Global nuclear reactor development and uranium market レポート解説
Goldman Sachsの8月トラッカーは、主要地域における原子炉の運転延長、新設、SMRの節目を記録し、中国が引き続き容量を増加させていることを示す。ウランのスポット価格は7月末に$86/lb近くまで上昇し、公益事業会社の積極的な契約活動を背景に長期価格は$94/lbを維持した。
要約
Goldman Sachsの8月トラッカーは、主要地域における原子炉の運転延長、新設、SMRの節目を記録し、中国が引き続き容量を増加させていることを示す。ウランのスポット価格は7月末に$86/lb近くまで上昇し、公益事業会社の積極的な契約活動を背景に長期価格は$94/lbを維持した。
- 中国では系統接続と商業運転の節目があり、原子力設備容量は63.98 GWeに達した。
- 中国は4プロジェクトで8基の新原子炉を承認し、最初のHualong One 2.0実証プロジェクトを含む。
- スポットU3O8は約$85/lbから7月末に$86/lb半ばへ上昇し、SPUTは約250,000 lbsを購入した。
- 長期ウラン価格は$94/lbを維持し、一部のオファーは$90/lb後半に達した。
- TRISO、HALEU、MOX、ウラン鉱山、リサイクルにおいて、燃料サイクル投資と許認可活動が継続した。
レポート解説
概要
本レポートは、原子炉建設、運転延長、SMR開発、燃料サイクルの進展、ウラン市場を扱う世界の原子力産業トラッカーである。中国を中心に地域横断でプロジェクトと規制面の進展が続く一方、ウランのスポット市場は強含み、長期市場の価格は安定していることを強調している。
主要見解
レポートは北米、欧州、アジアにまたがる幅広い原子炉の進展を追跡している。米国では、Dominion EnergyがNorth AnnaのEarly Site Permitを20年間更新する申請を行い、将来の新設および潜在的なSMRの選択肢を維持した。WestinghouseとAmentumは、AP1000の大規模配備を支援し、AP300 SMRの米国認可を求めることで合意した。米国ではこのほか、Natura Resources、ARC Clean Technology、Entergy/Holtec/Hyundai E&C、Oklo、Deep Fissionで規制・提携面の進展があった。レポートは海運用途にも言及しており、韓国のKRISOは、2基の溶融塩SMRを搭載する15,000-TEUコンテナ船についてAmerican Bureau of ShippingからApproval in Principleを取得し、Port of Long Beachは米国の海事SMRイニシアチブに参加した。 欧州の動きは、既存の発電能力の維持と、代替・新規容量の推進に分かれる。スイスで委託された調査では、2050年に運転開始する1.63 GW EPRの建設は経済的に成立し、冬季の電力輸入を削減し得るとされた。CEZはTemelinの2基を80年間運転し、2080年および2082年まで稼働させる可能性に向けた作業を始めた。ルーマニアではCernavoda Unit 1改修向けにEuropean Investment Bankが€800 millionの融資を承認した。スペインの安全規制当局はAlmarazの2030年6月までの延長を支持し、EDFは英国のHeysham 1とHartlepoolの運転期間を2030年3月まで2年間延長した。同時に、スロバキアの471 MWe Mochovce 4は初臨界を達成し、チェコは3地点で少なくとも6基、約3 GWのSMR導入に向けて計画を拡大した。 中国は引き続き容量増加の最も重要な源泉だった。Changjiang Unit 3は初めて送電を開始し、Taipingling Unit 2は商業運転に入った。いずれもHualong One炉であり、中国の原子力設備容量は63.98 GWeに達し、初めてフランスを上回った。中国はさらに4プロジェクトで8基の新原子炉を承認した。内訳はJinqimen、Taipingling、ZhuangheでのHPR1000が6基、LaiyangでのCAP1400が2基である。承認には最初のHualong One 2.0実証プロジェクトが含まれる。Tianwan Unit 8は冷態機能試験を完了して試運転段階へ移行し、2027年の商業運転を予定している。アジアの他地域では、インドが700 MWe PHWR 4基向け原子炉島EPCパッケージの入札準備を進め、フィリピンではKHNPとAboitizPowerが探索的協力を開始した。 世界の建設トラッカーでは、6月の新規建設開始、系統接続、停止、再稼働に大きな変化は少なかったが、中国の原子炉1基が世界の建設中総数に追加された。2026年の系統接続一覧には、中国のTaipingling-1、San'ao 1、Taipingling-2、Changjiang-3が含まれる。2026年の建設開始として中国、ロシア、ハンガリー、インド、韓国のプロジェクトが挙げられており、複数の管轄地域で新設活動が継続していることを示している。 燃料サイクルの進展は、先進炉と国内ウラン供給網を強化する取り組みを示す。TRISO-Xは、燃料製造および研究開発能力の拡張に向け、テネシー州から$11 millionの助成を受けた。米規制当局はFramatomeのRichland施設に対し、TRISO燃料の製造と濃縮度10% U-235未満のウランの取扱いを承認し、DOEはNASAとRadiantにHALEUを割り当てた。X-energyとCentrusは、TRISO-Xの製造を支援するHALEUを含むLEU・HALEUの長期供給契約を締結した。その他の進展には、ドイツでのFramatomeの燃料施設拡張、NewcleoのMOX燃料施設に関する許認可手続き、DenisonのPhoenixプロジェクトでのウラン鉱山建設、$105 millionの資金調達で支えられたDISA Uranium新会社が含まれる。 ウランのスポット価格は7月に上昇した。レポートによると、スポットU3O8価格は7月前半におおむね$85/lbで安定した後、月末には$86/lb半ばまで上昇し、8月初めも約$86/lbで推移した。Goldman Sachsは、市場活動の改善と買い手の再参加を背景に、より建設的な市場環境となったためとしている。Sprott Physical Uranium Trustは市場に復帰し、直近数カ月間はほぼ不在だった後、7月に約250,000 lbs U3O8を購入した。長期価格は継続的な市場活動にもかかわらず$94/lbで維持され、公益事業会社はオファーの評価、RFIの進行、将来分のウラン確保を進めた。受渡時期、価格設定、供給者によっては、$90/lb後半に達するオファーもあった。トラッカーは、長期契約の出来高は過去5年平均を下回る一方、スポット出来高は過去の水準に沿っていると推定している。
分析フレームワーク
Goldman Sachsは、地域別の原子炉関連発表、運転上の節目、建設・試運転データ、燃料サイクルの動向、ウラン価格・出来高指標を集計している。レポートはこのトラッカーを用い、政策、許認可、建設、供給網のイベントをウランのスポット市場および長期契約市場の活動と結び付けている。
手法メモ
世界の原子炉・ウラン市場トラッキング
レポートは公開された原子炉、建設、燃料サイクル、価格の更新情報を集約し、地域ごとの原子力導入とウラン市場の変化を示している。
主要データ
- 中国の原子力設備容量63.98 GWeChangjiang Unit 3の初送電とTaipingling Unit 2の商業運転開始後に到達した水準で、レポートによれば初めてフランスを上回った。
- 中国で承認された新原子炉8 reactors across 4 projectsHPR1000が6基、CAP1400が2基で、最初のHualong One 2.0実証プロジェクトを含む。
- Mochovce 4の容量471 MWeこのスロバキアのVVER-440炉は初臨界と最小制御出力を達成した。
- スイスEPRの前提1.63 GW引用されたスイスの調査では、EPRが2050年に運転開始すると仮定している。
- ルーマニアの改修融資€800 millionEuropean Investment BankがCernavoda Unit 1の改修向けに承認した融資。
- スポットU3O8approximately $86/lb7月初めの約$85/lbから月末に$86/lb半ばへ上昇し、8月初めもその近辺を維持した。
- 長期U3O8$94/lb公益事業会社の契約活動が継続するなか、7月を通じて安定した。
- SPUTの購入量approximately 250,000 lbs U3O8同信託が直近数カ月間ほぼ市場不在だった後、7月に購入した量。
- Kazatompromの1H26ウラン生産量13,291 tU前年同期比9%増。
- TRISO-Xの助成金$11 millionTRISO燃料の製造および研究開発能力拡張に対するテネシー州の支援。
影響と示唆
レポートは、運転延長、新設承認、SMRの節目、燃料サイクル投資が開発パイプラインを引き続き拡大している原子力市場を描いている。また、ウランのスポット市場環境はより建設的であり、公益事業会社は安定した価格で長期市場に引き続き参加していることを示す。
リスク
- 極端な干ばつとドナウ川の低水位により冷却水の取水が制約され、ハンガリーのPaks原子力発電所では出力削減、ルーマニアのCernavodaでは1基の停止が発生した。
- Peninsula Energyは、低pH ISRの立ち上がりが想定より遅れ、井戸網の流量と化学最適化の課題を理由にLanceプロジェクトの2026年生産ガイダンスを撤回した。
- インド議会委員会は、原子力容量の拡大に伴い、国内ウラン鉱山開発の遅れが輸入燃料への依存を高める可能性があると警告した。