China Solar:JPMorgan、中国太陽光に対し選別的に前向きへ転換、太陽光ガラスと低バリュエーションのリーダーを選好
レポートは、中国の太陽光発電設備導入量およびモジュール生産量が2H26に1H26から順次改善すると予想する一方、同セクターの需給回復はなお不完全とみている。低バリュエーションを背景にXinyi Solar、Flat Glass、LONGi、SZ SCを引き上げる一方、選定したポリシリコンおよび設備企業について差別化した見方を維持する。
要約
レポートは、中国の太陽光発電設備導入量およびモジュール生産量が2H26に1H26から順次改善すると予想する一方、同セクターの需給回復はなお不完全とみている。低バリュエーションを背景にXinyi Solar、Flat Glass、LONGi、SZ SCを引き上げる一方、選定したポリシリコンおよび設備企業について差別化した見方を維持する。
- 中国の太陽光発電設備導入量は1H26に72.1GWとなり、前年同期比66%減少した。JPMorganは2026/27年の中国太陽光需要予想をACベースで200GW/220GWへ引き下げた。
- 2H26の需要は季節性および省級エネルギーグループによる導入加速で支えられる可能性がある一方、太陽光ガラスではコールドリペアによる能力削減と在庫日数低下により、需給が最初に改善する可能性がある。
- 7月以降、規制当局は義務的なエネルギー消費・効率基準、原価計算原則、価格コンプライアンス指針を導入した。これはさらなる価格下落を抑制する可能性があるものの、需給不均衡を完全に覆すには不十分となる可能性がある。
- カバレッジ銘柄は平均で約30%下落し、一部企業は過去のバリュエーション底値圏に近づいている。レポートはXinyi SolarおよびFlat GlassをOverweightへ引き上げ、LONGiおよびSZ SCをUnderweightからNeutralへ引き上げた。
- 中期的には、Daqoは負の企業価値と現金準備により上振れ余地を有する一方、GCL TechのLFP事業とDaqoのAIDCエネルギーソリューションは、市場にまだ十分織り込まれていないオプション価値を提供する。
レポート解説
概要
本レポートは、中国太陽光産業に関するJPMorganのセクター見通しとカバレッジ企業のレーティング変更を示す。主な背景は、中国の太陽光発電設備導入量が1H26に急減したことであり、主に2025年の高い比較基準、系統吸収の制約、文書136後のプロジェクト収益性に関する不確実性、価格下落による。セクターのファンダメンタルズは依然として圧力下にあり、ポリシリコンのバリューチェーンは概ね赤字であるものの、季節性により2H26の需要は順次回復する可能性があるとレポートは考える。能力削減と在庫減少に支えられる太陽光ガラスは、需給改善が最初に見られるセグメントとなる可能性がある。
主要見解
JPMorganの中核的見方は「サイクル内のミニサイクル」である。太陽光産業全体は短期的にはまだ下降サイクルを脱していないが、2H26には1H26比での需要の順次改善および価格安定化の機会がある。規制政策は過度な競争と一段の価格下落の抑制に寄与し得るが、それ単独ではセクターの需給反転を促すには不十分である。バリュエーション面では、カバレッジ銘柄は年初来で概ね20%-50%下落し、平均下落率は約30%である。太陽光ガラスの能力削減、主要企業の現金価値、選定された新規事業のオプション価値を組み合わせると、一部銘柄のリスクリワードは改善している。
分析フレームワーク
レポートは、設備導入需要予測、業界の需給、価格と在庫、規制政策、バリュエーション倍率、子会社レベルの利益予測を分析する。太陽光ガラスについては、コールドリペアによる能力削減、在庫日数、需要繁忙期の価格回復に焦点を当てる。ポリシリコンについては、能力合理化、原価を下回る価格、バランスシートに焦点を当てる。個別銘柄については、利益予想の下方修正、目標株価の調整、バリュエーション底値、新規事業のオプション価値に基づきレーティングを見直す。
手法メモ
1H/2Hの設備導入トレンド、モジュール生産量、在庫変動を用いて、バリューチェーン全体の短期的な順次改善を評価する。
レポートは、1H26の弱い導入後、2H26は季節性とエネルギーグループによる導入加速により改善し、太陽光ガラスの需給の限界的回復を促すと考える。
規制基準、原価計算、価格コンプライアンスを通じて供給合理化と価格底を評価する。
7月に公表された義務的なエネルギー消費・効率基準、CPIAの原価計算原則、SAMRの価格コンプライアンス会議は、非効率な能力と不合理な競争を抑制し得る政策シグナルとみなされている。
異なるセグメントに対してP/B、P/E、またはサム・オブ・ザ・パーツ評価を用いる。
ポリシリコン企業は主にP/Bと現金価値で評価され、Arctechは1年先予想P/Eの15倍で評価される。HZ FirstはSOTPへ移行し、太陽光封止フィルムと感光性フィルムに異なるP/E倍率を付与している。
能力、販売量、単位当たり純利益、持分比率、P/E倍率を使用して新規事業のオプション価値を見積もる。
レポートは、GCL TechがLFP正極材事業体の30%を保有し、2028年の販売量90万トン、単位当たり純利益Rmb2,000/トン、P/E倍率8倍を前提とする。この結果、1株当たり約HK$0.15の価値寄与が示唆される。
資産マッピングと比較
投資テーゼから固有資産への構造化マッピング(強み、弱み、同業、リスク)。
- Xinyi SolarOverweightへ引き上げ、目標株価HK$2.8
- 強み
- バリュエーションは低く、太陽光ガラスの能力削減と需要繁忙期の需要により価格が損益分岐点を上回る可能性がある。
- 弱み
- FY26-28の利益を1%-71%下方修正。業界在庫は依然高水準。
- 比較
- 太陽光製造の大半のセグメントと比べ、太陽光ガラスは2H26に最初に順次改善を示す可能性が高い。
- リスク
- 需要回復が予想より弱いこと、在庫消化の遅れ、価格が原価を下回ったままとなること。
- Flat GlassOverweightへ引き上げ、目標株価HK$8.8
- 強み
- 業界リーダーの一社であり、業界再編が進展すれば市場シェアを獲得する可能性がある。
- 弱み
- FY26は赤字が見込まれ、FY27-28の利益を1%-9%下方修正。
- 比較
- Xinyi Solarとともに、レポートが選好する太陽光ガラス銘柄の一つ。
- リスク
- 太陽光ガラス価格の回復が予想より弱いこと、能力退出が不十分であること、需要低迷。
- DaqoOverweight維持、目標株価US$22
- 強み
- コストリーダーシップ、高い現金および定期預金残高、FY27E P/BV約0.2倍、負の企業価値。
- 弱み
- FY26も赤字継続見込み。FY27-28の利益を35%-50%下方修正。ポリシリコン価格は低迷が続く。
- 比較
- ポリシリコン生産者の中で、レポートはDaqoがバランスシートとバリュエーションにより、より大きな中期的上昇余地を提供するとみている。
- リスク
- ポリシリコン価格が原価を下回ったままとなること、能力合理化の遅れ、自社株買いまたは配当を通じた現金価値の顕在化がないこと。
- GCL TechOverweight維持、目標株価HK$1.1
- 強み
- コストリーダーシップ、LFP正極材およびシリコンカーボン負極材事業への拡大、1株当たり約HK$0.15のLFPシナリオ価値。
- 弱み
- FY26は赤字見込み。FY27-28の利益を3%-5%下方修正。目標P/Bを引き下げ。
- 比較
- Daqoとともに選好されるポリシリコン関連銘柄であり、新素材プラットフォームへの移行という追加的なオプションを持つ。
- リスク
- LFP事業の実行が期待を下回ること、ポリシリコンサイクルの長期化、海外展開における実行リスク。
- ArctechOverweight維持、目標株価Rmb40
- 強み
- 中国最大かつ世界トップ5の一社である太陽光トラッカー企業で、新興市場の成長、垂直統合、技術的コスト優位性の恩恵を受ける。
- 弱み
- 中東での出荷混乱によりFY26利益を66%下方修正。FY27-28の利益を16%-18%下方修正。
- 比較
- レポートは1年先予想P/Eの15倍を用いており、FY27-28Eの30%超の中核成長に照らし妥当とみている。
- リスク
- 鉄鋼その他原材料価格の上昇、プロジェクト遅延、太陽光トラッカー普及率が予想を下回ること、競争激化によるASP下落。
- LONGiUnderweightからNeutralへ引き上げ、目標株価Rmb11.6
- 強み
- BC技術の優位性と潤沢な現金が中期的な相対パフォーマンスを支える可能性がある。
- 弱み
- 株価は年初来約30%下落。弱い需要と材料コスト上昇により利益見通しに圧力。
- 比較
- 引き上げの主因は明確なファンダメンタルズ反転ではなく、現在の株価が目標株価に近く、リスクリワードがより均衡したためである。
- リスク
- 需要低迷の継続、コスト圧力、技術優位性が期待どおり実現しないこと。
- Shenzhen SCUnderweightからNeutralへ引き上げ、目標株価Rmb53
- 強み
- 宇宙太陽光への投機により形成された2月のピークから株価は約60%下落。バリュエーションはFY26E P/BV約1.3倍で、過去の低水準に近い。
- 弱み
- 短期的に宇宙太陽光収益は見込まれず、受注および売上計上は引き続き弱く、FY26-28の利益を14%-24%下方修正。
- 比較
- LONGiと同様に、引き上げは主にリスクリワードの改善とUnderweight見解の終了を反映する。
- リスク
- 受注回復の遅れ、宇宙太陽光の寄与が市場期待を下回ること、さらなる利益予想の下方修正。
- TongweiUnderweight維持、目標株価Rmb8.8
- 強み
- 大規模な太陽光および飼料事業プラットフォーム。
- 弱み
- FY26/27も赤字継続見込み。FY28利益を39%下方修正。目標P/Bを引き下げ。
- 比較
- DaqoおよびGCL Techと比較して、レポートは同社のバリュエーションの魅力が低いとみている。
- リスク
- ポリシリコン価格の一段の下落、利益回復の遅れ、バリュエーション圧縮。
- MaxwellUnderweight維持、目標株価Rmb120
- 強み
- 太陽光および半導体設備における成長可能性が引き上げられ、FY27-28の売上高は3%-8%、利益は10%-15%上方修正。
- 弱み
- 目標株価を11%引き上げたにもかかわらず、バリュエーションは依然として魅力に乏しいとみなされる。
- 比較
- レポートはMaxwellと比較して、成長とバリュエーションの組み合わせでArctechを選好する。
- リスク
- 設備受注の変動、バリュエーション低下、業界設備投資の弱さ。
- HZ FirstNeutral維持、目標株価Rmb15
- 強み
- 太陽光封止フィルム価格の上昇とPCB関連の感光性フィルム事業拡大により、1H26の暫定利益は前年同期比75%増加。
- 弱み
- 太陽光封止フィルムの販売見通しを引き下げ、FY27-28の封止フィルム粗利益率を低下。
- 比較
- レポートはSOTP評価へ切り替え、太陽光封止フィルムに20倍の先行P/E、感光性フィルムに30倍の先行P/Eを付与している。
- リスク
- 太陽光需要が予想を下回ること、封止フィルム粗利益率の低下、感光性フィルム成長が期待を下回ること。
主要データ
- 1H26の中国太陽光発電設備導入量72.1GW前年同期比66%減。1H25は212.2GW。
- 2026/27年中国太陽光需要予測ACベースで200GW/220GW、DCベースで242GW/266GW1H26の需要が予想より弱かったため引き下げ。
- カバレッジ銘柄の平均パフォーマンス約-30%同期間のSHCOMPは約-4%であり、一部銘柄は過去のバリュエーション底値圏に近づいている。
- ポリシリコン価格Rmb54/kgからRmb32/kgへ下落反内巻き措置の進展が予想より遅いことを反映し、2026年1月の高値から2026年7月末にかけて新安値まで下落。
- 太陽光ガラス能力80kトン/日から76kトン/日へ低下SMMデータでは、大手企業によるコールドリペア能力削減により、6月初旬から7月中旬にかけて減少した。
- 太陽光ガラス在庫40日超在庫は依然高水準だが、減少し始めている。
- GCL TechのLFP事業の潜在価値約HK$0.15/株直近終値のおよそ25%に相当。
- Daqo目標株価US$22目標株価は38%引き下げられたが、Overweightを維持。
- Arctech目標株価Rmb40目標株価はRmb48から17%引き下げられたが、Overweightを維持。
- Flat Glass目標株価HK$8.8目標株価は10%引き下げられ、レーティングはNeutralからOverweightへ引き上げ。
- Xinyi Solar目標株価HK$2.8目標株価は10%引き下げられ、レーティングはNeutralからOverweightへ引き上げ。
影響と示唆
投資上の含意は、太陽光セクター全体はまだ包括的な反転局面に入っていないものの、低バリュエーションと2H26の順次改善が選別的なポジショニングを支えるということである。太陽光ガラスは、能力削減、在庫低下、需要繁忙期の需要改善により、短期的な収益弾力性の面でより魅力的である。ポリシリコンは依然として価格回復と能力合理化を必要とするが、DaqoとGCL Techはバリュエーション、コスト優位性、または新規事業のオプション価値により中期的な魅力を有する。モジュール、設備、統合型ポリシリコン企業は、企業固有の技術優位性、受注回復、バリュエーションの再評価への依存度がより高い。
リスク
- 太陽光需要の回復が予想より弱く、季節性に起因する2H26の改善が予測を下回ること。
- 反内巻き政策の執行が不十分で、非効率な能力の退出が予想より遅れること。
- ポリシリコン、太陽光ガラス、その他製品の価格が製造原価を下回ったままとなり、業界の損失が長期化すること。
- 系統吸収および出力抑制の問題の緩和が予想より遅く、プロジェクト収益性に影響すること。
- 太陽光ガラス在庫の消化が不十分で、需要繁忙期の価格が損益分岐点を上回れないこと。
- 原材料価格上昇、プロジェクト遅延、海外出荷の混乱、競争激化が企業利益を圧迫する可能性。
- LFP、AIDCエネルギーソリューション、感光性フィルムなど新規事業の商業化がシナリオ前提を下回る可能性。
注目点
- 2H26の中国の月次太陽光新規導入量およびモジュール生産計画が1H26を大幅に上回るかどうか。
- 太陽光ガラスのコールドリペア能力削減の持続性、業界在庫日数、2.0mm/3.2mmガラスの価格動向。
- 7月に公表された義務的エネルギー消費・効率基準、CPIA原価計算原則、SAMR価格コンプライアンス指針の実施状況。
- ポリシリコン価格が安定化できるか、および2023年以前に導入された能力が実質的に市場から退出するか。
- エネルギー貯蔵設備導入の加速が出力抑制を緩和し、2027/28年の太陽光プロジェクトの経済性を改善するか。
- Daqoが自社株買い、配当、または利益回復を含め、どのように現金価値を顕在化させるか。
- GCL TechのLFP能力、販売量、単位当たり純利益がレポートのシナリオ前提に近づけるか。