285A(285A.T):NANDスポット価格が上昇を主導、世界メモリのスーパーサイクルは2027年まで継続の見通し
BofAはNAND売上高予測を引き上げ、AI、HBM、エンタープライズSSDからの需要が強いメモリサイクルを支えるとみる一方、Duksan Neoluxを選好し、Wonik IPSには慎重な見方を示している。
要約
BofAはNAND売上高予測を引き上げ、AI、HBM、エンタープライズSSDからの需要が強いメモリサイクルを支えるとみる一方、Duksan Neoluxを選好し、Wonik IPSには慎重な見方を示している。
- 今週、512Gbから1TbのNANDスポット価格は5%から6%上昇し、レガシー256Gb製品は10%超上昇して、季節性を大幅に上回った。
- DRAMスポット価格は今週さらに1%から2%上昇し、四半期ベースの前期比上昇率では約20%から40%に相当する。レガシーDRAMおよびNANDの供給は依然として逼迫している。
- BofAは、世界のDRAMおよびNAND売上高が2026年にそれぞれ前年比328%および341%成長すると予想しており、主にASPの急上昇が牽引する。
- HBMを使用するAIシステムを中心とするサーバーはDRAM需要の半分超を占めており、データセンターおよびAI関連SSDもNAND需要の中核となっている。
- Samsung Electronicsは、特別配当、自社株買い、年末配当を通じて大規模な資本還元を実施する可能性がある。
レポート解説
概要
本レポートは、世界のDRAMおよびNANDの需給、価格、売上高、設備投資に関する予測を更新している。BofAは、業界売上高が2026年にほぼ4倍に成長すると予想される一方、AIサーバー、HBM、エンタープライズSSDによる構造的需要がスーパーサイクルを2027年まで継続させる可能性があるとみている。足元のNANDスポット価格の反発は特に顕著で、DRAMも上昇を続けており、レガシーメモリの供給逼迫が通常の季節性を上回っていることを示している。本レポートはSamsung ElectronicsおよびSK Hynixにおける潜在的な株主還元も分析し、韓国の半導体装置およびOLED材料企業について差別化された見方を提示している。
主要見解
第1に、NANDスポット価格の反発は、二次メーカーおよびホワイトラベルのシステムメーカーによる9月および第4四半期の繁忙期に向けた在庫積み増しが牽引しており、512Gbから1Tb製品は前週比5%から6%上昇、256Gb製品は前週比10%超上昇した。第2に、DRAMスポット価格は前週比1%から2%上昇しており、業界価格の上昇は販売・輸出データからも確認され、力強いサイクルを示している。第3に、2026年のDRAMおよびNAND売上高成長は、純粋な出荷拡大よりも主にASPによるものであり、2027年の通年平均ASPも2026年を上回る見込みである。第4に、2028年には急激な悪化ではなく健全な調整が見込まれ、DRAMおよびNANDのASPはそれぞれ8%および14%低下すると想定している。第5に、個別株では、OLED材料および成長テーマを理由にDuksan Neoluxを選好する一方、競争と業績下方修正を理由にWonik IPSに対して慎重な投資見解を示している。
分析フレームワーク
本レポートは、トップダウンの世界メモリ需給モデルと主要メーカーのボトムアップによる四半期業績分析を組み合わせ、DRAMおよびNANDの売上高、ASP、ビット出荷量、ウエハー生産能力、設備投資を追跡している。また、BofAメモリ指標、韓国輸出、メーカー販売、スポット価格を用いてサイクルの位置を検証している。企業価値評価には2027年予想P/E手法を用いる。
手法メモ
最終需要、ビット成長、ASP、ウエハー生産能力、設備投資を通じてDRAMおよびNAND業界の売上高を予測する。
このモデルは四半期および年間の需給変化を対象とし、SK HynixやKioxiaなどのメーカーによるガイダンスと第4四半期の価格調整に基づいて、2026年から2028年の予測を更新する。
主要DRAMおよびNANDメーカーの売上高、ASP、出荷量、利益率を比較する。
DRAM分析ではHBMによる高利益率に焦点を当て、NAND分析ではエンタープライズSSDおよび3D NANDによる製品ミックスへの寄与に焦点を当てる。
世界の販売、ASP、スポット価格、ビリング、韓国輸出などのデータを統合してメモリサイクルの位置を評価する。
同指標は2026年6月に183となり、ミッドサイクルおよび上昇サイクルの参照水準である100および130を大きく上回った。現在の価格・販売増加局面は前例がないため、指標の上限は約140から240へ引き上げられた。1991年1月から2021年3月がバックテスト期間であり、その後は実測データである。この指標は投資ベンチマークを構成するものではない。
2027年予想1株当たり利益に目標P/E倍率を適用する。
Wonik IPSの目標株価は2027年予想P/E22倍を用いており、売上高成長の鈍化を受けてEPSおよび評価倍率を引き下げた。Duksan Neoluxの目標株価は2027年予想P/E21倍を用いる。
資産マッピングと比較
投資テーゼから固有資産への構造化マッピング(強み、弱み、同業、リスク)。
- 世界DRAM業界中核的な恩恵を受ける業界
- 強み
- AIサーバー、HBM容量の増加、レガシーDRAMの供給逼迫、急速なASP上昇が、売上高と利益率をともに支える。
- 弱み
- 高価格はPCおよびスマートフォン需要を抑制する可能性があり、設備投資の増加も徐々に供給を増やす可能性がある。
- 比較
- NANDと比べ、今週のDRAMスポット価格上昇はより穏やかだったが、HBMに牽引される構造的需要と利益率はより強い。
- リスク
- 価格は2027年に安定化または緩やかに調整する可能性があり、DRAM ASPは2028年に8%低下すると予想される。
- 世界NAND業界中核的な恩恵を受ける業界
- 強み
- スポット価格の反発はDRAMより強く、データセンター、AIアプリケーション、エンタープライズSSDが主要な需要の柱となっている。
- 弱み
- 価格上昇の一部は繁忙期前の集中的な在庫積み増しによる可能性があり、持続性は受注・在庫データでなお検証する必要がある。
- 比較
- 今週、512Gbから1Tb製品は5%から6%上昇し、レガシー256Gb製品は10%超上昇しており、短期的な価格モメンタムはDRAMを上回った。
- リスク
- NAND ASPは2028年に14%低下すると予想される。供給が需要より速く拡大すれば、価格調整は早まる可能性がある。
- Samsung Electronicsメモリサイクルおよび株主還元の恩恵享受者
- 強み
- 2026年のHBM成長と利益率改善はSK Hynixより強い可能性があり、同社には特別配当および自社株買いを実施するための資金余力がある。
- 弱み
- HBMの量産立ち上げ時期はSK Hynixより遅く、特別従業員ボーナスには₩30tn超の自己株式が必要となる可能性がある。
- 比較
- SK Hynixは2024年から2025年により高いHBM基盤を構築した一方、Samsung Electronicsは2026年により大きな前年比改善余地を持つ。
- リスク
- 資本還元の規模・時期、およびHBM量産の進捗が期待を下回る可能性がある。
- SK HynixHBMおよびDRAMサイクルの恩恵享受者
- 強み
- 12層HBMの量産立ち上げを主導しており、HBM製品ミックスが高利益率を支える。同社はフリーキャッシュフローの約50%を株主還元に用いる可能性がある。
- 弱み
- 2024年から2025年の高いベースが2026年の前年比成長を制約し、第2四半期のDRAM ASP上昇率は同業他社を下回った。
- 比較
- 足元のDRAM ASP実績は同業他社より弱かったが、第3四半期には約25%の急速な回復が見込まれ、HBM4出荷も増加する見通しである。
- リスク
- HBM競争の激化、ASP回復の未達、資本還元計画の変更。
- Duksan Neolux (213420 KS)推奨銘柄
- 強み
- OLED材料およびターボ機械事業は堅調に推移しており、第2四半期の業績は良好で、同社には成長テーマがある。
- 弱み
- バリュエーションは2027年の業績達成に依存しており、事業は引き続きディスプレイパネルおよび最終需要サイクルの影響を受ける。
- 比較
- Wonik IPSと比べ、業績トレンドと成長の可視性がより良好である。
- リスク
- OLED材料需要、顧客受注、または2027年業績が期待を下回る可能性がある。
- Wonik IPS (240810 KS)慎重な見方の銘柄
- 強み
- 韓国の半導体設備投資サイクルからの恩恵を受ける可能性を依然として持つ。
- 弱み
- 第2四半期のCVD売上高は米国および日本の競合他社の影響を受け、業績は予想を下回り、2027年EPS予測は10%引き下げられた。
- 比較
- Duksan Neoluxと比べ、短期的なファンダメンタルズと業績予想修正のトレンドは弱い。
- リスク
- 継続的な市場シェア喪失、売上高成長の鈍化、評価倍率のさらなる下方調整。
主要データ
- 2026年の世界DRAM売上高成長率前年比328%増主にDRAM ASPの前年比242%上昇が牽引。
- 2026年の世界NAND売上高成長率前年比341%増主にNAND ASPの前年比267%上昇が牽引。
- 世界DRAM業界売上高予測2025年US$133.8bn;2026年US$572.9bn;2027年US$846.5bn;2028年US$917.2bn2027年から2028年の予測は従来予想から約2%引き上げ。
- 世界NAND売上高予測の修正2026年から2028年について10%から15%引き上げ最近の価格上昇と、256Gb換算製品当たり約US$9から10のASP予想を反映。
- 週間NANDスポット価格動向1Tbは6%上昇;512Gbは5%上昇;256Gbは16%上昇レガシー256Gb製品が最も顕著な上昇を記録し、繁忙期に向けた在庫積み増しと供給逼迫を示している。
- DRAMスポット価格16Gb DDR5はUS$51.3;16Gb DDR4はUS$86.7;8Gb DDR4はUS$42.1対応する前年比上昇率はそれぞれ733%、911%、744%。
- BofAメモリ指標1832026年6月のデータで、歴史的高水準に近い。4月および5月はそれぞれ189および186。
- Nanya Techの7月売上高NT$44bn前月比49%増、前年比720%増。
- 韓国の半導体輸出US$42bn前月比9%減だが、前年比179%増。
- 2026年から2027年のHBM市場規模US$77bn/US$153bnAIアクセラレーターの高度化とシステム当たりメモリ容量の増加が市場拡大を牽引。
- Wonik IPSの目標株価₩85,000₩95,000から引き下げ、評価はアンダーパフォームを維持。
- Duksan Neoluxの目標株価₩70,000目標株価は据え置き、評価は買いを維持。
影響と示唆
メモリ価格および売上高成長率の大幅な上方修正は、HBM、先進DRAM、エンタープライズSSD、高付加価値NANDの製品ポートフォリオを持つ主要メーカーにとってプラスであり、関連材料・装置への需要も押し上げる可能性がある。一方、供給逼迫とメモリコストの上昇はスマートフォンおよびPCメーカーの利益率を圧迫し、2026年から2027年の最終製品生産の下方修正につながる可能性がある。Samsung ElectronicsおよびSK Hynixが大規模な自社株買いと配当を実施すれば、韓国メモリ大手の株主還元とバリュエーション支援はさらに強化される。
リスク
- スポット価格の上昇は主に繁忙期前の駆け込み受注による可能性があり、最終需要がこれを吸収できなければ、価格モメンタムは急速に弱まる可能性がある。
- 2026年から2027年のメモリ不足および高い材料コストにより、スマートフォンおよびPCの生産削減につながる可能性がある。
- 業界の設備投資およびウエハー生産能力の拡大加速は、後に供給圧力を生む可能性がある。
- DRAMおよびNANDのASPは2028年にそれぞれ8%および14%低下すると予想され、業界の売上高と利益率は調整局面に入る可能性がある。
- HBM4の量産、認証、または歩留まり改善の進捗が期待を下回れば、AI需要による利益寄与が弱まる可能性がある。
- Samsung ElectronicsおよびSK Hynixの自社株買い・配当計画は、規模または時期の面で市場期待を下回る可能性がある。
- BofAメモリ指標の過去データの一部はバックテストに基づいており、異常な市場環境を受けて指標の上限も調整されているため、投資可能なベンチマークと見なすべきではない。
- リサーチ機関はカバレッジ対象の発行体と取引関係を有している可能性があり、潜在的な利益相反によってレポートの客観性が影響を受ける可能性がある。
注目点
- Kioxiaの第3四半期売上高が前期比約35%成長できるか、およびNAND ASPが20%近い上昇を達成できるか。
- 第4四半期にDRAMおよびNANDの業界平均価格がそれぞれ前期比8%および3%上昇できるか。
- NANDスポット価格の反発が二次顧客およびホワイトラベル顧客から大手ブランド顧客や契約市場へ広がるか。
- SK Hynixの第3四半期DRAM ASP回復およびHBM4出荷の進捗。
- Samsung Electronicsの自社株買い、特別配当、年末配当、従業員向け自己株式手配に関する公式発表。
- 韓国の半導体輸出、Nanya Techの売上高、BofAメモリ指標におけるその後の変化。
- DRAMおよびNAND需要に占めるAIサーバー、HBM、エンタープライズSSDの比率の変化。
- Wonik IPSのCVD受注、競争環境、業績予想修正、およびDuksan NeoluxにおけるOLED材料成長の実現。