Global financial hybrid capital:BarclaysはAT1と銀行T2のバリュエーション逼迫を受け、企業ハイブリッドと保険T2を選好
利回り主導の強い需要が、特に欧州AT1を中心にハイブリッド資本のリターンを支えたが、Barclaysは好調だった銀行ハイブリッドのbetaおよび下方リスクへの補償は弱いとみる。同社は企業ハイブリッド、保険T2、銀行資本の短期ゾーン、個別債取引を含む、より選別的な相対価値・ストラクチャー重視のポジショニングを選好する。
要約
利回り主導の強い需要が、特に欧州AT1を中心にハイブリッド資本のリターンを支えたが、Barclaysは好調だった銀行ハイブリッドのbetaおよび下方リスクへの補償は弱いとみる。同社は企業ハイブリッド、保険T2、銀行資本の短期ゾーン、個別債取引を含む、より選別的な相対価値・ストラクチャー重視のポジショニングを選好する。
- 欧州AT1の年初来超過リターンは3.2%で、B格クレジットの2.0%を上回った。
- 企業ハイブリッドはハイブリッド資本内でbeta当たりリターンが最良で、保険T2は最も有利な下方リスク特性を示す。
- €AT1は5年beta調整後で€銀行T2に対して13bp超割高である。
- Barclaysは引き続きユーロAT1よりドルAT1をわずかに選好する。
- 欧州保険T2は5年beta調整後でRT1に対して約16bpワイドで取引されている。
- 米国地方銀行ハイブリッドはBig 6および保険会社より魅力的にスクリーニングされる。
レポート解説
概要
本グローバル・ハイブリッド資本レポートは、欧州の銀行・保険・企業ハイブリッドと米国金融ハイブリッドの相対価値を評価する。Barclaysは、利回り支援と堅調なファンダメンタルズがパフォーマンスを維持した一方、タイトなバリュエーションには選別が必要であり、企業ハイブリッドと保険T2はAT1と銀行T2より前方のリスク・リターンが良いと論じる。
主要見解
年初来のマクロ環境は、中東紛争に起因するエネルギーショック、より高く変動の大きい金利、底堅い世界成長、抑制されたクレジットスプレッドが特徴である。この変動の中でも、ハイブリッド資本は高いオールイン利回りによる需要を主因として、同等の投資適格シニア債を上回った。欧州AT1は最も強く、年初来超過リターンは3.2%、B格クレジットは2.0%、BBは1.3%だった。企業ハイブリッドは記録的供給下で0.9%、銀行T2と保険T2はそれぞれ0.8%と0.5%だった。Barclaysは、今年の好調は2025年のファンダメンタルズ主導のスプレッド縮小ではなく、主に利回り需要主導と考える。 前方のクロスクレジット枠組みでは、直近の好パフォーマーへの評価はより厳しい。同社は、1年期待キャリーとロールダウンをユーロ投資適格クレジットに対する5年スプレッドbetaと比較し、€100,000の期待リターンを生むポジションについて、スプレッドが3月の米イラン売り局面のワイド水準に戻った場合の下方P&Lを測る。AT1は欧州クレジットでbetaリスクへの補償が最も低く、下方特性も最も弱い。銀行T2はわずかに良いだけである。保険T2はより良いbeta補償と最も有利なストレス時リスク・リターンを示し、企業ハイブリッドはbeta当たり最高のリターンと低い下方リスクを提供する。このためBarclaysは、銀行ハイブリッドより企業ハイブリッド、次いで主にT2である保険ハイブリッドを選好する。 欧州銀行のファンダメンタルズは、収益性、強靭な資産品質、有利な供給テクニカル、利上げによる収益性のさらなる支援可能性により強いままである。しかしAT1と銀行T2のスプレッドは新たなタイト水準に回復しており、利回り重視の買い手とスプレッド重視の投資家で評価が分かれる。€AT1スプレッドは年初来約33bp縮小した一方、基礎金利上昇により利回りは約77bp上昇した。絶対的な€AT1–T2スプレッド差は115bpで歴史的低水準付近にあり、beta調整後では€AT1は€T2に対し13bp超リッチで、5年観測の70th percentileにある。BarclaysはドルAT1をユーロAT1よりわずかに選好する。ユーロAT1のbeta調整後の割高は約14bpにとどまるが、従来のFXヘッジ後利回り優位性はほぼ消滅した。1s3sがよりスティープであり、長い年限より金利変動へのエクスポージャーを抑えつつキャリーとロールダウンを得られるため、AT1・T2ともカーブのフロントエンドを選好する。 AT1の中心的懸念はエクステンションリスクである。平均リセット・マネーネスが大きく低下したにもかかわらず、低いリセットスプレッドへの追加補償は小さく、エクステンションリスク・プレミアムは歴史的低水準にある。新発AT1のリセットスプレッドは歴史的低水準に圧縮され、案件間のばらつきも急低下した。Barclaysは今後3年は比較的良好とみる一方、約2029年以降はリセット経済性が悪化し、懸念が大きいと指摘する。同社は、有利なスプレッド環境がテンダー利用と機会的発行を促すとみて、2026年のAT1グロス発行予想を€32bnから€40bnへ引き上げた。年初来AT1供給は前年比20%減である。資本イベント条項や潜在的な負債管理が、既存AT1を初回コール時のバレット化にとどまらない差別化された結果をもたらし得るため、規制変更は注視事項である。 欧州保険セクターのファンダメンタルズは、強靭な収益、堅固な資本、投資収益の上昇に支えられ安定的とされる。セクターの中央値ソルベンシー比率は第2四半期に220%超で、2027年からのSolvency IIレビューにより主に10–20%のソルベンシー水準上昇と証券化投資の資本要件低下が見込まれる。Barclaysはプライベートクレジットのエクスポージャーをセクター全体では管理可能とみる。欧州保険会社のプライベート資産は€1.185tn、総資産の約11%で、うちプライベートクレジットは€523bn、総資産の約5%である。不動産エクスポージャーは€640bn、ユニットリンク以外の投資の9.2%で、2022年の10.4%から低下したが、金利上昇局面では注視対象である。保険T2は銀行T2に対しても自己資本構成内でも割安で、5年beta調整後ではRT1に対し約16bpワイドである。M&Aと資本配分はリスクであり、デンマーク・コンプロマイズの規制明確化と借換えにより、年初来€9.5bnの高いネットT2供給が2027年まで続く可能性がある。 欧州銀行の個別銘柄では、BarclaysはCommerzbank資本商品を重視し、UniCreditによる買収で単一エントリー型破綻処理戦略が維持される場合でも、独立戦略の場合でも、有利な上方非対称性があるとみる。CMZB AT1・T2の買いとCMZB劣後CDSの売りを推奨する。CMZB 6.25% 33cは約6.6%YTCで、UniCredit 5.8% 35cの約6.5%YTCと比べられる。他の相対価値案には、約7.4%YTCでUBS、HSBC、Lloydsの比較AT1より1ノッチ高格付けのSEB $6.75% 34cの買い、Belfius €6.125% 31cからSociété Générale €6% 31cまたはBanco Sabadell 6.5% 31cへのスイッチ、高リセット構造の選好、初回コールが近いテンダー候補の買いがある。Barclaysは、1H26に€122bnの食品・農業向け融資エクスポージャーを有し、肥料、地政学、気候関連リスクがあるRabobankには慎重である。 レポートは専有のAT1および銀行T2モデルも用い、公正価値に対してリッチまたはチープな債券を特定する。両モデルは、テナー、格付け、通貨、地域、銀行規模を統制するマルチリニアな横断面z-spread-to-callモデルである。AT1モデルはエクステンションリスクの価格付けを捉えるため、理論的10年シニアスプレッドに対するリセットスプレッドとしてリセット・マネーネスを加える。T2モデルは、規制上の償却がコール誘因を固定するため、コーラブル対バレットの指標を使う。過去検証では、以前にモデル対比でワイドだった債券はその後タイト化し、タイトだった債券はワイド化した。Barclaysは、現在のモデル残差、1週間の残差モメンタム、各債券の2年履歴に対する残差で機会を順位付けする。 米国ハイブリッドでは、年初来総供給は$94bnで前年比2%増だが、金融発行は14%減である。銀行発行は18%減、生命保険は51%減、損害保険は33%減で、非金融発行が市場全体を押し上げた。Barclaysのセクタースクリーンでは金融会社と地方銀行が最も魅力的で、保険は最も不利である。地方銀行ハイブリッドは最も強い相対価値特性を提供する一方、Big 6銀行はより強いリセット保護を提供するが、ハイブリッド対シニアのピックアップは弱い。金融会社はキャリー効率で首位であり、保険は中央値未満の利回りとリセット保護に加え、市場最長の4.9 yearsのデュレーションを持つ。
分析フレームワーク
Barclaysは、トップダウンのマクロ・需給分析と、キャリー、ロールダウン、beta調整後スプレッド、ストレス下の下方リスクによるクロスクレジット比較を組み合わせる。次に、発行体ファンダメンタルズ、資本構成、規制分析を個別取引案に適用し、比較可能な特性に対して債券をスクリーニングする定量的AT1・銀行T2価格モデルで補完する。
手法メモ
beta調整後スプレッドと相対価値分析
レポートはハイブリッドのスプレッドを比較可能なクレジット区分と比較し、ユーロ投資適格スプレッドへの過去の感応度で調整して、見かけ上の割高・割安が正当化されるか判断する。
キャリー・ロールダウン対下方リスクの枠組み
Barclaysは、期待キャリーとロールダウンを、スプレッドbetaおよびスプレッドが3月の米イラン売り局面のワイド水準に戻る場合のシミュレーション損失と比較する。
横断面AT1・銀行T2 z-spreadモデル
モデルはテナー、格付け、通貨、地域、銀行規模などで公正スプレッドを推定し、該当する場合にはAT1のリセット・マネーネスまたはT2のコーラビリティを組み込む。
資産マッピングと比較
投資テーゼから固有資産への構造化マッピング(強み、弱み、同業、リスク)。
- Commerzbank capital instruments (CMZB)BarclaysはCMZB AT1・T2の買いとCMZB劣後CDSの売りを選好し、UniCreditのM&Aシナリオまたはより強い独立戦略での上方余地を指摘する。
- 強み
- UniCredit取引で単一エントリー型破綻処理戦略が維持されれば、スプレッドはよりタイト化する可能性がある。独立戦略はクレジットにプラスとされる。
- 比較
- CMZB 6.25% 33cはc.6.6% YTC、UniCredit 5.8% 35cはc.6.5% YTC。
- リスク
- M&A防衛策が独立戦略を損なう可能性がある。
- SEB $6.75% 34c推奨されるAT1相対価値の買い。
- 強み
- c.7.4% YTCで、UBS、HSBC、Lloydsの比較対象より1ノッチ高格付け、かつSEBの2031年債に対して約60bpのスプレッド上乗せがある。
- 比較
- UBS、HSBC、LloydsのAT1と比較。
- European insurance T2s相対価値と下方リスクの指標で選好されるハイブリッド区分。
- 強み
- 安定したファンダメンタルズ、高いソルベンシー、5年beta調整後でRT1に対する約16bpの割安さ。
- 弱み
- 銀行より高いプライベートクレジットおよび不動産エクスポージャー。
- 比較
- 銀行T2に対しても、保険会社の資本構成内のRT1に対しても割安にみえる。
- リスク
- M&A活動、不動産エクスポージャー、より高いネット発行。
- US regional-bank hybridsBig 6銀行および保険ハイブリッドより魅力的にスクリーニングされる。
- 強み
- 強いハイブリッド対シニアの相対価値と有利な総合セクター順位。
- 弱み
- 中央値未満の利回りにより、キャリーより相対価値に基づく提案となる。
- 比較
- レポートのセクタースクリーンではBig 6銀行と保険を上回る。
- リスク
- 金利変動と潜在的なAI破壊への局所的懸念。
主要データ
- 欧州AT1の年初来超過リターン3.2%BBの1.3%、Bの2.0%を上回る。
- €AT1スプレッド縮小c.33bp YTD基礎金利上昇の中で利回りはc.77bp上昇した。
- €銀行T2に対する€AT1の相対価値Over 13bp rich5年beta調整後で、観測値の70th percentileにある。
- AT1グロス発行予想€40bnテンダー利用と機会的発行を見込み、€32bnから引き上げた。
- 欧州保険会社のプライベート資産€1.185tn総資産の約11%;プライベートクレジットは€523bn、総資産の約5%。
- 欧州保険セクターの中央値ソルベンシー比率Above 220%Q2時点。2027年のSolvency IIレビューにより主に10–20%のソルベンシー水準上昇が見込まれる。
- 米国ハイブリッド供給$94bn YTD前年比2%増だが、金融発行は14%減。
影響と示唆
Barclaysは、高い利回りがハイブリッド需要を支え続ける一方、圧縮されたスプレッドは広範な市場betaエクスポージャーの魅力を弱めるとみる。選好するポジショニングは、企業ハイブリッド、保険T2、選別的なドルAT1、フロントエンド構造、ファンダメンタルズ・資本構成・規制触媒がより良い非対称性をもたらす発行体固有の機会を重視する。
リスク
- 持続する米イラン緊張と高いエネルギー価格に伴う再度のリスクオフは、クレジットスプレッドをワイド化させる可能性がある。
- リセット経済性が悪化しているにもかかわらず、AT1エクステンションリスク・プレミアムは低く、特に約2029年以降の長期構造で懸念される。
- 潜在的なAT1規制改革、資本イベント条項、負債管理は、債券保有者に不利な差別化された結果をもたらす可能性がある。
- 欧州銀行は依然としてソブリン関連のテールリスクに脆弱である。
- 欧州保険会社のプライベートクレジットおよび不動産エクスポージャーは、金利上昇時に注視を要する。
- M&Aやその他の企業行動は、保険・銀行資本商品のイベントリスクとなり得る。
注目点
- AT1規制改革案と、コール、資本イベント、負債管理の結果への潜在的影響。
- Barclaysが2026年のグロス発行予想を€40bnへ引き上げた後のAT1発行、テンダー、コール活動。
- ユーロAT1のFXヘッジ後利回り支援がドルAT1より弱い状態が続くか。
- 2027年からのSolvency IIレビューと、保険会社の資本比率・発行需要への影響。
- デンマーク・コンプロマイズ明確化の影響を含む欧州保険T2の供給。
- CommerzbankまたはAlpha Bankを含む潜在的なUniCredit取引の進展。