レポート解説
両社ともBuy評価を維持するが、HSBCはNaverの目標株価をKRW370,000へ引き下げ、KakaoをKRW60,000で選好する。レポートはKakaoのコアプラットフォームにより直接的な利益支援を見込む一方、NaverのAIインフラ機会はより長期的で実行に依存するとみる。
要約
HSBCは、KakaoのTalk主導のマージン回復がNaverの投資負担の大きい2H26と対照的であるため、NaverよりKakaoを選好する。
両社ともBuy評価を維持するが、HSBCはNaverの目標株価をKRW370,000へ引き下げ、KakaoをKRW60,000で選好する。レポートはKakaoのコアプラットフォームにより直接的な利益支援を見込む一方、NaverのAIインフラ機会はより長期的で実行に依存するとみる。
- Naverの2Q26営業利益はKRW520bnでBloombergコンセンサスを8%下回り、営業マージンは15%へ低下した。
- HSBCは、コマース、フィンテック、AIへの支出増により、Naverの2H26営業マージンが2H25の18.6%から16%になると予想する。
- Kakaoの2Q26営業マージンは13%に改善し、HSBCは2H26の営業利益が前年同期比26%増になると予想する。
- HSBCはNaverのB2B AIインフラの方がKakaoのB2C AIエージェントより収益化の可視性が高いとみる一方、インフラの稼働率とコンピューティングコストのリスクを指摘する。
- Kakaoは2027e P/E 18.5xで取引され、2026e-27eに前年同期比20%-30%の営業利益成長が見込まれる。
レポート解説
概要
HSBCは2Q26決算後のNaverとKakaoを比較し、コア事業の収益性とAI戦略の乖離に焦点を当てる。両社のBuyを維持する一方、Talkプラットフォームとコスト構造が利益成長を支えるとみてKakaoを選好し、NaverのAIインフラ機会はより長期的で実行に依存すると位置付ける。
主要見解
HSBCは、AI施策がなお発展途上にある間はコア事業の収益性が重要だという観点から両社を比較している。Naverの2Q26営業利益はKRW520bnで前年同期比横ばい、Bloombergコンセンサスを8%下回った。コマースとフィンテックへの投資に伴う想定以上のコストにより、営業マージンは前年同期比3 percentage points低下して15%となった。これに対しKakaoの営業マージンは13%で、前年同期比2 percentage points改善した。HSBCはこの差が2H26も続くとみており、Naverの営業マージンは2H25の18.6%から16%へ、Kakaoは営業利益が前年同期比26%増、営業マージンが前年同期比1.7 percentage points上昇して12.7%になると予想する。 Naverについて、HSBCはファストデリバリーの販売者支援、Tossとのオフライン決済端末競争、AIサービスへの支出増が短期的な収益性を圧迫すると見込む。2Q26売上高はKRW3,389bnで前年同期比16%増だったが、営業費用は20%増加し、マーケティング費用は前年同期比25%増となった。HSBCは2026eの売上高をKRW14,064bn、営業利益をKRW2,249bn、営業マージンを16%と予想する。営業利益予想は2026e-28eでそれぞれ7%、5%、4%引き下げる一方、売上高予想は約1%引き上げた。 NaverのAI戦略はB2B AIインフラの運営であり、HSBCはAI技術の進展に伴って需要が明確になるため、消費者向けAIエージェントより収益化しやすいとみる。設備容量計画は現状の85MWから2028年に375MW、2029年に643MW、2030年に1,010MWへ拡大する。HSBCはインフラの年間収益を2027eにKRW0.5trn、2028eにKRW2.6trn、2029eにKRW6.1trn、2030eにKRW11.8trn、2031eにKRW18.0trnと見積もる。ただしAIインフラにはコンピューティングコストと稼働率のリスクがあり、Naverがフルキャパシティ契約を確保するまで、この機会が十分に織り込まれるとは予想していない。また、Naverが開示した拡張ロードマップは同年までであるため、2028年の評価基準年が最も高い可視性を持つと指摘する。 Kakaoの戦略はGPT-in-Talkを含むB2C AIエージェント市場に重点を置くが、HSBCは韓国の利用者がスタンドアロン型アプリを好むことから、ユーザー獲得と収益性に課題があるとみる。Naverとは異なり、KakaoはAI関連コストの大幅な増加には直面しないが、収益化は依然不確実である。HSBCは、4Q25のプラットフォーム刷新、コスト構造の改善、非中核・低マージン資産の売却により、コアTalk事業が恩恵を受けると予想する。2Q26のKakaoは売上高KRW2,098bn、前年同期比9%増、営業利益KRW277bn、前年同期比36%増を計上し、営業利益はコンセンサスを22%上回った。HSBCは2026eの売上高をKRW8,402bn、営業利益をKRW1,042bn、2027eの営業利益をKRW1,285bnと予想する。 HSBCの評価はKakaoへの選好を支持するが、NaverについてもBuyを維持する。Naverでは広告、コマース、金融プラットフォーム、Webtoon Entertainment、EnterpriseにSOTPを適用する。広告価値はKRW18.2trnからKRW14.8trnへ引き下げる一方、目標P/Eは11.3xに据え置く。コマースは、2026e-27e平均GMVのKRW66trnに0.29xのEV/GMV倍率を適用し、KRW19.5trnと評価する。Enterpriseは、2028eの設備容量290MWに対してKRW62bn EV/MWを適用し、KRW77.6bnの同業他社参照値から20%ディスカウントして、KRW10.4trnからKRW9.4trnへ引き下げた。純有利子負債控除後の1株当たりフェアバリューはKRW371,509であり、目標株価はKRW400,000からKRW370,000へ丸められた。 Kakaoでは、収益性の改善が新施策から得られる可視性が低いことを理由に、参照倍率から30%ディスカウントした2026e NOPAT KRW601bnに15.8xの目標P/Eを適用し、コア事業をKRW9.5trnと評価する。子会社価値はKRW11.6trnで、Kakao Mobility、Kakao Entertainment、Kakao Pay、KakaoBank、Kakao Games、SM Entertainmentを含み、概して30%の持株会社またはNAVディスカウントを適用する。純有利子負債控除後の1株当たりフェアバリューはKRW59,737となり、目標株価KRW60,000を維持する。HSBCは、2027e P/E 18.5xにおいて、AI収益化に対する市場期待が低い中でも、KakaoのTalkプラットフォームが2026e-27eに前年同期比20%-30%の営業利益成長を牽引すると予想する。
分析フレームワーク
HSBCはまず両社の2Q26の営業実績と2H26のマージン見通しを比較し、次にB2BインフラとB2CエージェントのAIモデルを対比する。AIの見通しをコア利益創出力に結び付け、セグメント別SOTP評価において、利益倍率、GMV倍率、同業他社のEV/MWベンチマーク、持分価値、明示されたディスカウントを用いる。
手法メモ
Sum-of-the-parts評価
HSBCはNaverの事業セグメントとKakaoのコア事業・子会社を個別に評価し、純有利子負債を調整して株主価値と目標株価を算出する。
目標P/E倍率
レポートはNaverの広告事業とKakaoのコア事業に目標P/E倍率を適用し、センチメントと収益性の可視性を踏まえたディスカウントを用いる。
AIデータセンター容量に対するEV/MW評価
HSBCはNaver Enterpriseをデータセンターの電力容量に基づいて評価し、同業他社由来のMW当たりEVベンチマークと、Naverの新規参入を反映したディスカウントを用いる。
資産マッピングと比較
投資テーゼから固有資産への構造化マッピング(強み、弱み、同業、リスク)。
- Naver (035420.KS)カバレッジ対象企業。B2B AIインフラの可能性は、短期的なコアマージン圧力によって相殺される。
- 強み
- AIインフラの収益化の明確な可能性と、2028年まで開示されているデータセンター拡張ロードマップ。
- 弱み
- コマース、フィンテック、AIへの投資拡大により、2H26の営業マージン低下が予想される。
- 比較
- HSBCは、Kakaoの方が短期的にコア営業利益の伸びが強いと予想するため、Kakaoを選好している。
- リスク
- デジタル広告シェアの低下、Plus membershipの成長鈍化、Dunamu取引の遅延、AI収益化の低迷、またはNVIDIAとの協業が限定的にとどまること。
- Kakao (035720.KS)カバレッジ対象企業であり、HSBCの選好銘柄。Talkプラットフォームの成長とコスト規律が利益を支えると予想される。
- 強み
- Talkの刷新、コスト構造の改善、非中核・低マージン資産の売却がマージン拡大を支える。
- 弱み
- GPT-in-Talkを含むAIエージェント施策の収益性は見通しが限定的である。
- 比較
- AI収益化の見通しは低いものの、コアプラットフォームの収益性改善が見込まれるため、HSBCはNaverよりKakaoを選好する。
- リスク
- 広告に影響するマクロ環境の悪化、AIエージェントの収益化が期待を下回ること、または新サービス開始の遅延。
主要データ
- Naverの2Q26営業利益KRW520bn前年同期比横ばい。Bloombergコンセンサスを8%下回った。
- Naverの2Q26営業マージン15%前年同期比3 percentage points低下。
- Naverの2H26営業マージン予想16%2H25の18.6%との比較。
- Kakaoの2Q26営業利益KRW277bn前年同期比36%増、コンセンサスを22%上回った。
- Kakaoの2H26営業利益予想+26% year-on-year営業マージンは前年同期比1.7 percentage points上昇して12.7%と予想。
- 評価に用いるNaverの2028e AIデータセンター容量290MWEnterprise評価に適用。社内事業向け既存容量を除く。
- Naverの目標株価KRW370,000KRW400,000から引き下げ。KRW210,000から76.2%の上昇余地を示唆。
- Kakaoの目標株価KRW60,000据え置き。KRW39,900から50.4%の上昇余地を示唆。
影響と示唆
HSBCは、NaverのAIファクトリーの可能性は大きいが、より十分に織り込まれるにはキャパシティ契約と安定したコアマージンが必要だと論じる。Kakaoについては、Talkの収益性改善がより直接的な利益ドライバーである一方、AIエージェントの収益化は長期的な不確実性とみている。
リスク
- NaverについてHSBCは、検索AI競争によるデジタル広告の市場シェア低下、Plus membershipの成長鈍化、Dunamu取引の遅延、AIサービス収益化の低迷、NVIDIAとの有意な協業がないことを挙げる。
- KakaoについてHSBCは、広告に影響するマクロ環境の悪化、AIエージェントの収益化が期待を下回ること、新サービス開始の遅延を挙げる。
注目点
- コマース、フィンテック、AIへの支出が増加する中でのNaverの2H26営業マージン動向。
- NaverのNVIDIA関連AIインフラ拡張におけるフルキャパシティ契約の発表と進捗。
- Talkプラットフォームの成長、および刷新と非中核資産売却後のKakaoのマージン改善ペース。
- KakaoがAIエージェントサービスを収益化し、新サービスを予定通り提供できることを示す証拠。