- A株は、コンシューマーエレクトロニクス構造部品、スマートビークル、ロボット、AIサーバー、その他分野における同社の事業機会を共有する。
- 弱み
- 1年先予想P/E約33xは過去平均を上回り、2027E P/E約30xも本レポートでは高いと判断されている。
- 比較
- RMB30の目標株価は、H株上場以降のA株のH株に対する平均株価プレミアムに基づき、H株目標株価に30%のプレミアムを適用している。
- リスク
- 事業上および地政学上のリスクに加え、高いバリュエーションにより、予想を下回るプロジェクト進捗や需要の影響が増幅される可能性がある。
主要データ
- 2Q純利益RMB726 million2Qに黒字へ復帰し、粗利益率の改善と費用管理を背景に予想を上回った
- 上期売上高RMB28.9 billion前期比30%増、前年同期比12%減;BofA予想を4%、コンセンサスを8%下回った
- 上期粗利益率14.7%BofA予想を0.4ポイント、コンセンサスを0.3ポイント上回った
- 営業利益RMB881 million前期比75%減、前年同期比9%増;BofA予想を41%上回ったが、コンセンサスを19%下回った
- 2026年利益予想改定6%引き上げ2026年EPSはRMB0.82からRMB0.88へ引き上げ
- 2026—2028年調整後純利益RMB4.614 billion, RMB6.456 billion, RMB7.997 billionモデルは2026—2028年の利益CAGR32%を示唆
- 2026—2028年EPSRMB0.88, RMB1.23, RMB1.52前年比成長率はそれぞれ15.2%、39.9%、23.9%
- 2026—2028年売上高予想RMB77.843 billion, RMB91.462 billion, RMB105.248 billion営業利益率はそれぞれ6.4%、7.1%、7.8%と予想
- 2026—2028年フリーキャッシュフローRMB690 million, RMB5.686 billion, RMB7.767 billion2026年の営業キャッシュフローはRMB7.190 billion、設備投資はRMB6.5 billionで、その後フリーキャッシュフローは回復
- AIサーバー生産能力機械部品360,000ラック;液冷500,000ラック生産能力は準備済みで、現在は認証段階
- TGV量産スケジュール2026年に小ロット生産;2027年に大規模生産Intelと共同開発した貫通ガラスビア事業の進捗
- H株バリュエーション1年先予想P/E約18x過去平均を下回る;本レポートは目標株価をHKD24からHKD27へ引き上げ
- A株バリュエーション1年先予想P/E約33x過去平均を上回る;RMB30の目標株価は、H株目標株価に30%の過去平均プレミアムを加えて決定
- 2027—2028年予想とコンセンサスの差4%—8%下回るBofAの2026年利益予想はおおむねコンセンサス並み
影響と示唆
本レポートは、粗利益率の改善と費用管理がLens Technologyの収益性回復を示すと考えており、折りたたみディスプレイUTG、3Dガラス、チタン合金ミッドフレームのアップグレードは、中核事業におけるデバイス当たり搭載価値と利益率をさらに高める可能性があるとみている。AIサーバー、ロボット、航空宇宙、TGVは中期の多角化機会を提供するが、短期的な寄与は依然として認証および量産に左右される。H株が過去のバリュエーション平均を下回って取引される一方、A株がそれを上回っているため、BofAは同社のファンダメンタルズに前向きでありつつ、引き続きH株を選好している。
リスク
- スマートフォン需要の伸びが予想より鈍化する。
- スマートフォンの仕様アップグレードの進行が予想より遅い。
- スマートビークルの出荷および新規プロジェクトの立ち上げが予想より遅い。
- AI/ARグラスやロボットなど新分野での案件獲得が予想より遅い。
- 米中地政学的緊張が激化し、関税政策の不確実性が高まる。
注目点
- 2026年後半の折りたたみモデル投入と、Lens Technologyの独占的UTG供給の進捗を注視する。
- 2027年のProシリーズの3Dガラスへのアップグレードと、チタン合金ミッドフレームにおけるシェア拡大を注視する。
- AIサーバー機械部品および液冷生産能力に関する顧客認証とプロジェクト実装を注視する。
- 2026年のTGV小ロット出荷、および2027年の大規模生産に向けた進捗を注視する。
- スマートフォン、スマートビークル、AI/ARグラス、ロボットプロジェクトの需要と立ち上げ速度を注視する。
- 米中地政学および関税政策の変化を注視する。