レポート解説
米国、欧州、中国での予想を下回る納車トレンドを受け、Goldman Sachsは3Q26納車台数予想を435Kへ、2026年の納車台数予想を1.75 millionへ引き下げた。もっとも、季節性、Model Y Lの立ち上がり、FSDによる需要が4Q26の前四半期比改善を支える可能性があるとみている。
要約
Goldman SachsはTeslaの3Q26納車台数および2026年利益見通しを下方修正したが、Neutral評価と$360の目標株価を維持した。
米国、欧州、中国での予想を下回る納車トレンドを受け、Goldman Sachsは3Q26納車台数予想を435Kへ、2026年の納車台数予想を1.75 millionへ引き下げた。もっとも、季節性、Model Y Lの立ち上がり、FSDによる需要が4Q26の前四半期比改善を支える可能性があるとみている。
- 3Q26納車台数予想を490Kから435Kへ下方修正し、Visible Alphaコンセンサスの456Kを下回った。
- 2026年納車台数予想を1.84 millionから1.75 millionへ引き下げ、2027年と2028年の予想は維持した。
- 米国、欧州、中国の販売データは前年比での弱さを示す一方、一部輸出市場の強さが部分的に相殺する。
- $360の目標株価は維持され、更新後の株式報酬費用込みQ5–Q8E EPSに150xを適用している。
レポート解説
概要
Goldman SachsはTeslaの3Q26納車進捗、地域別登録データ、消費者需要指標を検証した。短期的な納車台数と利益の前提を引き下げた一方、Neutral評価と$360の目標株価を維持している。
主要見解
Goldman Sachsは、Teslaの3Q26車両納車台数が従来予想およびVisible Alphaコンセンサスを下回るペースで推移しているとみる。中国、米国、欧州の月次・週次販売データを踏まえ、予想を490Kから435Kへ引き下げた。コンセンサスは456Kである。3つの主要地域はいずれも従来想定より鈍いが、東南アジア、南米、オーストラリアなど中国からの輸出で満たされる一部地域の前年比での強さが、弱さを部分的に緩和するとしている。 地域別の証拠はばらつくものの、全体として軟調である。米国では、Motor Intelligenceによる8月までの納車台数が前年比で20%台後半の減少であり、Goldman Sachsは約20–30%の減少を想定する。これは3Q25にIRA EV tax credit終了前のEV購入前倒しがあったため、比較が厳しいことも一因である。欧州の8月までの登録台数は前年比約40%減だったが、9月の日次データがある国では月初の動きが改善し、月初来の登録台数は約6%増加した。同社は欧州の3Q納車台数が前年比25–30%減少すると見込む。中国では、CPCAの8月までのデータは前年比約20%減を示した。Model Y Performanceの投入とインセンティブの可能性により9月に小幅な改善を想定するが、3Q販売は前年比で10%台後半の減少を見込む。韓国とオーストラリアは8月まで前年比で力強い販売だった一方、その他地域では月次販売結果を踏まえ、3Q販売は前四半期比でおおむね横ばいと想定している。 レポートはこの弱さをTeslaの地域別エクスポージャーの文脈に置く。Goldman Sachsは、2025年納車台数のうち米国は30%台半ば、中国は約38%、欧州は15%、その他地域は約10%を占めたと推定する。自動車以外の事業を含む会社全体の収益では、2025年に米国が50%、中国が22%、欧州を含むその他地域が28%だった。消費者調査は需要に関してまちまちの示唆を与えており、Teslaのスコアは中国で高く安定、米国では低いが改善、欧州では混在している。 4Q26についてGoldman Sachsは、季節性、米国と欧州でのModel Y Lの立ち上がり、FSDによる需要が納車台数の前四半期比改善を支えると予想する。4Q26予想は515Kから475Kへ下がったが、コンセンサスの462Kを上回る。2026年納車台数予想は1.84 millionから1.75 millionへ引き下げられ、Visible Alphaコンセンサスと同水準となった。一方、2027年と2028年の予想はそれぞれ1.915 millionと2.000 millionで維持され、コンセンサスの1.87 millionと2.11 millionと比較される。米国のModel Y Lのリードタイムは2027年まで延びており、新製品投入に伴う供給制約が一因と考えられる。中国のPerformanceモデルのリードタイムは2–6週とより通常の水準である。これらのモデルがどの程度需要を押し上げるかが重要な注目点となる。 レポートは10月1日に公開予定のRoadsterにも言及する。Goldman Sachsは、長年の遅延を経ても出荷開始時期が不明確であり、過去の$250Kという価格設定が絶対的な需要を制約するとみるため、同モデルは大きな販売台数の牽引役ではなく、Teslaの技術とブランドを示す製品になると考えている。 2026年の納車台数減少と2H26の自動車マージンの小幅な低下を受け、株式報酬費用込みEPSの2026/27/28年予想は$1.00/$2.00/$2.55から$0.79/$1.85/$2.45へ引き下げられた。修正には、Teslaの2Qコメントを踏まえた2H26および2027年のEnergyマージンの低下、ならびに10-Qに基づく2Q期末株式数の従来想定比増加も反映されている。株式報酬費用を除く2026/27/28年EPS予想は$1.68/$2.65/$3.25となった。それでもGoldman SachsはNeutral評価と$360の12カ月目標株価を維持し、3Qがほぼ終了していることを踏まえて期間を調整したうえで、更新後の株式報酬費用込みQ5–Q8E EPSに150xを適用している。
分析フレームワーク
Goldman Sachsは地域別の販売・登録データ、消費者調査、製品動向を組み合わせて納車台数の前提を更新する。修正後の納車台数、マージン、Energyマージン、株式数の前提をEPS予想へ反映し、更新後の株式報酬費用込みQ5–Q8E EPSに150xを適用して目標株価を維持している。
手法メモ
地域別の納車台数、登録台数、消費者需要の追跡
レポートは地域別の販売、登録、調査指標を用いてTeslaの需要を評価し、四半期納車台数予想を導出している。
株式報酬費用込みの更新後Q5–Q8E EPSに150xを適用した目標株価
Goldman Sachsは更新後の将来EPS予想に利益倍率を適用してTeslaを評価している。
資産マッピングと比較
投資テーゼから固有資産への構造化マッピング(強み、弱み、同業、リスク)。
- Tesla Inc. (TSLA)主要カバー企業。地域別需要の弱さが短期の納車台数およびEPS予想の下方修正につながる。
- 強み
- 4Qの季節性改善の可能性、Model Y Lの立ち上がり、Model Y Performanceの投入、FSD需要の可能性、一部輸出市場での強い販売。
- 弱み
- 米国、欧州、中国の納車トレンドの弱さ、ならびに自動車およびEnergyマージンの低下見通し。
- 比較
- 3Q26納車台数予想435KはVisible Alphaコンセンサス456Kを下回る一方、4Q26予想475Kはコンセンサス462Kを上回る。
- リスク
- 車両価格引き下げ、EV競争、関税、政策変更、EV需要減速、実行遅延、マージン圧力。
主要データ
- 3Q26納車台数予想435K490Kから下方修正。Visible Alphaコンセンサス456Kを下回る。
- 4Q26納車台数予想475K515Kから下方修正したが、コンセンサス462Kを上回る。
- 2026年納車台数予想1.75 million1.84 millionから下方修正。Visible Alphaコンセンサスと同水準。
- 2027/2028年納車台数予想1.915 million / 2.000 million維持。Visible Alphaコンセンサスは1.87 million / 2.11 million。
- 株式報酬費用込みEPS、2026/27/28$0.79 / $1.85 / $2.45$1.00 / $2.00 / $2.55から下方修正。
- 目標株価$360.00維持。株式報酬費用込みの更新後Q5–Q8E EPSに150xを適用。
影響と示唆
レポートの短期見通しは、Teslaの最大納車地域における幅広い弱さと、予想される自動車およびEnergyマージンの低下によって抑制される。Goldman Sachsは依然として4Q26の納車台数の前四半期比改善を見込み、Model Yの各モデルとFSDを潜在的な需要支援要因とみるが、不変の目標株価が報告時の株価に近いためNeutral見通しを維持している。
リスク
- 下振れリスクには、想定を上回る車両価格引き下げ、EV競争の激化、関税影響の拡大、不利な政府政策の変更が含まれる。
- その他の下振れリスクには、EV需要の減速、FSDまたは4680関連能力の遅延、キーパーソンおよび内部統制リスク、マージン圧力、Teslaの高度な垂直統合に伴う運営リスクが含まれる。
- 上振れリスクには、EV普及の加速またはTeslaのシェア上昇、新車販売にとってより強いマクロ環境、より早い新製品投入、AI製品のより早期またはより大きな影響、想定より小さい関税影響が含まれる。
注目点
- Model Y LとModel Y Performanceの各モデルが需要を改善できるか。米国のModel Y Lのリードタイムは現在2027年まで延び、中国のPerformanceモデルのリードタイムは2–6週である。
- 通常の季節性、Model Y Lの立ち上がり、FSD需要による4Qの納車台数回復。
- 10月1日に予定されるRoadster公開後の出荷時期と、それが主として技術・ブランドのショーケースであり続けるか。
- 特に米国、欧州、中国における地域別の販売・登録トレンド。