レポート解説
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レポート解説Hilo Research

レポート解説

7月に日本の光ケーブル輸出数量は前年比37%増加し、光ファイバーの平均輸出価格は前年比95%上昇した。ゴールドマン・サックスは、データセンター建設の仕向地が変化しても光製品需要は堅調とみており、アジアのプロジェクトが米国ハイパースケール顧客のリソースの一部を吸収する可能性があると考えている。

機関ゴールドマン・サックス
ティッカー5801.T, 5805.T, 5803.T, 5802.T
業界日本の産業エレクトロニクス(光ファイバー、光ケーブル、データセンター向け電力設備)
格付け古河電気工業:買い;SWCC:買い;フジクラ:買い;住友電気工業:買い

要約

日本の光ファイバー輸出数量と価格シグナルが改善、アジアのデータセンター建設は加速へ

7月に日本の光ケーブル輸出数量は前年比37%増加し、光ファイバーの平均輸出価格は前年比95%上昇した。ゴールドマン・サックスは、データセンター建設の仕向地が変化しても光製品需要は堅調とみており、アジアのプロジェクトが米国ハイパースケール顧客のリソースの一部を吸収する可能性があると考えている。

全社買い推奨。12カ月目標株価は、古河電気工業¥6,400、SWCC¥16,700、フジクラ¥7,600、住友電気工業¥3,300。
日本産業エレクトロニクス光ファイバー光ケーブルアジアのデータセンター財務省貿易統計光部品電力設備EV/EBITDAバリュエーション
  • 7月の光ケーブル輸出数量は前年比37%増加した。
  • 7月の光ファイバー平均輸出価格は前年比95%上昇した。
  • 光ケーブル平均輸出価格は前年比23%低下したが、3カ月移動平均は上昇傾向を維持した。
  • 直近の第1四半期決算シーズンでは、光ファイバー企業は概して業績ガイダンスを引き上げた。
  • 本レポートは、米国のデータセンタープロジェクトに対する障害が、ハイパースケール顧客に一部リソースを一時的にアジアへ振り向かせる可能性があるとみている。
  • 古河電気工業、SWCC、フジクラ、住友電気工業はいずれも買い推奨を付与された。

レポート解説

概要

本レポートは、7月の光ファイバーおよび光ケーブルに関する日本の財務省貿易統計を起点とし、直近の第1四半期決算とアジアのデータセンタープロジェクトからの需要を組み合わせて、光製品のファンダメンタルズは引き続き堅調であると結論付けている。中心テーマは、光ケーブル輸出数量および光ファイバー価格の大幅な上昇、企業による広範な業績ガイダンス引き上げ、ならびにデータセンター建設リソースの一部が米国からアジアへ移行する可能性である。

主要見解

7月の日本の財務省貿易統計では、光ケーブル輸出数量が前年比37%増加し、光ファイバー平均輸出価格が前年比95%上昇したことが示され、数量と価格の改善を明確に示すシグナルとなった。光ケーブル平均輸出価格は前年比ではなお23%低下したが、3カ月移動平均は上昇を続けた。したがって本レポートは、単月の前年比低下をトレンド悪化とは解釈せず、直近の価格推移は依然として改善していることを強調している。 仕向地別および税関管轄別の内訳は、さらなる構造変化を示している。日本から米国へ輸出された光ファイバーおよび光ケーブルの平均価格はいずれも前年比で上昇した。税関管轄別では、東京および名古屋からの光ケーブル輸出額は前年比で減少した一方、平均価格は上昇した。日本の主要ケーブルメーカー3社の中核生産拠点は、フジクラが千葉、住友電気工業が横浜、古河電気工業が三重県にあり、それぞれ東京、横浜、名古屋の税関管轄に対応する。従って税関データはメーカーごとの生産地域における輸出トレンドの追跡に役立つが、輸出額と価格のトレンドは必ずしも完全には一致しない。 本レポートは貿易データを直近の第1四半期決算と照合している。光ファイバー企業は概して業績ガイダンスを引き上げており、強いファンダメンタルズを反映している。産業エレクトロニクス企業の決算も、光設備と電力設備の双方に対するアジアのデータセンタープロジェクトからの需要が増加していることを確認した。米国では生成AIデータセンターの建設への反対により、一部プロジェクトが停止または制限されている。本レポートは、米国のハイパースケール顧客が一部の建設リソースを一時的にアジアへ振り向ける可能性があり、同時に米国向け輸出部品への関税を部分的に回避できるとみている。重要な結論は、需要が消滅するのではなく建設の仕向地が変化するということであり、地理的分布が変化しても光関連製品の需要は堅調に推移するというものだ。光ファイバーメーカーに加え、本レポートは明電舎と富士電機について、電力設備事業のアジア売上へのエクスポージャーが比較的高いことから具体的に言及している。 企業別では、古河電気工業について、光製品販売数量の成長、製品ミックス改善と価格改定、水冷モジュールが下期から収益寄与を開始できるか、銅箔事業が競合他社に追随できるかに注目している。SWCCについては、SICONEXに加え、e-Ribbon販売拡大、光ケーブル構成比上昇、半導体コンタクトプローブの販売数量および製品ミックス改善が増分成長ドライバーとなる。フジクラは、直近の米国外プロジェクトのトレンドが継続できるか、水素および光ファイバー調達などの生産制約がどの程度緩和されるかを確認する必要がある。住友電気工業については、第1四半期の工場停止で失われた光部品生産量の回復と、InP基板および光部品の能力拡張投資の進捗に焦点を当てている。 バリュエーション面では、4社すべてに買い推奨と12カ月目標株価を付与した。古河電気工業の目標株価は¥6,400で、FY3/28E EV/EBITDAの20倍に相当する。このマルチプルは、国内外同業他社のEV/EBITDAとEBITDA成長率の関係に基づいて決定されている。SWCCの目標株価は¥16,700で、FY3/28E EV/EBITDAの11.5倍に相当し、グローバル同業他社のEV/EBITDAとEBITDAマージンの関係に基づく。フジクラの目標株価は¥7,600で、FY3/28E EV/EBITDAの25倍に相当し、同様に国内外同業他社のバリュエーションとEBITDAマージンの関係を参照している。住友電気工業の目標株価は¥3,300で、SOTPバリュエーションを用い、目標FY3/28E EV/EBITDAマルチプルとして13倍を適用している。 これらの結論に対する主な制約は、データセンター投資、供給、実行に関するリスクから生じる。主要製品の不足、プロジェクト収益性の低下、部品価格の上昇によって生成AIデータセンターが遅延または減速すれば、光製品、ケーブル、電力設備の需要はいずれも期待を下回る可能性がある。各社はまた、能力回復・拡張が予想を下回るリスク、競合他社の追随、原材料コストを転嫁できないリスク、自動車およびスマートフォンの最終需要低迷、海外投資の不十分な収益、為替変動などのリスクに直面している。従って、本レポートの楽観的な結論は、アジアのプロジェクトの継続、能力ボトルネックの緩和、高付加価値製品の販売数量および製品ミックスの改善が実際に収益へ転換されることに依存している。

分析フレームワーク

本レポートはまず、財務省貿易統計を輸出額、輸出数量、平均輸出価格に分解し、前年比・前月比の変化、3カ月移動平均、仕向地、税関管轄別にトレンドを検証する。次に、これらのトレンドを第1四半期の業績ガイダンスおよびデータセンタープロジェクトからの需要で照合し、需要の地理的シフトに関する評価を、各カバレッジ企業の製品、能力、事業エクスポージャーへと対応付ける。最後に、FY3/28E EV/EBITDA、同業他社の成長率またはマージンとの関係、SOTPバリュエーション手法に基づいて目標株価を設定する。

手法メモ

  • 業界/セクター分析フレームワーク数量・価格分解

    輸出額、輸出数量、平均輸出価格の分解

    本レポートは、輸出変化が需要数量、価格、またはその両方のいずれによって生じているかを判断するため、光ファイバーと光ケーブルの輸出数量および単価を別々に検証している。

  • サイクルおよび事業環境フレームワークその他

    3カ月移動平均

    本レポートは、光ケーブル平均輸出価格の月次変動を平準化するために3カ月移動平均を用い、これに基づき価格トレンドは上向きを維持していると指摘している。

  • バリュエーション手法EV/EBITDAバリュエーション

    FY3/28Eに基づく目標EV/EBITDA

    本レポートは4社のFY3/28E目標マルチプルを設定している。古河電気工業は同業他社のバリュエーションとEBITDA成長率の関係を参照し、SWCCとフジクラは同業他社のバリュエーションとEBITDAマージンの関係を参照し、住友電気工業には13倍の目標マルチプルを適用している。

  • バリュエーション手法SOTPバリュエーション

    住友電気工業のSOTPバリュエーション

    本レポートは、住友電気工業の多角化した事業構造に対してSOTPバリュエーション手法を用い、12カ月目標株価¥3,300を導出している。

資産マッピングと比較

投資テーゼから固有資産への構造化マッピング(強み、弱み、同業、リスク)。

  • 古河電気工業 (5801.T)
    光製品需要、販売数量の成長、製品ミックス改善、価格改定の恩恵を受ける一方、水冷モジュールは下期から収益に寄与すると見込まれる。
    強み
    光製品の強いファンダメンタルズに加え、水冷モジュール、銅箔などの分野で追加的な機会がある。
    弱み
    銅箔事業はなお競合他社への追随が必要であり、FFOCの業績は再び悪化する可能性がある。
    比較
    本レポートは、銅箔事業が競合他社に追随する進捗に注目している。
    リスク
    データセンター向け光製品の販売が予想を下回ること、AI投資の減速、HVDC受注不足、自動車生産およびコスト転嫁が予想を下回ること。
  • SWCC (5805.T)
    SICONEX、e-Ribbon、光ケーブル構成比の上昇、半導体コンタクトプローブの数量・価格構造改善が成長ドライバーとなる。
    強み
    製品ポートフォリオは、エネルギーインフラ、通信コンポーネント、半導体コンタクトプローブにまたがる。
    弱み
    マージン改善は、建設作業負荷の平準化、人員効率、価格環境に依存する。
    比較
    中国、インドなどの市場からの低価格光ケーブル製品との競争に直面している。
    リスク
    ケーブルおよび電力設備の需給が均衡へ向かうこと、販売価格低下、光ケーブル競争の激化、EV移行の鈍化、銅価格を転嫁できないこと、海外投資の不十分な収益、円高。
  • フジクラ (5803.T)
    ハイパースケール顧客の光需要および米国外のデータセンタープロジェクトのトレンドから恩恵を受ける。
    強み
    超高密度光ケーブルなど、データセンター向け光製品への事業エクスポージャーを有する。
    弱み
    生産は水素および光ファイバー調達などの要因による制約を依然受けている。
    比較
    超高密度光ケーブルにおける競合他社の追随を警戒する必要がある。
    リスク
    ハイパースケール顧客投資の収益化遅延、通信事業者による投資抑制の継続、スマートフォン市場の減速、自動車生産不足、為替変動。
  • 住友電気工業 (5802.T)
    第1四半期の工場停止で失われた光部品生産量を回復させ、InP基板および光部品の能力拡張を進める必要がある。
    強み
    光部品、情報通信、自動車、環境・エネルギーを含む複数の事業領域をカバーする。
    弱み
    操業停止後の生産を補うため、短期的な圧力に直面している。
    比較
    情報通信事業は超高密度光ケーブルにおける競合他社の追随に直面している。
    リスク
    自動車生産の減少、材料コスト転嫁の遅れ、ハイパースケール顧客の設備投資減速、プロジェクト遅延、高いエネルギー・原材料価格、為替変動。
  • 明電舎
    本レポートは、アジアのデータセンターからの電力設備需要の増加が同社事業に関連する可能性があると考えている。
    強み
    電力設備事業はアジア売上へのエクスポージャーが比較的高い。
  • 富士電機
    本レポートは、アジアのデータセンターからの電力設備需要の増加が同社事業に関連する可能性があると考えている。
    強み
    電力設備事業はアジア売上へのエクスポージャーが比較的高い。

主要データ

  • 7月の光ケーブル輸出数量前年比+37%日本の財務省貿易統計は、輸出数量の大幅な成長を示した。
  • 7月の光ファイバー平均輸出価格前年比+95%光ファイバーの輸出単価は大幅に上昇した。
  • 7月の光ケーブル平均輸出価格前年比-23%当月は前年比でなお低下したが、3カ月移動平均は上昇傾向を維持した。
  • 古河電気工業の目標株価とバリュエーション¥6,400;EV/EBITDA 20.0倍12カ月目標株価。FY3/28Eおよび国内外同業他社のEV/EBITDAとEBITDA成長率の関係に基づく。
  • SWCCの目標株価とバリュエーション¥16,700;EV/EBITDA 11.5倍12カ月目標株価。FY3/28Eおよびグローバル同業他社のEV/EBITDAとEBITDAマージンの関係に基づく。
  • フジクラの目標株価とバリュエーション¥7,600;EV/EBITDA 25.0倍12カ月目標株価。FY3/28Eおよび国内外同業他社のEV/EBITDAとEBITDAマージンの関係に基づく。
  • 住友電気工業の目標株価とバリュエーション¥3,300;EV/EBITDA 13.0倍12カ月目標株価。FY3/28Eに基づき、SOTPバリュエーション手法を用いる。

影響と示唆

本レポートは、貿易データと第1四半期の業績ガイダンスがともに、光製品需要のファンダメンタルズが堅調であることを示すと考えている。一部の米国データセンタープロジェクトが制限されても、需要が完全に消失するのではなく、建設リソースがアジアへ再配分されることで需要が移行する可能性があり、光ファイバー、光ケーブル、光部品、データセンター向け電力設備の供給企業を支える可能性がある。企業レベルでの実際の収益達成は、販売数量、製品ミックス、価格改定、能力回復・拡張、アジアのプロジェクトトレンドが継続するかどうかに引き続き左右される。

リスク

  • 古河電気工業:データセンター向け高マージン光製品の拡大、FFOCの業績、水冷および銅箔事業が期待を下回る可能性がある。AIデータセンター投資、ケーブル需要、HVDC受注、自動車生産も減速する可能性があり、原材料価格上昇を転嫁できない可能性もある。
  • SWCC:日本のケーブルおよび電力設備の需給が均衡へ向かうことで販売価格が低下する可能性がある。建設・人員効率の改善が遅れる可能性があるほか、低価格輸入光ケーブル、最終需要の弱さ、EV移行の鈍化、銅価格、海外投資の収益、円高もリスクとなる。
  • フジクラ:ハイパースケール顧客投資の収益化が遅延する可能性があり、通信事業者が投資を引き続き制限する可能性がある。また、超高密度光ケーブルでの競争が激化する可能性があり、スマートフォン、自動車生産、為替も不利に働く可能性がある。
  • 住友電気工業:自動車生産とコスト転嫁、ハイパースケール顧客の設備投資および在庫調整、光ケーブル競争、電力プロジェクトの進捗、クリーンエネルギー戦略からの寄与、産業用工具需要、エネルギー・材料コスト、為替はいずれも期待を下回る可能性がある。

注目点

  • 古河電気工業の光製品販売数量、製品ミックス、価格改定、下期から始まる水冷モジュールの収益寄与、銅箔事業での追随進捗。
  • SWCCのSICONEXおよびe-Ribbon販売、光ケーブル構成比、半導体コンタクトプローブの販売数量および製品ミックス改善。
  • フジクラの米国外プロジェクトのトレンドが継続するか、水素および光ファイバー調達などの生産制約がどの程度緩和されるか。
  • 住友電気工業が第1四半期の操業停止で失われた光部品生産量を回復できるか、InP基板および光部品の能力拡張がどの程度進むか。

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