マクロ:40兆ドルに達した米連邦債務は民間部門にまだブレーキをかけていないが、高い債券利回りが株式の相対的魅力を試している
モルガン・スタンレーは、政府レバレッジの上昇が企業・家計のデレバレッジと並行しており、現時点では資金調達や消費を実質的に制約するには至っていないと考える。より重要な転換点は、借り手が活動を停止するかではなく、長期債のリターンがより魅力的になったことで投資家が株式から債券へ移行するかどうかである。
要約
モルガン・スタンレーは、政府レバレッジの上昇が企業・家計のデレバレッジと並行しており、現時点では資金調達や消費を実質的に制約するには至っていないと考える。より重要な転換点は、借り手が活動を停止するかではなく、長期債のリターンがより魅力的になったことで投資家が株式から債券へ移行するかどうかである。
- 米国は最初のおよそ240年間で約20兆ドルの連邦債務を積み上げ、その後の10年間でさらに約20兆ドルを追加した。
- 米国の企業債務GDP比は過去10年間おおむね横ばいで、コロナ禍時の水準を下回る。レポートは、記録的な発行ブームがもたらすクレジットスプレッド拡大は小幅にとどまると予想する。
- 米国家計債務はGDPの約67%で、2000年の約70%および2019年の74%を下回る。また、低金利で固定された住宅ローンの残高が、利上げの影響をさらに抑制している。
- 米国の10年インフレ期待は約2.3%、イールドカーブのスティープネスは平均付近、金利ボラティリティは低く、現時点で信認危機の明確な兆候はない。
- 米国30年国債利回りは期待インフレ率を約300ベーシスポイント上回り、米国の長期投資適格債利回りは6.2%に達しており、債券の相対的魅力を高めている。
- S&P 500は年初来13%上昇し、米国10年金利は50ベーシスポイント上昇したが、利益成長により株式リスクプレミアムは変わっていない。
- レポートは、英国の財政赤字が異例の縮小をみせていることを理由に英国インフレ連動債を、また高い金利差とGDP比49%にすぎない政府債務を理由に豪ドルを選好する。
レポート解説
概要
本レポートは、世界的な財政拡張と金利上昇が、債務負担の増大を通じて企業・家計の活動を抑制するのか、あるいは金融市場の平穏を崩すのかを検討する。公的部門のレバレッジ拡大は概して民間部門のバランスシート改善に対応しており、従来型の借入需要に対する「ブレーキ」が作動するハードルは高いと結論づける。より大きな懸念は、長期債利回りの上昇に伴い、資産配分者が株式から債券に移行する可能性であり、株式が競争力を維持できるかは利益成長に依存する。
主要見解
レポートは、世界金融危機後の債務論争を振り返ることから始める。当時、市場は政府債務の増加が低成長と長期にわたる財政緊縮をもたらすと広く懸念したが、こうした悲観的な予測は実現しなかった。世界経済の成長は底堅く、投資と資本深化は継続し、先進国株式と通貨がむしろ受益者となった。一方、米国は最初のおよそ240年間で約20兆ドルの連邦債務を積み上げ、過去10年間にさらに約20兆ドルを借り入れた。債務をGDP比で測定しても方向性は変わらない。主要経済国で政府レバレッジは総じて上昇しており、英国を除いて財政赤字の縮小は見込まれず、図表は赤字のさらなる拡大さえ示唆している。 レポートは、政府債務が企業・家計活動への「ブレーキ」となったかを評価するには、公的債務だけを超えて見る必要があると論じる。多くの国で、公的部門のGDP比債務の悪化は、企業・家計のバランスシート改善と同時に生じている。貿易収支を含めれば、これは部門別金融収支から生じる会計上の関係でもある。米国、フランス、日本、スウェーデン、スイス、イタリア、英国はいずれも過去10年間のある時点で減税を実施しており、公的部門から民間部門へ資源を移転する意図的な政策選択を反映している。したがって、公的バランスシートが悪化する一方で民間部門のバランスシートが改善したことは驚くべきことではない。 企業部門では、急増するテクノロジー投資とM&A活動の回復が発行ブームを牽引しており、モルガン・スタンレーのクレジット戦略チームは2026年も記録的な発行を予想している。レポートは、クレジットスプレッドの拡大は小幅にとどまり、市場は依然としてこれらの債券を吸収できると判断する。米国の企業債務GDP比は過去10年間おおむね横ばいでコロナ禍時の水準を下回り、ハイパースケールクラウド事業者のレバレッジは低く、AI投資は高い資本収益率をもたらしている。これは企業がより高い資金調達コストを受け入れる能力をある程度支える。したがって、現在の利回りがこの歴史的な資金調達の波を終わらせるとは予想していない。 家計部門は総額ではより多くの債務を抱えるものの、全体としてより強い状態にある。米国家計債務はGDPの約67%で、2000年の約70%を下回り、2019年の74%の水準より6パーセントポイント低い。さらに、この債務の相当部分は歴史的に低い金利で固定された住宅ローンであり、家計資産も大幅に改善している。集計データは高所得世帯と低所得世帯の乖離を覆い隠すが、総じて消費は集計ベースのバランスシートにより強く支えられている。これが、高金利とエネルギー価格上昇にもかかわらず消費が底堅く推移している理由の説明となる。住宅などの金利感応的な産業はすでに低迷しているため、レポートは家計が今回の金利上昇に対して、再び急速に大幅な収縮で反応することはないと考える。 公的部門のレバレッジ拡大と民間部門のデレバレッジというこのパターンは、米国に特有ではない。欧州の政府債務GDP比が上昇する一方、企業と家計はそれを上回る規模でデレバレッジを進めてきた。日本では政府借入が増加した一方で、民間部門のレバレッジは安定している。したがって政府債務は現時点で、民間需要を即座に圧迫する機械的ショックというより、部門間のバランスシート移転に似ている。それでもレポートは、この状態がどれほど持続しうるのか、真の市場の「破綻」が借り手以外のところから起こりうるのかを問い続けている。 最近の利回り上昇は米国の長期金利への圧力と日本の為替市場介入を伴っているが、ストレス指標はまだ混乱を示していない。米国の10年インフレ期待は約2.3%、イールドカーブのスティープネスは平均付近、金利ボラティリティは低く、いずれも深刻なストレスや政策信認危機という結論を支持しない。レポートは介入の効果は短命で、米国の7年から30年のカーブは再びスティープ化すると見込む。ただし、米財務省によるより積極的な行動はドルに圧力をかける可能性がある。 レポートは、より強い潜在的な転換点のシグナルを借り手ではなく資産配分者に見出している。現在の米国30年国債利回りは期待インフレ率を約300ベーシスポイント上回り、米国の長期投資適格債利回りは6.2%である。したがって、金利が真に「影響を及ぼす」閾値は、企業が借入を停止する時や家計が消費を止める時ではなく、投資家がこれらの債券は株式より良好なリスク・リターン特性を提供すると判断し、資本の再配分を始める時かもしれない。 このようなシフトはまだ観察されていない。ファンドフローも株式・債券相関も、株式から債券への体系的な資金移動を示しておらず、株価と債券価格は引き続き同じ方向に動いている。S&P 500は年初来13%上昇し、米国10年金利は50ベーシスポイント上昇したが、モルガン・スタンレーのストラテジストが利益利回りから債券利回りを引いて測定する株式リスクプレミアムは変わっていない。これは、1990年代後半と同様、利益成長が債券利回りの上昇に直面しても株式の競争力を維持するのに十分強かったためである。しかし、これは持続的な利益成長の重要性も高めており、将来の減速は株式の相対的魅力を弱める可能性がある。 相対価値の観点から、レポートはより強い財政状態を有する市場を選好する。英国は財政赤字の縮小が予想される数少ないケースの一つであるため、英国インフレ連動債に強気である。また、高い金利差とGDP比49%にすぎないオーストラリアの政府債務を背景に、豪ドルも選好する。これらの見方は世界の政府債務が拡大を続けるとの予想を変えるものではなく、財政面の乖離が市場横断の機会を生み出しうることを強調するものである。 今週の米国データについて、レポートは前年比の住宅価格上昇率が、在庫増加ペースの鈍化を支えとして3月の低水準0.8%から5月には1.1%へ回復し、年末には前年比2%に達すると予想する。7月の新築住宅販売は前月比0.5%減の62万5,000戸と予測され、前回は62万8,000戸だった。7月の住宅着工の急減は、許可件数が同時に弱まらなかったためノイズとみなされるが、住宅ローン申請と住宅建設業者の信頼感は悪化している。消費者信頼感は依然低く、雇用が豊富だと回答する純比率は1年前の11.0%から7月には3.1%へ低下し、8月のミシガン大学速報値も再び5月の記録的低水準に近づいた。 インフレと家計所得・支出について、レポートは米国のコアPCEが7月に前月比0.23%、総合PCEが0.14%上昇すると予想する。コアPCEの3カ月・6カ月年率換算値はそれぞれ2.79%と3.30%と予想され、6月の2.89%と3.76%を下回る一方、前年比は3.29%から3.27%へわずかに低下すると見込まれる。ポートフォリオ管理などの帰属項目を除く市場ベース・コアPCEは前月比わずか0.13%上昇、トリム平均PCEは0.18%上昇すると予想される。価格変動分布の歪度が2025年後半のプラスから6月にはマイナスへ転じ、7月もマイナスにとどまると予想されるため、レポートは、こうした状況ではトリム平均が基調インフレをより適切に反映することを示す関連研究を引用している。 レポートは、米国の実質消費が7月に前月比横ばいとなり、財消費は0.5%減、サービス消費は0.2%増になると予想する。財消費の弱さは主に、第2四半期の堅調な耐久財消費後の反動を反映する一方、オンライン販売が一部の需要を6月に前倒しした可能性がある。サービス消費は6月のワールドカップによる押し上げ効果を一時的に維持すると見込まれるが、この効果は8月に反転すると予想される。名目個人所得は0.2%、労働報酬は約0.2%から0.3%上昇し、実質可処分所得は横ばい、貯蓄率は2.7%にとどまると予想される。米国の第2四半期実質GDP成長率の追跡推計は前期比年率1.4%で、速報値1.5%に近い。消費成長率は約3.1%から3.2%と予測されるが、内訳はサービスが上方修正され、財が下方修正される見込みである。 その他の米国予測には以下が含まれる。7月の財貿易赤字は1,014億ドルから1,030億ドルへ拡大すると予想される。新規失業保険申請件数は20万6,000件で横ばいが見込まれる一方、継続受給者データは再就職ペースが年初から鈍化したことを示唆する。非農業部門雇用者数のベンチマーク改定は、過去2年間の大幅な下方改定とは異なり小幅と予想されるが、未公表の第1四半期雇用・賃金四半期センサスデータがなお結果に影響する可能性がある。ドイツの8月ifo景況感指数は86.6から86.5へ小幅低下すると予想される。 アジア太平洋では、オーストラリアの7月CPIは前月比0.9%、前年比3.3%上昇すると予想され、月次の反発は主に燃料補助金の終了と旅行価格の回復による。タイ銀行は景気回復を支援するため、全会一致で政策金利を据え置き、緩和的スタンスを維持すると予想される。韓国銀行は8月27日に今サイクル2回目の利上げを行い、金利を3.0%へ引き上げ、ドットプロットでターミナルレートを3.5%付近へ引き上げる方向を示すと予想される。フィリピン中央銀行はインフレを目標へ戻し期待を安定させるため、25ベーシスポイントの利上げを行うと予想される。日本の8月東京都区部CPIは、総合、生鮮食品を除くコア、食料・エネルギーを除くコアコアがそれぞれ前年比1.8%、1.7%、1.9%上昇すると予想される。7月の失業率は2.5%で横ばい、求職者に対する有効求人倍率は1.19へ小幅上昇すると予測される。
分析フレームワーク
レポートはまず、実現しなかった世界金融危機後の債務懸念の歴史的経験を用いてベースラインを設定し、その後、政府・企業・家計・対外部門のバランスシート関係を通じて、公的部門のレバレッジ拡大が民間部門のデレバレッジと共存しうる理由を説明する。続いて、企業の資金調達能力、家計の債務返済能力、国ごとの差異を検討するとともに、インフレ期待、イールドカーブ、金利ボラティリティが市場の混乱を示しているかを観察する。最後に、ファンドフロー、株式・債券相関、株式リスクプレミアム、利益成長を用いて資産配分における潜在的な転換点を評価し、クロスアセットの見方を英国インフレ連動債および豪ドルの選好、ならびに今週のマクロ経済データ予測へと落とし込む。
手法メモ
部門別金融収支と対応するバランスシート関係
レポートは政府、企業、家計、貿易部門を統一的な会計フレームワークで分析する。公的部門の赤字拡大は民間部門の金融状態改善に対応することが多く、政府債務の増加だけが必ずしも民間需要の縮小を意味するわけではない。
企業・家計の債務GDP比および資金調達コスト負担能力の分析
レポートは絶対的な債務水準だけを検討するのではなく、債務GDP比の過去の変化、既存債務の金利、資産側の改善、資本収益率を用いて、企業と家計がより高い利回りに耐えられるかを評価する。
長期ゾーンの利回り、カーブのスティープネス、金利ボラティリティ
レポートは10年インフレ期待、イールドカーブのスティープネス、金利ボラティリティを組み合わせ、財政信認に関連する圧力が市場に現れているかを評価し、その根拠に基づき米国の7年から30年のカーブが再びスティープ化すると予測する。
株式リスクプレミアムと株式・債券の相対価値
レポートは、株式が債券に対して提供する補償を株式利益利回りから債券利回りを引いたものとして測定し、利益成長を用いて、債券利回り上昇にもかかわらず株式が競争力を維持する理由を説明する。
ファンドフローと株式・債券相関の観察
レポートは、投資家がすでに株式から債券へ移行したかを検証するために、ファンドフローと株価・債券価格の相関を用いる。どちらの指標も現時点では体系的な再配分を示していない。
複数のPCE指標と価格変動分布の歪度
レポートはコア、市場ベース・コア、トリム平均PCEを比較し、価格変動分布の歪度を利用して、どの指標が現在の基調インフレをより適切に反映するかを判断する。
資産マッピングと比較
投資テーゼから固有資産への構造化マッピング(強み、弱み、同業、リスク)。
- 米国社債テクノロジー投資とM&Aの回復が記録的な発行を牽引しており、レポートは市場が追加供給を引き続き吸収すると予想する。
- 強み
- 米国の企業債務GDP比は過去10年間おおむね横ばいでコロナ禍時の水準を下回り、ハイパースケールクラウド事業者のレバレッジは低く、AIの資本収益率は高い。
- 弱み
- 大規模な発行はクレジットスプレッドを小幅に拡大させる可能性がある。
- 比較
- 継続的にレバレッジを高める公的部門と比べ、米国企業部門のレバレッジ傾向はより安定している。
- リスク
- 資金調達コストがさらに上昇するか、AI投資のリターンが不十分と判明すれば、現在の資金調達能力が試される可能性がある。
- 米国30年国債利回りは期待インフレ率を約300ベーシスポイント上回っており、投資家が株式・債券の再配分を評価する際の重要なベンチマークとなる。
- 強み
- 比較的高い期待実質利回り補償を提供する。
- 弱み
- 現在のファンドフローと相関は、投資家が長期国債へ体系的に移行したことをまだ示していない。
- 比較
- 株式に対する魅力は、債券利回りと株式利益利回りの差に依存する。
- リスク
- 長期金利への介入の影響は短命に終わる可能性があり、7年から30年のカーブはなお再びスティープ化しうる。
- 米国長期投資適格債6.2%の利回りは、他のリスク資産に対する配分上の魅力を高める。
- 強み
- 絶対利回りは高く、おおむね健全な企業バランスシートに支えられている。
- 弱み
- レポートは、追加供給によってなお小幅なスプレッド拡大が生じると予想する。
- 比較
- 株式よりも競争力のあるリスク・リターンの選択肢へ徐々になりうる。
- リスク
- クレジットスプレッドがレポートの予想以上に拡大すれば、価格パフォーマンスに圧力がかかる可能性がある。
- 米国株式強い利益成長が債券利回り上昇によるバリュエーション面の競争を相殺し、現時点では株式の相対的魅力を維持させている。
- 強み
- S&P 500は年初来13%上昇し、米国10年金利が50ベーシスポイント上昇したにもかかわらず、株式リスクプレミアムは変わらなかった。
- 弱み
- 相対的な魅力は持続的な利益成長への依存を強めている。
- 比較
- 株式はまだ高利回りの長期債に劣後していないが、両者のリスク・リターン格差は縮小している。
- リスク
- 将来の利益成長鈍化は、株式から債券への資本シフトを引き起こす可能性がある。
- 英国インフレ連動債英国は財政赤字の縮小が予想される数少ないケースの一つであるため、レポートは明示的に好意的な見方を示している。
- 強み
- 財政赤字の方向性は他の主要経済国より良好である。
- 比較
- 主要経済国の大半では赤字縮小が見込まれず、英国は例外となっている。
- 豪ドルレポートは豪ドルについて明示的に好意的な見方を示している。
- 強み
- 金利差が大きく、オーストラリア政府債務はGDPの49%にすぎない。
- 比較
- 財政レバレッジは、レポートで強調される多くの先進国より低い。
- 米ドルレポートは、米財務省によるより積極的な行動がドルに圧力をかける可能性があると考える。
- 弱み
- 米財務省によるより積極的な介入または行動が重石となる可能性がある。
- リスク
- 関連政策の影響と持続期間には不確実性がある。
主要データ
- 米国連邦債務の累積最初のおよそ240年間で約20兆ドル、その後の過去10年間でさらに約20兆ドル過去10年間における債務の急速な拡大を示す
- 米国家計債務GDP比約67%2000年の約70%を下回り、2019年の74%の水準より6パーセントポイント良好
- 米国10年インフレ期待約2.3%レポートは、これはまだ政策信認への明確な圧力を示すものではないと考える
- 米国30年国債の実質利回り補償期待インフレ率を約300ベーシスポイント上回る他の資産に対する長期国債の魅力を高める
- 米国長期投資適格債利回り6.2%株式・債券の再配分における潜在的な閾値を表す
- S&P 500の年初来パフォーマンス+13%同期間に米国10年金利は50ベーシスポイント上昇したが、株式リスクプレミアムは変わらなかった
- オーストラリア政府債務GDP比49%高い金利差とともに、レポートの豪ドルに対する強気見通しを支える
- 米国住宅価格上昇率5月に前年比1.1%、3月の低水準0.8%に対し、年末までに前年比2%の上昇を予想在庫増加の鈍化が住宅価格を引き続き支えると予想される
- 米国7月新築住宅販売予測62万5,000戸、前月比-0.5%前回は62万8,000戸
- 雇用が豊富と回答する米国の純比率7月に3.1%1年前の11.0%から低下しており、労働市場に対する消費者評価の悪化を示す
- 米国7月コアPCE予測前月比+0.23%、前年比3.27%前回の前年比は3.29%
- 米国コアPCEの短期年率換算成長率3カ月で2.79%、6カ月で3.30%それぞれ6月の2.89%と3.76%を下回る
- その他の米国7月PCE指標の予測市場ベース・コアPCEは前月比+0.13%、トリム平均PCEは前月比+0.18%基調インフレの特定を支援するために使用
- 米国7月実質消費予測前月比横ばい財-0.5%、サービス+0.2%
- 米国7月所得・貯蓄予測名目個人所得+0.2%、労働報酬+0.2%から+0.3%、貯蓄率2.7%実質可処分所得は前月比横ばいと予想される
- 米国第2四半期実質GDP追跡推計前期比年率1.4%速報値は1.5%、消費は3.1%から3.2%の成長が予想される
- 米国7月財貿易赤字予測$103.0 billion前回は$101.4 billion
- 米国新規失業保険申請件数予測206,000前期から横ばいが予想される
- ドイツ8月ifo景況感指数予測86.57月は86.6
- オーストラリア7月CPI予測前月比+0.9%、前年比+3.3%燃料補助金の終了と旅行価格の回復が月次の反発を牽引
- 韓国の政策金利予測3.0%へ引き上げ今サイクル2回目の利上げが予想され、ターミナルレートのガイダンスは3.5%へ上昇する可能性がある
- フィリピンの政策金利行動予測25ベーシスポイントの利上げインフレを目標へ戻し、インフレ期待を安定させることが目的
- 日本の8月東京都区部CPI予測総合1.8%、コア1.7%、コアコア1.9%すべて前年比上昇率
- 日本の7月労働市場予測失業率2.5%、有効求人倍率1.19失業率は横ばい、有効求人倍率は小幅上昇が予想される
影響と示唆
レポートは、公的債務の拡大はまだ企業・家計のバランスシートを通じて資金調達、投資、消費を急速に減少させていないため、利回りがさらに上昇しても企業債発行や家計支出が直ちに終わるとは限らないと考える。主要な市場への影響は、債券資産のリスク・リターン特性が改善していることにある。利益成長が鈍化すれば、債券に対する株式の優位性が弱まり、資本再配分を誘発する可能性がある。したがって市場間の財政差もより重要になっている。英国の財政赤字縮小はインフレ連動債の見方を支え、オーストラリアの低い政府レバレッジと高い金利差は豪ドルを支える。
リスク
- 世界の主要経済国全体で政府債務GDP比は上昇を続け、英国を除き財政赤字の縮小は予想されないため、最終的に現在の市場の平穏を崩す可能性がある。
- 株式が競争力を維持する能力は利益成長に大きく依存しており、将来の利益成長鈍化は株式リスクプレミアムを弱め、株式・債券の再配分を誘発する可能性がある。
- 米国30年国債および長期投資適格債の利回り上昇は、債券が株式より良好なリスク・リターン特性を提供すると投資家に判断させる可能性がある。
- 米国家計の集計ベースのバランスシートの強さは、高所得世帯と低所得世帯の間にある大きな乖離を覆い隠している。
- 米財務省によるより積極的な行動はドルを弱める可能性がある。
- 長期債の発行増加は、レポートのベースケースが小幅な拡大にとどまるとしている場合でも、クレジットスプレッドを拡大させる可能性がある。
注目点
- ファンドフローと株式・債券相関が、投資家が株式から債券へ移行し始めたことを示すかを監視する。
- 企業利益成長が債券利回り上昇を相殺し続けられるか、また将来利益成長が鈍化するかを追跡する。
- 米国の10年インフレ期待、イールドカーブのスティープネス、金利ボラティリティが、財政または政策信認への圧力を示し始めるかを注視する。
- レポートの予想どおり米国の7年から30年のカーブが再びスティープ化するかを監視し、米財務省の行動がドルに与える影響を評価する。
- 市場が記録的な社債発行を小幅なクレジットスプレッド拡大だけで吸収できるかを注視する。
- 米国の住宅価格、新築住宅販売、消費者信頼感、PCEインフレ、個人消費・所得、GDP、貿易赤字、失業保険申請件数を追跡する。
- オーストラリアのCPIと、タイ、韓国、フィリピンの中央銀行による政策決定を注視する。
- 日本の東京都区部CPI、失業率、有効求人倍率を追跡する。