China cosmetics industry レポート解説
8月の美容オンラインGMVは前年比8%増となり、Douyinがけん引する中で複数の国内ブランドが多国籍ブランドを上回った。Goldman Sachsは下期の回復とマルチブランドの上振れ余地を理由に、ProyaをBuyへ格上げした。
要約
8月の美容オンラインGMVは前年比8%増となり、Douyinがけん引する中で複数の国内ブランドが多国籍ブランドを上回った。Goldman Sachsは下期の回復とマルチブランドの上振れ余地を理由に、ProyaをBuyへ格上げした。
- 8月の美容オンラインGMVは前年比8%増で、7月の5%増を上回った。
- Douyinは前年比14%増、JDは5%増、Tmall/Taobaoは2%減だった。
- Shanghai Jahwa、Forest Cabin、Mao Geping、Botanee、Giant Biogeneが国内ブランドの上位パフォーマーだった。
- Proyaの主力ブランドが8月に2%成長へ回復したことを受け、Goldman SachsはProyaをNeutralからBuyへ格上げした。
レポート解説
概要
本マンスリートラッカーは、オンラインGMV、ブランド・チャネル別動向、新商品、販売・貿易指標、セクター評価を通じて中国化粧品需要を検証する。Goldman Sachsは8月の需要が小幅に反発し、国内ブランドが相対的な勢いを取り戻したとみるほか、Proyaの主力ブランドの改善傾向に注目している。
主要見解
2026年8月の中国美容オンラインGMVは前年比8%増となり、7月の5%増から加速した。主因はDouyinで、前年比14%増となった一方、JDは5%増、Tmall/Taobaoは2%減だった。7月から8月のオンライン美容GMVは7%増で、2Q26の14%増を下回った。Douyinは16%増だったが、Tmall/TaobaoとJDはそれぞれ5%減、7%減だった。8月のTmall/Taobao化粧品GMVは2.1%減、販売数量は11.1%減だったが、平均販売価格の10.2%上昇が一部を相殺した。追跡対象企業では、2Q26比でDouyinのGMVシェアがTmall/Taobaoに対して6パーセントポイント上昇した。KOLライブ配信の構成比も上昇しており、七夕プロモーションの強化が背景にある可能性がある。 レポートは、主要ブランドへの集中が継続しているとみる。8月のDouyinでは、化粧品上位50ブランドの成長率は20%台後半で、上位500ブランドの10%台後半を上回り、上位20ブランドは20%台半ばの成長だった。高級ブランドは同プラットフォームでマイナス成長に転じた一方、マス市場ブランドはより底堅かった。国内プレミアムブランドは多国籍同業を引き続きアウトパフォームしたが、多国籍ブランドも7月比でDouyinのシェアを一部取り戻した。 国内ブランドの実績は、多くの多国籍同業を明確に上回った。8月のGMV成長率はShanghai Jahwaが38%、Forest Cabinが37%、Mao Gepingが28%、Botaneeが27%、Giant Biogeneが22%で、Proya Groupは14%増だった。Shanghai JahwaはDr. YuとHerboristの53%、71%成長の恩恵を受け、Forest CabinはDouyinの57%成長に支えられた。Mao GepingはTmall/Taobao、JD、Douyinでそれぞれ21%、80%、26%の成長が寄与した。Giant BiogeneのCollgeneとComfyは52%、16%増だった。対照的に、Bloomage、Shanghai Chicmax、Yatsenはそれぞれ17%、16%、21%減少した。 多国籍グループでは、KoseはDecorteの15%成長を受けて15%増となった。L'Orealは14%増で、YSL、HR、Skinceuticals、Lancomeの28%、25%、23%、19%成長が寄与した。Estee Lauderは4%増、Shiseidoは3%増だった一方、AmoreとLG H&Hは13%、34%減だった。したがってレポートは、国内大手を非繁忙期である8月のアウトパフォーマーと位置付け、多国籍ブランドの成長は概して鈍化したとみている。 Goldman SachsはProyaをNeutralからBuyへ格上げした。主力Proyaブランドがアップグレード後に回復し、8月に前年比2%成長へ戻ったことから、2026年下期の成長加速を見込む。また、非主力ブランドと新規買収したFlower Knowsを含むマルチブランドポートフォリオから、2027年の上振れ余地も見込む。7月から8月のProya Groupは16%増で、Flower Knows、Insbaha、Off & Relaxが寄与した一方、主力ProyaブランドとTIMAGEは4%、12%減だった。8月のグループ成長率は14%で、Flower KnowsとInsbahaは70%、82%増だった。 同社はまた、Mao Gepingを化粧品分野の優先銘柄としている。好調な618実績後も3QTDの勢いが続いていることに加え、最近の株価下落により、上期純利益成長率が20%台へ鈍化するとの市場期待がリセットされたとみるためである。Giant Biogeneについては、3QTDで17%の回復成長を示し、8月初めにMedical Aesthetics事業をオフラインで開始したことを理由にBuyを維持した。Forest Cabinについても、強い成長プロファイルとバランスの取れたチャネル成長を理由にBuyを維持している。 より広範な指標はまちまちだった。中国の7月化粧品小売売上高は前年比6.8%増で、平均小売売上高の0.6%増を上回ったが、2021年比の化粧品売上CAGRは6月の1.9%から0.6%へ鈍化した。中国本土のメイクアップ・スキンケア輸入額は7月に前年比1%減で、6月の6%増から悪化し、輸入数量は5%減だった。韓国からの輸入は5%増だった一方、米国、フランス、日本からの輸入は55%、23%、7%減少した。韓国免税店売上高は7月にUS$712 millionで、前年比6%増だった。2025年の8月は年間Tmall/Taobao化粧品GMVの約6%を占めており、同月は主要な販売ピーク期の外にあることを示す。 セクター評価では、中国化粧品企業は12か月先予想P/Eの18xで取引され、グローバル化粧品企業の26xと比較される。カバレッジ銘柄について、レポートは資本コストで割り引いた2027E P/Eに基づく目標株価を用いる。ProyaのRMB70目標株価は19x 2027E P/Eと8.9%の資本コストに基づき、Giant BiogeneのHK$33は17xと9.6%、Mao GepingのHK$73は21xと8.9%、Forest CabinのHK$78は16xと9.6%に基づく。
分析フレームワーク
Goldman Sachsは、Tmall/Taobao、Douyin、JDの月次GMV追跡を、ブランド別・チャネル別比較と組み合わせている。さらに新商品、中国の小売売上高・輸入データ、韓国免税店売上、同業評価表を補完し、事業動向を各カバレッジ企業のレーティングおよびP/Eベースの目標株価フレームワークに結び付けている。
手法メモ
高頻度のオンラインGMV、小売売上、輸入、免税データの追跡
レポートはオンラインプラットフォームと小売チャネルの需要指標を用い、中国化粧品消費のペースと構成を評価している。
Tmall/TaobaoのGMVを販売数量と平均販売価格に分解
トラッカーは、販売数量が減少する中でも平均販売価格の上昇が8月のTmall/Taobao GMVの弱さを一部相殺したことを示している。
資本コストで割り引くフォワードP/E目標倍率
カバレッジ企業の目標株価は、記載されたプレミアムまたはA-Hディスカウントを調整した2027E P/Eの出口倍率を、資本コストで割り引いて算出している。
資産マッピングと比較
投資テーゼから固有資産への構造化マッピング(強み、弱み、同業、リスク)。
- Proya Cosmetics (603605.SH)下期の主力ブランド回復と2027年のマルチブランドによる上振れ余地を見込み、Buyへ格上げ。
- 強み
- 主力ブランドは8月に前年比2%成長へ回復。Flower Knows、Insbaha、Off & Relaxがグループ成長を支えた。
- 弱み
- 7月から8月にかけ、主力ProyaとTIMAGEは前年比4%、12%減。
- 比較
- RMB70の目標株価は19x 2027E P/Eに基づき、20xの業界ベース倍率と比較される。
- リスク
- 主力ブランドの商品開発鈍化、競争激化、新ブランドの売上拡大の遅れ、海外実績の弱さ、経営陣交代に関する不確実性。
- Mao Geping Cosmetics Co. (01318.HK)継続する3QTDの勢いを持つ、優先されるBuy評価の化粧品銘柄。
- 強み
- 8月GMVは28%増。Tmall/Taobao、JD、Douyinの成長が寄与。
- 比較
- HK$73の目標株価は21x 2027E P/Eに基づき、高成長プロファイルを理由に業界ベース倍率へのプレミアムを含む。
- リスク
- 中高価格帯美容製品の浸透鈍化、販売・マーケティング費用の増加、海外プレミアムブランドとの競争激化。
- Giant Biogene Holding追跡売上が回復し、新たなオフラインMedical Aesthetics事業を開始したBuy評価企業。
- 強み
- 3QTD GMVは17%増。8月GMVは22%増で、Collgeneは52%増。
- 比較
- HK$33の目標株価は17x 2027E P/Eに基づき、化粧品と医療機器を組み合わせた評価フレームワークを用いる。
- リスク
- プロフェッショナルスキントリートメント市場の成長鈍化、製品開発の失敗、規制リスク。
- Shanghai Forest Cabin Cosmetics (02657.HK)Buy評価の国内成長企業。
- 強み
- 8月GMVは37%増で、Douyinの57%成長とバランスの取れたチャネル成長に支えられた。
- 比較
- HK$78の目標株価は16x 2027E P/Eに基づく。
- リスク
- 製品カテゴリー浸透の鈍化、オンライン・マージンの希薄化、競争または販促の激化、エッセンスオイルへの集中。
主要データ
- 2026年8月の中国美容オンラインGMV+8% yoy7月の+5%から加速。
- 2026年8月のDouyin美容GMV+14% yoy全体のオンライン成長の主なけん引役。
- 2026年8月のTmall/Taobao化粧品GMV-2.1% yoy販売数量は11.1%減だが、10.2%のASP上昇が一部を相殺。
- 2026年8月のProya主力ブランド+2% yoyレポートによれば、アップグレード後に成長へ復帰。
- 2026年7月の中国化粧品小売売上高+6.8% yoy平均小売売上高の0.6%成長を上回る。
- 中国化粧品セクター評価18x 12-month forward P/Eグローバル化粧品企業は26x。
影響と示唆
レポートは8月の反発を、特にDouyinと製品・チャネル実行を通じて国内大手が勢いを取り戻している証拠と解釈する。Proyaの主力ブランド回復は下期の成長加速を支えるとみており、Mao Geping、Giant Biogene、Forest Cabinについては、それぞれの勢いと成長プロファイルから引き続き選好している。
リスク
- Proyaでは、主力ブランドの商品開発鈍化、競争激化、新ブランドの売上拡大の遅れ、海外実績の弱さ、経営陣交代の不確実性。
- Giant Biogeneでは、プロフェッショナルスキントリートメント市場の成長鈍化、成功商品の開発不能、規制リスク。
- Mao Gepingでは、中高価格帯美容製品の浸透鈍化、販売・マーケティング費用の増加、海外プレミアムブランドとの競争激化。
- Forest Cabinでは、製品カテゴリー浸透の鈍化、オンライン・マージンの希薄化、競争または販促の激化、エッセンスオイルへの集中。
注目点
- Proyaの主力ブランドが成長回復を維持し、2026年下期の成長加速を支えられるか。
- Douyinの成長、KOL販促活動、Tmall/Taobaoに対する同プラットフォームのシェア上昇。
- 国内ブランドと多国籍化粧品グループの相対的なオンラインGMV実績。
- Mao Gepingの販売モメンタム、Giant BiogeneのMedical Aesthetics展開、Forest Cabinのチャネル拡大。
- 中国化粧品小売売上高、輸入、韓国免税需要の指標。