マクロ経済、不動産、インフラ、ハイテク製造業:ゴールドマン・サックス:中国の投資モメンタムは財政引き締めの中で26年第2四半期に弱まった
本レポートは、中国の実質投資成長率が第2四半期に鈍化し、財政インパルスがマイナスに転じ、不動産市場が深い縮小局面にとどまったと分析する。一方、下半期の財政拡張の限界的な強まりと政策金融手段の導入は、一定の支援をもたらす見込みである。
要約
本レポートは、中国の実質投資成長率が第2四半期に鈍化し、財政インパルスがマイナスに転じ、不動産市場が深い縮小局面にとどまったと分析する。一方、下半期の財政拡張の限界的な強まりと政策金融手段の導入は、一定の支援をもたらす見込みである。
- ゴールドマン・サックス独自の投資トラッカーによると、中国の実質投資成長率は26年第1四半期の前年比3.2%から26年第2四半期には前年比2.1%へ低下した。
- 第2四半期に財政インパルスはマイナスに転じ、ゴールドマン・サックスは、これが第1四半期から第2四半期にかけての実質GDP成長率の前期比年率換算での減速のほぼ半分を説明すると推計している。
- 不動産活動の大半の指標は2020~2021年のピークを60%~80%下回り、弱い新規着工と土地売却収入が将来の建設および竣工を圧迫した。
- 本レポートは2026年通年のAFD予想をGDP比0.5ポイント引き下げて11.5%とし、2026年のGFCF成長率予想を2.5%から2.0%に下方修正した。
- 下半期には、政府債発行、8,000億元の政策金融手段、追加緩和、ならびに一線都市での安定化が継続するかが注目される。
レポート解説
概要
本レポートは、2026年第2四半期における中国の投資、財政、不動産の状況に関するゴールドマン・サックスのマクロ・ダッシュボードのアップデートである。中核的な結論は、第2四半期に投資モメンタムが著しく弱まったということだ。公式のFAIデータは統計改定により変動を過大に示している可能性があるものの、代替指標、財政データ、実需はいずれも投資減速を示している。第2四半期には財政スタンスが足かせとなり、全国の不動産市場は、香港および中国本土の一部一線都市で安定化の初期兆候が見られたにもかかわらず、低迷が続いた。
主要見解
本レポートは、中国の第2四半期における固定資産投資の減速は単なる統計上のノイズではなく、財政支出の減速、政府債発行の遅れ、土地売却および政策銀行支援の縮小、地方での実施制約の高まりを含む複数の要因を反映したものだと論じている。ゴールドマン・サックスは、債券発行と資金支出の加速、新たな8,000億元の政策金融手段の推進、必要に応じた追加緩和などにより、下半期に政策支援が限界的に強まると予想している。ただし、上振れ・下振れリスクは併存する。
分析フレームワーク
本レポートは、公式FAI、新規建設契約、鉄鋼・セメント生産、投資関連PMI、政府収入・支出、債券発行、財政預金、政策銀行支援、AFD、不動産取引・価格などの指標を用いて、投資モメンタムと財政スタンスの変化をクロスチェックしている。不動産セクションでは、中国の新規着工と住宅価格の調整を、世界金融危機(GFC)時の米国住宅危機および世界の主要な住宅サイクルと比較している。
手法メモ
実質投資成長率のトラッキング
ゴールドマン・サックス独自の投資トラッカーは、中国の実質投資成長率を測定する。本レポートによると、この指標は2026年上半期に上昇後に低下し、25年第4四半期の前年比2.0%から26年第1四半期に3.2%へ上昇した後、26年第2四半期には2.1%へ戻った。
拡張的財政赤字と財政インパルス
AFD、政府収入・支出、債券発行、資金支出、政策銀行支援を用いて、財政政策が成長にもたらす限界的な押上げまたは押下げを評価する。本レポートは、第2四半期にAFDが縮小して財政インパルスがマイナスに転じ、下半期には再び緩やかな支援を提供すると見込んでいる。
住宅価格および新規着工の下落幅
本レポートは、中国の住宅価格と新規着工のピークからの下落を、GFC期の米国住宅危機および15経済圏における21の主要住宅サイクルと比較し、現在の調整がすでに深いと結論付けている。
資産マッピングと比較
投資テーゼから固有資産への構造化マッピング(強み、弱み、同業、リスク)。
- 中国のマクロ資産投資モメンタム、財政インパルス、不動産サイクルの影響を共同で受ける
- 強み
- 下半期には政策支援が限界的に強まる可能性があり、中央・地方政府債の発行および資金活用が加速する可能性がある。
- 弱み
- 投資成長率は第2四半期に減速し、財政インパルスはマイナスに転じ、地方の実施制約が強まった。
- 比較
- 統計改定が公式FAIの変動を増幅した可能性はあるものの、代替指標も投資の冷え込みを示している。
- リスク
- 中央レベルでの緩和不足、地方での実施制約、外部のエネルギー供給ショックの継続が成長をさらに圧迫する可能性がある。
- 中国の不動産関連チェーン本レポートが注目する下降サイクルの産業チェーン
- 強み
- 香港の住宅価格は反発しており、中国本土の一部一線都市では中古住宅価格が安定化の初期兆候を示し、在庫状況も足元でいくらか緩和している。
- 弱み
- 新規着工、土地売却収入、融資、活動指標の大半は、依然としてピークを大幅に下回る。
- 比較
- 新規着工の減少は米国GFC期の住宅危機を上回り、住宅価格の下落は世界の主要な住宅バストの平均をわずかに上回る。
- リスク
- 販売改善の持続不可能性、在庫圧縮の鈍化、住宅ローン金利が賃貸利回りを上回り続けること。
- 国債および政策金融下半期の景気循環対策における主な資金源
- 強み
- 債券発行と資金支出の加速が見込まれ、8,000億元の政策金融手段が実施される可能性がある。
- 弱み
- 第2四半期の政府債発行は2025年の水準を下回り、政策銀行の支援は大幅に縮小した。
- 比較
- 第2四半期の財政支出の減速と高水準の財政預金は、資金伝達が不十分であることを示している。
- リスク
- 非効率な資金支出、地方債務の返済圧力、説明責任リスクがプロジェクト実施を制約する可能性がある。
- ハイテク製造業、戦略的サプライチェーン、グリーン転換政府支出が優先する分野
- 強み
- 本レポートは、政策資金が引き続きハイテク製造業、戦略的サプライチェーン、グリーン転換、都市再生、6大ネットワークプロジェクトを優先していると指摘している。
- 弱み
- 投資モメンタム全体の弱まりが、産業への波及効果を限定する可能性がある。
- 比較
- ハイテク関連投資の成長は上半期に他の投資を引き続き上回った。
- リスク
- 財政拡張が予想より弱ければ、関連テーマへの資金支援と受注履行が期待を下回る可能性がある。
- コモディティ需要不動産、インフラ、製造業投資の影響を受ける
- 強み
- 設備購入は引き続きプラスに寄与しており、すべての投資需要が一律に縮小したわけではない。
- 弱み
- 鉄鋼・セメント生産は第2四半期に弱含み、建設チェーンの需要軟調を反映した。
- 比較
- 本レポートはセクター乗数を用いてFAIから示唆されるコモディティ需要を推計し、その変動性が実際の鉄鋼・セメント生産の変動性より大きいと指摘している。
- リスク
- 不動産の新規着工とインフラ支出の不足が、建設資材需要を引き続き抑制する可能性がある。
主要データ
- 26年第2四半期の実質投資成長率前年比2.1%ゴールドマン・サックス投資トラッカーによる推計で、26年第1四半期の前年比3.2%を下回る。
- 26年第1四半期の実質投資成長率前年比3.2%25年第4四半期の前年比2.0%からの一時的な反発。
- 実質GDP成長率の前期比年率換算5.3%から3.6%本レポートは、第1四半期から第2四半期への減速のほぼ半分をマイナスの財政インパルスが説明すると推計している。
- 2026年通年AFD予想GDP比11.5%従来予想から0.5ポイント下方修正。2025年は11.0%。
- 2026年GFCF成長率予想前年比2.0%従来予想の前年比2.5%から下方修正。2025年は1.2%。
- 第2四半期のAFDGDP比10.2%4四半期移動平均ベースで、第1四半期の11.2%を下回る。
- 新たな政策金融手段8,000億元ゴールドマン・サックスは中央・地方政府が実施を加速すると予想している。
- 不動産活動指標の下落60%~80%26年第2四半期時点で、大半の指標が2020~2021年のピークからこの幅で低下していた。
- 香港住宅価格の反発約18%2025年半ば以降の反発。一部の中国本土一線都市の住宅価格も安定化の初期兆候を示し始めている。
- 財政預金4,100億元、前年同期比6%増第2四半期末時点で、財政預金の前年比ギャップは第1四半期末からわずかに拡大していた。
影響と示唆
資産配分にとって、本レポートは、中国の成長モメンタムが第2四半期に圧力を受け、循環的投資と不動産関連チェーンが引き続きファンダメンタルズ面の逆風に直面していることを示す。ただし、財政支出、地方政府債資金の支出、政策金融手段がより迅速に実施されれば、インフラ、ハイテク製造業、戦略的サプライチェーン、グリーン転換、都市再生は下半期に限界的な支援を受ける可能性がある。マクロ見通しは、内需の広範な安定化というより、政策主導の回復と整合的である。
リスク
- 財政緩和の規模または資金支出の速度が期待を下回る可能性がある。
- 地方政府は政治的移行、反腐敗圧力、説明責任リスクの中で、より慎重に政策を実施する可能性がある。
- 不動産販売・価格の安定化兆候が持続しない可能性がある。
- 土地売却、政策銀行支援、オフバランスシート資金調達が引き続き縮小する可能性がある。
- 外部のエネルギー供給ショックが成長を引き続き圧迫する可能性がある。
- 公式FAIデータの統計改定が短期的な変動を高め、評価をより困難にする可能性がある。
注目点
- 中央・地方政府債の発行ペースと実際の資金支出速度。
- 8,000億元の新たな政策金融手段の実施進捗と配分。
- AFDが下半期に第2四半期の低水準から再拡大するか。
- 新築住宅販売、在庫、住宅価格、土地売却収入が改善を継続できるか。
- ハイテク製造業、戦略的サプライチェーン、グリーン転換、都市再生プロジェクトへの投資の実現。
- 地方政府に対する反腐敗・説明責任圧力がプロジェクト着工および財政支出に与える影響。