Alphabet Inc.:ファーストパーティー向けTPU販売は2027~2028年に約1,920億ドルの売上に寄与する見込みで、3つのAIカタリストがAlphabetの再評価を促す可能性
モルガン・スタンレーはTPUシステムの販売前提を1GW当たり約200億ドルから270億ドルへ引き上げ、関連クラウド売上高を2027年に840億ドル、2028年に1,080億ドルと予想している。同レポートはオーバーウェイト評価と目標株価400ドルを維持し、Gemini 4、効率的な低コストモデル、生成AI製品の大規模展開を、その後の再評価に向けた主要カタリストとみている。
要約
モルガン・スタンレーはTPUシステムの販売前提を1GW当たり約200億ドルから270億ドルへ引き上げ、関連クラウド売上高を2027年に840億ドル、2028年に1,080億ドルと予想している。同レポートはオーバーウェイト評価と目標株価400ドルを維持し、Gemini 4、効率的な低コストモデル、生成AI製品の大規模展開を、その後の再評価に向けた主要カタリストとみている。
- TPU関連のGoogle Cloud売上高予想は2027年および2028年に840億ドル、1,080億ドルへ引き上げられ、従来予想をそれぞれ35%、37%上回る。
- 想定TPU販売価格は1GW当たり約200億ドルから270億ドルへ引き上げられ、粗利益率の前提も20%から30%へ上昇する。
- Google Cloudの2027年および2028年の売上高予想はそれぞれ6%、7%引き上げられ、EBIT予想は両年とも2%引き上げられる。
- クラウドは2028年までにAlphabet全社EBITの約48%、すなわちほぼ半分に寄与すると予想される。
- 全社売上高予想は2027年および2028年にそれぞれ2%、3%引き上げられ、EPS予想は1%、2%引き上げられる。
- 再評価の3つのカタリストは、Gemini 4のフロンティア復帰、Gemini Flashなどの効率的な低コストモデル、検索やYouTubeなどのユースケース全体でのAI製品の本格展開である。
- 目標株価400ドルは維持され、現在水準から約15%の上昇余地を示唆する。
レポート解説
概要
本レポートは、Alphabetが自社開発したTPUシステムをファーストパーティー顧客へ販売する可能性に焦点を当て、供給規模と価格に関する新情報に基づき、TPU、Google Cloud、全社利益の予想を引き上げている。モルガン・スタンレーは、TPU販売が利益を直接押し上げ得ると考える一方、さらなるバリュエーション上昇の主な決定要因はGemini 4、効率的な低コストモデル、AI製品の大規模展開であるとみている。
主要見解
第一に、モルガン・スタンレーはAlphabetのファーストパーティー顧客向けTPUシステム販売に関する収益化前提を大幅に引き上げている。最近の報道によると、Alphabetは約100万基のTPUを供給することを約束しており、調査チームはこれを約1.3GW、契約額約350億ドルと推定している。これは1GW当たり約270億ドルの売上を意味し、従来の1GW当たり約200億ドルという前提を上回る。レポートはまた、Marvellとのカスタムチップ提携拡大を、TPU価格および平均販売価格の上昇を裏付ける証拠とみている。同時に、関連する粗利益率前提を20%から30%へ引き上げ、Alphabetが2026年後半、2027年、2028年にそれぞれ0.3GW、3.2GW、4.2GWのTPUシステムを販売すると予想している。数量と価格の双方にけん引され、TPU関連Google Cloud売上高は2027年に840億ドル、2028年に1,080億ドルに達する見込みで、従来予想をそれぞれ35%、37%上回る。2年間合計は約1,920億ドルで、タイトルで示された2,000億ドルに近い。 第二に、TPUの収益化前提の上昇はGoogle Cloudの売上高および利益規模を大幅に拡大する。レポートは2027年のクラウド売上高成長率予想を106%から118%へ、EBIT成長率予想を105%から137%へ引き上げている。Google Cloud全体の2027年および2028年の売上高予想はそれぞれ6%、7%引き上げられ、EBIT予想は両年とも2%増加する。2028年までに、クラウドはAlphabet全社EBITの48%、すなわちほぼ半分に寄与すると予想される。ただし、増分TPU販売は大きく、コアクラウド事業より低いマージンを伴うことに加え、SPCXコンピュート契約によるマージン圧力もあるため、レポートは報告ベースのクラウドマージン予想を2027年および2028年について38%、41%からそれぞれ37%、40%へ小幅に引き下げている。TPUおよびSPCXの影響を除くと、コアクラウド事業の増分マージンは2027年まで約50%に維持される見込みであり、TPUのEBITマージンは約30%と推定される。したがって、レポートはクラウドの営業効率が悪化しているとは結論付けていない。むしろ、新たな低マージン売上の急速な拡大が売上構成を変化させている。 第三に、TPU前提の変更はAlphabetの連結財務諸表に反映されるが、同時にコストも増加するため、EPSの引き上げ幅は売上高の引き上げ幅より小さい。モルガン・スタンレーは2027年および2028年の全社売上高予想をそれぞれ2%、3%引き上げている。売上原価の上昇を反映し、非TPU事業の増分マージンを整合させるため、同期間の「Other CoR」予想を4%、6%引き上げ、最終的に2027年および2028年のEPS予想をそれぞれ1%、2%引き上げている。詳細モデルのEPSは約15ドルおよび18.50ドルで、2028年の表記値は18.49ドルである。リスク・リワードシナリオでは、これらは約15ドルおよび18ドルに丸められている。レポートはまた、Alphabetの総売上高が2025年の4,028.36億ドルから、2026年に5,006.11億ドル、2027年に6,658.46億ドル、2028年に8,136.76億ドルへ増加し、2025年から2028年のCAGRが26%になると予想している。同期間にGAAP営業利益率は32.0%から34.3%、34.5%、35.0%へ上昇する見込みである。調査チームは、TPU販売開始後の在庫の積み上がりと消化を評価するため、貸借対照表で新たに開示される在庫データを継続的に監視する。 第四に、レポートはTPU販売が主にEPSの上振れ要因となる一方、バリュエーションの再評価は依然として3つの製品カタリストに依存すると考えている。最も重要なのは、2026年後半または2027年初頭にローンチが予想されるGemini 4がGoogleを業界最先端、またはそれに近い水準へ復帰させ、2025年11月のGemini 3ローンチ後に到達したバリュエーション水準を回復できるかである。第2のカタリストは、Gemini Flashを含む効率的な低コストモデルである。企業がAI導入時に予算をより重視するにつれ、これらのモデルの性能対コスト比はGoogleの競争力に影響し得る。第3は、検索、YouTube、その他のユーザーシナリオにわたるGoogleの生成AI製品の本格展開である。これは、AIイノベーションがコア検索事業を侵食するのではなく、市場予想を上回るより持続的な検索およびYouTubeの成長を実現できることを示す必要がある。 最後に、モルガン・スタンレーは目標株価400ドルおよびオーバーウェイト評価を維持している。目標株価は、新たな2027年および2028年EPS予想である約15ドルおよび18~18.50ドルの平均に、約24倍のPERを適用して算出されている。レポートはまた、このバリュエーションが約1.6倍のPEGを表し、同業他社のPEG中央値に対して約35%のプレミアムであるとしている。成長調整後ベースでは、目標株価400ドルは同業他社に対してAlphabetに約20%のバリュエーションプレミアムを示唆し、現在の取引プレミアム約5%を上回るほか、終値344.82ドルから約15%の上昇余地を提供する。リスク・リワード分析では、強気ケースは460ドルで、AIイノベーションが検索およびクラウドの成長を加速させ、収益性を改善するとの前提のもと、2027年および2028年EPS約16ドルおよび20ドルの平均に約26倍を適用している。ベースケースは400ドルで、EPS約15ドルおよび18ドルの平均に約24倍を適用する。弱気ケースは225ドルで、世界の広告成長の減速、検索広告成長の鈍化、費用規律の未達、低い収益化率と高いコンピュート集約度によるAI製品のマージン低下を前提に、EPS約14ドルおよび16ドルの平均に約15倍を適用している。
分析フレームワーク
レポートはまず、TPUの供給数量、推定コンピュート容量、契約額を用いてGW当たり販売売上高を導出し、次に平均ラック販売価格、粗利益率、年間販売容量を織り込んでTPU売上高予想を作成する。その後、TPUの売上高およびコストをGoogle Cloudモデルに組み込み、クラウド売上高、EBIT、マージンの変化を推定し、その効果をAlphabetの連結売上高、コスト、EPSに反映する。最後に、2027~2028年平均EPS、PER、PEG、同業他社に対する成長調整後プレミアムを用いて目標株価を決定し、強気、ベース、弱気のシナリオを通じて、異なる製品、成長、マージン前提の下でバリュエーションレンジを検証する。
手法メモ
TPU容量、GW当たり販売価格、マージンの分解
レポートは各年に販売されるTPUシステムの容量を予測し、1GW当たり約270億ドルの前提を用いて売上高を算出した後、30%の粗利益率前提を加えて利益寄与を評価している。この分解は、予想引き上げが数量拡大と単位当たり収益化の改善の双方によることを示している。
クラウド増分マージンおよび売上構成分析
レポートは、コアクラウド事業の約50%の増分マージン、TPUの約30%のEBITマージン、SPCX契約の影響を区別し、クラウド売上高とEBITが急成長する一方で、報告ベースのクラウドマージンがなお小幅に低下する理由を説明している。
2027~2028年平均EPSを用いたP/EおよびPEGバリュエーション
目標株価400ドルは、主として2027年および2028年平均EPSに約24倍のPERを適用して導出され、約1.6倍のPEGおよび同業他社に対する成長調整後プレミアムを用いてバリュエーションの妥当性を検証している。
強気、ベース、弱気のリスク・リワードシナリオ
レポートは製品イノベーション、検索およびクラウド成長、費用規律、AIコンピュートコストについて異なる前提を設定し、それぞれ460ドル、400ドル、225ドルのシナリオ価値を示すことで、主要変数の変化が利益とバリュエーションに与える影響を説明している。
資産マッピングと比較
投資テーゼから固有資産への構造化マッピング(強み、弱み、同業、リスク)。
- Alphabet Inc. (GOOGL.O, GOOGL.US)ファーストパーティー向けTPU販売はGoogle Cloudの売上高およびEBIT予想を引き上げる一方、GeminiおよびAI製品の大規模展開がレポートにおけるバリュエーション再評価の主な原動力である。
- 強み
- 自社開発TPUの価格と販売容量の上昇、コアクラウド事業における約50%の増分マージン、検索・YouTube・クラウドがAI製品化のマルチシナリオ基盤を提供、費用規律が営業レバレッジを生み出し得る。
- 弱み
- TPU販売はコアクラウド事業より低いマージンであり、SPCXコンピュート契約もクラウドマージンを圧迫するため、増分売上高によるEPS押し上げは比較的限定的となる。
- 比較
- 目標株価400ドルは同業他社に対して約20%の成長調整後プレミアムを示唆するのに対し、Alphabetの現在のプレミアムは約5%である。レポートは同業他社の2028年PER中央値を18倍としている。
- リスク
- 広告需要の鈍化、検索成長の減速、期待を下回る費用規律、低いAI製品収益化率と高いコンピュート集約度の組み合わせは、いずれも利益およびバリュエーションを圧迫し得る。
主要データ
- ファーストパーティー向けTPU販売の単位売上高前提約$27bn/GW従来は約$20bn/GW
- TPU販売の粗利益率前提30%従来は20%
- TPUシステム販売容量2H26: 0.3GW; 2027: 3.2GW; 2028: 4.2GW年間TPUシステム販売売上高の推定に使用
- TPU関連Google Cloud売上高2027: $84bn; 2028: $108bn従来予想をそれぞれ35%、37%上回り、2年間合計は$192bn
- 2027年Google Cloud成長率予想売上高 118%; EBIT 137%従来はそれぞれ106%および105%
- Google Cloud予想改定2027/2028年売上高: +6%/+7%; EBIT: +2%/+2%主にTPU価格およびマージン前提の上昇が要因
- 報告ベースGoogle Cloudマージン2027: 37%; 2028: 40%従来はそれぞれ38%および41%
- コアクラウド増分マージン約50%TPUおよびSPCX契約の影響を除き、2027年まで維持される見込み
- 2028年のクラウドEBIT寄与48%, 約50%Alphabet全社EBITに占める割合
- Alphabet売上高予想改定2027: +2%; 2028: +3%TPU売上高前提の上昇が要因
- Alphabet EPS予想改定2027: +1%; 2028: +2%コスト予想の同時引き上げ後の1株当たり利益への純影響
- 新たなEPS予想2027: 約$15; 2028: 約$18.50 (表記値 $18.49)リスク・リワードシナリオでは約$15および約$18に丸められる
- Alphabet総売上高予想2025: $402.836bn; 2026E: $500.611bn; 2027E: $665.846bn; 2028E: $813.676bn2025年から2028年のCAGRは26%
- GAAP営業利益率予想2025: 32.0%; 2026E: 34.3%; 2027E: 34.5%; 2028E: 35.0%レポートは営業利益率が全体として改善すると予想
- 目標株価およびバリュエーション$400; 約24x P/E; 約1.6x PEG2027~2028年平均EPSに基づき、約15%の上昇余地
- 同業他社に対するバリュエーションプレミアム目標株価は約20%を示唆; 現在は約5%同業他社に対する成長調整後プレミアム
- リスク・リワードシナリオ強気 $460; ベース $400; 弱気 $225それぞれ約26倍、24倍、15倍の2027~2028年平均シナリオEPSバリュエーションに対応
影響と示唆
レポートは、TPUが社内コンピュートインフラから大規模なファーストパーティー向けシステム販売売上高の源泉へ進化し、Google Cloudの売上規模および全社利益への寄与を大幅に拡大すると考えている。ただし、TPUのマージンはコアクラウド事業より低いため、売上高予想の引き上げはクラウドマージンやAlphabet EPSの比例的な上昇にはつながらない。Alphabetの同業他社に対する成長調整後プレミアムが現在の約5%から目標株価が示唆する約20%へ上昇できるかは、Gemini 4、効率的なモデル、製品横断的なAI収益化を通じてGoogleがより持続的な長期成長を示せるかに主として左右される。
リスク
- 世界の広告成長がさらに鈍化した場合、検索広告売上高とマージンに圧力がかかる可能性がある。
- Alphabetは中小企業および旅行広告主へのエクスポージャーが比較的大きく、景気後退は広告売上高を圧迫する可能性がある。
- 費用規律が実現しない場合、マージン拡大、調整後EBITDA、EPS、フリーキャッシュフローは期待を下回る可能性がある。
- 新たなAI製品の収益化率が低く、コンピュート集約度が予想以上に高い場合、より大きなマージン圧力を生む可能性がある。
- TPU販売およびSPCXコンピュート契約のマージンはコアクラウド事業より低く、報告ベースのクラウドマージンを圧迫する可能性がある。
- AI製品が増分売上高を生み出すのではなくコア検索事業を侵食する場合、強気ケースにおける成長およびバリュエーション拡大は実現しない可能性がある。
注目点
- 2026年後半または2027年初頭のローンチが予想されるGemini 4が、Googleをフロンティアモデル水準またはそれに近い水準へ復帰させられるかを注視する。
- 企業がAI予算をより重視する中、Gemini Flashなどの効率的な低コストモデルの採用状況および競争力を注視する。
- 検索、YouTube、その他のユーザーシナリオにおける生成AI製品の本格展開と、持続的な成長および収益化への寄与を注視する。
- TPU販売開始後の在庫の積み上がりと消化を評価するため、新たな貸借対照表上の在庫開示を注視する。
- 新たなGoogle Cloudパートナーシップ、受注残、TPU販売容量が2027~2028年の売上高予想を支えられるかを注視する。
- 世界広告予算に占める検索広告の割合、オンライン広告予算に占めるモバイル検索の割合、YouTubeの長期的な収益化を注視する。
- 費用成長が継続的に鈍化し、期待される営業レバレッジを生み出せるかを注視する。