China advanced packaging:中国の先端パッケージング成長では装置サプライヤーとシェア拡大OSATを選好
Morgan Stanleyは中国の先端パッケージングTAMが2029年に約Rmb100bnへ達すると予想する一方、急速な2.5D能力拡張が有効需要を上回る可能性を警戒している。ACM ResearchやASMPTなどの設備投資受益者を選好し、JCETをOverweightへ引き上げ、SJ SemiconductorをEqual-weightで新規カバレッジした。
要約
Morgan Stanleyは中国の先端パッケージングTAMが2029年に約Rmb100bnへ達すると予想する一方、急速な2.5D能力拡張が有効需要を上回る可能性を警戒している。ACM ResearchやASMPTなどの設備投資受益者を選好し、JCETをOverweightへ引き上げ、SJ SemiconductorをEqual-weightで新規カバレッジした。
- 中国の2.5D年産能力は2025年の約120k wafersから2027年の436k wafersへ増加し、稼働率は約63%と推定される。
- OSATの稼働率と価格が弱含んでも、装置サプライヤーは能力建設から恩恵を受ける。
- JCETは国内2.5Dシェアを拡大すると予想され、Overweightへ引き上げ、目標株価はRmb90.2。
- SJ Semiは国内2.5Dのリーダーであるが、プレミアム評価と競争リスクによりリスク・リターンは均衡しており、Equal-weightで新規カバレッジ。
レポート解説
概要
本レポートは、AI主導の需要拡大下における中国の先端パッケージング・バリューチェーンを検討する。Morgan Stanleyは長期的な前向きの市場機会と、OSATにとってより厳しい短中期の需給見通しを区別し、装置サプライヤーと明確なシェア拡大経路を持つ選別的なパッケージング企業を選好している。
主要見解
Morgan Stanleyは、中国の先端パッケージング市場が2029年に約Rmb100bnへ達し、2025-29年で約13%のCAGRになると予想する。chiplet/2.5D分野はより速く成長し、2029年にRmb17.7bn、CAGR 40%へ達する見通しである。レポートは、先端パッケージングがAIアクセラレーターの演算密度、メモリ帯域幅、システム統合を高めるため戦略的に重要だと論じる。先端前工程装置へのアクセス制約がある中国では、パッケージングによる性能向上の価値が特に高い。 中心的な論点は、急速な産業成長がOSATの利益へ転化するかである。Morgan Stanleyは、中国の2.5D年間能力が2025年の約120k wafersから2027年の436k wafersへ拡大する一方、有効需要は適格なアクセラレーター・ダイの歩留まり、HBM供給、顧客認定、その他の上流投入要因に制約されるため、コンセンサスより慎重である。同社のボトムアップ需要仮定では、中国ベンダーのAI GPU出荷は2025年の1.1mn unitsから2027年の4.9mn unitsへ増加する。1 wafer当たり約21チップ、全体歩留まり85%と仮定すると、2027年の需要は約277k wafersとなる。そこから導かれる約63%の稼働率は、売上成長にもかかわらず、中程度の供給過剰、価格圧力、マージン上昇の制約を示唆する。 レポートは、能力構成が総能力と同様に重要だと述べる。国内能力は当初CoWoS-S-likeソリューションに集中する一方、新世代の大型AIパッケージはますますCoWoS-L-likeアーキテクチャを選好する。このため、中国ではS-like能力の過剰とL-like能力の相対的な逼迫が同時に発生し得る。柔軟なラインは一部転換可能だが、工程、装置、顧客認定の違いにより能力は即時に代替可能ではない。垂直積層3D統合への移行は、アクセラレーター・ダイ当たりの2.5Dパッケージ面積を減少させ、AI GPU出荷増と2.5D需要の関係を弱める可能性もある。 このためMorgan Stanleyは、幅広いOSATエクスポージャーより後工程装置ベンダーを選好する。OSAT利益は能力が充足されることに依存する一方、装置売上は主として能力建設に依存する。2.5D/3Dへの移行は、微細ピッチRDL、TSV、ウェハーレベル処理、仮接合/剥離、高精度配置、熱圧着またはハイブリッドボンディング、高度な検査を通じて装置集約度を高める。ACM Researchはめっき、洗浄、湿式工程へのエクスポージャーで注目される。不含ECPの先端パッケージング売上は2Q26に前年比153%増、ECP、炉などの技術カテゴリーは168%増となった。ASMPTはTCB、フリップチップ、ハイブリッドボンディング装置で恩恵を受け、TCB売上は2025年に前年比約146%増、先端パッケージング売上は1H26に過去最高のUS$339mnとなり、前年比17%増、グループ売上の30%を占めた。 OSATでは、レポートはシェア拡大企業であるJCETを選好する。JCETは低い基盤から2.5D能力を構築しており、江陰施設の立ち上がり、顧客可視性の改善、コンピューティング、自動車、CPO、次世代パッケージングへの拡大によりシェアを伸ばすと予想される。江陰の売上は1H26にRmb212mn、稼働率改善に伴い純損失はRmb89mnへ縮小した。経営陣は2027年の黒字化を予想し、Morgan Stanleyは2027年末能力を約5kwpmと見込む。JCETの上海臨港におけるRmb7.8bnの先端パッケージング投資は第2の成長軸となる。1H26のコンピューティング売上は前年比40.4%増で、構成比は1H25の22%から30%へ上昇した。自動車売上は25.0%増のRmb2bn、構成比は9%から11%へ上昇した。2025年の中国売上は約22%増のRmb8.3bn、国内粗利益率は6.6パーセントポイント上昇して20.4%となった。レポートはこれを価格主導ではなく、高付加価値ミックスによる構造的シェア拡大と解釈する。 Morgan StanleyはJCETをOverweightへ引き上げ、目標株価をRmb90.2へ引き上げた。AIおよびAI周辺チップ需要の強さ、より高い売上予想、有利なOSAT価格設定を反映し、能力拡張債による金利費用増を一部相殺して、2026/27/28年EPS予想を2%/3%/12%引き上げた。目標株価は、資本コスト8.6%、中期成長率19.0%、永続成長率4.0%を用いた残余利益モデルに基づく。強気・弱気の価値はそれぞれRmb147.7、Rmb60.6で、主に2.5D/3D事業の立ち上がり速度に依存する。 SJ SemiconductorはEqual-weight、目標株価Rmb118.4で新規カバレッジされた。Morgan StanleyはSJ Semiを、中国で2025年に約77%の2.5Dシェアを持ち、1H26粗利益率が約30%、国内3DIC商業化で先行するリーダーと評価する。2025-28年の売上CAGRは25%、利益CAGRは34%、chiplet/2.5DパッケージングはCAGR 36%と予想する。ただし、競争によりSJ Semiの建設済み能力シェアは2027年に34%へ低下する可能性があり、Huaweiは1H25売上の約74%を占めた。HBM供給逼迫や先端ノード歩留まり改善の遅れもアクセラレーター出荷を制約し得る。Morgan Stanleyの2027/28年利益予想はコンセンサスを6%/4%下回り、評価は要求水準が高いとみる。SJ Semiの2026-28E P/Sは31x/24x/19xで、OSATおよび装置同業を上回る。Rmb118.4の目標株価は、資本コスト8.0%、配当性向50%、中期成長率26.0%、永続成長率5.0%の残余利益モデルを用いる。 新興技術について、レポートは3DIC、HBMパッケージング、CPOを戦略的に重要としつつ、短期のOSAT利益の主要因にはならないとみる。コストの高さと複合歩留まり感応度により、中国の3DIC市場は今後2-3年で数千万米ドル規模にとどまると推定される。HBMは大きな数量機会だが、パッケージング価値は主にメモリエコシステム内にとどまる。CXMTは2027年に3-4mn HBM3E stacksを生産できると見込まれるが、支えられるGPUは0.75-1mnにとどまる。CPOは長期的な可能性を持つが、光ファイバー位置合わせ、熱管理、試験、サプライチェーン統合の課題から、大規模導入は2027-28年になる可能性が高く、今後1-2年の中国OSAT利益への寄与は限定的である。
分析フレームワーク
レポートは、ボトムアップの能力・需要分析とバリューチェーンの論理を組み合わせる。予測2.5D能力、有効需要を制約する要因、稼働率を比較し、装置支出とOSATの利益獲得を区別し、技術移行を評価した後、JCETとSJ Semiについて事業、競争、残余利益評価を分析している。
手法メモ
ボトムアップによる2.5Dパッケージング能力、有効需要、稼働率分析
Morgan Stanleyは、予測される能力増強と、アクセラレーター・ダイの歩留まり、HBM供給、認定に制約される需要を比較し、供給過剰と価格リスクを評価する。
装置サプライヤーとOSATの価値獲得
レポートは、能力建設に連動する装置収入と、稼働率および価格維持を必要とするOSAT利益を区別する。
JCETとSJ Semiconductorの残余利益評価
目標株価は、予測利益と資本コストに対する株主資本利益率、および明示された中期・永続成長仮定に基づく。
資産マッピングと比較
投資テーゼから固有資産への構造化マッピング(強み、弱み、同業、リスク)。
- ACM Research (ACMR.O)めっき、洗浄、湿式工程装置を通じて、中国の先端パッケージング能力拡張の直接的な受益者。
- 強み
- 不含ECPの先端パッケージング売上は2Q26に前年比153%増;510×515mm横型パネルレベル電気めっきシステムの初の量産受注を獲得。
- 比較
- 幅広いOSATエクスポージャーではなく、設備投資受益者として選好。
- ASMPT (0522.HK)TCB、フリップチップ、ハイブリッドボンディング装置需要の拡大による受益者。
- 強み
- TCB売上は2025年に前年比約146%増;先端パッケージング売上は1H26にUS$339mn。
- 比較
- 先端パッケージング投資への選好される装置エクスポージャー。
- JCET Group Co Ltd (600584.SS)選好される国内OSATであり、2.5D市場のシェア拡大が期待される。
- 強み
- 低い基盤からの2.5D立ち上がり、顧客可視性の改善、コンピューティング・自動車ミックスの拡大、臨港能力投資。
- 弱み
- 2.5D/3Dの立ち上がりはなお開発段階で、継続的な実行が必要。
- 比較
- 予想される市場シェア拡大によりSJ Semiより選好。
- リスク
- 景気悪化、技術進展の遅れ、価格競争および国内顧客シェアの喪失。
- SJ Semiconductor Corp (688820.SS)国内をリードする2.5Dおよび3DIC企業であり、リスク・リターンは均衡。
- 強み
- 2025年の中国2.5Dシェア約77%、3DIC商業化での先行、優れた粗利益率プロファイル。
- 弱み
- プレミアム評価、高い顧客集中、競争によるシェア喪失の可能性。
- 比較
- 技術的リーダーだが、成長見通しの多くが織り込まれているためJCETより選好度は低い。
- リスク
- 能力競争、HBM・歩留まり制約、Huaweiの外注リスク、輸出規制による混乱の可能性。
主要データ
- 中国先端パッケージングTAMApproximately Rmb100bn by 20292025-29年で約13%のCAGR。
- Chiplet/2.5D市場Rmb17.7bn by 20292025-29年に40%のCAGRを予想。
- 中国2.5D能力120k wafers in 2025 to 436k in 2027Morgan Stanleyは中程度の供給過剰を予想。
- 2027年推定稼働率~63%予測供給と有効需要に基づく。
- JCET目標株価Rmb90.2Overweight;2026/27/28年EPS予想を2%/3%/12%引き上げ。
- SJ Semi目標株価Rmb118.4Equal-weightで新規カバレッジ;2025-28年の売上CAGRは25%を予想。
影響と示唆
Morgan Stanleyの主な含意は、AI主導の先端パッケージング成長をOSAT利益の一律な上振れとみなすべきではないという点である。能力拡張と工程複雑化は装置サプライヤーにより明確なエクスポージャーをもたらす一方、OSATの結果は稼働率、価格、技術ミックス、企業固有のシェア拡大に依存する。国内OSATではJCETを選好し、SJ Semiの技術的優位性は大部分が評価に織り込まれているとみる。
リスク
- 中国AIコンピュート需要、国内先端ノード能力、HBM供給がMorgan Stanleyの予想を上回って拡大すれば、稼働率が引き締まりOSATマージンが改善する可能性がある。
- 2.5Dから3D統合への移行が予想より遅ければ、2.5Dパッケージング需要は想定を上回る可能性がある。
- OSATの技術的ブレークスルーが3DICコストを下げ、マージンを改善する可能性がある。
- JCETは、通信、コンピューティング、消費者エレクトロニクス需要の悪化、先端パッケージング立ち上がりの遅延、価格競争のリスクに直面する。
- SJ Semiは、競合の能力拡張、Huaweiへの顧客集中、HBMおよび先端ノードのボトルネック、米国輸出規制拡大の可能性に直面する。
注目点
- 国内先端パッケージング能力、とりわけCoWoS-S-likeとCoWoS-L-likeの能力、稼働率、顧客認定を分けて確認。
- 国内先端ノードの歩留まり、HBM供給、中国AI GPU出荷の成長。
- OSATの設備投資、マージン動向、売上・利益成長。
- 3DIC、HBM、CPOの顧客認定、専用能力、稼働率、開示される売上寄与。
- SJ Semiの2026年10月21日のIPOロックアップ満了、10月下旬の3Q26決算、4Q26-1Q27の能力・顧客認定進捗。