複数業種/アセットアロケーション:欧州の利益サプライズと業績修正センチメントは強まる一方、高水準のバリュエーションとセクター間の乖離が引き続き主な特徴
Goldman Sachsの夏季データ更新は、欧州の第2四半期利益がこれまでのところ予想を上回り、利益センチメントが3年以上ぶりの高水準に上昇したことを示す。一方、バリュエーションは歴史的に高いパーセンタイルにあり、セクターの成長、修正、地域別売上エクスポージャーには顕著な乖離がある。
要約
Goldman Sachsの夏季データ更新は、欧州の第2四半期利益がこれまでのところ予想を上回り、利益センチメントが3年以上ぶりの高水準に上昇したことを示す。一方、バリュエーションは歴史的に高いパーセンタイルにあり、セクターの成長、修正、地域別売上エクスポージャーには顕著な乖離がある。
- 2026年2Qの利益はこれまでのところポジティブサプライズとなっており、決算発表日の市場反応は過去の標準を上回っている。
- アナリストはSTOXX Europe 600の上期EPSが前年比15%成長、コモディティ・セクターを除くと8%成長すると予想している。
- 1カ月ローリングの利益センチメントは3年以上ぶりの高水準に上昇した。
- STOXX Europe 600のボトムアップEPS成長率は2026Eで17.3%、2027Eで9.0%である。
- エネルギー、基礎資源、テクノロジーは比較的高い予想成長率を示すが、利益推移と修正方向はセクター間で大きく異なる。
- 欧州市場のNTM P/Eは14.6x、景気調整後P/Eは20.0x、市場インプライドERPは4.1%である。
- 本レポートは階層的なセクター配分を維持するとともに、スタイル、テーマ別バスケット、資金フロー、ボラティリティ、マクロ経済指標も監視している。
レポート解説
概要
これは週次欧州戦略レポートの夏季「データのみ更新」版であり、STOXX Europe 600の決算、利益予想、セクター推奨、スタイルおよびテーマ別パフォーマンス、バリュエーション、資金フロー、地域別売上エクスポージャー、マクロ経済環境をカバーしている。最も明確な変化は、第2四半期の利益サプライズ、修正センチメント、決算発表日の市場反応の強まりである。ただし、欧州のバリュエーションが歴史的に高いレンジにあり、セクターの成長と修正が大きく乖離していることも示している。
主要見解
利益について、レポートは2026年2Qの結果がこれまでのところポジティブサプライズをもたらしたと指摘する。アナリストはSTOXX Europe 600の上期EPSが前年比15%成長、コモディティ・セクターを除くと8%成長すると予想している。過去1カ月のアナリストによる上方修正数から下方修正数を差し引き、その月の全予想数で除して算出する利益センチメントは、3年以上ぶりの高水準に上昇した。決算発表日における市場対比の企業平均株価反応も過去の標準より強い。これらのデータは、直近の利益実績と市場によるその消化の強さの双方が改善したことを示す。 予想利益は一様には上昇していない。STOXX Europe 600のボトムアップEPS成長率は2026Eおよび2027Eでそれぞれ17.3%と9.0%であり、1カ月の修正率は1.1%と0.2%、年初来の修正率は6.4%と3.6%である。Goldman Sachsのトップダウン予想は2026年が15%、2027年が5%である。コモディティ・セクターを除くと、2026Eおよび2027Eの成長率は11.5%と11.9%であり、コモディティが2026年の全体成長に大きく寄与していることを示す。主要セクターの2026E/2027E成長率は、エネルギー80.9%/-14.2%、基礎資源49.5%/12.2%、自動車・部品29.7%/24.2%、テクノロジー28.7%/26.7%、化学20.8%/3.8%、資本財・産業19.1%/15.9%、金融サービス15.9%/-1.1%、建設・資材13.6%/12.5%、銀行11.2%/13.9%、通信11.3%/11.6%、公益事業10.3%/7.2%、ヘルスケア5.6%/8.9%、保険7.5%/6.7%、メディア1.0%/10.0%、旅行・レジャー-5.2%/16.4%、不動産2.2%/4.4%である。修正も同様に乖離している。エネルギーの2026Eおよび2027E予想は年初来でそれぞれ65.9%と23.9%引き上げられ、テクノロジーは15.1%と22.3%引き上げられた。一方、自動車の2027E予想は24.0%引き下げられ、旅行・レジャーの2026Eおよび2027E予想は16.4%と13.0%引き下げられた。これは高い成長予想が必ずしも一貫した上方修正トレンドと一致しないことを示している。 セクター推奨はこの乖離を反映している。オーバーウェイトには銀行、建設・資材、食品・飲料・たばこ、生活必需品・食料品店、小売、テクノロジー、通信、旅行・レジャー、公益事業が含まれる。中立にはヘルスケア、基礎資源、エネルギー、金融サービス、資本財・産業、保険、不動産が含まれる。アンダーウェイトには自動車・部品、化学、消費財・サービス、メディア、損害保険、鉄鋼、航空宇宙、防衛、再生可能エネルギーが含まれる。レポートは資本集約型対資本軽量型、財政インフラ、金融を除くSXXE対比で人件費が高い企業を含むトレード・バスケットも列挙しているが、現在の入力にはバスケットの方向性や目標水準に関する詳しい説明はない。 市場構造のセクションはセクターを超えて分析する。レポートはセクターおよびサブセクターの1週間、3カ月、年初来のトータルリターンを算出し、景気循環株対ディフェンシブ株、バリュー対グロース、小型株対大型株、モメンタム対市場、複数のテーマ別バスケットの相対パフォーマンスを比較している。景気循環バスケットは資本財・産業、金融、一般消費財を均等加重し、ディフェンシブ・バスケットは公益事業、ヘルスケア、コミュニケーション・サービス、生活必需品を均等加重する。小型株対大型株の比較には、米国ではSPX対比のRussell 2000、欧州ではSTOXX Europe Large対比のSTOXX Smallを用いる。テーマ別セクションは国際エクスポージャー、国内エクスポージャー、株主還元、ファンダメンタルズ型テーマ・バスケットを対象とし、ユーロ建てSXXPベンチマークとの相対パフォーマンスを比較する。 バリュエーションは欧州市場が割安ではないことを示す。レポートはNTM EV/Salesを2.0x、NTM EV/EBITDAを8.7x、NTM P/Bを2.3x、NTM P/Eを14.6x、NTMフリーキャッシュフロー利回りを5.1%、景気調整後P/Eを20.0x、市場インプライドERPを4.1%としている。2000年以降の対応するバリュエーション・パーセンタイルは概して高く、表では順に93%、86%、94%、71%、81%、79%、70%であり、パーセンタイルが高いほどバリュエーションが高いと注記している。金利およびクレジットのバリュエーション環境では、ドイツ10年国債利回りは3.2%、英国10年国債利回りは5.1%、ハイイールド債および投資適格債の最終利回りはそれぞれ6.0%および3.8%、ハイイールド債および投資適格債のスプレッドはそれぞれ256ベーシスポイントおよび90ベーシスポイントである。 地域別売上エクスポージャーは、欧州指数間でグローバル感応度が異なることを示す。STOXX Europe 600の欧州、北米、アジア太平洋、新興市場への売上エクスポージャーはそれぞれ42%、24%、19%、15%である。Euro Stoxx 50では対応する数値は39%、21%、22%、18%である。国別指数では、FTSE 100の英国、その他欧州、北米、アジア太平洋、新興市場へのエクスポージャーはそれぞれ24%、14%、28%、23%、11%であり、FTSE 250の対応数値は56%、13%、14%、8%、10%である。DAXは20%、25%、25%、16%、14%、CACは16%、24%、25%、19%、16%、SMIは6%、23%、36%、19%、15%、AEXは9%、17%、22%、38%、15%である。したがって、欧州指数間であっても、パフォーマンスは国内経済、米ドル圏収益、アジア太平洋の需要、新興市場に対する異なるエクスポージャーを反映し得る。 フローおよびリスク構造のセクションでは、EPFRデータを使用して、グローバル投資家から欧州株式への1カ月ローリング・フロー、暦年化フロー、先進欧州株式への海外投資家と国内投資家のフロー差を追跡している。レポートはユーロ圏株式の保有構造も示す。デリバティブおよび横断面指標には、3カ月・25デルタの正規化スキュー、STOXX Europe 600の6カ月平均月次リターン・ディスパージョン、1カ月平均ペアワイズ相関が含まれる。利用可能なテキストにはこれらのチャートの具体的な値は示されていないが、投資家参加、テール価格形成、銘柄またはセクター分散の度合いを評価する監視フレームワークとして用いられている。 マクロ経済予測は、欧州と世界の他地域を比較する背景を提供する。Goldman Sachsはユーロ圏の実質GDP成長率を2025年1.3%、2026年0.8%、2027年1.2%と予想している。対応する数値はドイツで0.3%、0.9%、1.1%、フランスで0.9%、0.5%、0.8%、イタリアで0.7%、0.8%、0.7%、スペインで2.8%、2.5%、1.8%、英国で1.3%、1.2%、1.4%である。対応する数値は米国で2.1%、2.1%、2.3%、日本で1.2%、0.8%、1.2%、中国で5.0%、4.6%、4.7%であり、世界成長率は2.8%、2.5%、2.8%と予測される。レポートはGoldman Sachs Current Activity Indicator、Macro-data Assessment Platform Economic Surprise Index、Goldman Sachs Financial Conditions Indexも用い、成長モメンタム、予想対比のデータ変化、金融環境を追跡している。
分析フレームワーク
レポートは、利益実績から市場価格、そしてマクロ経済の背景へと進む階層型データ・フレームワークを適用している。まず実際の利益および売上を予想と比較し、アナリストの上方修正から下方修正を差し引いて利益センチメントを測定する。次にセクターの成長、修正、配分推奨を分解した後、セクター、スタイル、テーマ別バスケットの相対パフォーマンスを検討する。その後、バリュエーション倍率、歴史的パーセンタイル、資金フロー、ボラティリティ、相関を通じて市場環境を評価する。最後に、地域別売上エクスポージャー、GDP予測、Goldman Sachs独自のマクロ経済指数を組み合わせ、欧州資産のグローバル経済変数に対する感応度を説明する。
手法メモ
利益サプライズとローリング利益センチメント
レポートは実際の利益を市場予想と比較し、過去1カ月のアナリスト上方修正数から下方修正数を差し引き、全予想数で除することで、市場予想が改善しているか悪化しているかを測定する。
今後12カ月P/Eと歴史的パーセンタイル
レポートはNTM P/Eおよび景気調整後P/Eを用いて欧州株式の価格を測定し、2000年以降の歴史的分布と比較する。パーセンタイルが高いほどバリュエーションは高い。
NTM EV/EBITDAおよびEV/Sales
レポートはP/Eを、予想売上高およびEBITDAに対する企業価値倍率で補完し、事業資産の価格付けという観点から欧州市場のバリュエーション比較を可能にする。
バリュー、グロース、サイズ、モメンタム、景気循環・ディフェンシブ・スタイルの比較
スタイル指数および均等加重セクター・ポートフォリオの相対パフォーマンスを通じ、リターンがバリューまたはグロース、小型株または大型株、モメンタム、あるいは景気循環的・ディフェンシブな特性のどれによって主導されているかを検証する。
地域別エクスポージャーによる指数売上高の内訳
レポートは主要欧州指数の売上収益を国内、その他欧州、北米、アジア太平洋、新興市場に分解し、各指数の地域別需要に対する感応度を特徴付ける。
リターン・ディスパージョンおよびペアワイズ相関分析
ディスパージョンは構成銘柄リターンの差を測定し、平均ペアワイズ相関は株式がどの程度連動して動くかを測定する。レポートはこれらの指標を用いて、銘柄選択の余地と市場共動性の度合いを評価する。
CAI、MAP Economic Surprise Index、GSFCI
レポートはGoldman Sachs Current Activity Indicator、予想対比のマクロ経済データ・サプライズ指標、Financial Conditions Indexを組み合わせ、それぞれリアルタイムの成長モメンタム、データにおける期待ギャップ、資金調達環境を監視する。
資産マッピングと比較
投資テーゼから固有資産への構造化マッピング(強み、弱み、同業、リスク)。
- STOXX Europe 600レポートの主要な欧州株式ベンチマークであり、利益、バリュエーション、セクター・パフォーマンス、売上エクスポージャー、市場構造の分析に使用される。
- 強み
- 2026年2Qの利益はこれまでのところポジティブサプライズとなっており、利益センチメントは3年以上ぶりの高水準に上昇し、2026E EPS成長率は17.3%である。
- 弱み
- 2027E EPS成長率は9.0%に低下し、複数のバリュエーション指標が歴史的に高いパーセンタイルにある。
- 比較
- コモディティ・セクターを除くと、2026E EPS成長率は全体の17.3%から11.5%に低下し、コモディティの大きな寄与を示している。
- 欧州オーバーウェイト・セクター群Goldman Sachsのオーバーウェイト・セクターには、銀行、建設・資材、食品・飲料・たばこ、生活必需品・食料品店、小売、テクノロジー、通信、旅行・レジャー、公益事業が含まれる。
- 強み
- 一部セクターは比較的高い利益成長またはポジティブな修正を示す。例えば、テクノロジーの2026Eおよび2027E成長率は28.7%と26.7%である。
- 弱み
- グループ内の成長推移は一貫していない。例えば、旅行・レジャーのEPSは2026Eに5.2%減少すると予想されている。
- 比較
- 中立およびアンダーウェイト・セクターと比較して、これはレポートが明示的に特定した優先配分階層である。
- 欧州アンダーウェイト・セクター群Goldman Sachsのアンダーウェイト・セクターには、自動車・部品、化学、消費財・サービス、メディア、損害保険、鉄鋼、航空宇宙、防衛、再生可能エネルギーが含まれる。
- 強み
- 一部セクターはなお比較的高い名目成長予想を有する。例えば、自動車・部品の成長率は2026Eで29.7%、2027Eで24.2%と予測されている。
- 弱み
- 利益修正が弱い可能性がある。自動車の2027E EPS予想は年初来で24.0%引き下げられ、メディアの2026Eおよび2027E予想は過去1カ月でともに1.3%引き下げられた。
- 比較
- レポートはこれらのセクターをオーバーウェイトおよび中立セクターより低く位置付けているが、利用可能なテキストでは各レーティングの理由を個別には説明していない。
主要データ
- STOXX Europe 600上期EPS成長率予想15%アナリスト予想。コモディティ・セクターを除くと8%
- STOXX Europe 600 EPS成長率2026E 17.3%;2027E 9.0%ボトムアップ予想。Goldman Sachsのトップダウン予想はそれぞれ15%および5%
- STOXX Europe 600 EPS修正1カ月:2026E 1.1%、2027E 0.2%;年初来:6.4%、3.6%ユーロ建て
- エネルギーEPS成長率2026E 80.9%;2027E -14.2%2026年の高成長後、2027年予想はマイナスに転じる
- テクノロジーEPS成長率2026E 28.7%;2027E 26.7%年初来EPS修正率はそれぞれ15.1%および22.3%
- 欧州NTM P/E14.6x2000年以降の歴史的パーセンタイルで71位
- 欧州景気調整後P/E20.0x長期バリュエーション指標
- 欧州市場インプライドERP4.1%汎欧州市場インプライド株式リスクプレミアム
- クレジット市場価格ハイイールド債YTM 6.0%、スプレッド256bp;投資適格債YTM 3.8%、スプレッド90bp欧州バリュエーション環境における金利およびクレジット指標
- STOXX Europe 600売上エクスポージャー欧州42%、北米24%、アジア太平洋19%、新興市場15%売上収益の地域別源泉による内訳
- ユーロ圏実質GDP予測2025年1.3%、2026年0.8%、2027年1.2%Goldman Sachs予測
- 世界実質GDP予測2025年2.8%、2026年2.5%、2027年2.8%Goldman Sachs予測
影響と示唆
レポートのデータの組み合わせは、直近の欧州企業の利益実績と予想修正がファンダメンタルズ面の支援を提供することを示唆するが、その支援は一様ではない。成長または修正はコモディティ、テクノロジー、一部金融セクターでより強い一方、他のセクターは下方修正または成長鈍化に直面している。同時に、複数の欧州バリュエーション指標は歴史的に高いパーセンタイルにあるため、レポートは単一の広範な市場方向性よりも、セクター選択、スタイル・ローテーション、グローバル売上エクスポージャー、資金フロー、マクロ経済変数を重視している。
注目点
- 1カ月ローリングの利益センチメントが3年以上ぶりの高水準を維持できるか、また2026Eおよび2027EのEPS修正が改善を続けるかを監視する。
- 欧州総合PMI、STOXX Europe 600、景気循環株のディフェンシブ株対比パフォーマンスの関係の変化を監視する。
- 米国10年国債利回りと、欧州バリュー株のグロース株対比パフォーマンスの関係を監視する。
- EUR/USDと、欧州小型株の大型株対比パフォーマンスの関係を監視する。
- グローバル、海外、国内投資家から欧州株式へのEPFRの1カ月ローリング・フローを監視する。
- 正規化スキュー、リターン・ディスパージョン、平均ペアワイズ相関に反映されるテール価格形成と市場分散を監視する。
- 成長モメンタム、期待ギャップ、金融環境の変化に関するCAI、MAP Economic Surprise Index、GSFCIのシグナルを監視する。