Americas public alternative asset managers レポート解説
レポートは、期初来四半期の力強い上昇後も、上場オルタナティブ運用会社のリスク・リワードは2H26に向けて魅力的だと主張している。記録的かつ広がりのある資金調達、底堅い手数料成長、投資実行の回復、出口環境の改善が見方を支える一方、リテール・プライベートクレジットの資金フローが主な短期的圧力である。
要約
レポートは、期初来四半期の力強い上昇後も、上場オルタナティブ運用会社のリスク・リワードは2H26に向けて魅力的だと主張している。記録的かつ広がりのある資金調達、底堅い手数料成長、投資実行の回復、出口環境の改善が見方を支える一方、リテール・プライベートクレジットの資金フローが主な短期的圧力である。
- 2Q26のグロス流入額は過去最高の$291bnとなり、q/qで23%、y/yで24%増加した。
- グループは株式報酬控除後のNTM P/E約19Xで取引され、5年平均比16%のディスカウントとなっている。
- Goldman Sachsは、2026-28Eにグループ全体で約15%のオーガニック運用報酬成長を予想している。
- トランザクションおよび資本市場手数料は2Qに$1bnを超え、2026Eには26%成長が見込まれる。
- Goldman Sachsは、TPG、STEP、CG、HLNE、KKRに最も大きい12か月の株価上昇余地をみている。
レポート解説
概要
Goldman Sachsは、米州の上場オルタナティブ運用会社について2Q26の業績と事業環境を検証した。記録的かつ幅広い資金調達、堅調な手数料成長、投資実行の回復、出口環境の改善に加え、バリュエーションが過去の基準を下回っていることから、セクターには上昇余地があると結論付ける。一方、リテール・プライベートクレジットの資金フローは短期的な主な圧力である。
主要見解
Goldman Sachsは、オルタナティブ運用会社株が期初来四半期で19%上昇した後も、2H26に向けたセクターのリスク・リワードは魅力的だと主張している。グループは平均で年初来17%下落していた。2Q決算後の予想修正は安定し、2026年および2027年のFREの平均修正幅は3%上昇した。グループは株式報酬控除後のNTM P/E約19Xで取引され、5年平均比16%のディスカウントだった。インプライド2027年FRE倍率も約19Xで、平均PEGは1.1Xだった。Goldman Sachsは、バリュエーションと予想される事業実績を踏まえ、TPG、STEP、CG、HLNE、KKRに最も大きい12か月の株価上昇余地をみている。 資金調達が中心的な強材料である。上場オルタナティブ運用会社の2Q26グロス流入額は過去最高の$291bnで、関連保険マンデートを除くと$255bnとなり、q/qで23%、y/yで24%増加した。プライベートエクイティ、インフラ、不動産が伸長したため、クレジットの流入構成比は通常の60%超から約50%へ低下し、流入構成はクレジット以外にも広がった。関連保険からは約$36bn、総流入の約13%が流入し、過去水準を下回った。同社はこれを、資金源が関連保険やクレジットにより依存するのではなく多様化している証拠とみている。 ウェルス/リテール・チャネルは主要な短期的弱点だが、Goldman Sachsは底打ちに近いと考えている。エバーグリーン型リテールのグロス流入は、主にクレジットによって1Qの約$20bnから2Qには約$16bnに減少し、平均的な2Qグロスフローは1Q比で約50%低下した。プライベートクレジットの償還請求は年率約55%まで上昇したが、ファンドは通常、実際の償還を四半期約5%、年率20%程度に制限した。6月のランレートはグロス新規資産率9%を示し、償還上限と合わせると年率約11%の純流出ペース、年あたり約$18bn-$20bnに相当した。Goldman Sachsは、2Qの請求のほぼ半分が業界資産の30%未満を占めるオフショア口座からであり、その請求ペースは低下し始めたと指摘する。同社は、インフラを中心とする非クレジットのリテール資金フローが2028年まで増加すると予想する。リテール手数料の成長率は2025年の約45%から2026年には約35%、2027-28Eには約25%へ減速した後、リテール収益全体は2H27以降に回復するとみる。HLNEとBXはFREに占めるウェルス・チャネルのエクスポージャーが最も大きいとされる。 基礎的な成長は健全である。FPAUMはq/qで約4%、y/yで17%増加し、オーガニック運用報酬はy/yで11%成長した。STEPが32%、HLNEが21%で牽引した一方、CGとBXはグループ内で低い方だった。リテール手数料はy/yで39%、関連保険手数料は17%、機関投資家ファンドとSMAは7%増加した。Goldman Sachsは、2026-28Eにグループ全体で約15%のオーガニック運用報酬成長を見込み、TPG、STEP、ARESが最も高い成長企業群に含まれると予想している。直近の利益上振れの多くが取引手数料やFRE関連パフォーマンス収益といった低マルチプルの収益源から生じたため、相対的な株価パフォーマンスでは運用報酬の成長がより重要になるとみている。 トランザクションおよび資本市場手数料は、より構造的な成長要因になりつつある。グループの手数料は2Qに初めて$1bnを超え、q/qで20%、y/yで44%増加し、FREの約10%を占めた。これは過去の7%-8%を上回る。寄与はAPOやKKRなど、資本形成の比重が高いクレジット志向プラットフォームで最も大きいが、他社もこうした機能を拡大している。Goldman Sachsは2026Eに26%、2027Eに17%の成長を予測しており、この機会をAIインフラの大規模な資金需要と結び付けている。APOは今後数年に必要な資金調達額として$8tnを示しており、レポートは民間資本の参加拡大を見込む。 投資活動も強まった。2Q26の投資実行額は$158bnで、q/qで12%、y/yで22%増加し、クレジット、プライベートエクイティ、リアルアセットで伸びた。待機資本はq/qで8%増え、過去最高の$946bnとなった。プライベートエクイティはq/qで13%増加し、これを牽引した。経営陣は下期の案件パイプラインに前向きで、AI/デジタルインフラの機会と、直接貸付・オポチュニスティッククレジットを支えるクレジットスプレッド拡大を挙げた。コーポレート・プライベートエクイティの発表案件も3Q初期に加速していた。 実現益はq/qで軟化したが、出口環境の先行きは改善した。クレジットを除く実現益は2Qに$59bnで、1Qのピークからq/qで9%減少した一方、y/yでは20%増加した。Goldman Sachsによると、経営陣は2H26から2027年にかけての出口環境により前向きであり、ネット・パフォーマンスフィー収益の成長を2026年に21%、2027年に約40% y/yへ加速すると予想している。ポートフォリオ評価は弱かった1Qの後に広く回復し、プライベートエクイティとインフラはそれぞれ4.3%と3.8%、クレジットは1.9%、リアルアセットとセカンダリーは0.8%と0.3%上昇した。未実現キャリーはq/qで3%増加したが、同社はアンダーライティング規律、ビンテージ、セクター構成により運用会社間のパフォーマンス格差は続くとみている。
分析フレームワーク
Goldman Sachsは、上場オルタナティブ運用会社の事業指標とバリュエーション指標を比較している。資産クラス別・チャネル別の資金調達、AUMとオーガニック運用報酬の成長、取引手数料の寄与、投資実行と待機資本、実現益とポートフォリオ評価を検証し、その後FRE、利益、パフォーマンスフィーの予想をコンセンサスと比較する。個別運用会社には、FRE、キャリー、バランスシート、保険、その他の構成要素を分けたSOTP評価を適用している。
手法メモ
SOTP評価
レポートは、運用報酬関連利益、キャリー、バランスシート、該当する場合は保険その他の利益構成要素を個別に評価し、12か月の目標株価を導いている。
資金調達・投資実行・実現益のサイクル
レポートは、流入額、待機資本、投資実行、出口活動を用いて、セクターの事業モメンタムと将来の収益要因を評価している。
利益および成長調整後マルチプル比較
NTM P/E、インプライドFRE倍率、PEGレシオを過去水準および運用会社間で比較し、相対的なバリュエーションを判断している。
資産マッピングと比較
投資テーゼから固有資産への構造化マッピング(強み、弱み、同業、リスク)。
- TPG Inc. (TPG)Goldman Sachsは、TPGを12か月の株価上昇余地が最も大きい運用会社の一つに挙げている。
- 強み
- 最も速い運用報酬成長が見込まれる企業群に含まれ、Goldman Sachsは予想値への大きな上振れをみている。
- 比較
- 成長調整後ベースで最も割安な運用会社の一つと評価されている。
- リスク
- セクター全体のリテール/クレジットおよび実現益に関するリスクにさらされる。
- StepStone Group (STEP)Goldman Sachsは、STEPを12か月の株価上昇余地が最も大きい運用会社の一つに挙げている。
- 強み
- 2Qのオーガニック運用報酬成長を32%で牽引し、引き続き最も高い成長企業群に含まれる見通し。
- 比較
- Goldman Sachsは予想値への大きな上振れをみている。
- リスク
- セクター全体のリテール/クレジットおよび実現益に関するリスクにさらされる。
- Carlyle Group (CG)Goldman Sachsは、CGを12か月の株価上昇余地が最も大きい運用会社の一つに挙げている。
- 強み
- 成長調整後ベースでは最も割安な銘柄の一つとみられる。
- 弱み
- 2Qの運用報酬成長はグループ内で低い方だった。
- 比較
- 大半の同業他社と異なり、過去P/E倍率に対してプレミアムで取引されている。
- リスク
- 純未実現キャリーはq/qで減少し、運用会社間のパフォーマンス格差も重要である。
- Hamilton Lane (HLNE)Goldman Sachsは、HLNEを12か月の株価上昇余地が最も大きい運用会社の一つに挙げている。
- 強み
- 2Qのオーガニック運用報酬成長は21% y/yだった。
- 弱み
- FREに占めるウェルス・チャネルのエクスポージャーが高い。
- 比較
- 過去P/E平均に対して最大級のディスカウントで取引され、2027年のインプライドFRE倍率も最も低い水準の一つである。
- リスク
- リテール・プライベートクレジットの資金流出と償還圧力。
- KKR & Co. (KKR)Goldman Sachsは、KKRを12か月の株価上昇余地が最も大きい運用会社の一つに挙げている。
- 強み
- 資本市場機能とAIインフラ向けファイナンスへのエクスポージャーを持ち、運用報酬成長でも相対的に強い企業群に含まれる見通し。
- 比較
- 資本市場手数料は、KKRを含むクレジット志向かつ資本形成の比重が高い事業基盤に集中している。
- リスク
- セクター全体の実現益および投資実行サイクルの不確実性にさらされる。
主要データ
- 2Q26グロス流入額$291bn過去最高水準。q/qで23%、y/yで24%増加。
- 関連保険を除く2Q26グロス流入額$255bnq/qで23%、y/yで24%増加。
- 流入額に占めるクレジットの比率~50%プライベートエクイティ、インフラ、不動産が改善し、通常の60%超の寄与を下回った。
- オーガニック運用報酬成長11% y/y2Q26のグループ成長率。Goldman Sachsは2026-28Eに約15%の成長を見込む。
- トランザクション/資本市場手数料> $1bnq/qで20%、y/yで44%増加。FREの約10%。
- 2Q26投資実行額$158bnq/qで12%、y/yで22%増加。
- 待機資本$946bn過去最高水準で、q/qで8%増加。
- クレジットを除く実現益$59bnq/qで9%減少した一方、y/yで20%増加。
- グループのバリュエーション~19x NTMP/E net of SBC5年平均比で約16%のディスカウント。
影響と示唆
レポートは、継続的な運用報酬、トランザクションおよび資本市場収益、そしていずれ強まる実現益がセクター利益を支えると予想している。多様化した資金調達とAIインフラ向けファイナンスは、短期的なリテール・プライベートクレジット圧力を相殺する重要な要因であり、相対パフォーマンスは運用報酬の成長とウェルス・チャネルの資金フローに対する個別エクスポージャーにより左右されるとみている。
リスク
- 償還請求の高止まりを含む短期的なクレジット/ウェルス・チャネルの圧力は、リテール資金フローと手数料成長を圧迫する可能性がある。
- マクロの変動性はセクターの逆風として残る。
- アンダーライティング規律、ビンテージ、セクター構成により、ポートフォリオ・リターンと実現益は運用会社間で大きく異なる可能性がある。
注目点
- 6月・7月の非クレジットのリテール資金フローとプライベートクレジットの申込改善が3Q以降も続くか。
- 特にオフショア投資家からのプライベートクレジット償還請求のペースと構成。
- 特にTPG、STEP、ARESにおけるGoldman Sachsの予想に対する運用報酬成長。
- 2H26における投資実行とコーポレート・プライベートエクイティ案件発表の動向。
- 2H26から2027年にかけた出口および実現益活動の時期。
- AI/デジタルインフラ向け資金調達と、それに関連するトランザクションおよび資本市場手数料の成長。