Asia AI PCB and ABF substrate market レポート解説
Bernsteinは、AI関連PCBおよびABFサプライヤーで2Q26の売上高・利益率モメンタムが強いと報告した。今後のNVIDIAおよびGoogleプラットフォームにおける仕様高度化と、能力増強の遅れが、同社の建設的な業界見通しを支えている。
要約
Bernsteinは、AI関連PCBおよびABFサプライヤーで2Q26の売上高・利益率モメンタムが強いと報告した。今後のNVIDIAおよびGoogleプラットフォームにおける仕様高度化と、能力増強の遅れが、同社の建設的な業界見通しを支えている。
- 主要AI PCB企業の売上高は2Q26に前年比約45%、前四半期比18%増加した。
- ABF基板の売上高成長率は、出荷増とASP上昇に支えられ、前年比ほぼ50%まで加速した。
- MLPCBとHDIの供給は能力が2H27に立ち上がるまで逼迫する見込みで、追加ABF能力の大半は2028年に稼働する。
- BernsteinはUnimicron、Ibiden、AjinomotoをOutperformとし、目標株価はそれぞれNT$990、¥29,000、JPY7,300。
レポート解説
概要
本トラッカーは、アジアのAI関連PCB・ABF基板サプライチェーンにおける2Q26の業績、部材不足、2027–28年の能力計画をレビューする。Bernsteinの中心的な結論は、需要、製品ミックス、価格改善が供給の対応を上回るペースで進んでおり、2027年まで収益モメンタムを支えるというものだ。
主要見解
Bernsteinは、AI PCB市場が2Q26に加速したとみている。主要AI PCBサプライヤーの売上高は前年比約45%、前四半期比18%増加した。AI PCB/HDI企業ではShengyi、GCE、WUSが最も強い成長を示した。VGTの売上高は米ドルベースで前年比38%、前四半期比13%増加したが、新拠点の立ち上がり前の人件費と減価償却費の先行計上により、粗利益率は前四半期比で低下した。AI向け比率を高める新規サプライヤーもある。Deltonは売上高を前年比で倍増させ、粗利益率は41%に達し、汎用サーバーボードとASIC MLPCBの堅調な需要が寄与した。Zhen DingのIC基板およびサーバー/光トランシーバーPCB売上高は前四半期比40%増となり、2Q26売上高の23%を占め、1Q26の20%から上昇した。 レポートは、ABF基板の収益性トレンドが従来型PCBより強いとみている。Unimicron、Ibiden、Kinsus、Nan Ya PCBは、ASP上昇と製品ミックスの改善により、粗利益率が前四半期比で大幅に拡大した。主要ABFサプライヤーの売上高成長率は2Q26に前年比ほぼ50%まで加速し、CPU、GPU、ASIC、ネットワーキングチップ全般で需要が強い。主要サプライヤーの契約負債合計の増加は、受注の可視性と顧客コミットメントの改善を示すものと解釈されている。BernsteinはAI需要の加速に伴い、この勢いが2H26も続くと予想する。 需要の原動力は、次世代AIハードウェアに求められる性能の高度化である。NVIDIA Vera RubinとGoogle TPU v8の初期出荷は2H26に始まる予定で、2027年のPCB・基板需要を押し上げるとみられる。Bernsteinは、MLPCBの層数が約20層から30–44層へ増え、6+N+6 HDI設計の採用が広がり、M8グレード以上のCCLとHVLP-4銅箔の浸透が進む点を指摘する。例えばVR200はGB300と比べ、コンピュートトレイPCBが22層から26層のHDIへ、スイッチトレイPCBが22層から32層のMLPCB/HDIへ高度化する。TPU v8でもUBB PCBには36–40層のMLPCBが必要であり、TPU v7の28層から増加する。さらに、1.6T光トランシーバー出荷の増加は、より細い線幅・線間隔と高い配線密度を可能にするmSAP HDIへの移行を促している。 新たな投資サイクルにもかかわらず、Bernsteinは供給逼迫が続くとみる。業界全体のPCB設備投資は2026Eに70%増、基板業界の設備投資は約80%増が見込まれる。投資の多くは新工場建設に向けられるため、MLPCBとHDIの供給は能力が完全に立ち上がる2H27まで逼迫すると予想される。ABFメーカーは顧客の前払い、設備投資分担、長期契約を背景に積極的に拡張しているが、追加ABF能力の大半は2028年まで稼働しない見込みであり、市場は2027年まで逼迫する。Unimicronは2026年の設備投資予算をNT$19.4bnからNT$53.7bnへ引き上げ、2026年末までにABF能力を前年比40%増やすことを目指す。KaohsiungとYangmeiの拡張はそれぞれ2H27と2028年に立ち上がる予定である。主要ABFサプライヤーのFY26設備投資コンセンサスは年初から66%上昇した。 上流材料の制約は価格決定力をさらに支える。技術的障壁、歩留まり立ち上げ期間、設備供給の制約を理由に、T-glass、HVLP-4銅箔、高級CCLの不足は今後数四半期続くとレポートは予想する。Nittoboと二次サプライヤーが能力と歩留まりを高めることで、T-glass供給は1H27に改善する見込みである。一方、高級CCLは基板メーカーとPCBメーカーの双方が必要とするため、制約がより長く続く可能性がある。EMCは4Q26にGuanyin工場の立ち上げを開始し、2027年までに能力を50%増やす見通しを示している。TUCのタイ工場は3Q26に稼働開始予定で、翌年に総能力を45%拡張することを目標とする。 カバー対象企業について、Bernsteinは引き続き前向きな見方を示す。Unimicronの2025–2028年の売上高CAGRとEPS CAGRをそれぞれ33%と117%と予想し、原産地表示の調査は短期的なコンプライアンス上・投資家心理上の重荷ではあるものの、対象PCB/HDI製品は事業のごく一部であり、ABF供給も逼迫しているため、重大なファンダメンタルズ影響はないとみている。Ibidenについては、GPU、CPU、EMIB-T需要、高稼働率、高ASPに支えられ、3年間の売上高CAGRを33%、FY29/3Eの売上高を¥980bn、営業利益をFY26/3の¥62bnから¥344bnへ見込む。Ajinomotoの6月四半期のABFフィルム売上高と事業利益は54%と77%増加し、経営陣は需要成長と仕様高度化が9月四半期も続くと説明した。また、中国顧客向け供給を30%削減するとの報道を否定した。
分析フレームワーク
Bernsteinは、サプライヤーの四半期売上高、利益率、契約負債、顧客需要、技術仕様、部材供給状況、発表済みの能力増強計画を追跡している。会社開示、Bloombergコンセンサス、Prismark推計、チャネルチェック、自社推計を組み合わせ、AIハードウェアの要件をサプライヤーの収益、価格、能力立ち上げ時期に結び付けている。
手法メモ
PCB、HDI、ABF基板の需給分析
AI主導の需要成長と仕様高度化を、新規能力の時期および材料ボトルネックと比較し、価格、稼働率、利益率を評価している。
AIハードウェア仕様と材料への伝播
Bernsteinは、AIラックと光モジュールの高度化要件を、PCB設計、基板、CCL、銅箔、T-glassへと追跡し、サプライヤーの需要と収益性への影響を示している。
P/Eに基づく目標株価
Unimicron、Ibiden、Ajinomotoの目標株価は、記載されたP/E倍率と予想EPSに基づいて設定されている。
AjinomotoのDCFクロスチェック
BernsteinはAjinomotoの目標株価倍率を、8.5% WACCと3.5%の終価成長率を用いるDCFに基づく暗黙の評価と比較している。
AjinomotoのSOTPクロスチェック
レポートはAjinomotoの目標株価倍率との比較として、SOTP評価にも言及している。
資産マッピングと比較
投資テーゼから固有資産への構造化マッピング(強み、弱み、同業、リスク)。
- Unimicron (3037.TT)逼迫したABF供給とAI需要の恩恵を受ける、カバー対象のABF基板・PCBサプライヤー。
- 強み
- Bernsteinは2025–2028年の売上高CAGRを33%、EPS CAGRを117%と予想している。2026年末までにABF能力を前年比40%増やすことを目標としている。
- 弱み
- PCBとHDIは売上高のおよそ35%を占め、原産地表示に関する調査が短期的な重荷となっている。
- 比較
- IbidenおよびAjinomotoと並ぶ、カバー対象の主要ABFサプライヤー。
- リスク
- 競合の能力増強、HDI歩留まりと粗利益率の回復遅延、スマートフォン・PC稼働率の低下。
- Ibiden (4062.JP)GPU、CPU、EMIB-T需要に位置付く、カバー対象のABF基板サプライヤー。
- 強み
- 幅広い価格改善、新製品の高価格投入、高稼働率、高ASP。Bernsteinは今後3年間の売上高CAGRを33%と予想している。
- 弱み
- 設備投資の増加は減価償却負担を押し上げる可能性がある。
- 比較
- 大幅な前四半期比粗利益率拡大を記録したABFグループの一社。
- リスク
- 業界の供給過剰と価格圧力、NVIDIA製品での予想以上のシェア喪失、予想を上回る設備投資負担。
- Ajinomoto (2802.JP)需要増加と仕様高度化の恩恵を受ける、カバー対象のABFフィルムサプライヤー。
- 強み
- 6月四半期のABFフィルム売上高と事業利益はそれぞれ54%、77%増加した。経営陣は9月四半期まで勢いが続くと見込んでいる。
- 弱み
- 営業レバレッジは1.4xで、過去の1.5–1.7xレンジをなお下回り、レポートでは値上げ効果はまだ表れていないとしている。
- 比較
- ABF基板エコシステムに上流材料を供給する企業。
- リスク
- 単一のFunctional Materials生産拠点での供給網混乱、競合の能力増強、パッケージング技術進展による代替、中国MSG競争、Healthcareにおける価値毀損的M&A。
主要データ
- 主要AI PCBサプライヤーの売上高成長率c.45% YoY; 18% QoQ2Q26
- ABF基板の売上高成長率nearly 50% YoY2Q26、ASP上昇と出荷増に支えられた
- 業界全体のPCB設備投資成長率70%2026E
- 基板業界の設備投資成長率c.80%2026E
- Unimicronの売上高およびEPS CAGR33% and 117%2025–2028年予想
- Ibidenの売上高および営業利益予想¥980bn revenue; ¥344bn operating profitFY29/3E;営業利益はFY26/3の¥62bnと比較
- AjinomotoのABFフィルム売上高および事業利益成長率+54% and +77%6月四半期
影響と示唆
Bernsteinは、AI主導の仕様高度化、ASP上昇、受注可視性の改善、新規能力の立ち上がり遅延の組み合わせが、関連技術へのエクスポージャーを持つPCB・ABF基板サプライヤーに有利だと主張する。供給逼迫とそれによる収益支援は2027年まで続くと予想する一方、設備投資と材料供給が最終的には需給バランスを変えることも認識している。
リスク
- 競合による積極的なABF能力増強は、市場回復を鈍らせ価格圧力を生む可能性がある。
- 新規能力の立ち上がりにより、MLPCBとHDIの供給状況が予想より早く緩和する可能性がある。
- 材料不足、歩留まりの課題、設備制約が生産を妨げたり、利益率見通しを変えたりする可能性がある。
- Unimicronでは、原産地表示の調査が短期的な売り圧力をもたらす可能性がある。
- Ibidenでは、NVIDIAのシェア喪失、供給過剰、設備投資に起因する減価償却増が明示的な下振れリスクである。
- Ajinomotoでは、単一Functional Materials拠点での供給網混乱とBuild Up Film競争の激化が明示的なリスクである。
注目点
- NVIDIA Vera RubinとGoogle TPU v8の2H26における初期出荷、および2027年のPCB・基板需要への影響。
- MLPCB、HDI、mSAPの能力立ち上げペース、特に供給逼迫が2H27まで続くかどうか。
- 顧客の受注可視性を示す指標としてのABFサプライヤーの契約負債と能力コミットメント。
- T-glassの歩留まり改善と1H27の新規能力立ち上げ、ならびに高級CCL不足の持続。
- Unimicron、Ibiden、Kinsus、Nan Ya PCB、SEMCO、AT&Sを含む主要サプライヤーの設備投資計画の実行。
- ABFフィルム需要、価格、Ajinomotoの生産柔軟性に関する追加的な証拠。