United States economy:米国の労働市場と成長の底堅さにより、野村はインフレとFedの12月の最後の利上げを重視
野村は9月の雇用増加が堅調で失業率は4.0%へ低下すると予想し、Fedが引き続きインフレを重視するとの見方を強めている。10月は据え置き、12月に最後の25bp利上げを行うとの予想である。
要約
野村は9月の雇用増加が堅調で失業率は4.0%へ低下すると予想し、Fedが引き続きインフレを重視するとの見方を強めている。10月は据え置き、12月に最後の25bp利上げを行うとの予想である。
- 9月の非農業部門雇用者数は130k増と予想され、8月の162k増に続き、8月分は上方改定される可能性がある。
- 野村は、レイオフの低位安定、求人の改善、季節要因を背景に失業率が4.1%から4.0%へ低下すると予想する。
- 年次PCE更新により、7月のコアPCEインフレは約15bp低下し3.19%になると予想される。
- 設備投資と底堅い消費を受け、Q3 GDPトラッキング予想は4.0%から4.1%へ引き上げられた。
- 野村はFedが10月に据え置き、12月に最後の25bp利上げを行うと予想する。
レポート解説
概要
この米国マクロ週報は、労働市場の底堅さ、堅調な経済活動、目標を上回るインフレにより、Fedは引き締め姿勢を維持すると論じる。野村は年次改定によるコアPCEインフレの技術的な下方修正を見込むが、2026年12月の最後の利上げと2027年からの緩やかなインフレ鈍化という基本見通しを維持している。
主要見解
野村は9月の非農業部門雇用者数が130k増加すると予想しており、8月の162k増の後、過去の傾向から8月分は上方改定される可能性があるとみる。失業率は8月の4.1%から4.0%へ低下し、2025年1月以来の低水準になるとの予想である。週次ADP雇用の加速、雇用統計の基準週までの継続失業保険申請件数の減少、製造業・サービス業の雇用拡大を示す企業調査、低位安定するレイオフ、民間データによる求人改善が根拠である。報告書は9月の季節性も市場予想を下回る失業率見通しを支えるとする。2010年以降、失業率は平均でコンセンサスを約12bp下回り、過去16年のうち11年で下振れした。野村はその一部を、新学年開始前後に失業者から非労働力人口への移行が増える季節要因に帰している。一時保護資格の就労許可失効による労働供給縮小は短期リスクだが、9月に大きな下押しはないと予想する。 野村は、BEAによる30 Septemberの年次PCE更新により、2026年7月のコアPCE前年比インフレ率が約15bp低下し、現在の3.34%から3.19%になると予想する。方法論の変更だけで約16bpの低下要因となる一方、CPI・PPIの元データ改定と季節調整が一部を相殺する見込みである。予想される方法論変更の影響は、ソフトウェアとアクセサリー価格に用いるPPIデータの上方改定が下方効果の一部を打ち消すため、野村の従来の約20bpという見積もりより小さい。改定後の方法論の下で、野村は8月のコアPCEインフレを0.278%前月比、3.30%前年比と予想し、2026年Q4のFOMC中央値予想3.4%をわずかに下回る。ただし中期的なインフレ見通しは不変で、関税とエネルギーの影響が薄れ、賃金上昇の鈍化がサービスインフレを抑えることで、コアPCEは2027年から徐々に鈍化するとみる。 野村はFOMC後の発言を、追加引き締めの可能性は示すものの、10月の利上げに切迫感はないと解釈する。ニューヨーク連銀のWilliams総裁とボストン連銀のCollins総裁は、年内あと1回の利上げと概ね整合的とみる一方、Barr理事とカンザスシティ連銀のSchmid総裁はよりタカ派に見える。フィラデルフィア連銀のPaulson総裁は比較的ハト派で、追加利上げなしと段階的な追加行動の間で判断している。完全な利上げサイクルを予想する参加者はいないように見えるため、野村の基本シナリオは10月の据え置き、12月の最後の25bp利上げ、その後2027年を通じた据え置きである。労働市場の底堅さは、Fedが主にインフレへ焦点を置き続けるため、この結論の中核をなす。 成長指標は総じて前向きだが、一様に強いわけではない。9月の速報S&P製造業PMIは8月の53.9から57.0へ上昇し、2022年5月以来の高水準となった。サービス業活動指数も56.5から58.7へ上昇し、産出は5年で最速のペースで拡大した。野村は、地区連銀調査が製造業・サービス業とも弱含んだため、経済活動は堅調だがS&P PMIが示唆するほど強く加速してはいないと注意を促す。航空機を除くコア非国防資本財受注は8月に1.6%前月比増加し、上方改定された7月の0.6%増に続いたため、設備投資の勢いは続くとみる。出荷の強さと予想を上回る住宅データを受け、野村はQ3 GDPトラッキング予想を4.0%から4.1%へ、民間国内購入者向け実質最終販売を3.3%から3.4%へ引き上げた。 今後のデータについて、野村はエネルギー価格を背景に9月の消費者信頼感が89.4から86.8へ低下し、8月のJOLTS求人件数は7.271mnから7.225mnへ減少すると予想する。個人所得の伸びは0.5%前月比へ加速し、個人支出は0.9%増、実質支出は0.6%増になるとの見通しである。8月の財貿易赤字は$118.9bnから$115.0bnへ小幅に縮小し、ISM製造業指数は54.6から55.4へ上昇、車両販売は8月の16.8mn SAARから16.2mn SAARへ低下すると予想する。より長期では、広がりを見せる企業投資と底堅い消費が成長を支えるとみるが、エネルギー価格、供給網の混乱、テクノロジー部品価格の上昇がインフレリスクとなる。2026年Q4のコアPCE前年比インフレは3.3%、失業率は2027年末に向けて3.9%へ徐々に低下すると予想する。
分析フレームワーク
野村は、高頻度の労働市場指標、民間雇用データ、失業保険申請、求人指標、企業調査、公式インフレ元データの改定、経済指標の予想を組み合わせている。異例に強い調査シグナルを地区調査と照合し、過去の9月の失業率パターンで季節性を評価したうえで、労働・インフレ・成長の証拠をFedの政策パス見通しに結び付けている。
手法メモ
主成分分析に基づく週次データトラッカー
野村は、米国の産業・消費部門をカバーする13の日次・週次指標から第1主成分を推定し、その潜在因子を実質GDPの4四半期変化を追跡するよう調整している。
主要データ
- 9月の非農業部門雇用者数予想130k野村予想。8月は162k増で、8月の雇用者数は上方改定される見込み。
- 9月の失業率予想4.0%8月の4.1%から低下。野村は労働市場ファンダメンタルズの改善と有利な9月の季節性を根拠に挙げる。
- 2026年7月コアPCEの年次改定-15bp to 3.19%方法論、元データ、季節要因の改定による予想純効果で、現行値は3.34%。
- 8月コアPCE予想0.278% m-o-m; 3.30% y-o-y2026年Q4に対するFOMC中央値予想の3.4%をわずかに下回る。
- Q3 GDPトラッキング予想4.1% q-o-q annualized前週の4.0%から引き上げ。民間国内購入者向け実質最終販売は3.3%から3.4%へ引き上げられた。
- 9月S&P PMIManufacturing 57.0; services 58.7それぞれ8月の53.9、56.5から上昇。
- コア資本財受注+1.6% m-o-m in August上方改定された7月の0.6%増に続き、設備投資の勢いの継続を支える。
影響と示唆
野村によれば、底堅い雇用、堅調な経済活動、目標を上回るインフレの組み合わせは、コアPCEインフレが技術的な改定で下方修正される可能性があっても、Fedの引き締め姿勢を支える。政策議論は、インフレの進展が野村の予想する12月の最後の利上げを回避するのに十分かどうかに集中するとみられる。
リスク
- 一時保護資格の就労許可失効は労働供給を縮小させる可能性があるが、野村は9月への大きな影響を予想していない。
- フォワードガイダンスの欠如、Warsh議長の不明確な発言、FOMC参加者への政治的圧力の再燃は、Fedのインフレ抑制に対する信認を損ない、急激な市場反応を招く可能性がある。
- 地政学的緊張のさらなる激化は金融環境を引き締め、財政見通しを悪化させる可能性がある。
- AIブームの崩壊は大幅な資産価格調整と企業投資の弱体化につながる可能性がある。
- AI主導のメモリーチップ不足と長期化するイラン戦争による供給網の混乱は、第2波の商品インフレをもたらす可能性がある。
注目点
- 9月の非農業部門雇用者数、失業率、平均時給、8月の雇用増加数の改定。
- 30 SeptemberのBEA年次PCE更新とコアPCEインフレへの影響。
- 10月の据え置きと12月の利上げの可能性に関するFedの発信。
- インフレを持続させうるエネルギー価格、中東情勢、供給網の圧力。
- 成長見通しを確認する企業投資、消費支出、地区調査データ。