Brazilian and global rare earth elements supply chain:政策支援と西側のサプライチェーン多様化により、ブラジルのレアアース案件は進展し、中国以外の供給網としての戦略的価値が高まっている。
Goldman Sachsはブラジルのレアアース案件を検証し、同国が原料資源の保有国から加工拠点へ移行しつつあると論じる。レポートは、案件実行、現地分離能力、許認可、資金調達をこの機会を左右する主要因と位置付けている。
要約
Goldman Sachsはブラジルのレアアース案件を検証し、同国が原料資源の保有国から加工拠点へ移行しつつあると論じる。レポートは、案件実行、現地分離能力、許認可、資金調達をこの機会を左右する主要因と位置付けている。
- ブラジルは世界第2位のレアアース埋蔵量を持ち、国内選鉱・精錬を促すLaw No. 15,506/2026を制定した。
- Brazilian Rare Earths、Meteoric Resources、Viridis Miningは、それぞれ異なる硬岩およびイオン吸着粘土案件を進めている。
- 中国は2025年に採掘供給の約60%、世界の分離・精錬能力の約90%を占めた。
- レアアース分離、特にDyとTbの分離は、依然としてバリューチェーン最大の技術的・資本集約的ボトルネックである。
- MP Materials向けNdPr US$110/kg価格下限を含む西側の政策介入が、案件融資の経済性を変化させている。
レポート解説
概要
このカンファレンス・テークアウェイ・レポートは、ブラジルで台頭するレアアース産業、案件別の進捗、そして世界のバリューチェーンを取り上げる。Goldman Sachsは、高価値の磁石用レアアース、国内加工政策、中国からの供給多様化を目指す西側の取り組みという観点から、ブラジルの機会を捉えている。
主要見解
Goldman Sachsの中心的な結論は、ブラジルが西半球のレアアース供給網における重要な潜在的柱になりつつあるという点である。レポートは、世界第2位のレアアース埋蔵量、重希土類の磁石用金属を多く含む高価値のイオン吸着粘土鉱床、そして2026年9月16日に制定されたLaw No. 15,506/2026を挙げる。この政策は、ブラジルを原鉱石の輸出国から国内選鉱・精錬を担う国へ移行させることを目指し、BRL2 billionの鉱業活動保証基金と2034年までの税額控除を導入している。同時に、新設された省庁横断委員会CIMCEは、支配権の変更、特定の国際オフテイク契約、重要鉱物権益を伴う取引を審査する。したがって、レポートは政策支援と国家による監督を、案件開発を形作る並行した力として捉えている。 案件別の議論は異なる開発経路を示す。Brazilian Rare Earthsのバイーア州Monte Alto硬岩案件はスコーピング・スタディ段階にあり、示されたNPVはUS$6B、初期設備投資は約US$970M、下流工程の稼働開始は2031年を予定する。同スタディではNdPr生産量5.3ktpa、TREO品位11.3%、報告書が示すLynasおよびMP Materialsの約3倍、NdPr換算キャッシュコストUS$21/kgを見込む一方、NdPrスポット価格の参照値はUS$110/kgである。同社は下流工程の稼働開始より2-3年早く精鉱販売を開始する見通しである。Goldman Sachsは、鉱山現場での簡素なフローシート、水を使わない鉱石選別、Camaçariで計画される加工、ウラン副産物の潜在価値を強調する一方、ウランは許認可の複雑さを増し、ブラジルでは現在、政府への販売のみが認められていると指摘する。 Meteoric ResourcesのCaldeiraイオン吸着粘土案件はDFSを完了し、2H28の稼働開始を目標とする。資源量は1.6Bt、埋蔵量は230Mt、鉱山寿命は25年である。NdPrを3.7ktpa、DyTbを122tpa生産し、副産物を含むNdPrキャッシュコストはUS$27/kgを見込む。経営陣によれば、生産量の90%は3件のオフテイク契約でカバーされているが、価格条件はなお最終調整中である。同社は60/40または70/30のデット・エクイティ資本構成を目指し、2026年10月または11月頃までの資金調達を見込む。MREC生産の約2年後にブラジルで分離を行う計画で、より高いマージンの獲得と重要鉱物政策上のインセンティブとの整合を目指す。 Viridis MiningのColossusイオン吸着粘土案件はDFSを完了し、2028年の稼働開始を目標とする。埋蔵量は200Mt、資源量は473Mt、鉱山寿命は25年で、NdPrを2.8ktpa生産、キャッシュコストはUS$15.3/kgと見込む。レポートは、中試での80%回収率、2025年12月の環境許可取得、4Q26に見込まれる建設許可、2H28を目標とする操業許可を挙げる。必要額US$135Mに対しUS$154Mのエクイティ調達は完了しており、US$315Mのデット支援は短期での完了が見込まれる。Solvayとの提携は、ブラジルでの分離技術とオフテイク開発を支援することを意図している。レポートは、利用可能なオフテイク機会が限られるため、早期生産が重要だとする。 レポートは、案件経済性を鉱石品位だけで評価できないと説明する。Nd、Pr、Dy、Tbは、電気自動車、風力タービン、ロボティクス、防衛システムに用いられるNdFeB永久磁石の原料であるため、商業上決定的な4元素である。典型的な開発段階案件では、含有トン数の20%から25%にとどまる一方で、売上の80%から95%を占め得る。硬岩鉱床は通常1%から10% TREOの高品位だが、破砕、浮選、高温分解、放射性残渣の可能性への対応を必要とする。イオン吸着粘土は通常0.03%から0.4% TREOと低品位だが、室温で硫酸アンモニウムにより浸出でき、Dy、Tb、Yに富む傾向がある。ただしレポートは、ブラジルの環境規制により原位置浸出が許可されない可能性があり、ろ過、剥土比、水処理、社会的許認可がイオン吸着粘土案件の重要な実行リスクになると指摘する。 中流の分離工程が決定的なボトルネックと位置付けられる。隣接するレアアース元素は化学的性質がほぼ同一であるため、商業的分離には連続的な二元分割の長い連鎖と、数百から数千段の連続運転ミキサーセトラーが必要になる。重希土類の分離は、供給原料の濃度が低く、純度要件も厳しいため、さらに難しい。中国は世界の分離・精錬能力の約90%とNdFeB永久磁石製造の94%超を占め、2025年の採掘供給シェアが約60%であったにもかかわらず、不均衡に大きな影響力を持つ。レポートは、ブラジルでの採掘だけでは供給網の集中を解消できず、現地での分離、金属化、最終的には磁石生産が戦略上より重要である一方、技術的難度も高いと論じる。 レアアースの価格形成と政策も、レポートの論理の中心である。この市場には取引所、先物曲線、清算済みベンチマークがなく、価格は流動性の薄い二者間取引に基づく評価で決まる。中国国内の酸化物価格は事実上の世界ベンチマークとして機能してきたが、輸出規制により中国外でより高い価格層が形成された。中国の2025年4月のライセンシング制度は依然として有効であり、2025年10月に提案された措置は、2026年11月10日に期限を迎える外交休戦の下で一時停止されている。レポートは、米国国防総省とMP Materialsの提携を、国家支援型マーケットメイキングのモデルとして挙げる。内容はNdPrの10年間US$110/kg価格下限、15%の持分につながるUS$400 millionの転換優先株投資、MPが計画する10X磁石工場の生産物に対する10年間100%のオフテイク約定である。Goldman Sachsは、このような政策支援に磁石の最終市場需要と限られた中国外供給が加わることで、従来の地質・操業前提よりも案件評価に大きく影響し得ると示唆する。 同社の需給モデルでは、NdPrO総需要は2025Eの90.0ktから2035Eの144.6ktへ増加する。磁石需要は87.4ktから142.2ktへ、電気自動車需要は27.3ktから61.3ktへ増加する。レポートは、レアアースの含有量が最終製品コストに占める割合は小さい一方で機能的代替が困難であるため、短期的な需要は比較的価格非弾力的だと特徴付ける。ただし、鉱山から磁石までの完全統合サプライチェーン構築には長いリードタイムが必要であり、特に重希土類加工において中国を置き換えることは引き続き困難だと強調する。
分析フレームワーク
レポートは、Brazil Rare Earths Dayでの経営陣コメント、案件調査、操業・資金調達のマイルストーン、レアアース・バリューチェーンの解説、需給モデル、政策分析を組み合わせている。硬岩とイオン吸着粘土のルートを、品位、加工の複雑さ、コスト、放射能、製品バスケット、許認可要件で比較し、案件見通しを中国の加工集中度と西側の政策支援に結び付けている。
手法メモ
レアアースの3段階バリューチェーン分析
レポートは上流の採掘、中流の分離、下流の磁石製造を分けて分析し、最大の戦略的ボトルネックと価値向上が採掘ではなく分離にあることを示している。
NdPrO需給モデル
Goldman Sachsは2035年までの需要、生産、精錬供給の予測を提示し、磁石の最終市場成長と追加的なレアアース供給の必要性を結び付けている。
政策調整後のDCF考慮
レポートは、輸出規制、価格下限、規制上の前提が、DCFモデルにおいて従来の地質・操業変数より大きな比重を持つようになったと述べている。
資産マッピングと比較
投資テーゼから固有資産への構造化マッピング(強み、弱み、同業、リスク)。
- Brazilian Rare Earths (ASX: BRE)NdPr生産と下流加工を目指す、ブラジルの硬岩レアアース開発案件の例。
- 強み
- 報告された高品位、低い予想キャッシュコスト、インフラへの近接性、ウラン副産物クレジットの可能性。
- 弱み
- 下流工程の稼働開始が2031年予定の初期段階案件。
- 比較
- 硬岩精鉱はイオン吸着粘土案件より早期に販売できる可能性があるが、さらに下流加工が必要である。
- リスク
- ウラン関連の許認可・販売制限、フィージビリティ、建設、加工の実行。
- Meteoric Resources (ASX: MEI)資金調達と2H28の生産開始に向けて進むイオン吸着粘土レアアース案件の例。
- 強み
- DFS完了、25年の鉱山寿命、0.4%の品位、80%の中試回収率、生産量の90%をカバーするオフテイク契約。
- 弱み
- 分離技術とオフテイクの価格詳細は依然として開発段階にある。
- 比較
- イオン吸着粘土の処理は硬岩の分解工程を不要にするが、低品位はろ過と物料処理の課題を増やし得る。
- リスク
- 資金調達の完了、許認可、現地分離の実行、オフテイクに対する規制監督。
- Viridis Mining and Minerals (ASX: VMM)建設準備が進み、Solvayとの分離提携を持つブラジルのイオン吸着粘土案件の例。
- 強み
- DFS完了、予想キャッシュコストUS$15.3/kg、80%の中試回収率、エクイティ調達完了。
- 弱み
- デット調達と建設許可はなお未達のマイルストーンである。
- 比較
- 同案件は、戦略的な分離パートナーを持つ早期生産候補として位置付けられている。
- リスク
- デット資金調達、建設・操業許可、地域社会との関係、技術的実行。
- MP Materials (MP)米国による国家支援型の統合レアアース供給網戦略の例。
- 強み
- 米国国防総省の支援には価格下限、エクイティ投資、保証されたオフテイクが含まれる。
- 比較
- レポートはMPの取り決めを、中国以外における重要鉱物融資の潜在的なモデルと位置付ける。
主要データ
- Brazilian Rare Earths Monte AltoのNPVUS$6Bスコーピング・スタディによる推定。
- Monte AltoのNdPr生産量5.3ktpa予想生産量。下流工程の稼働開始は2031年を目標とする。
- Meteoric CaldeiraのNdPrキャッシュコストUS$27/kg副産物を含む。
- Viridis ColossusのNdPrキャッシュコストUS$15.3/kg予想される案件キャッシュコスト。
- 中国の世界レアアース精錬能力シェアc.90%レポートは加工能力の集中を戦略的ボトルネックと位置付ける。
- 中国の世界レアアース採掘生産シェアc.60%2025年時点。
- MP MaterialsのNdPr価格下限US$110/kg米国国防総省が保証する10年間の価格下限。
- NdPrO総需要90.0kt in 2025E to 144.6kt in 2035EGoldman Sachsの需給モデル。
影響と示唆
レポートは、ブラジルの戦略的重要性が、埋蔵量の潜在力を、許認可取得済みで資金が確保され、技術能力を備えた国内加工へ転換できるかにかかっていると論じる。政策支援と中国以外の供給網への需要は案件開発を支え得るが、分離能力、実行、資金調達、許認可、オフテイク条件が引き続き決定的である。
リスク
- ウランまたはトリウムを含む案件では、監視や放射性残渣管理を含め、許認可がより複雑になる可能性がある。
- 原位置浸出が認められない場合、ブラジルのイオン吸着粘土案件は、ろ過、剥土比、水処理、環境上の制約に直面する可能性がある。
- 極めて高い純度で商業的な重希土類分離を実現するには、大きな技術能力と技術移転が必要である。
- 案件スケジュールは、資金調達、建設、社会的許認可、規制承認、オフテイクの取り決めに左右される。
- 中国の支配的な加工地位と輸出規制制度は、供給可能性を引き続き制約し、価格変動を生む可能性がある。
注目点
- Brazilian Rare Earthsの2026年末の資源量更新、フィージビリティ作業、2029年までの許認可進捗、精鉱販売の時期。
- Meteoricで見込まれる設置許可、4Q26 FID、資金構成、2H28生産に向けた進展。
- Viridisで4Q26に見込まれる建設許可、デット調達の完了、2H28の操業許可目標。
- ブラジルのPNMCEインセンティブの実施、および重要鉱物取引・オフテイク契約に関するCIMCE審査要件。
- 中国が一時停止した2025年10月の輸出規制措置が、2026年11月10日の外交休戦期限後に延長されるかどうか。
- 中国以外での分離、金属化、磁石製造能力の進展。