レポート解説
Bernsteinは、CXMTのウエハー能力が4Q28までに約75%拡大し、世界DRAMシェアを高め、価格正常化局面でも相対的な耐性を維持すると予想する。CNY70の目標株価はフォワードQ5-Q8 EPSの10xに基づき、9月18日終値比で26%の上昇余地を示す。
要約
Bernstein、ローカライゼーションと急速な能力拡大がDRAM市場を再構築するとみてCXMTをOutperformで新規カバレッジ
Bernsteinは、CXMTのウエハー能力が4Q28までに約75%拡大し、世界DRAMシェアを高め、価格正常化局面でも相対的な耐性を維持すると予想する。CNY70の目標株価はフォワードQ5-Q8 EPSの10xに基づき、9月18日終値比で26%の上昇余地を示す。
- ウエハー月産能力は現在の約300Kから4Q28の530Kへ増加し、Micronを上回る可能性がある。
- CXMTの技術は世界首位企業より約3-4年遅れているが、Bernsteinは大半の従来型DRAM用途には十分とみる。
- 低歩留まり、高コスト、輸出規制の制約にもかかわらず、HBMは2028年にDRAM売上の9%を占めると予想される。
- Bernsteinは2026-2028年のEPSをそれぞれCNY4.04、CNY6.82、CNY6.00と予想する。
- 株価は海外メモリー同業より高い評価だが、大半のA株半導体同業より低い。
- 装置制約、DRAMサイクルの正常化、少数株主持分会計、2027年のロックアップ解除が重要リスクである。
レポート解説
概要
本新規カバレッジは、CXMTがプロセス技術の遅れと輸出制限の下で、中国のローカライゼーション推進を持続的なDRAMシェア拡大へ転換できるかを検討する。Bernsteinは、強い足元価格、積極的な能力増強、従来型DRAMに十分な技術、政策で支えられるHBM需要がOutperformを正当化すると結論付ける一方、EUVを欠く長期的な技術上の余地は弱いと認めている。
主要見解
Bernsteinの強気ケースは、高水準のDRAMサイクル、中国のローカライゼーション需要、CXMTの相対バリュエーションの組み合わせから始まる。レポートは、CXMTが2027年まで業界を上回る成長を示し、従来型DRAM価格が2028年に正常化する際も世界同業より緩やかな下落にとどまると予想する。2026年から2028年にかけて、モデルは能力約75%、売上55%、EPS50%の成長を示唆する。BernsteinはOutperformでカバレッジを開始し、CNY70の1年目標株価を設定した。 能力拡大が最初の主要ドライバーである。CXMTの現在のウエハー月産能力は約300Kで、既存の合肥・北京ファブは概ねフル稼働とみられる。Bernsteinは上海、北京、合肥からの追加能力を想定し、会社開示では特定されていない上海ファブについても、同社調査では装置導入中でHBMに関連する可能性があるとみる。能力は4Q27に月産380K枚、4Q28に530K枚へ達し、現状比約75%増とモデル化されている。これは世界DRAMウエハー能力の約19%-20%に相当し、CXMTをウエハー能力で世界第3位、Micronを上回る水準に置く。CXMTは先行企業よりウエハー当たりのビット生産量が少ないため、Bernsteinは実際の市場地位を推計する際にウエハーシェアを明示的に割り引く。 拡大には例外的に高い投資が必要である。Bernsteinは2026年、2027年、2028年の設備投資をおよそCNY81 billion、CNY142 billion、CNY236-238 billion、すなわち約US$12 billion、US$21 billion、US$35 billionと予想する。2026年の予想は前年を70%以上上回り、その後2年間も年率約70%で増える見通しである。中央・地方政府資金に大きく依存した初期の拡張局面と異なり、レポートは高いメモリー価格とより強い営業キャッシュフローにより、CXMTが投資の多くを内部資金で賄えると論じる。土地確保、ファブ建設、人材採用、装置の量産認定といった物理的制約の方が、資金より制約となり得る。 技術面では、分解に基づくビット密度比較でCXMTのG4プロセスは競合の1z-1aノードとほぼ同等で、世界リーダーより約3-4年遅れている。Bernsteinは2027年後半からG5へ移行し、このギャップを縮めるより維持すると予想する。それでも同社は、この技術は大部分の従来型DRAM市場で十分とみる。DDR5とLPDDR5は1H25にDRAM売上の40%を占め、現在は半分超を占めるとされる。サーバーは2025年売上の27%、または約25%-30%を占め、世界の25%-30%のサーバー構成比に近い。XiaomiによるCXMT LPDDR6採用予定は、同社が新しい製品世代に入れる証拠として挙げられる。顧客調査は、CXMTの価格が大幅な値引きではなく、おおむね競合並みであることを示す。 収益性も、プロセスの遅れにもかかわらずCXMTが商業的に競争力を持つとの見方を支える。2Q26の粗利益率は88%に達し、Samsung、SK hynix、Micronの87%-89%の範囲に近い。レポートはこの一部を強いサイクルと、現時点では低マージンのHBMを含まない製品構成に帰する一方、建設・操業面および政策支援を受けた価格面の優位性も考慮する。EBITDAマージンは2024年に既に先行企業へ接近し、1H25には概ね同水準だった。Bernsteinはこれを同等のキャッシュコストと、下落局面を耐える能力の証拠と解釈する。粗利益率は2026年88.1%、2027年90.5%、2028年85.1%、営業利益率はそれぞれ82.5%、85.8%、80.5%と予想される。 輸出規制は中心的な制約であり、予想の重要な前提でもある。2025年1月に発表された規制は、特定のセル面積未満またはビット密度超のDRAMを生産できる装置、1ダイ当たり3,000 TSV超を支える装置、先端DUVまたはEUVシステムへのアクセスを制限する。それでもCXMTは規制後約1.5年間、現在の価格サイクル開始前を含め、拡大と改善を継続した。Bernsteinはしたがって、事前に備蓄した装置と国内代替品が2028年までの拡張を可能にすると仮定する。DUVはさらに3-5年、2または3世代のプロセスにわたり競争力を維持できる可能性があるが、歩留まりと経済性は悪化するとみる。非リソグラフィ装置は国内代替品が一般により有力なため、制約は小さいと評価される。 長期の技術見通しはより弱い。CXMTはEUV依存を減らすため、4F²セル構造と3D DRAMを研究している。4F²構造はより良いリソグラフィなしにセルを縮小できるが、一度限りの改善と位置付けられる。3D DRAMは密度改善を垂直方向に移せる可能性がある。Bernsteinは、いずれも予想期間内に商業的競争力を持つとは想定していない。世界同業もこれらの代替案を研究しながらEUVを選んでいるため、これらの技術が成功するか装置アクセスが改善しない限り、CXMTは今後3-5年後に競争力を徐々に失うと予想する。 HBMはさらに高い技術的障壁となる。CXMTは、より高速なDRAMダイ、TSVと接合に関する限られた経験、予想される低歩留まり、高コスト、より高密度になる相互接続要件に対処する必要がある。現行規制は1ダイ当たり3,000 TSV超の装置を対象とする一方、レポートはHBM3で5,600超、HBM4で20,000超のTSVを引用する。先端ロジックのベースダイも別のボトルネックである。それでもBernsteinは、GPUとHBMの規制が市場を分断したと論じる。中国のAI顧客は輸入HBMを十分に入手できず、国内供給を必要とする。ローカライゼーション政策により、CXMTは高いコストを顧客と分担しつつ満足できるマージンを維持する価格を得られるはずである。モデルはCXMTが2026年のHBM3または同等品から2027年にHBM3Eへ進むとするが、依然としてリーダーより約3-4年遅れ、HBMは2028年のDRAM売上の9%を占める。 BernsteinはCXMTのアドレス可能市場が国内消費に限定されるという見方にも異議を唱える。中国OEMは同社メモリーを海外販売のPCやスマートフォンに搭載でき、調査では非中国の消費者向けOEMやモジュールメーカーの一部も、米国以外で世界販売される製品に中国メモリーを搭載することを受け入れるとされる。海外AIラボ、ハイパースケーラー、政府機関など地政学的に敏感な顧客への浸透は難しい。中国OEMは世界DRAM需要の20%-25%を占めると推定され、CXMTは現在その需要の約40%-45%しか満たしていない。レポートは中国のDRAM自給率を現在42%、2028年58%と計算する。中国および米国以外の市場で販売される非中国消費製品を含めると、アドレス可能な設計TAMは2026年に世界DRAM需要の42%、2030年に36%まで広がり、CXMTの現在のこの拡張TAMへの浸透率は約21%と推定される。 低いビット密度とHBMの制約を調整した後、BernsteinはCXMTの世界ビットシェアが2026年の約9%から2028年の12%へ上昇し、従来型DRAMシェアは約10%から14%へ高まるとモデル化する。一つの節見出しでは、より広い8%-13%のビットシェア推移が示される。従来型DRAMは今後数年も業界売上の大部分を占め、CXMTのブレンド価格は同業と似ると予想されるため、売上シェアは10%から13%へ上昇する見込みである。HBMは今後数年、全DRAM市場の約20%にとどまると予想され、推論およびエージェント型ワークロードは従来型メモリー需要を継続的に支える。 財務モデルは、このシェア拡大を循環的な価格パスと組み合わせる。DRAM価格は2027年の大半で高水準を維持または小幅に上昇し、その後2028年に着実に下落すると予想される。CXMT売上は2026年から2028年にCNY452.9B、CNY749.4B、CNY702.4Bで、成長率は633%、65.5%、-6.3%と予想される。EPSはCNY4.04、CNY6.82、CNY6.00で、2027年は約69%-70%成長、2028年は12%減益となる見通しである。Bernsteinは2026年と2027年の売上でコンセンサスを20%-30%、EPSを40%-50%上回るが、価格正常化をより大きく見込むため、2028年売上はコンセンサスをわずかに下回り、EPSは概ね一致する。 二つの財務構造問題が利益見通しを弱める。第一に、継続的な拡張が大規模な設備投資に該当し、CXMTは現金を保持すると予想されるため、モデルは2028年まで配当も自社株買いも見込まない。第二に、少数株主持分が大きなEPS不確実性を生む。CXMTは連結対象となる一部ファブの持分を約30%しか保有していないが、これらはウエハー能力の約3分の2を占める。少数株主持分は2H25に連結利益の63%を取り込んだが、1H26には25%-29%まで低下し、その理由は明確に開示されていない。Bernsteinは今後の少数株主比率を25%と仮定し、新ファブの所有構造を主要な感応度と位置付ける。 バリュエーションでは、レポートの議論上、CXMTは約13xの1年フォワードP/Eと7.3xの1年フォワードP/Bで取引され、海外メモリー生産者より高い評価となっている。Bernsteinは、このプレミアムがA株テクノロジー評価とローカライゼーション需要により続くと予想する。しかし、ファウンドリー、メモリー、装置、AIプロセッサーを含む国内半導体グループに対しては、CXMTは1年・2年フォワードの両方で大幅に割安に見える。レポートは、2年フォワードEPSがコンセンサスの半分になっても割安に見えると述べる。CNY70の目標株価は、CNY7.16のブレンドQ5-Q8 EPSに10xを適用し、2年フォワードP/Bの4.4x、フォワードEV/EBITDAの6.2xに相当する。これは18 SeptemberのCNY55.54終値に対して26%の上昇余地、評価セクションで引用される17 Septemberの基準では31%の上昇余地を示す。レポートは、2027年27 Januaryに総株式の2.2%が解除され現在の浮動株を34%増加させ、2027年27 Julyにはさらに大きい総株式の33%が解除されることを警戒する。
分析フレームワーク
Bernsteinはまずファブと設備投資をボトムアップで構築し、プロセス密度と歩留まりの不利を調整したうえでウエハー能力をビット生産量へ変換し、市場シェア、アドレス可能需要、中国の自給率を推計する。出荷量成長を業界DRAM価格サイクル、製品構成、コスト、少数株主持分の仮定と組み合わせ、売上、マージン、EPSを予想する。その後、海外メモリー企業および国内半導体同業との比較を踏まえ、ブレンドQ5-Q8利益にフォワードP/E倍率を適用して評価する。
手法メモ
DRAMの需給および価格サイクル
レポートは、業界の供給不足と能力追加を、2027年までの高水準価格と、2028年の需給正常化に伴う価格低下へ結び付ける。
ビット出荷量、ブレンドASP、ビット当たりコスト
売上とマージンは単一のトップダウン成長率ではなく、出荷量成長、従来型DRAMとHBMの価格、製品構成、ビット当たりコストの仮定から構築される。
装置、メモリー生産、OEM需要を通じたローカライゼーション政策の波及
分析は、装置アクセスと国内代替品がCXMTの生産に与える影響、およびローカライゼーション要件とOEM採用が生産を需要と価格へ転換する仕組みを追う。
DRAMサイクルにおける営業レバレッジ
Bernsteinは、上昇サイクルでは利益が売上より速く伸び、2028年に価格、固定費、稼働率がサイクルを通じて動く際には利益がより大きく下振れすると予想する。
フォワードQ5-Q8 P/E評価
CNY70の目標株価は、フォワード第5四半期から第8四半期のブレンド利益CNY7.16に10xを適用し、直近のピークを越えた期間を評価する。
フォワードP/Bによるクロスチェック
目標株価は2年フォワードP/Bの4.4xでクロスチェックされ、世界メモリー企業および国内半導体同業の評価と比較される。
フォワードEV/EBITDAによるクロスチェック
Bernsteinは、目標株価がフォワードEV/EBITDAの6.2xに相当し、世界メモリー先行企業より高い一方でA株半導体同業より低いと述べる。
ビット密度の標準化と設計TAMに基づく自給率分析
レポートはウエハー当たりビット生産量の低さを調整し、その後CXMTのビット出荷量を中国OEMの設計需要およびより広い非米国消費者TAMと比較して、市場シェアと自給率を推計する。
資産マッピングと比較
投資テーゼから固有資産への構造化マッピング(強み、弱み、同業、リスク)。
- CXMT Corp (688825.CH)主要カバレッジ企業であり、中国DRAMローカライゼーション、能力拡大、政策支援を受けるHBM需要の受益者と予想される。
- 強み
- 中国最大のDRAM生産者。急速な能力成長、サーバーおよび新しいモバイル用途に十分な従来型DRAM、先行企業に近づく粗利益率とキャッシュマージン、広い国内・非米国消費者TAMを持つ。
- 弱み
- プロセス技術は世界リーダーより約3-4年遅れている。HBMは歩留まりとコストの課題を抱え、長期的なスケーリングはEUV不足で制約される。
- 比較
- 海外メモリー生産者より高い評価だが、1年・2年フォワードの両方でレポートのA株半導体同業グループより大幅に安い。
- リスク
- 装置制約、輸出規制の強化、DRAM供給過剰、AI関連需要の弱さ、少数株主持分の不確実性、2027年の大規模なロックアップ解除。
主要データ
- 格付けと目標株価Outperform; CNY70新規カバレッジ。目標株価はフォワードQ5-Q8 EPSの10xに基づく。
- 基準株価CNY55.5418 Sep 2026の終値。目標株価は26%の上昇余地を示す。
- ウエハー能力300K currently; 380K in 4Q27; 530K wpm in 4Q284Q28までに約75%の拡大。
- 設備投資予想CNY81.3B / CNY141.5B / approximately CNY236-238B2026E / 2027E / 2028E
- 技術ギャップApproximately 3-4 yearsG4は競合の1z-1aノードと比較される。G5への移行は2H27から予想される。
- 2Q26粗利益率88%Samsung、SK hynix、Micronの87%-89%の範囲に近い。
- HBM売上構成比9% in 2028現時点で有意な売上はない。HBM3Eへの移行は2027年に予想される。
- 世界売上シェア10% in 2026 to 13% in 2028モデルではビットシェアと概ね同水準。
- 中国DRAM自給率42% currently to 58% in 2028中国OEMの設計需要とCXMTのビット出荷量に基づく。
- 売上予想CNY452.9B / CNY749.4B / CNY702.4B2026E / 2027E / 2028E。成長率は633%、65.5%、-6.3%。
- EPS予想CNY4.04 / CNY6.82 / CNY6.002026E / 2027E / 2028E
- コンセンサスとの差Revenue 20%-30% above and EPS 40%-50% above2026-2027年のBernstein予想とコンセンサスの比較。
- ロックアップ解除2.2% on 27 Jan 2027; 33% on 27 Jul 20271月の解除は現在の浮動株を34%増加させる。7月は大幅に大きい。
影響と示唆
Bernsteinは、CXMTの拡張により同社がウエハー能力で世界DRAM生産者の上位3社に入り、中国のメモリー自給率が大きく高まると予想する。これは既存の先行サプライヤーへの競争圧力を強める一方、CXMTに構造的な国内需要と将来の下落サイクルへの一定の保護をもたらす。同じ戦略には極めて高い設備投資が必要であり、装置への継続アクセスまたは国内代替品に依存し、長期的なEUV技術制約を解決するものではない。
リスク
- 半導体装置の取得がより困難になれば、能力拡張またはG4からG5への移行が遅れる可能性がある。
- 米国の輸出規制がさらに強化されれば、先端DUV、EUV、TSV、その他の生産装置へのアクセスが減少する可能性がある。
- 世界DRAM供給の拡張が予想より速ければ、現在の不足が過剰供給へ転じ、価格が低下する可能性がある。
- AI関連DRAM需要の大幅な減速は、HBMと従来型メモリーの需要を弱める可能性がある。
- HBMの予想される低歩留まり、高コスト、先端パッケージング要件は、進捗を遅らせるか収益性を圧迫する可能性がある。
- 少数株主持分の説明されない変動と将来ファブの所有構造は、親会社帰属EPSに大きな不確実性をもたらす。
- 2027年1月、特に7月のロックアップ解除は、取引可能株式を大幅に増やし株価に影響する可能性がある。
注目点
- CXMTが想定される上海、北京、合肥の立ち上げを含め、4Q27に月産380K枚、4Q28に530K枚へ達するか。
- 2H27からのG5生産への進展と、国内装置代替品が歩留まりを維持できるか。
- HBM3または同等品から2027年のHBM3Eへの移行、およびHBMが2028年売上の9%へ向かう経路。
- DRAM価格が2027年を通じて高水準を維持するか、また2028年の想定ペースで正常化するか。
- 先端リソグラフィ、TSV、その他の装置に影響する輸出規制の強化または執行変更。
- 少数株主持分が連結利益に占める比率と、新ファブで選択される所有構造。
- 2027年27 Januaryおよび27 Julyのロックアップ解除による市場への影響。