France’s 2027 presidential and legislative elections:Goldman SachsのモデルではLe Penが2027年大統領選の最有力候補であり、ハング・パーラメントも重要なリスクとして残る。
世論調査ベースのモデルでは、Marine Le Penの大統領当選確率は68%、Le Penの大統領当選と議会絶対多数の確率は39%である。ハング・パーラメントは26%で2番目に大きい組み合わせとなり、財政政策と改革を巡る不確実性を高止まりさせる。
要約
世論調査ベースのモデルでは、Marine Le Penの大統領当選確率は68%、Le Penの大統領当選と議会絶対多数の確率は39%である。ハング・パーラメントは26%で2番目に大きい組み合わせとなり、財政政策と改革を巡る不確実性を高止まりさせる。
- 大統領選の決選投票は2027年4月18日と5月2日に予定され、その後早期に議会選が実施される可能性が高い。
- Le Penの大統領当選確率はモデル上68%。
- Le Penが大統領となった場合、RNが絶対多数を得る確率は56%、中道右派との連立が必要となる確率は24%、実行可能な多数派のない確率は19%。
- 大統領が誰であってもハング・パーラメントとなる確率は26%。
レポート解説
概要
Goldman Sachsは、フランスの2027年大統領選とそれに続く議会選を対象とする世論調査ベースの統合モデルを導入する。中心的な結論は、Le Penが大統領選に勝利し議会多数を得るシナリオが現時点で最も可能性が高い一方、財政政策、構造改革、欧州に対するフランスの姿勢に影響する議会の分断も有力な代替シナリオであるというものだ。
主要見解
フランスの大統領選は2027年4月18日と5月2日に予定され、その後早期に議会選が実施される可能性が高い。Goldman Sachsは、この一連の選挙結果がフランス経済見通しにおける最大の不確実性であり、財政政策、構造改革の余地、欧州問題に対する同国の姿勢を左右するとみる。モデルはMarine Le Penの大統領当選確率を68%と推計する。最も確率が高い単一の組み合わせはLe Penの大統領当選と議会の絶対多数で39%であり、大統領が誰であってもハング・パーラメントとなる確率は26%とする。中道左派から中道右派の大統領が議会多数を得る確率は14%、Mélenchonが大統領当選と議会多数を同時に得る確率は3%である。 大統領選第1回投票では、モデルは正規分布ではなく、より厚い裾を持ち大きな選挙サプライズを捉えやすい多変量Student-t分布から得票率をシミュレーションする。候補者のトレンドは、調査会社固定効果を含む一般化加法モデルを用いて第1回投票の世論調査から推計される。Le Penは34%、Philippeは19%、AttalとMélenchonは15%、Glucksmannは10%、Retailleauは8%の支持率と推計される。過去の比較では、多くの政治勢力に第1回投票の平均的な調査バイアスはほとんど見られない一方、Mélenchonは2017年と2022年に終盤の調査トレンドを平均4パーセントポイント上回った。ベースラインではこのバイアスの半分を補正し、Mélenchonのモデル上の第1回投票得票率を2パーセントポイント引き上げる。不確実性は選挙のこの段階における2002年以降の平均調査誤差に合わせ、投票日が近づくにつれて縮小する。候補者間の誤差には負の相関も認める。 モデルはPhilippeとAttalが競合せず、シミュレーションでより高い得票率となった候補を残すと仮定する。Philippeは世論調査でAttalを4パーセントポイント上回り、シミュレーションの65%で候補に選ばれる。Le Penは決選投票に進む可能性が非常に高く、PhilippeとMélenchonが進出する確率はそれぞれ35%である。Mélenchonの確率には、過去の第1回投票における調査サプライズの補正が反映される。Goldman Sachsは進出確率をPolymarketと比較しており、Mélenchonを除けば概ね類似する。予測市場はMélenchonをモデルより競争力があるとみており、過去のMélenchonの補正を全面的に適用すれば、モデルはその見方に近づく。 決選投票の結果は、Le Penの対戦相手によって大きく異なる。モデルは対戦構成ごとの世論調査分布を用い、調査がない場合は票移転行列を使う。直近2回の選挙でLe Penが中道候補だったEmmanuel Macronに対して世論調査を平均5パーセントポイント下回ったことを踏まえ、PhilippeやAttalのような中道候補との決選投票ではそのバイアスの半分を補正する。Mélenchonや他の候補との対決には、証拠が十分でないとして同様の補正を行わない。Le Penは、約40パーセントポイントの決選投票世論調査リードに支えられ、Mélenchonとの決選投票では95%で勝利すると予測されるが、Philippeとの対決では世論調査上の僅差のリードが中道候補相手の過去の過大評価補正で相殺され、勝率は51%にとどまる。この対戦相手による差が、Le Penの総合的な優位にもかかわらずPhilippeが2番目に当選可能性の高い候補となる理由である。 議会選では、シミュレーションした大統領選第1回投票の得票率を、過去に大統領選とその後の議会選の第1回投票における政党得票率の間に強い相関があったことを根拠に、選挙区ベースの枠組みに引き継ぐ。左派政党は一つの勢力として出馬すると仮定し、MélenchonとGlucksmannの得票率を合算する一方、他党は別々に出馬するとする。枠組みには、大統領当選政党の歴史的な「当選者ボーナス」、2024年議会選結果の577選挙区への再配分、2024年と同じ投票率の仮定、2024年に観察された候補取り下げ行動が組み込まれる。高い投票率は三者・四者の決選投票を多数維持し得る。RNが首位または2位となった選挙区では、3位の中道候補は、他の決選進出者がLa France Insoumiseの左派候補の場合72%、他のNFP左派政党候補の場合89%で撤退した。レポートは、極左候補に対しては撤退が少なく、中道右派の撤退率も低いことを指摘する。 Le Penが大統領になった場合、RNが絶対多数を得る確率は56%、中道右派との連立を必要とする確率は24%、実行可能な多数派のないハング・パーラメントとなる確率は19%である。Goldman Sachsは、Philippeが当選した場合、左派連合が大統領当選による追い風にもかかわらず彼の中道政党を上回ることが多いため、Le Penより議会多数を得にくいとみる。対照的にMélenchonは、当選すれば比較的高い確率で多数を獲得するとする。同社は世論調査の到来に合わせてモデルを定期的に更新する予定であり、中道・中道左派の候補選定、左派の連立判断、左派内の選挙区配分に応じて修正する可能性がある。Le Penの経済・欧州政策提案を精査し、ハング・パーラメントの継続がもたらす経済・財政面の影響に引き続き注意を向けるべきだとしている。
分析フレームワーク
Goldman Sachsは、世論調査のトレンド、過去の調査誤差、確率的シミュレーションを組み合わせて、大統領選の第1回・決選投票の結果を推計する。その後、過去の大統領選と議会選の関係、大統領当選者への上乗せ効果、投票率の仮定、連立の仮定、2024年の候補取り下げパターンを用いて、シミュレーションした全国得票率を選挙区レベルの議会選モデルへ反映する。
手法メモ
世論調査に基づく確率的選挙シミュレーション
本レポートは、候補者の得票率を確率分布から繰り返し抽出し、起こり得る大統領選・議会選の結果の頻度を推計する。
大統領選と議会選を組み合わせたシナリオ分析
候補者の進出、決選投票の組み合わせ、連立、議会選の結果がどのように結び付き、経済見通しに関係する政治シナリオを形成するかを分析する。
主要データ
- Le Penの大統領当選確率68%決選投票進出と決選投票結果のシミュレーションに基づくモデル推計。
- Le Penの大統領当選と議会絶対多数39%モデルにおいて最も確率の高い大統領選・議会選の組み合わせ。
- ハング・パーラメントの確率26%大統領が誰であってもハング・パーラメントとなる確率。
- Le Pen大統領就任を条件とするRNの絶対多数確率56%他の条件付き結果は、中道右派との連立が24%、ハング・パーラメントが19%。
- Mélenchonとの決選投票におけるLe Penの勝率95%約40パーセントポイントの決選投票世論調査リードに支えられる。
- Philippeとの決選投票におけるLe Penの勝率51%世論調査上の僅差のリードと、中道候補に対する過去の過大評価の補正を反映。
- Le Penの第1回投票支持率34%モデルが用いる現在の世論調査トレンド。
- PhilippeとMélenchonの決選投票進出確率35% each両者は大統領決選投票に進む可能性が同程度とモデル化されている。
影響と示唆
本レポートは、2027年の選挙連続がフランスの財政政策の道筋、改革能力、欧州に対する姿勢を左右すると位置づける。Le Penの経済・欧州政策提案の評価と、ハング・パーラメントが継続する可能性による経済・財政制約への注意を促している。
リスク
- ハング・パーラメントが継続し、経済・財政面の不確実性を生む可能性がある。
- モデル結果は、中道・中道左派の候補選定、左派連立の選択、選挙区配分に左右される。
- 世論調査や選挙環境の変化に伴い、世論調査ベースの確率は変動し得る。
注目点
- 今後の世論調査トレンドとモデルの定期的な更新。
- PhilippeとAttalのどちらが中道候補となるか。
- Glucksmannが立候補を正式表明するか。
- 左派政党が連立して出馬するか、また選挙区をどう配分するか。
- Le Penの経済・欧州政策提案。
- ハング・パーラメントの可能性とその経済的影響に影響する動き。