European automobiles market and Chinese OEM competition:中国OEMは2035年まで欧州シェアを拡大するが、規制、現地化、欧州EVの競争力が伸びを抑えるとBernsteinはみる。
Bernsteinは、欧州乗用車市場における中国OEMの合計シェアが2026Eの12.3%から2035年には18.7%へ上昇すると予想する。Stellantisが最もリスクにさらされ、RenaultとBMWは強い商品力と相対的に底堅いポジショニングの恩恵を受けるとみている。
要約
Bernsteinは、欧州乗用車市場における中国OEMの合計シェアが2026Eの12.3%から2035年には18.7%へ上昇すると予想する。Stellantisが最もリスクにさらされ、RenaultとBMWは強い商品力と相対的に底堅いポジショニングの恩恵を受けるとみている。
- 中国発ブランドの欧州シェアは2035年に12.4%へ達し、2026Eの6.8%から上昇すると予想される。
- EUのBEV関税後、中国OEMはPHEVへ軸足を移し、西欧PHEV市場でのシェアは2026年6月に37.6%へ達した。
- 提案中のIndustrial Accelerator Actは、国家支援を受けるEVに電池セルを除き70%のEU現地調達を求める可能性がある。
- BernsteinはStellantisが最も脆弱とみる一方、Renault、BMW、Mercedes、Porscheは相対的に強い防御力を持つとみている。
- Renaultの2026E Auto FCF yieldは12%で、長期中央値の5%を大きく上回る。
レポート解説
概要
本長期レポートは、中国OEMが2035年までに欧州でどこまで市場シェアを拡大できるかを検討する。Bernsteinのベースケースでは拡大は続くが、政策、現地生産コストの上昇、欧州EVの改善により、直近の非常に速い伸びは継続しない。
主要見解
Bernsteinは、BYDやCheryなどの中国発ブランドと、MG、Volvo、Polestarなどの中国資本傘下の欧州ブランドを区別する。後者の欧州市場シェアは2020年の2.8%から7M26の5.1%へ上昇し、中国発ブランドは2024年の1.0%から7M26の6.8%へ上昇した。消費者受容性も改善し、中国車の購入を絶対に検討しないとする消費者の割合は2H23の46%から2H25の21%へ低下した。中国OEMは統合的なサプライチェーン、低い製造コスト、ソフトウェア定義車両プラットフォーム、国内の過剰生産能力からも恩恵を受ける。中国の乗用車輸出は2026年8月に前年同期比78%増の888,000台となり、中国OEM販売に占める輸出比率は前年のおよそ20%から38%へ上昇した。 政策は競争環境を変化させた。EUは2024年10月30日に中国製BEVへの相殺関税を導入し、BYD、Geely、SAICの総関税はそれぞれ27.0%、28.8%、45.3%となった。PHEVには追加関税がなかったため、中国OEMはPHEVに注力し、西欧PHEVシェアは2026年6月に37.6%まで上昇した。BYDのドイツ登録構成も2024年の96% BEVから8M26には39% BEV、61% PHEVへ変化した。Bernsteinは、中国が自主的な輸入上限を拒否した後、PHEV関税も引き上げられると予想する。提案中のIndustrial Accelerator Actは、支援対象EVに電池セルを除く70%のEU現地調達を求める見込みである。現地化は市場アクセスを維持し得る一方、中国のコスト優位を低下させる。ハンガリーの自動車労務費は、Bernsteinが推定する中国の約€5/時以下の3倍超であり、欧州サプライヤーは全般に20–30%高い価格を設定している。 中国ブランドの直近の成長は実態を伴うが、インセンティブと販売チャネルによる歪みもあるとレポートは指摘する。イタリアでは、€11,000の買替補助とLeapmotorの値引きによりT03の顧客価格が€4,900となり、Leapmotorのシェアは2026年1月の0.8%から2月から5月に3.2%へ上昇したが、制度終了後は7月0.9%、8月1.2%へ低下した。ドイツでは8M26にBYD、MG、Xpengの自社登録比率が市場平均の14%を上回り、BYDとMGはレンタルフリートへの依存度も高かった。Bernsteinは、個人登録は通常最も利益率が高く、レンタルと自社登録は質の低いチャネルと説明する。 中国ブランドは販売網、商品群、欧州工場計画を拡大している。BYDは欧州で1,000超のディーラーを有し、2026年末までに2,000拠点を目標とする。ハンガリー・Szegedで試験生産を拡大し、さらなるEU生産能力を検討している。Cheryの欧州販売は1H26に前年同期比306%増の155,800台、シェア2.2%となり、EbroとのJVを通じたバルセロナ生産を準備している。Stellantis支援のLeapmotor International JVは1H26に欧州で55,700台を登録し、850超の販売・サービス拠点を持つ。ただしBernsteinは、複数の現地化計画が遅延しており、現地生産はコストを引き上げると警告する。 欧州既存OEMが一様にシェアを失っているわけではない。Bernsteinは、Volkswagen、BMW、Mercedes、Renaultが過去10年に欧州シェアを維持または拡大し、欧州OEMのシェア損失はすべてStellantisによるものと分析する。Stellantisは、重複し定義が不明確な大衆車ブランド群を持つため最も脆弱とされる。Ford、SEAT、価格敏感な顧客を中国OEMに恒常的に失う可能性があるDaciaも注目点である。BMW、Mercedes、PorscheなどのプレミアムOEMはブランド忠誠度と競争力ある商品により比較的守られるとみられる。商品力が最大の防御策であり、Renault 5は年初来で同セグメントの最量販BEV、BEV全体で4位である。VWのID.Polo群は価格、効率、販売網、欧州生産を組み合わせる。ID.Poloは€24,995からで、VWは欧州で30,000台超の注文を確認し、ŠkodaはEpiqで35,000台超の注文を報告している。 Bernsteinの2035年ベースケースでは、欧州乗用車市場は13.5 million unitsで概ね横ばいである。中国発ブランドは2026Eの900,000台・6.8%から1.7 million units・12.4%へ、中国資本傘下の欧州ブランドは730,000台・5.5%から845,000台・6.2%へ拡大する。中国OEM合計シェアは18.7%となり、2026年から2035年のCAGRは5.0%である一方、欧州、日本、韓国OEMのシェアは62%、13%、8%から59%、11%、6%へ低下する。欧州OEMにとっての強気ケースでは、中国OEMの合計シェアは約15.8%にとどまり、70%の現地調達規則、PHEV関税、欧州製品の有効な対応が背景となる。弱気ケースでは22.2%に達し、保護策が不十分で、中国OEMの現地化が成功し、積極的な価格設定と革新が続く場合、中国発OEMは16%に達する。 Renaultについて、Bernsteinは市場の懸念が過度なバリュエーション・ディスカウントを生んだ可能性があるとする。Renaultの収益の90%以上は欧州からと推定されるが、同社の市場シェアは過去10年変わらず、製品には強さがあると評価する。歴史的EPSはNissan持分により歪められたため、Auto FCF yieldが最も適切な評価手法とされる。2026Eと2027EのAuto FCF yieldは12%と18%で、長期中央値は5%である。5%の中央値をBernsteinの2027年Auto FCF見通し€1.4 billionに適用すると、€26.3 billionの時価総額となり、レポート記載の現在の時価総額の3倍超となる。
分析フレームワーク
Bernsteinはまず中国ブランドの原産地を定義し、欧州市場構造、セグメントとパワートレインのデータ、ブランド戦略、登録チャネル、関税、インセンティブ、現地化計画を検証する。その結果をブランド原産地別・主要車種セグメント別の予測に結び付け、2035年の強気・弱気・ベースケースを検討し、RenaultにはAuto FCF yieldの評価枠組みを適用する。
手法メモ
OEMのブランド原産地、車両セグメント、パワートレイン、規制、現地化に基づく欧州市場シェア予測。
レポートは、需要、製品、政策、コストの要因を用いて、概ね安定した欧州乗用車市場で中国OEMと既存OEMのシェアがどう変化するかを推定する。
現地調達要件と欧州生産コストが中国OEMのサプライチェーン経済性を変える。
Bernsteinは関税とEU調達規則を高い労務費・部品費に結び付け、中国からの輸入車の価格優位を弱めると論じる。
RenaultのAuto FCF yield評価。
レポートはRenaultの予想Auto FCF yieldを長期中央値と比較し、2027年のAuto FCF予想に5%の利回りを適用して評価上昇余地を示す。
2035年欧州市場シェアの強気・弱気・ベースケース。
政策、現地化、中国OEMの価格設定と革新、欧州製品の競争力を変化させ、異なる結果を枠組み化する。
資産マッピングと比較
投資テーゼから固有資産への構造化マッピング(強み、弱み、同業、リスク)。
- Renault競争力のあるEV商品とディスカウントされたAuto FCF評価により、大衆車市場で相対的に強い受益者とみられる。
- 強み
- Renault 5は年初来で同セグメント最量販のBEVであり、Twingoと第2世代Dacia SpringはACDCを通じて迅速に開発され、EU内で生産される。
- 弱み
- 収益の90%以上が欧州からと推定され、地域競争へのエクスポージャーが高い。
- 比較
- BernsteinはRenaultを大衆車市場で数少ない明るい材料と位置付け、Outperformを付与する。
- リスク
- Daciaは直近の販売減少がモデルサイクルによるものか、中国競合への価格敏感顧客の恒常的な流出かを示す必要がある。
- Stellantis (STLA)中国OEM競争に最もさらされる欧州OEMと位置付けられる。
- 強み
- Leapmotor International JVにより、中国NEV部品、販売網、欧州現地化の可能性にアクセスできる。
- 弱み
- Bernsteinは、過度に膨らみ、定義が不明確で重複するブランド群を指摘し、過去10年の欧州OEMシェア損失全体をStellantisに帰している。
- 比較
- Underperformで、RenaultとBMWのOutperformより低い。
- リスク
- 大衆車市場での脆弱性、ブランドの重複、Leapmotorとのディーラー共有によるカニバリゼーションの可能性。
- Volkswagen (VOW.DE)製品とディーラー網による防御力を持つ欧州既存OEMだが、Bernsteinは中国OEMがシェアを奪うと予想する。
- 強み
- ID.Polo群は効率、性能、パッケージ、総保有コストで競争力があるとされ、VWはID.Poloで欧州30,000台超の注文を確認している。
- 弱み
- 大衆車ブランドはなお中国OEM競争にさらされる。
- 比較
- Market-Performで、Bernsteinは大衆車のRenaultをより高く評価する。
- リスク
- 中国OEMのバリュー提案が市場シェアと価格を継続的に圧迫する可能性。
- BMW中国OEM競争から比較的守られるプレミアムOEMとみられる。
- 強み
- ブランド忠誠度、競争力ある商品、Neue Klasse EVの効率性が防御要因として挙げられる。
- 弱み
- 具体的な事業上の弱点は指摘されていない。
- 比較
- Outperformで、Renaultと並ぶ選好銘柄。
- リスク
- 中国OEM競争や欧州EV市場全体の圧力の影響を受けないわけではない。
- Mercedes-Benzブランド力と競争力ある製品により比較的守られるプレミアムOEMとみられる。
- 強み
- Bernsteinは電動モデルの効率性とMB.OS技術の競争力を強調する。
- 弱み
- 具体的な事業上の弱点は指摘されていない。
- 比較
- Market-Performで、BMWのOutperformを下回る。
- リスク
- 中国および欧州の新EV投入による競争圧力の継続。
- Porsche大衆車の同業他社より守られるとみられるプレミアムOEM。
- 強み
- ブランド忠誠度と競争力ある商品が挙げられる。
- 弱み
- 具体的な事業上の弱点は指摘されていない。
- 比較
- Market-Perform。
- Volvo Carsレポートの競争および市場シェアのテーマにさらされる中国資本傘下の欧州ブランド。
- 強み
- Geelyが支配するブランド群の一部。
- 比較
- Underperform。
主要データ
- 中国発ブランドのシェア12.4% by 2035 versus 6.8% in 2026E欧州乗用車市場に対するBernsteinのベースケース予測。
- 中国OEM合計シェア18.7% by 2035 versus 12.3% in 2026E中国発ブランドと中国資本傘下の欧州ブランドを合算。
- 欧州乗用車市場13.5 million units by 2035ベースケースでは2026年から2035年にかけて横ばい成長を意味する。
- 中国OEMのPHEVシェア37.6% in June 2026関税対象のBEVからの転換後における西欧PHEV市場シェア。
- 中国OEMのBEVシェア19% as of June 2026欧州BEV市場でのシェア。
- 中国製BEVに対するEU関税27.0% for BYD; 28.8% for Geely; 45.3% for SAIC追加相殺関税後の総輸入関税。
- Renault Auto FCF yield12% in 2026E and 18% in 2027E長期中央値の5%との比較。
影響と示唆
Bernsteinは、中国OEMが欧州で、とりわけBEVとPHEVにおいて構造的な競争勢力であり続けると予想する。ただし関税、現地調達要件、EU生産コストにより極端な低価格を維持する力は抑制されるとみる。カバレッジ内ではRenaultとBMWを選好し、Mercedes、Porsche、Volkswagenには中立、StellantisとVolvo Carsにはネガティブである。
リスク
- より強い保護主義措置に関するEUの合意が弱まり、中国からの輸入がより自由に流入する可能性。
- 中国OEMが革新力とコスト優位を維持しながら現地生産に成功する可能性。
- 中国OEMの積極的な価格競争がより全面的に欧州へ広がる可能性。
- 欧州OEMが十分に魅力的で競争力ある新製品を開発できない可能性。
- 現地調達規則が十分に広範に導入・執行されない可能性。
注目点
- EUが中国製PHEVへ懲罰的関税を拡大するか。
- Industrial Accelerator Actの最終詳細。提案される70%の現地調達基準と補助金適格性規則を含む。
- BYD、Chery、SAIC、Geely、Leapmotorを中心とする中国OEMの欧州工場計画の進捗と時期。
- 中国OEMの価格設定、ディーラー網拡大、登録チャネルの質。
- Renault 5、Twingo、Dacia Spring、VW ID.Polo群、プレミアムEVの新投入における注文動向と競争力。
- Daciaの直近の販売減少が循環的か、価格敏感な購入者の恒常的流出か。