Xiaomi Corp.(1810.HK):2Q26業績は底入れの可能性、EVとAIのカタリストが3Q26の反転を牽引へ
ゴールドマン・サックスはXiaomiの業績予想とEV納車台数を引き下げたが、関連リスクは概ね株価に反映済みとみて、買い推奨および12か月目標株価40香港ドルを維持した。
要約
ゴールドマン・サックスはXiaomiの業績予想とEV納車台数を引き下げたが、関連リスクは概ね株価に反映済みとみて、買い推奨および12か月目標株価40香港ドルを維持した。
- 2Q26の売上高は前年比6%減の1,090億元、調整後純利益は前年比45%減の60億元となり、通期業績の底となる可能性がある。
- Xiaomiの2026年および2027年のEV総納車台数予想は50万台および77万台へ引き下げられる一方、SkyNomadの納車予想は11.7万台および35万台へ引き上げられた。
- スマートEV、AIおよびその他の新規事業セグメントの粗利益率は、2Q26に前四半期比で20.6%へ改善し、AIの影響を除くと21.1%になると予想される。
- AIおよびその他の新規事業の売上高予想を初めて導入し、2Q26および3Q26の売上高はそれぞれ約1億~1.5億元、約3億元と見込む。
- 買い推奨および目標株価40香港ドルを維持し、現株価から44.7%の上昇余地を示唆する。
レポート解説
概要
本レポートはXiaomi Corp.の2Q26決算をプレビューし、スマートEV、人工知能、スマートフォン、AIoT事業の最新動向を評価する。ゴールドマン・サックスは2Q26のグループ業績が年間の低水準になると予想する一方、直近の株価下落にはEV納車目標と粗利益率に対する懸念がすでに十分織り込まれたとみている。SkyNomadの正式発売や次世代XRINGとHyperOS、Xiaomi 18、MiMo-V3などの製品の順次投入により、3Q26にはストーリー面と財務面の双方で改善がみられる可能性がある。
主要見解
第一に、2Q26は通期業績の底となる可能性があり、売上高は前年比6%減の1,090億元、調整後純利益は前年比45%減の60億元と予想される一方、3Q26の売上高成長率は前年比ほぼ横ばいまで回復すると見込まれる。第二に、2026年のEV総納車台数予想は55万台から50万台に引き下げられたものの、SkyNomadの初期需要は強く、広い室内空間、長航続距離、コストパフォーマンスが中長期の販売を支えると予想される。第三に、ゴールドマン・サックスは、競争的な価格設定が必ずしも粗利益率低下を意味するわけではなく、規模の経済、サプライチェーン統合、オプション構成が価格と利益率を支え得ると考える。第四に、XiaomiのAI収益化の道筋は消費者、企業、実世界のシナリオをカバーする形で徐々に具体化しており、MiMoのAPIリクエスト数とトークンシェアは急速に伸びている。第五に、スマートフォン出荷は引き続き圧力を受けるが、平均販売価格の上昇、ストレージコスト圧力の緩和、下期のAIoT減収幅縮小が一定の緩衝材となる見通しである。
分析フレームワーク
本レポートは、四半期業績予想、セグメント別売上高・利益内訳、車種別EV納車モデル、アプリ利用状況・待機期間、AI API・トークン利用データ、スマートフォン出荷台数・平均販売価格、ストレージ価格動向、AIoTチャネルデータを組み合わせて判断を形成している。バリュエーションにはSOTPアプローチを用い、中核事業のマルチプル、スマートEVのDCF、持株会社ディスカウントに基づいて目標株価を算定している。
手法メモ
中核事業と新規事業の価値を個別に評価し、それらを合算したうえで持株会社ディスカウントを織り込む。
目標株価は、中核事業の今後12か月EV/NOPATの16倍、スマートEV事業の390億米ドルのDCF価値、および10%の持株会社ディスカウントに基づく。
将来のフリーキャッシュフローと長期成長率の前提に基づき、事業の現在価値を推定する。
スマートEV、AIおよびその他の新規事業にはDCFアプローチを用い、スマートEVの評価では加重平均資本コスト12%、永久成長率3%を使用している。
スマートフォン、AIoT、インターネット、スマートEV、人工知能を含む事業別に売上高、粗利益率、純利益を分解する。
この手法は、スマートフォンの損失、AIoT・インターネットの基盤利益、EVの規模の経済、AI投資がグループ業績へ与える影響を特定するために用いられる。
参考となるAI企業の年間経常収益に対する株価倍率を、例示的なバリュエーションに用いる。
MiniMaxのおよそ10倍、またはZ.AIのおよそ24倍のP/ARRに基づくと、XiaomiのAI事業の例示的価値はおよそ20億~60億米ドルとなる。もっとも、Xiaomiの収益化経路は純粋なAIラボと異なるため、この比較には限界があることもレポートは強調している。
資産マッピングと比較
投資テーゼから固有資産への構造化マッピング(強み、弱み、同業、リスク)。
- Xiaomi Corp. (1810.HK)直接カバー対象銘柄
- 強み
- 世界第3位のスマートフォンブランド、先進的な消費者向けAIoT・新エネルギー車プラットフォーム、強固なバランスシート、エコシステム統合能力、規模によるコスト優位性、EVサプライチェーンへの深い関与を有する。
- 弱み
- 2026年にはスマートフォン出荷台数と市場シェアが圧力を受け、スマートフォン事業は赤字となる見込みである。EV納車予想は引き下げられ、AI投資は短期的に新規事業の粗利益率を押し下げる。
- 比較
- SkyNomadは、広い空間、長い航続距離、コストパフォーマンスで差別化される。MiMo-V2.5はオープンソースモデルの中で知能水準とコスト効率の最前線にあるが、そのAI収益化経路は純粋なモデル企業と完全には比較できない。
- リスク
- 主なリスクは、スマートフォン・EV分野の競争激化、粗利益率圧力、ブランドのプレミアム化またはEV実行力の期待未達、地政学・規制上の不確実性、マクロ環境・需要の弱さ、為替変動である。
主要データ
- 12か月目標株価40.00香港ドルSOTPバリュエーションにより据え置き。
- 現在株価と上昇余地27.64香港ドル; 44.7%レポート表紙に示された現在株価および目標株価に対応する上昇余地。
- 2Q26売上高予想1,090億元前年比6%減を予想。EV、AIおよびその他の新規事業を除くと前年比12%減。
- 2Q26調整後純利益予想60億元前年比45%減、前四半期比1%減を予想し、通期の低水準となる可能性がある。
- 2026年から2028年の売上高予想4,505億元/5,402億元/6,362億元2026年から2028年の予想は従来見通し比で平均約5%引き下げられた。
- 2026年から2028年の1株利益予想0.96元/1.25元/1.63元従来予想はそれぞれ1.02元、1.36元、1.73元。
- EV総納車台数予想2026年50万台; 2027年77万台; 2028年103.6万台従来の2026年および2027年予想はそれぞれ55万台、80万台。
- SkyNomad納車台数予想2026年11.7万台; 2027年35万台従来予想はそれぞれ11万台、24万台。N70は2027年のSkyNomad販売の約3分の2を占めると予想される。
- スマートEV、AIおよびその他の新規事業の粗利益率2Q26は20.6%を予想AIおよびその他の新規事業の影響を除くと21.1%を予想。
- AIおよびその他の新規事業の売上高2Q26は約1億~1.5億元; 3Q26は約3億元平均日次トークン利用量がそれぞれ3兆超、6兆超との前提に基づく。年間経常収益は2026年末までに約2億米ドルと予想される。
- MiMo利用動向6月のAPIリクエストは1月比27倍増; 7月のOpenRouterトークンシェアは約19%プログラミングおよびエージェント業務はMiMo-V2.5のトークン利用量の約80%を占めた。
- 2Q26スマートフォン出荷台数3,120万台前年比26%減。平均販売価格は前年比25%上昇し約1,340元になると予想される。
- 2026年グループ予想の修正売上高4,505億元; EPS 0.96元目標株価を引き下げなかった主因は、業績予想の下方修正が人民元/香港ドル為替レート前提を1.09から1.15へ更新した効果により相殺されたため。
影響と示唆
短期的には、弱い2Q26業績、通期EV納車目標の引き下げ、スマートフォン販売の圧力が株価パフォーマンスを抑制する可能性がある。しかし、2Q26が業績の底を確認すれば、市場の注目は3Q26の成長改善と密集した製品カタリストのパイプラインへ移る可能性がある。中期的には、SkyNomadの需要実現、健全なEV粗利益率、MiMoの収益化加速により、Xiaomiの「Human x Car x Home」フルエコシステムおよびフィジカルインテリジェンス・プラットフォームの価値に対する市場認識が高まる可能性がある。目標株価据え置きは、ゴールドマン・サックスが業績予想の下方修正は為替要因と新規事業の長期価値により相殺されたと判断していることを示す。
リスク
- グローバルスマートフォン業界の競争が一段と激化し、Xiaomiの市場シェア改善が期待を下回る。
- スマートフォンまたはEV事業の粗利益率圧力が予想を上回る。
- SkyNomadの需要、納車の立ち上がり、または2026年EV納車50万台目標の実行が期待を下回る。
- Xiaomiのブランドプレミアム化の進展が期待を下回る。
- AI収益化の速度、トークン需要、またはMiMo-V3の製品性能が期待を下回る。
- 地政学リスクおよび規制上の不確実性が高まる。
- マクロ環境が悪化し、スマートフォンおよびAIoT需要が期待を下回る。
- 人民元や香港ドルなどの為替変動が業績予想とバリュエーションに影響する。
注目点
- 2Q26決算がグループ業績の底を確認するか、3Q26の売上高成長が回復できるか。
- SkyNomadの価格、構成、確定受注量、正式発売後のN70とN90の販売構成。
- Xiaomi EVの2026年納車50万台予想に向けた進捗および待機期間の変化。
- スマートEVセグメントの粗利益率が約20%またはそれ以上を維持できるか。
- 次世代XRINGチップセットおよびHyperOS発売後の製品・エコシステムに対する反応。
- 9月下旬に発売されるフラッグシップXiaomi 18と、その販売、平均販売価格、プレミアム化の実績。
- MiMo-V3の発売時期、APIコール量、トークンシェア、AI売上の実現。
- メモリ価格動向およびスマートフォン粗利益率への影響。
- 2H26にAIoT売上高の減少幅が縮小するか、海外事業が国内事業を引き続き上回れるか。