US autonomous vehicles, robotaxis and AV ecosystem レポート解説
Goldman Sachsは米国AVエコシステムの安全性、アプリ利用、展開指標を更新した。同社はアセットライトなAVマーケットプレイスとしてUberとLyftを引き続き前向きにみつつ、Robotaxi事業者の実行、規模拡大、消費者利用を追跡している。
要約
Goldman Sachsは米国AVエコシステムの安全性、アプリ利用、展開指標を更新した。同社はアセットライトなAVマーケットプレイスとしてUberとLyftを引き続き前向きにみつつ、Robotaxi事業者の実行、規模拡大、消費者利用を追跡している。
- Goldman Sachsは利用可能な報告データに基づき、Waymoは160K-180Kマイルごと、Teslaは50K-70Kマイルごとに事故があったと推計する。
- Waymoの7月アプリMAUは前年比54%増で、6月の14%から加速した。WaymoとTesla RobotaxiのMAUはいずれも前月比で増加した。
- UberはAV関連の株式、インフラ、車両オフテイクに$10bn超をコミットし、パートナーは約120,000台をコミットしている。
- WaymoとTeslaのアプリ利用度はUberとLyftを下回るが、過去6カ月超でセッション数の差は縮小した。
- Goldman Sachsは、第三者AV需要のマーケットプレイスとしての位置付けを理由に、UberとLyftを引き続き前向きにみている。
レポート解説
概要
この四半期トラッカーは、2026年8月までの米国Robotaxiと自動運転車の動向を、安全性、アプリ利用、フリートと地理的拡大、提携、ライドシェアおよび自動車技術企業への含意の観点から検証する。Goldman Sachsは展開の勢いが続くとみる一方、運行規模、利用度、安全性の比較可能性、予定通りの実行が主要な論点だとする。
主要見解
安全データは、WaymoとTeslaの報告上の運行規模に大きな差があることを示すが、比較には重要な制約がある。Goldman Sachsは、2025年7月から2026年7月中旬までのNHTSA事故データと会社開示に基づき、完全無人運転Robotaxiの事故頻度を、過失の有無を問わずTeslaは50K-70Kマイルごと、Waymoは160K-180Kマイルごとと推計する。Teslaの推計は2026年6月に約33Kマイルで、1月から3月と2026年7月前半には完全無人運転車両に関する事故を報告していない。Waymoは7月前半に推定11.5 millionマイルを走行し、11件の事故を報告した。Waymoはより多くの都市で商業運行しており、NHTSAの報告には軽微な事象も含まれ、すべての事故がAVの過失とは限らないため、直接比較は難しいと同社は注意を促す。Teslaの推計では、Texasで安全監視員を乗せた走行とCaliforniaのライドヘイル運行を除外し、完全無人運転の乗車サービス開始前である2026年1月以前のデータも除外している。 消費者利用は低い基盤から伸びている。SensorTowerデータでは、WaymoとTesla Robotaxiの月間アクティブユーザーは7月に前月比で増加した。Waymoアプリの前年比MAU成長率は6月の14%から54%へ加速した。年初来、Waymoは米国Uber MAUに対する比率を高め、TeslaもWaymo MAUに対する比率を大きく上昇させた。6月以降、Teslaの消費者直販Robotaxiアプリは月次でWaymoより速く成長し、セッション利用度もわずかに高いが、ダウンロード数はWaymoが多い。両AVアプリの利用頻度はUberとLyftより低いままだが、セッション数の差は過去6カ月超で縮小した。2026年1月以降、Uber、Lyft、Waymo、Tesla Robotaxiの合計ダウンロードに占めるWaymoの比率は約12%-13%、Tesla Robotaxiは1%-2%であり、ダウンロードの大半はなおUberとLyftによる。 展開と提携活動は拡大を続ける。Texasの登録情報ではWaymoのフリートは736台、Teslaの登録フリートは314台だが、非稼働車、試験車、安全監視員付き車両を含む可能性がある。Waymoの6月のNHTSA申告は約3,900台を示し、メディア報道ではOjaiを含むフリートは4,000台超とされた。WaymoはNashville、Dallas、Houstonで一般向け乗車を全面展開し、9月1日にはDenver、San Diego、Tampaで待機リスト方式の限定的な一般向け乗車を開始した。また、Gemini対応の車内操作・行程機能を備えたOjaiを導入した。Teslaは4月中旬にAustinからDallasとHoustonへ完全無人運転サービスを拡張し、7月中旬にはMiami、Tampa、Orlandoにも広げた。経営陣によれば、約2 millionの有料走行距離のうち完全無人運転は380K超で、この無人運転距離では過失による重大事故はなかった。初期版FSD v15はRobotaxiで稼働している。Goldman Sachsは、Cybercabがコスト低下に寄与し得る一方、近い将来の改善余地は主にv15などソフトウェアにあるとみる。 ライドシェア・プラットフォームは、AV供給を支える需要とフリート提携の層を構築している。Uberは、AVを大規模市場へ投入するため、今後の株式投資、インフラ、車両オフテイクに$10bn超を投じる方針を示し、年末までに最大15都市へ拡大する目標を掲げた。パートナーは今後数年にわたり約120,000台をUberネットワークに提供することを約束している。Pony.aiとの協業ではZagrebと欧州の追加4都市で2,000台超のRobotaxi展開を目指し、Tokyoでの試験運用は2026年後半を予定する。Avrideは8月12日時点でUberプラットフォーム上の乗車回数が100Kを超えた。LyftではNashvilleのWaymoフリート運行が6月に始まり、恒久デポは10月開設予定である。FreenowとBaiduはLondonでAV試験を開始した。Goldman Sachsは、UberとLyftがAVフリート向けのアセットライトなマーケットプレイスとなるため、第三者提携への投資を続ける可能性が高いとみる。 他のAVプロジェクトでは、時期と事業モデルにばらつきがある。Zooxは専用自動運転Robotaxiとして初のNHTSA商業免除を取得し、8月10日からLas Vegasで有料乗車を開始した。10都市で試験を行い、2都市で一般向け乗車を提供している。RivianはUberとのMiamiおよびSan Franciscoでの2028年初回開始目標を再確認した。UberはR2ベースのRobotaxiを最大50K台展開し、最大$1.25bnを投資する可能性があり、2031年までにEuropeとCanadaを含む可能性のある25都市へ拡大する計画である。MobileyeはVW GroupのMOIAおよびBeepとのOrlandoでの安全運転者なしの展開を年末までに目指し、2027年に規模拡大する計画を維持したが、Uber Los Angelesの開始は従来の2026年末見通しから2027年へ延期された。Auroraは無人運転Internationalトラックの展開を開始し、2026年末までに約200台、2027年にDaaSへ移行し、2026年末にランレート粗利益率の損益分岐点達成を目標とする。 上場自動車・産業技術企業について、Goldman Sachsは完全無人運転の拡大速度、ソフトウェア機能、継続的なソフトウェア収益の経済性を重視する。TeslaではRobotaxiの実績、都市内・都市間での完全無人運転の拡張、消費者向けFSDをアイズオフのソリューションにできるかが焦点となる。同社は後者について最短でも2026年後半、かつHW4/AI4車両に限るとしている。Rivianのロードマップには、ポイントツーポイントL2、2026年後半のlidarとRAP1、2027年のL3、2028年のUberとのL4が含まれる。Auroraでは立ち上がり、マージン、フリーキャッシュフロー目標が重要である。GMとFordも、対応車両と加入者の増加に伴い、L2+サービスの拡大が高マージン事業を支え得ると述べた。
分析フレームワーク
Goldman Sachsは公開事故申告と各社の走行距離開示を組み合わせ、事故間走行距離を推計する一方、運行地域と報告基準の差異を注記している。SensorTowerのMAU、セッション数、ダウンロード数で消費者利用を評価し、発表済みの運行、車両情報、決算コメント、商業契約、目標マイルストーンを追跡して、展開状況とエコシステムの経済性を評価している。
手法メモ
AVエコシステムにおける供給・需要の集約
レポートはフリート事業者、ソフトウェア提供者、ライドシェア・プラットフォームを相互に結び付いたAVエコシステムの構成要素として評価し、展開が供給を生み、マーケットプレイスが需要を創出できるかに注目する。
自動運転車エコシステムと提携の波及
技術・車両提供者、フリート事業者、ライドシェア需要プラットフォームを結び付け、展開の進捗が商業規模と継続的収益へどう転換し得るかを説明している。
事故間走行距離の追跡
報告された完全無人運転走行距離を報告事故数で割り安全性を推計する手法で、地域、報告の遅れ、事故定義の差が直接比較を制限することも指摘する。
資産マッピングと比較
投資テーゼから固有資産への構造化マッピング(強み、弱み、同業、リスク)。
- Uber Technologies Inc. (UBER)ライドシェア需要プラットフォームおよびAV提携の集約者。
- 強み
- Goldman Sachsは、$10bn超のAV投資計画、年末までに最大15都市へ拡大する可能性、約120,000台のパートナー車両コミットメントを挙げている。
- 比較
- Lyftと並び、第三者AVフリート事業者向けのアセットライトなマーケットプレイスとして位置付けられている。
- リスク
- Mobility成長の鈍化、規制、市場シェア、消費者の裁量的支出習慣。
- Lyft Inc. (LYFT)第三者AV提携を進めるライドシェア・プラットフォーム。
- 強み
- Waymoフリートは6月にNashvilleで運行を開始し、恒久的なデポは10月開設予定。FreenowとBaiduはLondonでの試験を開始した。
- 比較
- Uberと同様にAV供給を集約する立場にあり、従来型ライドシェアアプリの利用度はAVアプリをなお上回る。
- リスク
- Mobility成長の鈍化、規制、市場シェア、消費者の裁量的支出習慣。
- Tesla Inc. (TSLA)Robotaxi事業者およびAVソフトウェア開発者。
- 強み
- 完全無人運転サービスを追加都市圏へ拡大。経営陣は380K超の完全無人運転走行で過失による重大事故はなかったとし、初期版FSD v15をRobotaxiに導入している。
- 弱み
- 報告上の事故頻度はWaymoの推計値より低く、完全無人運転の規模は有料走行距離全体に比べてなお限定的。
- 比較
- Waymoは報告上の安全走行距離がより長く、アプリのダウンロード数と商業運行の広がりでも上回る。一方、6月以降Teslaアプリの成長は速く、セッション利用度はWaymoをわずかに上回る。
- リスク
- EV普及、マージン、市場シェア、自動車サイクル、運営実行、キーマン・リスク、FSD/4680の能力、関税。
- Alphabet Inc. (GOOGL) / WaymoWaymoはAlphabetエコシステム内の主要Robotaxi事業者。
- 強み
- Teslaより長い推定事故間走行距離、MAUの成長、Tesla Robotaxiを上回るダウンロード数、フリート拡大、新たな一般向け乗車サービス開始。
- 弱み
- 利用度はUberとLyftを下回り、運行都市の違いからデータは完全には比較できない。
- 比較
- Waymoの推定事故頻度は160K-180Kマイルごとで、Teslaの50K-70Kマイルごとを上回る。
- リスク
- 広告市場シェア、検索事業への逆風、メディア消費習慣の変化、規制審査、マージン。
- Rivian Automotive Inc. (RIVN)Uberの予定するRobotaxi展開向け車両・AVソフトウェアのパートナー。
- 強み
- UberはR2ベースのRobotaxiを最大50K台展開し、最大$1.25bn投資する可能性がある。Rivianは自社技術を使う車両からライセンス料を受け取る見込み。
- 弱み
- 初回ローンチは2028年まで見込まれない。
- 比較
- R2 RobotaxiはUberプラットフォームでの独占提供となる一方、Rivianは消費者向けにAVソフトウェアを販売できる。
- リスク
- 予約・販売台数、生産立ち上げ、市場シェア、マージン、ソフトウェア/サービス構成、自動車サイクル、EV普及、関税。
- Mobileye Global Inc. (MBLY)AV技術提供者および将来のRobotaxi事業者。
- 強み
- 安全運転者なしのOrlando展開は年末までの目標を維持し、2027年に初期100台のフリートで自社Robotaxiを開始する計画。
- 弱み
- Uber Los Angelesの開始時期は2026年末から2027年へ後ずれした。
- 比較
- 自社Robotaxi事業はVW/MOIAに統合されたDrive技術を使い、Moovitプラットフォーム上で運営する予定。
- リスク
- 自動車サイクル、市場シェア、マージン、AV/ADAS普及、関税。
- Aurora Innovation Inc. (AUR)自動運転トラック事業者およびソフトウェア提供者。
- 強み
- 無人運転の展開を開始し、TaaS顧客を追加、2026年末に約200台の無人運転トラックという目標を再確認した。
- 弱み
- DaaSへの移行を実行し、マージンとフリーキャッシュフローの目標を達成する必要がある。
- 比較
- TaaSではAuroraがトラックを保有・運営し、2027年に予定するDaaSでは顧客がトラックを保有してAuroraにマイル当たり料金を支払う。
- リスク
- AVの立ち上がり、価格設定、マージン、資本需要。
主要データ
- Teslaの推定事故頻度Every 50K-70K miles利用可能な報告データに基づく、完全無人運転Robotaxi運行についてのGoldman Sachs推計。
- Waymoの推定事故頻度Every 160K-180K milesGoldman Sachs推計。Waymoは7月前半に推定11.5 millionマイルを走行し、11件の事故を報告した。
- Waymoの7月アプリMAU成長率+54% YoY6月の+14%から加速。
- 2026年1月以降の米国ライドシェアアプリのダウンロード比率Waymo ~12%-13%; Tesla Robotaxi 1%-2%Uber、Lyft、Waymo、Tesla Robotaxiの合計に占める比率で、ダウンロードの大半はUberとLyftによる。
- UberのAVコミットメントOver $10bn今後の株式投資、インフラ、車両オフテイクのコミットメント。
- Uberパートナーの車両コミットメント~120,000 vehicles今後数年にわたりUberネットワークに提供するコミットメント。
- Teslaの完全無人運転走行距離Over 380K miles経営陣の発言で、約2 millionの有料走行距離の一部。
- Auroraの2026年末無人運転トラック目標~200 trucks2026年末にランレート粗利益率の損益分岐点を達成する目標も含む。
影響と示唆
Goldman SachsはAV商業化を実行と規模拡大の問題と捉える。安全指標、完全無人運転の運行規模、消費者利用、提携展開、ユニットエコノミクスが進展を左右する。AV供給を集約するUberとLyftはアセットライトな第三者マーケットプレイスとして恩恵を受け得る一方、自動車技術企業は運行、ソフトウェア、マージンの目標達成を示す必要がある。
リスク
- WaymoとTeslaは異なる場所で運行しており、NHTSA報告には軽微な事象も含まれ、事故は必ずしもAVの過失ではないため、安全性比較は直接的ではない。
- 収益性と消費者の支払い意欲を含め、Robotaxiの展開と発表済みスケジュール通りの実行には重要な不確実性がある。
- Teslaは完全無人運転サービスの規模拡大とソフトウェア機能の改善が必要であり、MobileyeのLos Angeles開始はすでに2027年へ移った。
- UberとLyftはMobility成長、規制、市場シェア、消費者の裁量的需要に関するリスクに直面する。
- AuroraはAVの立ち上がり、価格、マージン、資本需要のリスクに直面する。
注目点
- 今後数四半期におけるWaymoとTeslaの事故間走行距離。
- WaymoとTesla RobotaxiのMAU成長、セッション数、UberとLyftに対するダウンロード比率。
- FSD v15の進捗を含む、Teslaの都市内・都市間での完全無人運転拡張のペース。
- UberとLyftのAV提携発表、展開規模、ライドシェア市場シェアの動向。
- Auroraのマージンとフリーキャッシュフロー目標を含む、Rivian、Mobileye、Auroraの目標マイルストーンの進捗。