Best(300580) レポート解説
売上高の成長は堅調だったが、原材料インフレ、FX損失、減価償却費増加がマージンを圧迫し、利益予想は小幅に下方修正された。Goldman Sachsはヒューマノイドロボット向けトランスミッション部品に長期的な可能性を見込む一方、NeutralとRmb22.5の目標株価を維持している。
要約
売上高の成長は堅調だったが、原材料インフレ、FX損失、減価償却費増加がマージンを圧迫し、利益予想は小幅に下方修正された。Goldman Sachsはヒューマノイドロボット向けトランスミッション部品に長期的な可能性を見込む一方、NeutralとRmb22.5の目標株価を維持している。
- 2Q26売上高はRmb406mnで、前年同期比11%増、Goldman Sachs予想を3%上回った。
- 2Q26純利益はRmb73mnで、前年同期比7%減、Goldman Sachs予想を8%下回った。
- 売上総利益率、EBITマージン、純利益率はそれぞれ32%、17%、18%へ低下した。
- Goldman Sachsは2026E-30Eの純利益予想を平均約1%引き下げた。
- 12カ月目標株価はRmb23.0からRmb22.5へ引き下げられ、Rmb22.13の終値に対する上昇余地は1.7%。
- レポートは、Bestが2027E以降、高仕様ヒューマノイドロボット向けプラネタリーローラースクリューで世界市場シェア10%を獲得すると見込む。
レポート解説
概要
本決算アップデートは、Bestの2Q26業績と、自動車部品、工作機械部品、ヒューマノイドロボット向けトランスミッション部品における長期的な位置付けを検討する。Goldman Sachsは、四半期業績は事業面で概ね予想線上だがマージン圧迫の影響を受けたとみなし、利益予想と目標株価を小幅に引き下げ、Neutralを維持している。
主要見解
Bestの2Q26売上高はRmb406mn、売上総利益はRmb131mn、EBITはRmb71mn、純利益はRmb73mnだった。売上高は前年同期比11%増でGoldman Sachs予想を3%上回り、売上総利益は同2%増で予想を4%上回った。一方、EBITと純利益はそれぞれ前年同期比12%減、7%減で、Goldman Sachs予想を7%および8%下回った。1H26では、売上高はRmb792mnで前年同期比11%増、純利益はRmb146mnで同2%減となった。 同社は、収益性悪化の主因を原材料インフレ、FX損失、新施設に伴う減価償却費増加としている。2Q26の売上総利益率、EBITマージン、純利益率はそれぞれ32%、17%、18%で、前年同期比3パーセントポイント、4パーセントポイント、4パーセントポイント低下した。EBITマージンと純利益率はGoldman Sachs予想も2パーセントポイント下回った。BestはFX管理の対応として、人民元建て決済の受注比率を引き上げる計画である。 事業面では、タイの海外工場Phase Iが2026年中に引き続き立ち上がり、Phase IIは1H27Eまでに建設を完了する見込みである。リニアガイドとローラースクリューを生産するYuhua Precisionの1H26売上高はRmb3mnで、主に工作機械市場向けだった。ヒューマノイドロボット顧客からの寄与は、関連製品の大半がなおサンプル段階にあるため非常に低いとされる。ただし、複数の国内工作機械メーカーがボールスクリューとリニアガイドを採用し始めており、工作機械部品の商用化は進んでいる。 Goldman Sachsは、内燃機関およびEV向け自動車部品事業の安定成長、治具製品で得た精密製造経験、設備調達による生産能力を背景に、Bestがヒューマノイドロボット向けプラネタリーローラースクリューの競争力ある供給企業になるという長期的見方を維持している。同社は高仕様ヒューマノイドロボットの世界出荷台数が2024E-35Eに80%のCAGRとなると予測し、Bestが2027E以降、高仕様ヒューマノイド向けプラネタリーローラースクリューで世界市場シェア10%を獲得すると見込む。 決算を受け、Goldman Sachsは主に実績を反映して2026E-30Eの純利益予想を平均約1%引き下げた。12カ月目標株価はRmb23.0からRmb22.5へ引き下げられ、2030E P/Eの32xを9.5%の株主資本コストで2026Eへ割り引いて算定されている。2026年8月18日終値のRmb22.13に対し、目標株価は1.7%の上昇余地を示す。Goldman Sachsは、中国Industrial Techカバレッジおよびヒューマノイドロボットのサプライチェーン銘柄に対してリスク・リワードは妥当とみなし、Neutralを維持している。
分析フレームワーク
Goldman Sachsはまず、四半期の売上高、利益、マージンを前年同期実績と自社予想に比較し、マージン圧迫の要因を特定する。次に、工場の立ち上げと工作機械・ヒューマノイドロボット部品の商用化の進展を評価し、プラネタリーローラースクリューの長期機会を利益予想に織り込み、フォワードP/E倍率を2026Eへ割り引く手法で企業価値を算定している。
手法メモ
現在の予想期間へ割り引く長期P/Eバリュエーション
Goldman Sachsは2030E P/Eの32xを用い、その価値を9.5%の株主資本コストで2026Eへ割り引き、Rmb22.5の目標株価を導出している。
プラネタリーローラースクリューを通じたヒューマノイドロボットのサプライチェーンにおける位置付け
レポートは、高仕様ヒューマノイドロボットの世界出荷台数の予想成長をプラネタリーローラースクリューの潜在需要に結び付け、Bestの製造経験と生産能力を市場シェア獲得の裏付けとして評価している。
資産マッピングと比較
投資テーゼから固有資産への構造化マッピング(強み、弱み、同業、リスク)。
- Best (300580.SZ)主要なカバー対象企業。自動車部品事業を基盤とし、高仕様ヒューマノイドロボット向けプラネタリーローラースクリューの供給企業となる可能性がある。
- 強み
- 安定した自動車部品事業の成長、治具製品で培った精密製造の経験、設備調達に支えられた生産能力、工作機械部品の採用進展。
- 弱み
- 原材料インフレ、FX損失、新施設に伴う減価償却費増加による2Q26のマージン低下。ヒューマノイドロボットの製品はサンプル段階にあり、寄与は依然として非常に低い。
- 比較
- Goldman Sachsは、中国Industrial Techカバレッジおよびヒューマノイドロボットのサプライチェーン銘柄と比べ、リスク・リワードは妥当と判断している。
- リスク
- ターボチャージャー浸透率の伸び鈍化と、予想を下回るマージンは明示された下振れリスクである。
主要データ
- 2Q26売上高Rmb406mn前年同期比11%増、前四半期比5%増、Goldman Sachs予想を3%上回った
- 2Q26売上総利益Rmb131mn前年同期比2%増、前四半期比1%増、Goldman Sachs予想を4%上回った
- 2Q26 EBITRmb71mn前年同期比12%減、前四半期比4%増、Goldman Sachs予想を7%下回った
- 2Q26純利益Rmb73mn前年同期比7%減、前四半期比横ばい、Goldman Sachs予想を8%下回った
- 2Q26マージンGross 32%; EBIT 17%; net 18%それぞれ前年同期比3パーセントポイント、4パーセントポイント、4パーセントポイント低下
- 1H26売上高および純利益Rmb792mn / Rmb146mn売上高は前年同期比11%増、純利益は前年同期比2%減
- Yuhua Precisionの1H26売上高Rmb3mn主に工作機械市場向け
- ヒューマノイドロボット出荷予想80% global CAGR in 2024E-35E高仕様ヒューマノイドロボットの予想
- プラネタリーローラースクリューの市場シェア予想10%2027E以降の高仕様ヒューマノイドロボットにおけるBestの世界シェア予想
影響と示唆
レポートは、売上高が伸びても短期的な利益はマージン圧迫に制約される一方、タイ拡張と人民元建て決済は生産能力およびFX問題への事業上の対応であることを示す。長期的な投資仮説は、Bestが精密製造能力を意味のある工作機械・ヒューマノイドロボット部品売上へ転換できるかに依存する。現時点でヒューマノイドロボット売上の寄与は小さく、格付けはNeutralに維持されている。
リスク
- トランスミッション部品の開発が想定より速く進むことは、見通しに影響し得る。
- EV部品の生産能力立ち上げが想定より速く進むことは、見通しに影響し得る。
- ターボチャージャー浸透率の伸び鈍化は下振れリスクである。
- 予想を下回るマージンは下振れリスクである。
注目点
- トランスミッション部品の量産進展と、ヒューマノイドロボット製品がサンプル段階を超えて進むか。
- EV部品の生産能力およびタイ工場Phase Iの立ち上げ、ならびに1H27Eまでのタイ工場Phase II完成。
- 原材料コスト、FX管理、減価償却費増加の影響を含むマージン回復。
- 国内工作機械メーカーによるボールスクリューおよびリニアガイドの採用。