AI's impact on the US labor market レポート解説
レポートは、AIは職業全体ではなく業務を置き換えており、AIエクスポージャーや利用度と雇用増加率の間には業種横断でほとんど関係がないと論じる。AI関連の建設業・製造業の雇用は、現在、エントリーレベル雇用への逆風を相殺している。
要約
レポートは、AIは職業全体ではなく業務を置き換えており、AIエクスポージャーや利用度と雇用増加率の間には業種横断でほとんど関係がないと論じる。AI関連の建設業・製造業の雇用は、現在、エントリーレベル雇用への逆風を相殺している。
- 206業種の分析では、雇用増加率とAIエクスポージャーの相関は小さい。
- AI利用率の高い情報産業と金融・保険では、6月までの5か月間に労働需要が減少した。
- 非住宅建設は年初来95k人、AI関連製造業は32k人の雇用を追加した。
- 両設備投資関連部門は、今年の民間部門の新規雇用の約25%を占める。
レポート解説
概要
この米国マクロ・ダッシュボードは、AI導入がすでに雇用を損なっているかを検討する。BofAは、現在のデータは広範なAI主導の雇用破壊を示していないと結論づける一方、最近の大学卒業者と一部のホワイトカラー業種には注意が必要だとしている。
主要見解
BofAの中心的な前提は、技術ショックは職業全体や総労働需要ではなく、主に業務を置き換えるというものだ。レポートは、初期の代替効果の後、新たな業務や役割の出現による再雇用効果が続くとみている。AIは米国民間部門雇用のほぼ84%を占めるホワイトカラー中心のサービス経済を対象とするため重要だが、それでも同機関は、AIが広く懸念される雇用崩壊を引き起こすとは考えていない。 レポートはまず、Felten、Raj、Seamans(2021)のAIエクスポージャー指数を用いて、206業種におけるAIエクスポージャーと雇用の関係を検証する。AIエクスポージャーが最も高い業種の雇用は、2022年11月のChatGPT 3.5開始以降、おおむね横ばいである一方、最も低い業種は約2%成長した。ただし、より詳細な業種横断の分析では、AIエクスポージャーと雇用増加率の相関は小さい。したがってBofAは、2019年以降の初期数年間における過剰採用など、AI以外の要因も高エクスポージャー業種の相対的な採用低迷を説明し得ると論じる。総労働時間についても同じ結論であり、AIエクスポージャーの大きい業種で企業が労働投入時間を削減しているようには見えない。 次に同機関は、AIが雇用を直接減らすのではなく労働需要を弱めているかを検証する。労働需要を雇用者数と求人件数の合計と定義し、Census BureauのBusiness Trend and Outlook Surveyによる、過去2週間の業務機能でのAI利用指標を使う。2026年1月以降、AI利用度と労働需要の変化にはほとんど相関がない。BofAが例外として注目するのは情報産業と金融・保険で、両業種はAI利用率が高く、6月までの5か月間に労働需要が減少した。これはAI導入によって人件費を相殺しようとする動きを示す可能性がある。 若年層の労働市場は主な懸念領域である。22–27歳の失業率は、同年齢層の大学卒業者を含め、2023年の低水準から上昇し、2019年の水準を上回っている。BofAは昨年の上昇の一部を、貿易政策の不確実性による採用先送りとみるが、不確実性が後退しても新卒の大学卒業者では改善が乏しい点を指摘する。同機関の見方では、企業が時間の経過とともに労働コストを下げる目的で設備投資を進めるなか、AIもこれらの層の相対的に弱い労働市場成果に寄与している可能性がある。 BofAはAI投資の拡大による相殺効果も指摘する。データセンター関連の設備投資は非住宅建設雇用の再加速を支え、AI関連の製造業はそれに関連しない業種よりも速く成長している。非住宅建設は年初来95k人、AI関連製造業は32k人の雇用を追加し、両部門を合わせると今年の民間部門の新規雇用の約25%を占める。設備投資計画が引き続き上方修正されているため、レポートはこれらの部門が短期的にはAIによる雇用代替の可能性を引き続き相殺すると見込む。総じてBofAは、若年層失業率の小幅な上昇を除き、AIが現時点で広範な雇用増加の大きな逆風となっている兆候は少ないと判断している。
分析フレームワーク
本レポートは、AIエクスポージャー指数で順位付けした206業種について、雇用増加率と労働時間を比較し、次にAI利用率と労働需要の変化を比較する。労働需要は雇用者数と求人件数の合計として定義される。さらに、若年層の失業率と、設備投資に連動する建設・製造業の採用を検討し、相殺要因を評価している。
手法メモ
AIエクスポージャーが異なる業種間の雇用および労働時間の比較
本レポートは、AIエクスポージャーが雇用減少または労働投入時間の低下のいずれかと関連するかを検証するため、雇用水準と労働時間を分けて分析している。
Felten、Raj、SeamansのAIエクスポージャー指数とCensus BureauのAI利用データを用いた横断比較
BofAは、単純な時期の重なりを因果関係の証拠とみなすのではなく、測定されたAIエクスポージャーまたは利用度が異なる業種間で成果を比較している。
主要データ
- 米国民間部門雇用に占めるサービス部門の割合nearly 84%レポートは、AIがホワイトカラー中心のサービス経済を対象とすると指摘している。
- 分析対象業種数206AIエクスポージャー指数を用いた業種横断の雇用増加率分析。
- AIエクスポージャーが最も高い業種の雇用largely unchanged since November 2022ChatGPT 3.5開始以降の測定。
- AIエクスポージャーが最も低い業種の雇用around 2% growth高エクスポージャー業種との比較。
- 情報産業のAI利用率と労働需要の変化42.1%; -1.9%2026年6月のAI利用率。雇用者数と求人件数の合計の変化は2026年1月から6月。
- 金融・保険のAI利用率と労働需要の変化34.8%; -1.1%2026年6月のAI利用率。雇用者数と求人件数の合計の変化は2026年1月から6月。
- 非住宅建設で追加された雇用95k year to dateAI投資とデータセンター建設拡大によるものとされる。
- AI関連製造業で追加された雇用32k year to date設備投資に連動した雇用増加。
- 民間部門の新規雇用に占める割合~25%今年の非住宅建設とAI関連製造業を合わせた割合。
影響と示唆
BofAのデータ解釈は、AIがまだ広範な雇用破壊の要因になっていないとの見方を支持する。設備投資主導の財生産部門の採用は現在重要な相殺要因だが、レポートは、悪影響が現れ得る領域として、エントリーレベルの雇用成果と、AI利用率の高い一部のホワイトカラー業種を挙げている。
リスク
- AIは、22–27歳の最近の大学卒業者における雇用成果の継続的な悪化と失業率の上昇に寄与している可能性がある。
- 情報産業と金融・保険は、いずれも6月までの5か月間に労働需要が減少しており、AIで人件費を相殺している可能性がある。
注目点
- BofAが注目業種として挙げる、情報産業と金融・保険における労働需要の動向。
- 貿易政策の不確実性が後退するなかで、22–27歳の最近の大学卒業者の失業率が改善するか。
- AI関連の設備投資計画の上方修正が、建設業と製造業の雇用を引き続き支えるか。