Global macroeconomic and market outlook レポート解説
Goldman Sachsは、2026年の世界実質GDP成長率を2.5%、年末の世界コアインフレ率を2.8%と予測し、中東のエネルギーリスクが活動を圧迫するとみている。日本の債券利回りとアジア株価指数の目標値を引き上げ、人民元高の継続を見込んでUSD/CNY予測を引き下げた。
要約
Goldman Sachsは、2026年の世界実質GDP成長率を2.5%、年末の世界コアインフレ率を2.8%と予測し、中東のエネルギーリスクが活動を圧迫するとみている。日本の債券利回りとアジア株価指数の目標値を引き上げ、人民元高の継続を見込んでUSD/CNY予測を引き下げた。
- 世界の実質GDP成長率は2026年に前年比2.5%へ減速すると予測。
- 米国の2026年成長率はQ4/Q4ベースで2.0%と予測。消費支出の弱さにもかかわらず、AI関連の資産効果と設備投資が支える。
- 3か月・6か月・12か月のUSD/CNY予測を6.70、6.60、6.40へ引き下げ。
- 2026年末の10年物日本国債利回り予測を2.5%から3.0%へ引き上げ。
- 利益の力強さの継続を背景に、MXAPJとTOPIXの目標値を引き上げ。
レポート解説
概要
この世界マクロ更新は、Goldman Sachsによる最新の成長、インフレ、金融政策、クロスアセット予測を示す。中心的な見方は、中東紛争に関連するエネルギー価格上昇が世界の活動を減速させ、インフレを押し上げる一方、地域ごとの差は大きく、AI関連投資は米国にとって有意な支えであり続けるというものである。
主要見解
Goldman Sachsは、中東紛争に伴うエネルギー価格上昇が広範な逆風となり、世界の実質GDP成長率が2026年に前年比2.5%へ減速すると予想している。年末の世界コアインフレ率は2.8%と予測する。関税押し上げ効果の後退と住居費・賃金インフレの一段の正常化がインフレを抑制する一方、エネルギー価格の転嫁がその緩和の一部を相殺する。 米国については、2026年の実質GDP成長率をQ4/Q4ベースで2.0%と予測している。年後半の消費支出の伸びは鈍いとみるが、AIブームによる株式資産効果の上昇と強い設備投資が活動を支える見通しである。コアPCEインフレ率は、関税、エネルギー価格転嫁、および計測上の問題で誇張されているとレポートがみるAI需要の影響により、2026年12月に3.1%と予測する。その後、これらの影響が薄れるにつれ、2027年には2%近くまで低下するとみている。失業率は2026年末に4.2%となり、Fedは2026年の残り期間、政策金利を3.5-3.75%で据え置くと予想している。 ユーロ圏では、2026年の実質GDP成長率をQ4/Q4ベースで0.8%と予測する。底堅い活動データが支えとなる一方、高いエネルギー価格と消費者信頼感の低迷が重荷である。8月のインフレデータが予想より弱かったことを受け、コアインフレのピーク予測を前年比2.7%から1Q27の2.6%へ引き下げた。その後、インフレ率は2028年末までに2.0%へ徐々に低下するとみている。ECBは9月にさらに25ベーシスポイントの利上げを実施し、政策金利のピークは2.5%に達すると予測する。 中国については、2026年の実質GDP成長率を前年比4.6%と予測している。幅広い輸出の強さが主な支えである一方、弱い内需が中心的な制約である。CPIとPPIのインフレ率は、主に商品価格の転嫁により、それぞれ前年比1.0%と2.0%へ上昇すると予測する。Goldman Sachsは、3か月・6か月・12か月のUSD/CNY予測を6.80、6.70、6.50から6.70、6.60、6.40へ引き下げた。人民元はなお大幅に割安であり、輸出の強さは続く見込みで、中国経済の不均衡を解消するには通貨高と内需の強まりの双方が必要になる可能性が高いと論じている。 市場予測の変更は、こうした地域別の見方を反映する。Goldman Sachsは、2026年末の10年物日本国債利回り予測を2.5%から3.0%へ引き上げた。日本のインフレ見通しが明確になるまで、市場はさらなる利上げリスクを織り込み続ける可能性が高いためである。また、利益の力強さの継続を理由に、6か月・12か月のMXAPJ指数目標値を1,030と1,080から1,040と1,120へ、3か月・6か月・12か月のTOPIX目標値を4,200、4,300、4,500から4,400、4,500、4,600へ引き上げた。 レポートは、中東紛争の進展と地域の石油フローを重要な変数として特に注視している。また、米加の関税対立はカナダの成長に対する下振れリスクとなり、カナダの政策をよりハト派に向かわせる可能性がある一方、米国への影響は限定的と予想している。
分析フレームワーク
レポートは、成長・インフレ予測をエネルギー価格、関税、消費需要、貿易動向、投資と結び付けることで、国・地域横断のマクロベースラインを更新している。Goldman SachsのCurrent Activity Indicators(CAI)を足元の成長の指標として用い、市場価格と予測を比較し、マクロ見通しを政策金利、債券利回り、為替、株価指数の予測へと落とし込んでいる。
手法メモ
現在活動指標、需要状況、関税、エネルギー価格の転嫁を用いたマクロ成長・インフレ予測。
レポートはCAIを現在の成長の測定に用い、需要、貿易、投資、価格の要因を組み合わせて、地域別のGDP、インフレ、政策予測を形成している。
エネルギー・商品価格のインフレと成長への転嫁。
高いエネルギー価格を、中東紛争から世界的なインフレと実体活動の弱まりへ至る伝達経路として扱っている。
資産マッピングと比較
投資テーゼから固有資産への構造化マッピング(強み、弱み、同業、リスク)。
- MXAPJ IndexGoldman Sachsは、利益の力強さが続くことを踏まえ、6か月・12か月の目標値を引き上げた。
- 強み
- 利益の力強さの継続。
- 比較
- 目標値を1,030と1,080から1,040と1,120へ引き上げた。
- リスク
- 世界成長とエネルギー価格の逆風は、引き続きマクロ環境に関わるリスクである。
- TOPIXGoldman Sachsは、利益の力強さが続くことを踏まえ、3か月・6か月・12か月の目標値を引き上げた。
- 強み
- 利益の力強さの継続。
- 比較
- 目標値を4,200、4,300、4,500から4,400、4,500、4,600へ引き上げた。
- リスク
- 日本の追加利上げの織り込みは、インフレ見通しに左右される。
- USD/CNYレポートは人民元高の継続を見込み、USD/CNY予測を引き下げた。
- 強み
- CNYは大幅に割安であり、幅広い輸出の強さに支えられているとみている。
- 弱み
- 内需の弱さは引き続き中国マクロの逆風である。
- 比較
- 3か月・6か月・12か月の予測を6.80、6.70、6.50から6.70、6.60、6.40へ引き下げた。
- リスク
- 見込まれる調整は、より強い内需にも依存する。
主要データ
- 世界の実質GDP成長率2.5% yoy in 2026予測。中東紛争に伴うエネルギー価格上昇により成長が減速。
- 世界のコアインフレ率2.8% at end-2026エネルギー価格の転嫁が、関税効果の後退と住居費・賃金インフレの正常化を一部相殺する。
- 米国の実質GDP成長率2.0% Q4/Q4 in 2026年後半の消費の弱さは、AI関連の資産効果と設備投資により一部相殺される。
- 米国のコアPCEインフレ率3.1% in December 2026関税、エネルギー、AI需要の影響が薄れるにつれ、2027年には2%近くまで低下すると予想。
- 米国の失業率4.2% at end-2026Goldman Sachsによる予測。
- Fedの政策金利3.5-3.75% for the rest of 2026据え置きの予想。
- ユーロ圏のGDP成長率0.8% Q4/Q4 in 2026底堅い活動はエネルギー価格と信頼感の逆風に相殺される。
- ユーロ圏のコアインフレ率のピーク2.6% yoy in 1Q278月のインフレデータが予想より弱かったことを受け、2.7%から引き下げ。
- 中国のGDP成長率4.6% yoy in 2026輸出の強さが弱い内需を相殺する。
- USD/CNY予測6.70 / 6.60 / 6.40 at 3 / 6 / 12 months6.80 / 6.70 / 6.50から引き下げ。
- 2026年末の10年物日本国債利回り3.0%2.5%から引き上げ。
影響と示唆
Goldman Sachsの予測変更は、エネルギーショックがディスインフレを複雑化させ成長を抑制する環境を示唆する一方、米国のAI投資、中国の輸出、日本およびより広いアジア太平洋地域の利益の力強さといった地域的な支えは失われないことを意味する。レポートは、政策の分化と変化するインフレリスクが、引き続き金利と通貨にとって重要になるとみている。
リスク
- 中東情勢は流動的であり、地域の石油フローの変化がエネルギー価格見通しを変え得る。
- 米加の関税対立は、カナダの成長下振れとよりハト派的な政策金利のリスクをもたらす。
注目点
- 中東紛争の展開と、地域を通る石油フローの変化。
- 米加の関税対立がカナダの成長と政策期待に及ぼす影響。
- 日本のインフレ見通しが、追加利上げの織り込みを変えるほど明確になるか。