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レポート解説Hilo Research

Global natural gas and LNG market:欧州ガス貯蔵の注入ペースは改善も、ホルムズ海峡リスクとLNG競争で冬季前の市場はなお逼迫

UBSは、欧州の貯蔵注入が小幅に回復した一方、EUの冬季入り時点の在庫は前年および5年平均を大きく下回ると予想する。ホルムズ海峡を巡るリスク、アジア価格プレミアム、中国による米国産LNG関税緩和の可能性が、世界需給を一段と引き締める可能性がある。

機関UBS
日付20260924
業界global natural gas and LNG

要約

UBSは、欧州の貯蔵注入が小幅に回復した一方、EUの冬季入り時点の在庫は前年および5年平均を大きく下回ると予想する。ホルムズ海峡を巡るリスク、アジア価格プレミアム、中国による米国産LNG関税緩和の可能性が、世界需給を一段と引き締める可能性がある。

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グローバルガスLNG欧州ガス貯蔵TTFJKMホルムズ海峡米国LNG輸出冬季ガス需給
  • 欧州ガス価格は€70s/MWh前半を一時試した後、€70s/MWh半ばまで回復した。
  • 9月22日時点のEU貯蔵率は70%で、前年同期の82%および5年平均の86%を下回った。
  • UBSは、EU貯蔵率が冬季開始時に74%、冬季末に約25%になると予想している。
  • 米国LNGカーゴ到着量は前週比48%、前年比70%増加し、欧州が全体の70%を受け取った。
  • JKMはTTFに対して約$1.5/mmBtuのプレミアムを回復し、LNGを欧州から振り向ける可能性がある。
  • 週次の在庫積み増しは平均を下回ったが、米国ガス在庫はなお5年平均を4%上回った。

レポート解説

概要

このUBSのグローバルガストラッカーは、2025/2026年冬季前の欧州・米国の在庫、LNG海上輸送フロー、地政学リスクを評価している。中心的な見解は、欧州の注入ペースは小幅に改善したものの、特にホルムズ海峡の混乱やアジアのLNG需要拡大で供給が制約される場合、冬季入り時の在庫が平常水準を下回る懸念を払拭するには不十分というものだ。

主要見解

欧州ガス価格は€70s/MWh前半を一時試した後、€70s/MWh半ばまで回復した。UBSは、米国とイランの協議再開の兆候が乏しいこと、そしてイランがホルムズ海峡の広範な再開に条件を付けていることによる湾岸輸出の不確実性を、市場緊張が続く要因としている。UBS Evidence Labのデータによれば、当月これまでに同海峡を通過したLNG船は6隻で、入航と出航が同数だった。専用LNG船の船腹が小さく、運航リスクも高いため、LNGの通航量は原油フローを大きく下回っている。 地域間のLNG価格差も欧州にとって追加的な懸念である。JKMはTTFに対して約$1.5/mmBtuのプレミアムを回復しており、UBSはこれがカーゴを欧州から振り向け、在庫懸念を強める可能性があるとみている。報告書はまた、中国の習近平国家主席の訪米と、中国による米国産LNGへの15%関税が緩和される可能性に注目している。UBSは、これにより中国のLNG需要が再び高まり、世界市場がさらに引き締まる可能性があると考えている。 米国LNGカーゴ到着量は前週比48%、前年比70%増加した。アジア向けは前週比50%、前年比154%増、欧州向けは前週比47%、前年比70%増となった。欧州は全体の70%、アジアは30%を受け取り、欧州のシェアは概ね前年水準に戻った。こうしたカーゴフローは欧州の短期的な供給状況の改善を示す一方、アジアの買い手との競争に対する欧州の感応度も浮き彫りにしている。 EUの貯蔵率は9月22日時点で70%となり、前年同期の82%および5年平均の86%を下回った。週次注入量は1.3bcmから1.6bcmへ改善し、LNG流入の前週比13%増に支えられたほか、8月下旬から9月上旬にTTFがJKMに対してプレミアムで取引された際にカーゴが欧州へ向かったことも寄与した。UBSのベースケースでは、貯蔵率は冬季開始時に74%となる見通しで、前年の84%および5年平均の90%を下回る。このケースの実現にはLNG輸入のさらなる増加が必要であり、その後の在庫は冬季末までに約25%へ低下するとUBSは予想している。 米国の天然ガス在庫は53Bcf増加し、市場予想と一致したが、2025年の75Bcfの積み増しおよび5年平均の81Bcfを下回った。9月18日時点の在庫は3,351Bcf、貯蔵率78%で、5年平均を4%上回っていた。UBSはこのため、欧州の相対的に低い冬季入り前在庫と、依然として潤沢な米国在庫を対比している。日本の公益事業者保有LNG在庫は祝日のため当週は公表されなかった。

分析フレームワーク

UBSは、ガス価格の動向、週次在庫データ、LNGカーゴ追跡データ、欧州とアジアのフロー比較を組み合わせている。現在の在庫と注入ペースを前年および5年平均と比較して欧州の冬季在庫見通しを評価し、地域間価格差、海運状況、政策展開を用いて、LNG供給が必要な注入ペースを維持できるかを判断している。

手法メモ

  • 業界・産業分析フレームワーク需給フレームワーク

    ガス需給バランス分析

    UBSはLNGカーゴの供給可能性、地域間価格差、欧州の在庫注入、予想される冬季の取り崩しを結び付け、供給が欧州の貯蔵需要を満たせるかを評価している。

  • その他その他

    AISに基づく海上カーゴ追跡

    UBS Evidence Labは、毎時の船舶位置データ、船舶特性、積載能力の情報を用いて、LNGおよびLPGが港湾、地域、海上チョークポイントを通過する輸送量を推計している。

主要データ

  • 欧州ガス価格Mid-€70s/MWh€70s/MWh前半を一時試した後に回復。
  • JKMのTTFに対するプレミアムc.$1.5/mmBtuLNGを欧州からアジアへ振り向ける可能性がある。
  • 米国LNGカーゴ到着量+48% w/w, +70% y/y欧州が全体の70%、アジアが30%を受け取った。
  • EU天然ガス貯蔵率70%9月22日時点で、前年の82%および5年平均の86%を下回る。
  • EU週次在庫注入量1.6bcm前週の1.3bcmから増加し、LNG流入の前週比13%増に支えられた。
  • UBSのEU貯蔵率予想74% at winter start; around 25% at winter-end冬季開始時の予想は前年の84%および5年平均の90%と比較される。
  • 米国天然ガス在庫3,351Bcf, or 78% full9月18日時点で、5年平均を4%上回る。

影響と示唆

UBSは、欧州の注入ペース改善は有益だが、冬季入り時の在庫が平常水準を下回る結果を解消するには不十分とみている。欧州がUBSの冬季開始時74%というベースケースに到達するにはLNG輸入の増加が必要であり、ホルムズ海峡情勢、JKMのTTFに対するプレミアム、中国の米国産LNG需要再開の可能性は、欧州が利用できるカーゴを制限し得る。

リスク

  • UBSは、原油・天然ガス価格の変動を投資判断のリスクとして挙げている。
  • 報告書は、世界的な精製、マーケティング、化学事業のマージンをリスクとしている。
  • 石油・ガス事業に伴う通常の探鉱リスクも挙げられている。

注目点

  • 米国・イラン協議が再開するか、またホルムズ海峡の広範な再開を可能にする条件が整うか。
  • LNG船のホルムズ海峡通航と、それが湾岸の輸出可能性に与える影響。
  • JKM-TTFスプレッドと、それがLNGカーゴを欧州から振り向けるかどうか。
  • 習近平国家主席の訪米中の展開。これには中国の米国産LNGへの15%関税緩和の可能性が含まれる。
  • 欧州のLNG輸入が、UBSの冬季開始時74%という貯蔵率予想を支えるほど増加するか。
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