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レポート解説Hilo Research

Visa、Mastercard(V、MA):eコマースとトークン化が2つの追加的な成長経路をもたらし、米国カード成長率は再び消費を上回っている可能性

Bernsteinは、米国カード決済取扱高が直近数四半期において個人消費支出を再び2—3パーセントポイント上回るペースで成長したとみている。また、eコマースの再加速により、2025—2030年の決済取扱高成長率5%—6%という現在の予想を上方修正する可能性がある。トークン普及率の上昇とトークンサービスへの課金可能性も、VisaとMastercardに追加的な収益成長源を提供する。

機関Bernstein
企業Visa、Mastercard
ティッカーV、MA
業界決済、決済処理およびITサービス
格付けVisa、Mastercard: Outperform(OP)

要約

Bernsteinは、米国カード決済取扱高が直近数四半期において個人消費支出を再び2—3パーセントポイント上回るペースで成長したとみている。また、eコマースの再加速により、2025—2030年の決済取扱高成長率5%—6%という現在の予想を上方修正する可能性がある。トークン普及率の上昇とトークンサービスへの課金可能性も、VisaとMastercardに追加的な収益成長源を提供する。

VisaとMastercardはいずれもOutperform評価で、目標株価はそれぞれUS$450.00、US$710.00。
VisaMastercard米国カードeコマーストークン化決済取扱高成長決済ネットワーク
  • VisaとMastercardの米国決済取扱高は、Discover移行の影響を調整後、直近四半期に10%成長し、2023年第2四半期以降で最も強い伸びとなった。
  • 米国カード決済取扱高は数四半期連続でPCEを2—3パーセントポイント上回る成長を記録しており、Visa Directを除いても約2パーセントポイント上回っている。
  • 米国eコマースは第2四半期に12%成長し、4年ぶりの高水準となった。2023年、2024年、2025年の平均成長率はそれぞれ9%、8%、5%だった。
  • 現在の予想は2025—2030年の米国カード決済取扱高成長率約5%—6%である。eコマースが二桁近い成長を続ける場合、Bernsteinは予想を引き上げる可能性がある。
  • 全カード取引の40%以上がトークン化されており、トークン化取引は過去2年間で25%の複合成長率を記録したのに対し、全取引は9%だった。
  • Visaの世界全体の実効トークン利回りは約1—2ベーシスポイントにすぎないと推定され、トークン価格が1ベーシスポイント上昇するごとに、収益はおよそ1パーセントポイント増加する可能性がある。

レポート解説

概要

本レポートは、米国カード市場が5%—6%程度しか成長できない成熟段階に入ったかどうかを再評価する。Bernsteinは、カード決済取扱高のPCEに対する優位、eコマースの再加速、トークン化の普及および価格設定の可能性はいずれも、VisaとMastercardが現在の長期予想が示す以上の成長余地を依然として持つ可能性を示唆すると指摘する。ただし、1四半期のデータだけではトレンドを確立するには不十分である。

主要見解

2年以上にわたり、米国カード決済取扱高は名目個人消費支出(PCE)に概ね連動してきた。このため市場では、米国は成熟したカード市場であり、将来の決済取扱高成長率は約5%—6%となるとの見方が強まっていた。Bernsteinは、この問題は改めて議論に値すると考えている。Discover移行の影響を調整後、VisaとMastercardの米国決済取扱高は直近四半期に10%成長し、2023年第2四半期以降で最も強い結果となった。パンデミック後の回復期を除けば、2019年以降でも最も強い伸びだった。もっとも、同四半期は税還付の増加、ガソリン価格、小売プロモーション、FIFAイベントの恩恵を受けており、1四半期の実績を新たなトレンドと直接みなすことはできないとも警告している。 単四半期のデータより重要なのは、カード決済取扱高が数四半期連続でPCEを2—3パーセントポイント上回る成長を記録し、パンデミック前に見られた相対的成長パターンに再び近づいていることである。Visa Directを除いても、決済取扱高の成長率はPCEを約2パーセントポイント上回っている。レポートは調整後PCEによるクロスチェックも行っている。みなし家賃、医療、自動車・部品、教育、海外旅行、社会サービス、金融サービスなど、カードでカバーしにくいカテゴリーを除外しても、カード決済取扱高はより速く成長している。第2四半期のPCE全体の成長率は耐久財とガソリンを主因に1パーセントポイント上昇したが、カード決済取扱高はさらに大きく加速し、ガソリン、FIFAイベント、特定の耐久財カテゴリーへのエクスポージャーも含まれていた。 Bernsteinは、eコマースをカード成長の変化を説明する重要変数とみている。eコマース取引は店舗取引よりカードへの依存度が高く、歴史的にカードシェアが高い裁量的消費との結びつきも強い。そのため、パンデミック後のeコマース急減速がカード決済取扱高の鈍化と同時に起きたのは偶然ではない。米国eコマースは第2四半期に12%成長し、4年ぶりの高水準となった一方、2023年、2024年、2025年の平均成長率はそれぞれ9%、8%、5%だった。Wayfair、eBay、Etsyなどの裁量的eコマース・プラットフォームも前年末以降の指標改善を報告しており、下期ガイダンスも堅調であることから、加速は完全に単一四半期に限定されたものではないことが示される。7月の弱いデータは、一部の需要を第2四半期に前倒ししたPrime Dayの時期によるものだった可能性がある。 eコマース回復が一時的な反発か構造的変化かは依然不明である。税還付とPrime Dayの時期が第2四半期のデータを増幅した可能性はあるが、eコマースは前年末以降も堅調に推移している。レポートは一つの可能な説明を提示する。市場は、特定の耐久財カテゴリーが弱く、住宅支出も裁量的商品の支出の一部を圧迫したパンデミック後のeコマース低迷から脱しつつある可能性がある。Bernsteinは、このトレンドを確認するにはまだ早すぎると明言している。 現在の長期モデルでは、Bernsteinは2025—2030年の米国カード決済取扱高について約5%—6%の成長を予想しており、その内訳はPCE成長による約4%—5%とカード普及率上昇による約1%—2%である。同期間に米国カード普及率は72%から74%へ上昇すると見込まれる。この予想は、将来のeコマース成長率が中位から高位の一桁台の下限になることを前提としている。今後数年間にeコマースが二桁近い成長を維持できれば、同社は米国カード決済取扱高予想を引き上げる必要があると考えている。まだ初期段階にあるエージェント型コマースも、一部の高関与購買をオンラインへ移行させ、新たな商品発見手段を通じてeコマース成長をさらに促進する可能性がある。 トークン化は、レポートが過小評価されていると考える第2の成長経路である。全カード取引の40%以上が現在トークン化されている。eコマース取引のトークン化比率は約60%で、毎年およそ中位一桁のパーセントポイントで上昇を続けている。Visaは52億枚のカードに175億のトークンを紐付けているのに対し、5年前には1枚のカードに紐付くトークンは0.5未満だった。過去2年間で、トークン化決済取扱高は25%の複合成長率を記録し、全取引の9%の複合成長率を大幅に上回った。トークン普及率の上昇は関連サービスの取扱高を増やすだけでなく、既存カードの利用定着性を強化することで決済ネットワークの成長も支える。 VisaとMastercardはすでにトークンサービスの価格設定を開始している。Bernsteinは、トークン収益をトークン化決済取扱高で除したVisaの世界全体の実効トークン利回りを、現在約1—2ベーシスポイントと推定している。一部地域では、カード非提示のクロスボーダー取引の価格設定は8ベーシスポイント、カード非提示の国内取引は5ベーシスポイントに達している。トークンは承認成功率に有意な利点をもたらすため、レポートは価格設定が最終的に10ベーシスポイント以上に達する可能性があるとみている。概して、トークン価格の1ベーシスポイントの追加ごとに収益成長へ約1パーセントポイント寄与し得る。また、トークン普及率自体も上昇を続けているため、価格設定と取引カバレッジ拡大は同時に収益成長を支えることができる。 本レポートは、Adyenの2026年上期アップデート、経営陣コメント、ガイダンスに基づき、小幅なモデル調整も行っている。Adyenは引き続きPEG手法で評価され、目標株価は€1,600に維持された。これは変更のない1.3x FY2027 PEG、変更のない2025—2027年の利益複合成長率23%、および€51.05から€51.07へわずかに調整されたFY2027の1株当たり利益予想に基づく。2026年8月19日時点でAdyenの株価は€1,054.60であり、Bernsteinは同社にもOutperform評価を付与している。

分析フレームワーク

Bernsteinはまず、カード決済取扱高を名目PCEおよび調整後PCEと比較し、直近の優位がパンデミック前のパターンに戻ったかを判断する。次に、eコマース成長、裁量的eコマース企業の営業指標、消費カテゴリーの変化を、決済取扱高加速の説明変数として用いる。その後、PCE成長と普及率の寄与を分離して、現在の2025—2030年予想がeコマース成長前提に対してどの程度感応的かを検証する。最後に、トークン普及率、取引成長、単価を別個に分析し、PEGフレームワークを用いてAdyenの評価を更新する。

手法メモ

  • 業界/セクター分析フレームワーク数量・価格分解

    米国カード決済取扱高成長ドライバーの分解

    本レポートは、2025—2030年のカード決済取扱高成長率約5%—6%の予想を、PCE成長による約4%—5%とカード普及率上昇による約1%—2%に分解し、eコマース成長の変化が長期予想を引き上げるかを評価している。

  • (語彙外の手法)その他

    比較可能な調整後PCE指標

    レポートは、みなし家賃、医療、自動車・部品、教育、海外旅行、社会サービス、金融サービスなど、カードでカバーしにくいカテゴリーをPCEから除外し、その結果をカード決済取扱高と比較することで、消費ミックスの差異が結論に与える影響を抑えている。

  • (語彙外の手法)その他

    実効トークン利回り

    レポートは、トークン収益をVisaのトークン化決済取扱高で除してトークン利回りを推定し、価格設定の追加1ベーシスポイントが約1パーセントポイントの収益成長に相当すると推計することで、トークンサービスの収益化可能性を評価している。

  • バリュエーション手法PE/PEGバリュエーション

    AdyenのPEGバリュエーション

    Adyenの€1,600の目標株価は、1.3x FY2027 PEG、2025—2027年の利益複合成長率23%、FY2027の1株当たり利益予想€51.07に基づく。

資産マッピングと比較

投資テーゼから固有資産への構造化マッピング(強み、弱み、同業、リスク)。

  • Visa(V)
    米国カード決済取扱高が再びPCEを上回ること、eコマース成長の加速、トークン普及率および価格設定の上昇はいずれも、その決済取扱高と収益の成長を支え得る。
    強み
    52億枚のカードに175億のトークンを紐付けている。世界全体の実効トークン利回りは現在約1—2ベーシスポイントにすぎず、レポートは価格引き上げの余地がなお大きいとみている。
    弱み
    米国カード決済取扱高成長率の現在の長期予想は依然約5%—6%にとどまり、直近の10%成長率は税還付、ガソリン価格、プロモーション、FIFAの支援を受けた。
    比較
    レポートはVisa、Mastercard、American Express、Discoverの決済取扱高を合算して米国カード市場の成長を比較しており、VisaとMastercardの相対的な優劣について新たな結論を示していない。
    リスク
    直近のeコマースおよび決済取扱高の加速は一時的である可能性があり、長期予想を引き上げる必要性を確認するにはまだ不十分である。
  • Mastercard(MA)
    Visaと同様に、カードが再びPCEを上回ること、eコマース成長の回復、トークンサービスの収益化から米国決済取扱高が恩恵を受ける位置にある。
    強み
    全取引の40%以上がすでにトークン化されており、トークン化決済取扱高は全取引を大きく上回るペースで成長している。
    弱み
    レポートはMastercardのトークン利回りや現在の成長サイクルへの寄与を個別に定量化していない。
    比較
    レポートはVisaとMastercardに共通する米国カード成長の投資仮説を提示しており、本文では新たな相対順位を設定していない。
    リスク
    eコマース回復が持続しない場合、カード決済取扱高成長率は現在の成熟市場前提である約5%—6%近辺にとどまる可能性がある。
  • Adyen(ADYEN.NA)
    レポートは2026年上期アップデート、会社コメント、ガイダンスに基づき小幅なモデル調整を行ったが、PEGバリュエーションのパラメーターと目標株価は維持している。
    強み
    2025—2027年の利益複合成長率予想は23%に維持され、FY2027の1株当たり利益予想は€51.07へわずかに引き上げられた。
    弱み
    モデル調整は最小限で、コアとなるバリュエーション倍率や利益成長前提に変更はない。
    比較
    レポートは新たな同業他社バリュエーション比較を示していない。

主要データ

  • VisaおよびMastercardの米国決済取扱高成長率10%Discover移行の影響を調整した直近四半期データ。2023年第2四半期以降で最も強い伸び。
  • カード決済取扱高のPCEに対する成長優位2—3パーセントポイント数四半期連続で観測され、パンデミック前のトレンドに近づいている。
  • Visa Direct除外後の成長優位約2パーセントポイントPCEに対する米国カード決済取扱高成長率。
  • 第2四半期の米国eコマース成長率12%4年ぶりの高水準。2023年、2024年、2025年の平均成長率はそれぞれ9%、8%、5%。
  • 第2四半期PCE全体成長率の変化1パーセントポイント上昇主に耐久財とガソリンが牽引したが、カード決済取扱高はさらに大きく加速した。
  • 米国カード決済取扱高の長期予想2025—2030年に約5%—6%PCEによる約4%—5%と普及率上昇による約1%—2%。
  • 米国カード普及率予想72%から74%へ上昇現在の長期予想で用いられる2025—2030年の普及率推移。
  • トークン化された全取引の比率40%以上eコマースおよび店舗取引を含む。
  • トークン化されたeコマース取引の比率約60%普及率は毎年およそ中位一桁のパーセントポイントで上昇する。
  • Visaのトークン数およびカード数175億トークン、52億カード5年前には1枚のカードに紐付くトークンは0.5未満だった。
  • トークン化決済取扱高の複合成長率25%過去2年間のデータ。同期間の全取引の複合成長率は9%。
  • Visaの世界全体の実効トークン利回り約1—2ベーシスポイント一部地域では、カード非提示のクロスボーダーおよび国内取引の価格設定がそれぞれ8ベーシスポイント、5ベーシスポイントに達している。
  • トークン価格設定に対する収益感応度各ベーシスポイントは収益約1パーセントポイントに相当Bernsteinの概算。
  • Adyen目標株価€1,6001.3x FY2027 PEGに基づき、バリュエーション倍率は変更なし。
  • Adyen FY2027の1株当たり利益予想€51.07従来は€51.05。2025—2027年の利益複合成長率予想は23%で据え置き。

影響と示唆

本レポートは、カード決済取扱高がPCEを2—3パーセントポイント上回る成長を続け、米国eコマースの成長がより高い水準で安定する場合、VisaとMastercardの米国決済取扱高成長率は、2025—2030年の現在の5%—6%予想を上回り得るとみている。一方、トークン化は普及率上昇を通じて取引カバレッジを拡大するとともに、現在約1—2ベーシスポイントの単価を引き上げることで追加収益を生み出し得る。ただし、同社は米国決済取扱高予想を正式には引き上げておらず、直近のeコマースおよび決済取扱高の加速が持続可能かを確認する必要性を強調している。

リスク

  • 直近四半期の強い決済取扱高は、税還付の増加、ガソリン価格、小売プロモーション、FIFAイベントに支えられており、1四半期の実績がトレンドへ発展しない可能性がある。
  • eコマースの加速はPrime Dayの時期など短期的要因によってもたらされた可能性があり、Bernsteinは構造的なものか判断するにはまだ早すぎるとみている。
  • eコマース成長率が二桁近辺にとどまらない場合、米国カード決済取扱高は現在の長期成長予想である約5%—6%に沿う可能性がある。

注目点

  • 米国カード決済取扱高が名目PCEおよび調整後PCEを引き続き2—3パーセントポイント上回る成長を維持するかを追跡する。
  • Prime Dayや税還付などの時期要因が薄れた後も、米国eコマース成長率が高水準を維持できるかを監視する。
  • Wayfair、eBay、Etsyなど裁量的eコマース・プラットフォームの下期営業指標およびガイダンス達成状況を注視する。
  • eコマースおよび全取引におけるトークン普及率、トークン数、トークン化決済取扱高成長を追跡する。
  • VisaとMastercardのトークン価格設定が現在の約1—2ベーシスポイントから上昇を続けるか、またBernsteinが2025—2030年の米国カード決済取扱高予想を引き上げるかを監視する。

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