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レポート解説Hilo Research

China ports レポート解説

Goldman Sachsは、2026年の中国本土コンテナ取扱量成長率予想を4.7%へ引き上げた一方、2H26の前年比成長率は3.6%へ鈍化すると見込む。高付加価値の外貿コンテナ、RMB上昇、選別的な価格決定力によるASP見通しの改善を見込み、COSCO Shipping PortsのBuyを維持している。

機関Goldman Sachs
日付20260904
業界China ports

要約

Goldman Sachsは、2026年の中国本土コンテナ取扱量成長率予想を4.7%へ引き上げた一方、2H26の前年比成長率は3.6%へ鈍化すると見込む。高付加価値の外貿コンテナ、RMB上昇、選別的な価格決定力によるASP見通しの改善を見込み、COSCO Shipping PortsのBuyを維持している。

COSCO Shipping Ports: Buy、HK$6.9目標株価;China Merchants Port: Neutral、HK$16.9目標株価;Hutchison Port Holdings: Neutral、US$0.23目標株価;Shanghai International Port Group: Sell、RMB4.9目標株価。
中国港湾コンテナ取扱量ASP外貿RMB上昇港湾混雑COSCO Shipping Ports
  • 中国本土のコンテナ取扱量は2026Eに前年比4.7%成長、2027Eおよび2028Eにはそれぞれ3.6%成長と予想される。
  • 輸出量成長率は1H26の前年比7.8%から2H26の5.3%へ鈍化する見込みで、NRFは米国コンテナ輸入量が2H26に前年比0.8%減少すると予想している。
  • EVおよびリチウム電池コンテナを含む高付加価値の輸出入コンテナ構成の改善とRMB上昇が、ブレンドASPを改善させる見込み。
  • 予想更新と評価期間の2027Eへのロールフォワードにより、China Merchants Port、COSCO Shipping Ports、SIPG、HPHTの目標株価を引き上げた。
  • COSCO Shipping Portsは、欧州ターミナルの好調、Chancayの立ち上がり、約5%のFY26E配当利回りに支えられ、カバレッジ銘柄の中で引き続き選好されている。

レポート解説

概要

本中国港湾セクターの更新では、1H26実績と修正後の取扱量・価格前提を統合している。Goldman Sachsは2H26の数量成長鈍化を予想する一方、高付加価値貨物の構成、RMB上昇、一部ターミナルの逼迫した能力と混雑に起因する価格決定力がASPを支えるとみている。

主要見解

Goldman Sachsは、中国本土の港湾コンテナ取扱量成長率予想を2026Eの前年比4.7%へ小幅に引き上げ、2027Eおよび2028Eは3.6%の成長予想を維持した。2026Eの予想は、2H26の前年比成長率が1H26の5.7%から3.6%へ減速することを意味する。レポートはこの減速を、輸出量成長が1H26の前年比7.8%から2H26の5.3%、2027年には約5%へ鈍化すると見込まれること、早期のピークシーズン終了に伴いNRFが米国コンテナ輸入量の2H26前年比0.8%減少を予想していること、中国とEUの貿易摩擦の可能性に結び付けている。EUは2025年の中国輸出の15%を占めた。7M26には中国港湾の総取扱量は前年比4.9%増加し、外貿は約6%増加した一方、内貿は低い一桁台で減少した。経営陣は概ね低から中程度の一桁台の数量成長を示しており、COSCO Shipping Portsは1H26に前年比7.9%の取扱量成長、7月には5.4%の成長を記録した。 レポートの価格見通しの改善は、貨物構成と為替に加え、契約料金の引き上げに基づく。EVおよびリチウム電池の輸送を含む高付加価値の外貿コンテナは、利益率の低い積み替え・内貿コンテナに対してプレミアムを得る。COSCO Shipping Portsは1H26に、中国ターミナルでRMBベース前年比3.2%、欧州ターミナルでEURベース前年比2.1%のASP成長を記録した。これは2Q26にそれぞれ前年比6-7%、3-4%の成長を示唆する。China Merchants Port Holdingsの1H26ブレンドASPは前年比8.3%増加し、国内・海外ターミナルの料金引き上げはそれぞれ2-3%と3-4%だった。2H26について、経営陣は国内ターミナルでインフレ率に沿った契約料金の成長、海外ターミナルでより良好な成長を見込む一方、より有利な数量構成とRMB上昇がブレンドASPに影響するとしている。2027Eについて、Goldman Sachsは青島や深圳など取扱量成長の高いターミナルが契約価格を引き上げられる可能性があるとみている。China Merchants Port Holdingsも、2022年の約10%の引き上げ以降安定している国内ターミナルの上限価格を見直すことを望んでいる。 混雑は、価格と利益の見通しにおける追加要因である。欧州での持続的な混雑は、船会社の能力投入拡大に対する港湾投資の不足を反映する。中国東部およびフィリピン、特に上海沿岸ターミナルの混雑は概して台風に起因する一時的なものだが、上海のハブとしての役割からより広範なサプライチェーンに影響を及ぼし得る。西アフリカと南アジアの混雑は、紅海およびホルムズ海峡を巡る地政学的不確実性による船会社の迂回航路に主に起因する。Goldman Sachsは天候関連の混雑が季節的に緩和するとみる一方、地政学的混乱と地域的な投資不足による混雑は粘着的になり得るとみており、立地の良いターミナルの保管収入と価格決定力を支える可能性がある。 1H26の業績はまちまちだったが、概ね予想更新を支えた。COSCO Shipping Portsの2Q26純利益はUS$188 millionで前年比92%増、US$52 millionの一過性引当金戻入れを含んだ。一過性要因とChancay立ち上げ損失を除くと、経営陣は低い一桁台のコア利益成長と説明しており、概ね予想どおりだった。SIPGの2Q26調整後純利益はRMB3.9 billionで前年比8%増となり、1H26のブレンドASP前年比5%増とアソシエイト/JVからの投資収益の小幅な増加によりGoldman Sachs予想を上回った。China Merchants Port Holdingsの1H26経常純利益はHK$4.0 billionで前年比9%増となったが、売上成長の改善は従業員移転および早期退職関連コストによって一部相殺された。HPHTはYantianでのASP改善により予想をやや上回った。 コストと稼働率は重要な差別化要因である。COSCO Shipping Portsでは、Chancay関連の減価償却費と金利費用は月額約US$8 millionで、その60%を同社が負担する。経営陣は、現在36%である稼働率が55%に達すればChancayが損益分岐点に達すると見込む。自動化により単位荷役コストを約10%下げられ、適用可能な設備を石油から電力へ移行することで燃料コストを節約できる。China Merchants Port Holdingsでは、移転および早期退職費用は1H26の一過性要因であり、2026Eの賃金は前年比3-4%増加する見通しだが、人員削減と自動化で影響を緩和する方針である。 1H26実績、最新の取扱量・ASP前提を織り込んだ結果、Goldman Sachsは中国港湾の2026-28E純利益予想を-7%から+21%の範囲で修正した。評価期間を2027Eへ1年ロールフォワードしたことで、China Merchants Port Holdingsの目標株価をHK$15.4からHK$16.9へ、COSCO Shipping PortsをHK$6.6からHK$6.9へ、SIPGをRMB4.7からRMB4.9へ、HPHTをUS$0.22からUS$0.23へ改定した。レポートは、継続する料金引き上げ、親会社主導の数量成長、海外展開、欧州ターミナルの好調、Chancayの立ち上がりを理由にCOSCO Shipping PortsのBuyを維持している。China Merchants Port HoldingsとHPHTはNeutral、SIPGはSellを維持しており、SIPGでは船会社アソシエイトからの投資収益の短期的な逆風と大規模な設備投資要件が、料金と後背地経済の成長による上振れを上回るとみている。

分析フレームワーク

レポートはまず、トップダウンの貿易・輸出・輸入数量指標を用いてセクターの取扱量前提を設定し、それを港湾経営陣のガイダンスと月次データで検証する。次に、料金改定、貨物構成、混雑、RMBの影響を通じてASPを評価し、報告済みの利益とコスト要因を織り込み、DCFまたはSOTP/NAV評価手法により会社予想と12か月目標株価を更新している。

手法メモ

  • 業界・産業分析フレームワーク需給フレームワーク

    港湾取扱量、貿易フロー、能力および混雑の分析

    Goldman Sachsは、輸出入需要、内外貿貨物、港湾能力、混雑を結び付け、予想取扱量成長とターミナルの価格決定力を分析している。

  • 業界・産業分析フレームワーク数量・価格分解

    取扱量とASPの分析

    レポートは数量成長とASP変化を分け、取扱量成長が減速する中で、貨物構成、料金引き上げ、RMB上昇が港湾収入に影響する仕組みを説明している。

  • バリュエーション手法DCF(割引キャッシュフロー法)

    SIPGおよびHPHTのDCF評価

    レポートは、将来キャッシュフローを割り引くことでSIPGとHPHTの目標株価を算出し、提示されている場合にはWACCおよびターミナル成長率の前提を用いている。

  • バリュエーション手法SOTP(事業別合算)評価

    China Merchants Port HoldingsおよびCOSCO Shipping Portsの2027E NAVに基づくSOTP評価

    レポートは、各社の基礎となる港湾資産および投資資産を別々に評価し、2027E NAVに基づく目標株価を導出している。

資産マッピングと比較

投資テーゼから固有資産への構造化マッピング(強み、弱み、同業、リスク)。

  • COSCO Shipping Ports Ltd. (1199.HK)
    選好されるカバレッジ港湾運営会社であり、Goldman SachsはBuyを維持。
    強み
    欧州ターミナルの好調、Chancayの立ち上がり、親会社主導の数量成長、料金引き上げ、海外展開、約5%のFY26E配当利回り。
    弱み
    Chancayは立ち上げ中でなお赤字であり、減価償却費と金利費用を負担している。
    比較
    レポートは、同社の配当利回りが中周期を上回り、防御的な事業モデルと予想されるDPS増加を踏まえると割安だとみている。
    リスク
    世界貿易が予想を下回ること、および海外M&Aの実行不良。
  • China Merchants Port Holdings (0144.HK)
    Neutral評価のカバレッジ港湾運営会社。
    強み
    上海と深圳へのエクスポージャーが香港から市場シェアを獲得する可能性があり、料金引き上げによりインフレを船会社へ転嫁できる。
    弱み
    主要アソシエイトであるSIPGは2024年利益の59%を占め、コンテナ海運と不動産事業で収益性が縮小する可能性がある。
    比較
    目標株価はSOTP評価から導出された2027E NAVに基づく。
    リスク
    中国製品に対する米国関税引き上げの拡大、および取扱量が予想を下回ること。
  • Shanghai International Port Group (600018.SH)
    Sell評価のカバレッジ港湾運営会社。
    強み
    港湾料金の上振れ可能性と、力強い後背地経済。
    弱み
    船会社からの投資収益が短期的に減少する可能性があり、大規模なYangshan Phase V設備投資が配当支払い能力を圧迫し得る。
    比較
    レポートは、4%の配当利回りで取引されている現在の評価を割高とみており、他の高配当利回り銘柄である港湾・高速道路の7%を大きく下回る。
    リスク
    上振れリスクとして、世界のコンテナ貿易成長の上振れ、船会社アソシエイトの収益性上振れ、ASP引き上げの上振れ、Yangshan Phase V設備投資の下振れを挙げている。
  • Hutchison Port Holdings (HPHT.SI)
    Neutral評価のカバレッジ港湾運営会社。
    強み
    YantianでのASP改善と、2017-2022年の約8%の歴史的平均に沿ったFY26配当利回りでの割安な評価。
    弱み
    Yantianの数量成長は香港の数量減少で相殺される可能性があり、港湾料金引き上げ余地は限定的で、港湾混雑の緩和に伴い一過性の保管収入が減少する可能性がある。
    比較
    Goldman Sachsは、WACC 10.2%、ターミナル成長率1.0%のDCFに基づきUS$0.23の目標株価を算出している。
    リスク
    米中貿易摩擦の変化、港湾料金に関する国内政策、金利上昇。

主要データ

  • 中国本土コンテナ取扱量成長4.7% YoY in 2026E; 3.6% YoY in 2027E and 2028E2026E予想は、2H26の前年比3.6%成長を意味し、1H26の5.7%を下回る。
  • 中国の輸出量成長5.3% YoY in 2H261H26の前年比7.8%から鈍化する見込みで、その後の年は約5%成長が予想される。
  • 米国コンテナ輸入-0.8% YoY in 2H26レポートが引用したNRF予想であり、例年より早いピークシーズンの終了を反映する。
  • 7M26の中国港湾取扱量+4.9% YoY外貿は前年比約6%増、内貿は低い一桁台で減少した。
  • COSCO Shipping Portsの2Q26純利益US$188 million, +92% YoYUS$52 millionの一過性引当金戻入れを含む。
  • SIPGの2Q26調整後純利益RMB3.9 billion, +8% YoYASPとアソシエイト/JV投資収益により、Goldman Sachs予想を上回った。
  • China Merchants Port Holdingsの1H26経常純利益HK$4.0 billion, +9% YoY売上成長の改善は、移転および早期退職コストによって一部相殺された。
  • Chancayの損益分岐稼働率55%経営陣の見通しは55%で、現在の稼働率は36%。

影響と示唆

Goldman Sachsは、中国港湾が2H26において数量成長の鈍いストーリーとなると予想する一方、価格設定と貨物構成が利益を緩衝し得るとみている。セクター内で最も強い機会はCOSCO Shipping Portsにあるとし、SIPGの評価と設備投資要件にはより慎重で、China Merchants Port HoldingsとHPHTにはNeutralの見方を維持している。

リスク

  • 中国とEUの貿易摩擦がさらに激化し、中国の輸出量と港湾取扱量を圧迫する可能性がある。
  • ピークシーズン需要の後退により、米国コンテナ輸入量が予想以上に減少する可能性がある。
  • 天候関連の混雑が緩和すれば、混雑による保管収入が減少する可能性がある。
  • COSCO Shipping Portsは、世界貿易の悪化と海外M&Aの実行に関するリスクに直面する。
  • China Merchants Port Holdingsは、中国製品に対する米国関税の上昇と取扱量が予想を下回るリスクに直面する。
  • HPHTは、米中貿易摩擦、港湾料金政策、金利変動に関するリスクに直面する。
浙江ICP第2022035445-5号
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