Asia ex-Japan rates strategy レポート解説
レポートは、安定したアジアの成長、地政学的な原油リスク、Fedの将来的な利上げ予想が、引き続きアジア金利の上昇を支えると論じる。しかし、ネガティブ・キャリーと政策不確実性により、ネットのペイ・エクスポージャーを減らし、インドのペイ・エクスポージャーをクローズし、シンガポールと韓国では選別的なポジションにとどめることを正当化している。
要約
レポートは、安定したアジアの成長、地政学的な原油リスク、Fedの将来的な利上げ予想が、引き続きアジア金利の上昇を支えると論じる。しかし、ネガティブ・キャリーと政策不確実性により、ネットのペイ・エクスポージャーを減らし、インドのペイ・エクスポージャーをクローズし、シンガポールと韓国では選別的なポジションにとどめることを正当化している。
- アジア金利の全般的なペイ・スタンスを維持する一方、現水準でネットのエクスポージャーを減らす。
- 5y5y SGDペイ対HKのDV01比率を2:1から1:1へ引き下げる。
- インドのペイ9月5年ポジションを6.438%でクローズする。
- 今後のBOK会合に向けて7年韓国スワップの小規模なレシーブ・ポジションを維持する。
- Nomuraは、米国・香港に対するシンガポール・スプレッドに縮小余地があるとみている。
レポート解説
概要
Nomuraのアジア(日本除く)金利ノートは、金利のペイ・バイアスを維持する一方、キャリーがネガティブで米国政策の展開が取引を急変させ得るため、エクスポージャーを縮小している。レポートは、シンガポールと香港の相対価値ポジショニングを更新し、インドの取引をクローズし、小規模な韓国のレシーブ・ポジションを維持している。
主要見解
Nomuraは、米国雇用統計とインフレが予想を下回ったにもかかわらず、アジア金利で広範なペイ・スタンスを維持している。その根拠は、市場が引き続きFedの次の行動を利上げとみる可能性、原油に地政学的プレミアムが残ること、そして中国を除くアジアの平均PMIが50超を維持し、域内成長が安定していることにある。レポートはアジアを、先進国市場の長期金利上昇というより広い文脈に位置付け、財政持続可能性への懸念、年金制度が確定拠出型へ移行することによる年金基金需要の減少、特にハイパースケーラーによる投資適格債発行の増加、一部中銀がインフレ対応で後手に回っているとの見方をその要因としている。 ただし、金利上昇トレンドでもペイ・ポジションの保有は、ネガティブ・キャリーや、イラン関連を含む米国政策の予測不能性のため、必ずしも魅力的ではないと論じる。したがって、方向性の見方を撤回するのではなく、現水準をネットのペイ・エクスポージャーを減らす好機とみている。 シンガポール対香港では、推奨していた5y5y SGDペイ対HKのポジションをDV01比率2:1から1:1へ縮小する。シンガポール金利は世界的な動きと歩調を合わせてスティープ化し、HDB 2041を含む債券供給の増加も影響した可能性がある。Nomuraは、エコノミストによるコンセンサス超の成長・インフレ予想とSORA fixing上昇の兆候を根拠に、米国・香港に対するシンガポール・スプレッドには縮小余地があるとの見方を維持する。しかし、SGDの5s10sスプレッドは33bpに戻り、金曜日には10年SGSの発行規模発表が予定されている。年末に近づくほど発行規模は通常小さくなるため、SGDレッグを早期に再評価する必要があるとしている。香港の長期金利は、USD/HKDが7.85手前で安定し、香港の非金融債発行が大きく増えていないにもかかわらず、米国をアンダーパフォームしている。このためNomuraは、反発局面でHKのレシーブ・ポジションを増やすことを選好している。 インドでは、Nomuraはペイ9月5年ポジションを6.438%でクローズする。FCNR(B)スキームの早期終了、原油価格の反発、Bloombergによるインド国債組み入れの遅延、エルニーニョ・リスク、ベース効果による第4四半期のインフレ上昇は、引き続き金利にとってややネガティブな要因とみている。しかし、インターバンク流動性は潤沢にとどまる可能性が高く、1s5s NDOISスプレッドが60bpに戻ったため、インドのカーブにはより中立的な見方となっている。 韓国では、金利は過去2週間、原油価格と米国金利に伴って反発し、20年および30年KTBの弱さも重なった。それでもNomuraは、翌週のBank of Korea会合に向けて7年韓国スワップの小規模なレシーブ・ポジションを維持する。エコノミストはまだ完全には織り込まれていない利上げを予想しているが、利上げが5年から7年のスワップに大きな影響を及ぼす必要はないと考える。これらの年限はインプライド・ターミナルレートの水準により強く左右され、NomuraはKOSPIとUSD/KRWの低下を踏まえ、その水準は数か月前より低いとみている。
分析フレームワーク
Nomuraはまず、世界の長期金利とアジアの成長環境から金利の方向性バイアスを設定し、その後、キャリーと政策不確実性を比較考量して全体のエクスポージャーを減らしている。シンガポール、香港、米国の金利間では相対価値比較を用い、インドではカーブ・スプレッドと資金環境を使い、韓国では短期の政策金利引き上げと長期ゾーンのターミナルレート織り込みを区別している。
手法メモ
債券の需給分析
レポートは、長期金利の弱さを財政懸念、年金需要、社債発行、予想される国債供給と結び付けている。
イールドカーブおよびスワップスプレッド分析
Nomuraは、SGDの5s10sスプレッド、インドの1s5s NDOISスプレッド、政策金利と5年から7年のスワップ価格形成の違いを用いて取引見通しを形成している。
クロスマーケットの相対価値分析
シンガポール対香港の取引は、相対的な金利パフォーマンスと、米国・香港に対するシンガポール・スプレッド縮小予想を通じて評価されている。
資産マッピングと比較
投資テーゼから固有資産への構造化マッピング(強み、弱み、同業、リスク)。
- 5y5y SGD versus HK ratesDV01比率を1:1に縮小した、SGDペイ対HKの相対価値取引。
- 強み
- Nomuraのエコノミストによるコンセンサス超のシンガポール成長・インフレ予想とSORA fixingの上昇は、米国・香港に対するシンガポール・スプレッドの縮小を支える。
- 弱み
- SGDカーブはスティープ化し、5s10sスプレッドは33bpに戻っている。
- 比較
- シンガポール金利は香港および米国金利との相対比較で評価され、香港の長期金利は米国をアンダーパフォームしている。
- リスク
- 今後の10年SGS発行規模の発表により、SGDレッグを短期的に再評価する必要が生じる可能性がある。
- India Sep-5y ratesペイ・ポジションをクローズ。
- 弱み
- 流動性は潤沢に保たれる可能性が高く、1s5s NDOISスプレッドが60bpに戻ったため、Nomuraはインドのカーブにより中立的である。
- リスク
- 原油価格の反発、FCNR(B)スキームの早期終了、IGB組み入れの遅延、エルニーニョ・リスク、ベース効果による第4四半期インフレ上昇が、引き続き潜在的なマイナス要因である。
- Korea 7y swapsBOK会合に向けて小規模なレシーブ・ポジションを維持。
- 強み
- Nomuraは、数か月前よりもインプライド・ターミナルレートが低いと見ており、5年から7年のスワップ金利を支える。
- 弱み
- 韓国金利は原油と米国金利に連れて上昇し、長期KTBは弱含んでいる。
- 比較
- Nomuraが予想するBOKの利上げはまだ完全には織り込まれていないが、5年から7年のスワップにはターミナルレート見通しの方が重要とみられる。
- リスク
- Nomuraのエコノミストが予想するBOKの利上げはまだ完全には織り込まれていない。
主要データ
- SGD対HKの5y5y取引のDV01比率1:1Nomuraの従来のSGDペイ対HK推奨2:1から縮小。
- SGD 5s10sスプレッド33bpこの水準はSGDレッグの再評価を促す要因。
- インドのペイ9月5年ポジションのクローズ水準6.438%Nomuraはこの水準でポジションをクローズ。
- インドの1s5s NDOISスプレッド60bpこの水準への回帰が、より中立的なインド・カーブ見通しを支える。
- 韓国スワップのポジションSmall receive position in 7y翌週のBOK会合に向けて維持。
影響と示唆
レポートは、広範な方向性エクスポージャーからより選別的な金利・クロスマーケットのポジショニングへ移行している。すなわち、ネットのペイ・リスクを減らし、香港に対するシンガポールのペイ・レッグを小さくし、インドのペイ取引をなくし、低いターミナルレート予想に基づく韓国のレシーブ・ポジションを維持する。
リスク
- イラン関連を含む予測不能な米国政策の展開は、ペイ・ポジションを混乱させ得る。
- エルニーニョ・リスクとベース効果によるインドの第4四半期インフレ上昇は、インド金利にとってマイナス要因として明示されている。
注目点
- 金曜日の10年SGS発行規模の発表と、それがSGDレッグの評価を変えるかどうか。
- 予想されるSGDスプレッド縮小に関係するSORA fixingとシンガポールの成長・インフレ環境。
- 米国金利に対する香港長期金利の動き、7.85近辺のUSD/HKD、香港の非金融債発行。
- インドのインターバンク流動性と1s5s NDOISスプレッド。
- 翌週のBank of Korea会合と5年から7年の韓国スワップの反応。