China Internet & New Media monthly app usage レポート解説
Nomuraの7月トラッカーは、Douyinと急成長する短尺ドラマを主導役に、ByteDanceが中国モバイル利用でシェアを伸ばしていることを示す。データはまた、複数の成熟分野でのエンゲージメント低下と、主要プラットフォームのAIの重点がチャットボットからオフィス・エージェントへ移っていることを示している。
要約
Nomuraの7月トラッカーは、Douyinと急成長する短尺ドラマを主導役に、ByteDanceが中国モバイル利用でシェアを伸ばしていることを示す。データはまた、複数の成熟分野でのエンゲージメント低下と、主要プラットフォームのAIの重点がチャットボットからオフィス・エージェントへ移っていることを示している。
- 中国のスマートフォン月間アクティブユーザー数は前年比1.3%増の1.28bn、月間総利用時間は8.8%増。
- Douyinの月間利用時間は前年比29%増となり、初めてWeixinを上回った。
- ByteDanceはトップ50アプリの利用時間シェア40.9%を占め、Tencentの29.1%を上回った。
- Red Fruit Free Short Dramaの月間利用時間は157%増となる一方、長尺動画アプリは低調が続いた。
- DoubaoはAIチャットボットで首位のDAU基盤を維持したが、前月比横ばいの成長はチャットボット競争の沈静化を示した。
レポート解説
概要
この中国モバイルアプリの月次トラッカーは、2026年7月のQuestMobileデータを用いる。中心的な結論は、Douyinと幅広いコンテンツポートフォリオを主導役としてByteDanceがユーザーの注目を集約する一方、急成長する短尺ドラマとAIオフィス・エージェントへの移行がインターネット業界の競争を変えているという点である。
主要見解
中国のモバイル利用者数は概ね安定していた一方、アプリで過ごす時間は増加した。2026年7月の月間アクティブ・スマートフォンユーザー数は前年比1.3%増の1.28bn、月間総利用時間は8.8%増となった。この中でDouyinは初めて月間利用時間で中国最大のアプリとなった。利用時間は前年比29%増で、DAUの19%増とDAU当たり1日利用時間の8%増が寄与した。Weixinの利用時間は主にDAU増加を背景に3%増となり、DAUでは931mnで最大を維持した。Douyinは714mnだった。 Nomuraは、ByteDanceの優位性は単一アプリに限られず、ポートフォリオ全体に及ぶとみる。トップ20入りしたDouyin、Douyin Lite、Hongguo短尺ドラマ、Toutiao、Tomato Free Novelsの5アプリは、7月のモバイル利用時間の35%を占めた。中国モバイル利用時間のおよそ93%を占めるトップ50アプリでは、ByteDanceのシェアは2025年7月の33.6%から2026年7月には40.9%へ上昇し、前月比でも0.8パーセントポイント上昇した。Tencentのシェアは29.1%だった。Douyin単独の利用時間シェアは19.4%でWeChatの18.8%を上回り、Douyin Liteは6.3%で3位となった。 レポートは、長尺動画と読書から短尺ドラマへの著しいシフトを指摘する。Tomato Free NovelsのDAUは144mnで前年比6%増だったが、6月の8%から減速した。Nomuraはこれを、同アプリのユーザー成長が上限に近づいている兆候とみており、AIアニメドラマを含む利用時間の獲得競争が減速に寄与していると考える。対照的に、Hongguo短尺ドラマのDAUは168mnに達し、Tencent Video、Youku、Mango TV、iQIYIの合計DAUを上回った。DAUは前月比8%、前年比107%増加し、月間利用時間はDAUの107%増と1日利用時間の24%増に支えられて157%増となった。Hongguo AIアニメドラマも勢いを示し、DAUは前月比37%増の16mnとなった。Nomuraは、個別アプリの成長が鈍化しても、ByteDanceは利用者と利用時間をアプリ群の間で再配分できると解釈している。 他のコンテンツ分野ではエンゲージメントは一様でなかった。iQIYIの月間利用時間は前年比27%減、DAUは20%減となった。Tencent Video、Youku、Mango TVの利用時間はそれぞれ31%、47%、24%減少した。ショート動画ではDouyinが堅調を維持し、Bilibiliの利用時間はDAUの6%増と1日利用時間の2%増を背景に8%増加した一方、Kuaishouの利用時間は主にユーザー当たり1日利用時間の13%減により15%減少した。音楽では、ByteDanceのSoda MusicとTomato MusicのDAUがそれぞれ70%と37%増加した一方、Tencent MusicのQQ Music、Kugou Music、Kuwo MusicのDAUは5%、15%、15%減少した。 AIアプリのデータは、チャットボットのユーザー成長鈍化と、ワークプレイス・エージェントへの戦略的シフトを示す。DoubaoはDAU 168mnでAIチャットボット首位を維持し、前年比では3.6倍となったが、2025年8月以降のユーザー成長局面を経て前月比では横ばいだった。Nomuraはこれをチャットボット競争の沈静化とみている。Alibabaは、DingTalk経由で利用される企業ワークフローをモデル・クラウド消費へ転換するため、QoderWork、MuleRun、WukongをQwenWorkへ統合した。TencentはWorkBuddyを展開し、Weixin、WeCom、Tencent Docs、Tencent Meetingとの統合を進めている。ByteDanceはFeishuのプロダクトチームをDoubaoと統合し、Feishuの営業チームをVolcano Engineと統合したうえで、8月25日にDoubaoWorkを開始した。これらのエージェントは、基盤モデルを用いてアプリ横断タスクを自律的に完了できる点で、従来のオフィスアプリと異なるとされる。 オフィスアプリの利用では出発点に差があった。DingTalkはDAU約77mnで最大だったが前年比1%減、WeComは9%増の72mn、Feishuはより小さい基盤から51%増の10mnとなった。Eコマースでは、PinduoduoのDAUは5%増、1日利用時間は5%増だった。一方、TaobaoのDAUは8%減少し、これにはヘビーユーザーの11%減が含まれる。JDのDAUは、カジュアルユーザーの増加がヘビーユーザーの減少を相殺し、1%増となった。このトラッカーはまた、オンライン旅行、Meituan、地図、複数の成熟した消費者サービスでの弱さを記録する一方、デジタル貨物輸送とオンライン採用では一部に成長がみられた。
分析フレームワーク
NomuraはQuestMobileのDAU、月間アクティブユーザー数、月間利用時間、DAU当たり1日利用時間を用いて、7月のアプリ利用を追跡している。主要アプリと運営企業ポートフォリオについて前年比、必要に応じて前月比を比較し、ユーザー規模、利用強度、コンテンツ分野とAIワークプレイス製品間の競争変化を通じて要因を解釈している。
手法メモ
月間利用時間を、アクティブユーザー成長とアクティブユーザー当たり1日利用時間に分解する分析。
レポートは、Douyinの利用時間29%増をDAUの19%増とDTSDの8%増として示すように、利用者規模と利用強度を分けてエンゲージメントの変化を説明している。
ByteDanceのコンテンツアプリ群における、ユーザーの注目をめぐるポートフォリオ全体の競争。
Nomuraは、ニュース、ショート動画、読書、音楽、短尺ドラマの間でユーザーを移動させる能力と、合計利用時間シェアを通じてByteDanceの位置付けを評価している。
資産マッピングと比較
投資テーゼから固有資産への構造化マッピング(強み、弱み、同業、リスク)。
- ByteDance / Douyin中国モバイル利用時間のポートフォリオ首位であり、ショート動画と短尺ドラマの強いエンゲージメントの恩恵を受ける。
- 強み
- Douyinの月間利用時間は前年比29%増、ByteDanceのトップ50アプリにおける利用時間シェアは40.9%に達した。
- 弱み
- Tomato Free NovelsのDAU成長率は前年比6%へ減速した。
- 比較
- Douyinの利用時間シェア19.4%はWeChatの18.8%を上回り、ByteDanceのポートフォリオシェアはTencentの29.1%を上回った。
- リスク
- ユーザーの注目獲得競争と、成熟したByteDanceアプリにおける成長鈍化。
- Tencentソーシャル、動画、オフィスアプリにまたがる主要既存企業であり、エンゲージメント動向はまちまち。
- 強み
- WeixinはDAU 931mnで最大アプリを維持し、WeComのDAUは9%増の72mnとなった。
- 弱み
- Weixinの利用時間成長率は3%にとどまり、Tencent Videoの月間利用時間は31%減少、QQ Music関連アプリではDAUが減少した。
- 比較
- Tencentのトップ50アプリにおける利用時間シェアは29.1%で、ByteDanceの40.9%を下回った。
- リスク
- ByteDanceのコンテンツポートフォリオによる利用時間圧力の継続と、進化するAIオフィス競争。
- iQIYI (IQ US)業界内の対象参加者として追跡される長尺動画プラットフォーム。
- 強み
- 長尺動画アプリの中では最大の月間利用時間規模を維持した。
- 弱み
- 月間利用時間は前年比27%減少し、DAUは20%減少した。
- 比較
- Hongguo短尺ドラマのDAUは、主要な長尺動画アプリ4社の合計DAUを上回った。
- リスク
- 短尺ドラマが長尺動画視聴を代替し続けること。
主要データ
- 中国の月間アクティブ・スマートフォンユーザー数1.28bn2026年7月に前年比1.3%増。
- 中国の月間総利用時間8.8% y-y growthレポートで示された8.6%の成長からわずかに加速。
- Douyinの月間利用時間29% y-y growthDAUの19%増とDAU当たり1日利用時間の8%増が寄与。
- WeixinのDAU931mnDAUで最大のアプリであり、Douyinの714mnと比較される。
- ByteDanceのトップ50アプリにおける利用時間シェア40.9%2025年7月の33.6%から上昇。Tencentのシェアは29.1%。
- Hongguo短尺ドラマのDAU168mn前年比107%増、前月比8%増。
- Hongguo短尺ドラマの月間利用時間157% y-y growthDAUの107%増とDTSDの24%増が支えた。
- DoubaoのDAU168mn前月比横ばい、前年比3.6倍。
影響と示唆
Nomuraのデータは、競争の主要な変化が、特にショート動画と短尺ドラマにおけるByteDanceの利用者の注目シェア拡大に向かっていることを示唆する。また、主要プラットフォームが企業ワークフローを自社のモデル、クラウド、既存のオフィス・エコシステムへ接続しようとする中、AIオフィス・エージェントを次の戦略的競争領域として位置付けている。
注目点
- Doubaoの前月比横ばいのDAUが、AIチャットボット競争の持続的な沈静化を示すか。
- AIオフィス・エージェントとしてのQwenWork、WorkBuddy、DoubaoWorkの導入と収益化の進展。
- Hongguo短尺ドラマとAIアニメドラマが、長尺動画や読書から利用者の注目を引き続き奪うか。
- ByteDanceのアプリポートフォリオにおける利用時間シェア拡大が持続するか。