Global EV battery makers' market-share competition レポート解説
レポートは、乗用車用電池需要が2025年の1,029 GWhから2030年の2,365 GWhへ増加すると予想する。CATLはシェアを36%から約40%へ拡大し、BYDは第2位を維持、LGESは段階的に回復するとみる。
要約
レポートは、乗用車用電池需要が2025年の1,029 GWhから2030年の2,365 GWhへ増加すると予想する。CATLはシェアを36%から約40%へ拡大し、BYDは第2位を維持、LGESは段階的に回復するとみる。
- CATLの世界シェアは2Q26に38.4%に達し、2年間で3.0パーセントポイント上昇した。
- CATLの上位3顧客は2025年販売の24%で、LGESの53%、BYDの83%、Panasonicの100%に対比される。
- CATLの電池販売量は2025年の370 GWhから2030年の943 GWhへ増加すると予測される。
- BernsteinはCATLのA株・H株をOutperform、LGESとSamsung SDIをMarket-Performと評価している。
レポート解説
概要
Bernsteinの年次Electric Revolutionレビューは、どの世界EV電池サプライヤーがシェアを獲得しているか、また顧客、地域エクスポージャー、EVモデルのポートフォリオが将来の成長を支えられるかを評価する。CATLを総合的に最も強い競合企業かつ選好するカバレッジ対象サプライヤーと位置づける。
主要見解
Bernsteinは、電池競争を技術とコストだけの争いとは位置づけていない。サプライヤーは、成功するOEMプログラムと急成長する車両プラットフォームに参画しつつ、個別顧客や地域への依存を抑える必要がある。世界の乗用車用電池需要は2025年に約1,029 GWhで、2023年の666 GWhから増加した。Bernsteinは2030年に2,365 GWh、CAGR 18%に達すると予測する。電池パック価値をUS$100/kWhと仮定すると、年間アドレス可能市場はUS$220bn超となる。レポートは、シェア実行力、顧客・地域エクスポージャー、設備稼働率、収益性が電池メーカー間の相対的な結果を左右すると論じる。 CATLはBernsteinの明確な首位企業である。世界シェアは2Q26に38.4%で、2Q24比3.0パーセントポイント、前年同期比2.9パーセントポイント上昇し、上位6社の中で30%超のシェアと明確なプラスの12カ月モメンタムを両立した唯一の企業となった。2年間の販売CAGRは30%で、欧州は48%、RoWは77%成長した。米国では5.3パーセントポイントのシェア低下があった一方、欧州では7.9パーセントポイント上昇した。CATLは中国、欧州、RoWで首位となり、2025年のシェアはそれぞれ40%、44%、27%だった。Bernsteinは販売量が2025年の370 GWhから2030年の943 GWhへ、CAGR 21%で増加し、シェアは36%から約40%へ上昇すると予想する。 顧客分散はこの見方を支える中心的要素である。CATLの最大の記名顧客であるTeslaは2025年販売の約10%にすぎず、上位3社と上位5社の顧客はそれぞれ24%と36%、上位5社以外の顧客は販売の64%を占めた。CATLはVolkswagenの電池需要の約60%、Geelyの57%、BMWの54%、Changanの84%、Xiaomiの70%を供給し、Tesla需要の約30%も供給した。Bernsteinはこれを、BYDが自社車両事業に約67%依存すること、PanasonicがTeslaに91%依存すること、LGESの上位3社集中度が53%、Samsung SDIが73%、SK Onが63%であることと対比する。 CATLは高販売量かつ急成長するEVモデルへの供給エクスポージャーも最も広い。中国では販売量上位の第1デシルで電池需要の72%、第2デシルで59%を供給した。Changan、Geely、Xiaomi、AITO、Leapmotor、Huaweiのモデルを含む、急成長する第三者プラットフォームに幅広く供給している。中国以外では、選定モデル群の電池需要の約35%をCATLが占め、LGESの18%を上回った。最も成長の速いモデルの第1デシルで29%、次の2デシルで38%と40%の供給シェアを持つ。中国以外の増分需要は成熟したTeslaプラットフォームから新しい欧州モデルへ移行しており、CATLはSkoda Elroqのほか、Audi Q6 e-tron、Volkswagen ID.7、Audi A6 e-tronなどの成長モデルにも参画している。 BYDは第2位のサプライヤーにとどまるが、Bernsteinは成長が中国と自社車両ポートフォリオにより集中しているとみる。2Q26の世界シェアは16.2%で、中国では2年間で7.8パーセントポイント低下した一方、欧州では5.6パーセントポイント、RoWでは7.2パーセントポイント上昇した。2025年の販売量は約199 GWhで、2030年には413 GWh、CAGR 16%へ増え、シェアは約17%になると予測される。LGESは地域別販売構成がより均衡しているものの、特に欧州で13.2パーセントポイント、米国で4.8パーセントポイントのシェアを失った。とはいえBernsteinは、LGESの2025年から2030年の販売CAGRを約20%、シェアを10%から11%へ段階的に回復すると予想しているが、これは稼働率改善と新規プラットフォーム獲得を条件とする。Panasonicの米国での回復はTeslaに結び付いており、Samsung SDIとSK Onは主要な中国以外の市場でシェアを失っている。 設備稼働率は見通しをさらに分ける。Bernsteinは、LGESの予想販売成長約20%が能力成長約7%を上回るため、最も大きな稼働率改善余地があるとみる。BYDも販売成長が能力拡張を上回る。CATLの販売と能力の成長は概ね整合しているが、2025年以降の稼働率は95%超であり、現在の拡張計画ではさらなるシェア拡大が制約される可能性がある。Samsung SDI、SK On、下位サプライヤーでは予想販売成長が発表済み能力成長を下回り、計画能力がすべて稼働すれば稼働率と収益性への圧力が示唆される。 カバレッジ対象株式では、BernsteinはCATLを選好し、CATL(A)とCATL(H)をOutperformと評価する。理由は、首位性、分散した顧客基盤、勝ち筋のプラットフォームへの供給、成長の可視性である。レポートの比較では、CATL A株は2027E P/E 13.9xで取引され、LGESは36.1x、Samsung SDIは27.7xだった。BernsteinはLGESとSamsung SDIをMarket-Performと評価しており、両社の収益は稼働率回復、顧客需要、実行力への依存度がより高いとしている。
分析フレームワーク
Bernsteinは、過去および直近の地域別市場シェア、サプライヤー・OEM・EVモデル別の電池販売を組み合わせて分析している。顧客集中度、地域分散、モデルへの供給エクスポージャー、モメンタムを通じて競争力を評価し、過去の成長と足元の需要モメンタムからサプライヤー別の販売量とシェアを予測する。さらに、予想販売成長と発表済みの能力拡張を比較して稼働率の圧力または上振れ余地を推定し、カバレッジ企業にはバリュエーションモデルを用いる。
手法メモ
乗用車用電池需要とサプライヤー別市場シェアの予測
レポートは地域別の総電池需要を予測し、過去の成長と直近のモメンタムを用いてサプライヤーへ配分している。
電池サプライヤー需要の決定要因としてのOEM・EVモデルへの供給エクスポージャー
Bernsteinは、電池メーカーの販売見通しをOEM顧客と、それらOEMが販売する車両モデルの販売量および成長に結び付けている。
CATL、LGES、Samsung SDIに対するDCFバリュエーション
レポートは2050年までの年次フリーキャッシュフロー予測とターミナルバリューを割り引く。CATL(A)はWACC 9.6%、ターミナル成長率3%、CATL(H)は10.4%と3%を用いる。
資産マッピングと比較
投資テーゼから固有資産への構造化マッピング(強み、弱み、同業、リスク)。
- CATL(A) (300750.CH)Bernsteinが選好するカバレッジ対象の電池サプライヤーであり、継続的なシェア首位を予想。
- 強み
- 分散した顧客基盤、地域的な規模、プラスのシェアモメンタム、勝ち筋のEVプラットフォームへの幅広い供給。
- 弱み
- 2025年以降の稼働率は95%超で、現行の拡張計画ではさらなるシェア拡大を制約する可能性。
- 比較
- 2027E P/Eは13.9xで、LGESの36.1x、Samsung SDIの27.7xと比較。
- リスク
- 中国の電池製造における過剰能力、シェアを制限する地政学的要因、垂直統合OEMとの競争。
- CATL(H) (3750.HK)Bernsteinが選好するカバレッジ対象の電池サプライヤーで、Outperform評価。
- 強み
- CATL(A)と同様に、市場首位、顧客分散、プラットフォーム供給エクスポージャーが強み。
- リスク
- 中国の電池製造における過剰能力、シェアを制限する地政学的要因、垂直統合OEMとの競争。
- LG Energy Solution (373220.KS)Market-Performと評価されるカバレッジ対象サプライヤー。
- 強み
- 地域別販売構成がバランスしており、予想販売成長が能力成長を上回るため稼働率改善の可能性。
- 弱み
- 世界シェアを失っており、欧州と米国での低下を含む。収益は稼働率回復、顧客需要、新規プラットフォーム獲得に依存。
- 比較
- 2030年までの予想販売CAGRは約20%で、CATLの21%に対し、2027E P/Eは36.1xでCATL(A)の13.9xに対比。
- リスク
- 米国IRAの税制恩恵の縮小、顧客またはパートナーとの税額控除の再配分、電池製造コストのインフレ。
- Samsung SDI (006400.KS)Market-Performと評価されるカバレッジ対象サプライヤー。
- 強み
- BMWでの強いポジションと、特定EVモデルへの供給エクスポージャー。
- 弱み
- 主要な中国以外の市場でシェアを失っている。予想販売成長は発表済み能力成長を下回り、稼働率リスクを示唆。
- 比較
- 2025年から2030年の予想販売CAGRは8%で、CATLとLGESを下回る。2027E P/Eは27.7x。
- リスク
- EVまたはESSの導入鈍化、OEMの調達先変更、コスト低下の不足、米国IRA補助金の縮小。
主要データ
- 世界の乗用車用電池需要1,029 GWh in 2025 to 2,365 GWh in 2030CAGR 18%。2025年需要は2023年に666 GWhだった。
- CATLの世界市場シェア38.4% in 2Q262Q24から3.0パーセントポイント上昇。2025年の36%から2030年には約40%に達すると予測。
- CATLの販売予測370 GWh in 2025 to 943 GWh in 2030CAGR 21%。
- CATLの顧客集中度24% top three customers; 36% top five最大の記名顧客であるTeslaは2025年販売の約10%。
- LGESの販売予測106 GWh in 2025 to 260 GWh in 2030CAGR 20%、シェアは10%から11%へ回復すると予測。
- 世界の電池販売成長25% two-year CAGR from 2Q24 to 2Q26欧州は34%、RoWは77%成長し、米国販売は5%減少。
影響と示唆
レポートは、CATLの規模が分散したOEM基盤、幅広い地域展開、急成長するEVプラットフォームへの参画によって強化され、継続的なシェア上昇を支えると論じる。LGES、Samsung SDI、SK Onについては、稼働率、顧客需要、実行力の重要性がより高く、サプライヤーの集中度はOEMの調達変更へのエクスポージャーを高めるとみる。
リスク
- CATLについてBernsteinは、中国の電池製造における過剰能力、シェアを制限する地政学的要因、垂直統合OEMとの競争を挙げている。
- LGESについて明示された下振れリスクは、米国IRAの恩恵縮小、税額控除の再配分、電池製造コストのインフレである。
- Samsung SDIについては、EVまたはESS導入の弱さ、OEMの切り替え、コスト低下の不足、米国IRA補助金の縮小がリスクである。
- Bernsteinは、能力拡張が販売成長を上回る場合、Samsung SDI、SK On、下位サプライヤーの稼働率と収益性に圧力がかかる可能性を指摘する。
注目点
- CATLが能力制約を管理しながら欧州とRoWでシェア上昇を維持できるか。
- 新しい欧州EVプラットフォームの普及と、CATLの電池供給への参画。
- LGESの稼働率回復、顧客需要、新規プラットフォーム獲得。
- 特にPanasonicとLGESへの影響を含む、OEMの調達配分の変化。
- 発表済みの電池能力がサプライヤーの販売成長に先行して稼働するか。