Optical devices, optical fiber and indium phosphide substrates for data-center scale-up レポート解説
野村は、ラック内の銅リンクを光接続に置き換えるscale-upが新規需要を生み、CPOとNPOの双方を支えるとみている。NPO需要は、Lumentumの従来予想より約1年早い2027年後半から2028年初めに始まる可能性がある。
要約
野村は、ラック内の銅リンクを光接続に置き換えるscale-upが新規需要を生み、CPOとNPOの双方を支えるとみている。NPO需要は、Lumentumの従来予想より約1年早い2027年後半から2028年初めに始まる可能性がある。
- Lumentumは、短期的な事業機会はCPOよりNPOの方が大きく、NPOの導入は2027年後半から2028年初めに始まる可能性があるとみている。
- Scale-upは既存トランシーバーを単に置換するのではなく、ラック内の銅リンクを光接続に置き換えることで、光デバイス・ファイバー供給企業に追加需要を生む。
- 野村は、Sumitomo Electric、Furukawa Electric、Fujikuraへの機会に加え、Sumitomo ElectricとJX Advanced MetalsへのInP基板需要の可能性を強調している。
- ラック内配線が全て光化すれば、GPU当たりのファイバーは10xに増加する可能性がある。
レポート解説
概要
野村は、AIデータセンターにおける光スケールアップが光デバイスとインジウムリン基板の需要を前倒しする可能性を検討している。中心的な見方は、NvidiaのCPO方式に対抗する企業によるNPO採用が、2027年後半から2028年初めにかけて追加需要を生み、日本の電線・ケーブル・材料サプライヤーに恩恵をもたらすというものだ。
主要見解
野村の中心的な主張は、scale-outとscale-upを区別すべきだという点である。scale-outは既存の光トランシーバー接続をCPOに置き換えるもので、高付加価値かつ高密度の光リンクとなるため、引き続き需要を支える。これに対しscale-upは、ラック内の銅接続を光接続に置き換える。従って野村は、CPOかNPOかを問わず、scale-upが光デバイスとファイバーに対する全く新しい需要を生むとみている。 日本の電線・ケーブル株がCPO導入の遅れへの懸念から調整した後、野村はLumentum、Coherent、Applied Optoelectronicsの8月のコメントを材料としている。Coherentは、需要の顕在化が3カ月前の予想より早まるとみており、CPO需要の後ずれは全く見られず、むしろ顧客の要求は前倒しされていると述べた。Lumentumは、Nvidiaが長期契約を通じてCPO部品を大量に確保しており、これが他社のNPOに対する見方を強めている一因だとした。 Lumentumの8月27日の説明会が野村の論拠における重要な触媒である。同社は、短期的にはCPOよりNPOの方が事業機会が大きい可能性があるとし、NPO需要の開始予想を従来の2028年後半または2029年初めから、2027年後半から2028年初めへ引き上げた。野村はこれを、Nvidia主導のCPOに対抗する顧客による競争起点の採用と解釈している。Lumentumはまた、scale-up市場が2028年に立ち上がり、CPOが主にNvidia向けで約半分、残りを他顧客向けNPOが占めると予想した。scale-upではGPU当たりのレーザー数がscale-outの5–10xになる可能性があるとも述べた。 野村は、CPOでは半導体チップと光エンジンを同一パッケージに搭載する一方、NPOでは光エンジンをチップパッケージ外ながら近接配置すると説明する。NPOはCPOよりやや低出力のCW-LDで対応でき、光エンジンとGPU間の銅配線はより長く残るが、従来ラック内で全て銅だった接続の一部を光リンクへ置き換える。この仕組みにより、CPOとNPOは相互排他的な需要シナリオではなく、いずれも光デバイスとファイバー需要を支えるとみている。 レポートは、地理的に分散したデータセンター間を結ぶデータセンター相互接続であるscale-acrossも、過小評価されている需要源と位置付ける。Lumentumは、データセンターの電力制約に対応する小規模発電設備の建設やデータセンターの地理的分散とこの機会を結び付けている。野村は、長距離伝送に使われ高い市場シェアを持つSumitomo ElectricのiTLAにも追加的な機会があるとみる。 日本サプライヤーについて野村は、CPOとNPOの拡大によりSumitomo Electric、Furukawa Electric、Fujikuraに大きな機会があるとみている。Sumitomo Electricの高出力CW-LDは5月22日の説明会時点で最終サンプル認定段階にあり、FY2027/3末にパイロット出荷、FY2028/3に立ち上がりを予定していた。野村は同社の機会が光デバイスにとどまらず、光IC接続部品、NPO需要、scale-across用途にも及ぶと考える。レポートは、同社がNvidiaおよび複数の他顧客と協議していることにも触れている。 InP基板の供給可能性は、独立した需要・供給網の論点である。Lumentumは、日本のサプライヤーおよびAXTとの長期契約だけでは供給が足りない可能性があるため、InP基板サプライヤーを継続的に探していると述べた。野村はこれをSumitomo ElectricとJX Advanced Metalsにとっての潜在的な新機会とみる。Sumitomo Chemicalは8月31日にInPエピウェハの量産・販売開始を発表し、2030年代半ばまでに約¥10bnの売上を目指す。野村は、FY2026/3のコア営業利益¥208.4bnに比べ同社全体への利益影響は限定的とみる一方、この立ち上げは業界全体での安定したInPエピウェハ調達需要の証拠だと捉える。Sumitomo Chemicalからの確認はないものの、JX Advanced Metalsがその生産向けにInP基板を供給している可能性を推定している。 野村のデータセンター需要の整理は、この機会の規模を示している。GPUクラスターが130,000基を超えると、クラスター拡大によりファイバー・配線材料の必要量は約1.5x増加し得る。400Gから3.2Tへの帯域幅移行は、レーザー技術によってファイバー必要量を2–4x増やし得る。また、ラック内配線を全て光化すれば、GPU当たりのファイバーは現状の約10x必要になる可能性がある。レポートはさらに、受動フォトニクスの機会が2030年までに$10bnに達する可能性があるというCorning資料を引用している。
分析フレームワーク
野村は、直近の企業決算・投資家説明会でのコメント、発表済みの長期契約、光デバイス、ファイバー、レーザー部品、InP基板のサプライチェーン分析を組み合わせている。CPO、NPO、scale-out、scale-up、scale-acrossの需要への影響を比較し、こうしたアーキテクチャの変化を日本の特定サプライヤーと生産時期に結び付けている。
手法メモ
光部品の需要・供給分析
レポートは企業の需要見通し、顧客契約、生産計画、基板調達に関するコメントを用い、需要がいつ顕在化し、供給制約がどこで機会を生み得るかを評価している。
光デバイスとInP基板のサプライチェーン分析
野村は、データセンターにおける光化が、光デバイス、ファイバー、接続部品、エピウェハ、InP基板を通じて日本のサプライヤーに波及する経路を追跡している。
ファイバーと光リンク量の需要要因
レポートは、GPUクラスター規模、帯域幅移行、銅リンクから光リンクへの転換といった要因を分け、必要なファイバー量と光接続量の変化を推定している。
資産マッピングと比較
投資テーゼから固有資産への構造化マッピング(強み、弱み、同業、リスク)。
- Sumitomo Electric Industries [5802]野村は、CPO・NPO向け光デバイス、光IC接続部品、InP基板、scale-across伝送から大きな機会があるとみている。
- 強み
- 高出力CW-LDは最終サンプル認定段階にあり、iTLAで高いシェアを持ち、Nvidiaなどの顧客と協議している。
- 弱み
- CPO向け光デバイスのサンプル認定は、米国競合よりやや遅れている印象を与えた。
- 比較
- 野村は同社の光デバイス機会をLumentumやCoherentなど米国サプライヤーと比較している。
- リスク
- CPO・NPO展開の時期、および認定・顧客協議を量産出荷に転換できるかどうか。
- Furukawa Electric [5801]CPO、NPO、データセンター拡張に伴う光デバイス、ファイバー、ケーブル需要の増加による受益が期待される。
- 強み
- 野村は、CPO・NPO関連の光採用増加から大きな機会を得る日本の電線・ケーブル3社の一社に挙げている。
- 比較
- Sumitomo Electric、Fujikuraと並ぶ日本の電線・ケーブル受益企業として扱われている。
- リスク
- 需要時期はデータセンターでの光アーキテクチャ導入ペースに左右される。
- Fujikura [5803]データセンター接続の光化に伴う光ファイバー・ケーブル需要の増加による受益が期待される。
- 強み
- 野村は、CPO・NPO関連需要に対応できる日本の電線・ケーブル3社の一社に挙げている。
- 比較
- Sumitomo Electric、Furukawa Electricと並ぶ日本の電線・ケーブル受益企業として扱われている。
- リスク
- 需要時期はデータセンターでの光アーキテクチャ導入に依存する。
- JX Advanced Metals [5016]InP基板需要の増加、およびSumitomo ChemicalのInPエピウェハ生産への供給可能性による受益候補。
- 強み
- 磯原工場および日立那珂工場でInP基板の生産拡大を計画している。
- 弱み
- Sumitomo Chemicalへの供給可能性は、企業確認ではなく野村の推定である。
- 比較
- 追加的なInP基板需要に対応する可能性のある日本サプライヤーとしてSumitomo Electricと比較されている。
- リスク
- サプライヤー関係と需要の実現は未確認のままである。
主要データ
- NPO需要の時期Late 2027 through early 2028Lumentumの従来の2028年後半または2029年初めという予想に対する改定見通し。
- Scale-up市場の時期2028Lumentumは市場がこの時期に始まり、CPOが約半分、残りをNPOが占めると予想している。
- Scale-upにおけるGPU当たりレーザー数5–10x scale-out野村が引用したLumentumの推定。
- ラック内配線を完全に光化した場合のGPU当たり光ファイバー量10x current level野村によるCorning説明会資料の提示。
- 400Gから3.2Tへの帯域幅移行に伴うファイバー増加2–4x使用する単一波長レーザー技術に依存する。
- Sumitomo ChemicalのInPエピウェハ売上目標Around ¥10bn by the mid-2030s8月31日に発表。
- Sumitomo Chemicalのコア営業利益¥208.4bn in FY2026/3野村はこれを用いてエピウェハ事業のグループ利益への影響を限定的と評価している。
- 受動フォトニクスの機会$10bn by 2030Corning資料で示された潜在的な新規事業機会。
影響と示唆
野村は、ラック内で銅リンクから光リンクへ移行することで、従来のscale-outを超えて市場規模が拡大すると考えている。NPOを特に重要な短期の追加需要ルートとみる一方、scale-acrossは長距離伝送の機会を加え得る。安定したInP基板調達は、この拡大を支える重要な要件として示されている。
リスク
- CPO・NPOの導入や普及が予想より遅れれば、見込まれる光需要の拡大は後ずれする可能性がある。
- Lumentumは、日本のサプライヤーおよびAXTとの既存長期契約ではInP基板の供給が不足する可能性を示しており、供給確保が制約となることを浮き彫りにしている。
- JX Advanced MetalsとSumitomo Chemicalの関係を含む野村の推定上の供給網は、企業により確認されていない。
注目点
- Lumentumが2027年後半から2028年初めにかけて見込むNPO導入の進展。
- Sumitomo Electricが予定するFY2027/3末のパイロット出荷とFY2028/3の立ち上がり。
- Lumentum、Coherent、Applied Optoelectronics、Corning、AXTによる光デバイス・InP基板需要に関する更新。
- ハイパースケーラー、光サプライヤー、基板生産者の間で新たに締結される光製品・原材料の長期調達契約。